2009
04/06
06:36
さくら ~花より男子・つかつく~
Category : さくら ~花より男子・つかつく~
「桜が、きれいだね」
大きな桜の木を見上げながらあたしが言うと、道明寺は、まるで初めて気付いたかのように上を見上げて目を瞬かせた。
「ああ、本当だ。すげえな」
満開の桜が空も隠してしまうほど一面に広がり、あたし達を見下ろしているようだった。
「―――もうすぐ新学期だよ。F4はもういないんだよね」
高校生の時からずっと一緒だった人達。
彼らがいよいよ卒業し、この春からはそれぞれの道を歩き出す。
なんだか、突然周りが静かになってしまい、気が抜けてしまったようだった。
「・・・・・寂しいか?」
道明寺の声にあたしは素直に頷いた。
「少しね。でも大丈夫だよ。あたしも忙しくなるし、1年後にはあたしも卒業だもん。寂しがってる暇なんかないよ」
「そうか・・・・・。あいつらも、お前のことは気にかけてる。なんかあったときにはぜってえ力になってくれるはずだ。もし、何かあったら遠慮せずにあいつらを頼れよ」
桜を見上げながらそう言う道明寺を、あたしは首を傾げて見た。
「・・・・・そんな顔すんな。俺は、あと1年は帰ってこれねえし、おまえに何かあったとき、すぐには駆けつけてやれねえ。そういうとき、頼りに出来るのはあいつらだ。そんでも・・・・・できれば何の問題も起きないでいて欲しいけどな。お前の場合、それを期待すんのは難しいだろ?」
「何よそれ、あたしはトラブルメーカーじゃないんだから」
「立派なトラブルメーカーだよ。今までに何度問題を起こしたか・・・・・」
呆れたようにあたしを見る道明寺に、あたしはむっとして睨み返した。
「人を問題児みたいに言わないでよ。あたしが問題を起こしてるんじゃなくて、そういうトラブルに巻き込まれるだけよ」
「・・・・・だから、心配なんだよ。先が思いやられる」
溜息をつく道明寺にむかついて、あたしはぷいと横を向いた。
「心配なんかしてくれなくってもいいです!あたしの問題は、あたしが自分で解決するし!」
先を歩こうとするあたしの腕を、道明寺の腕が掴み、ぐいっと引っ張られた。
そのままよろけるようにバランスを崩し、道明寺の腕の中に収まるあたし。
反射的に離れようとして・・・・・そのままぎゅっと抱きしめられた。
「・・・・・・お前の、そういうところが、危なっかしくて見てらんねえ」
「・・・・・何よ、いつだって見てないじゃない」
「ああ・・・・・・本当はずっと俺の目で、見ていたかったんだけどな・・・・・」
なんだか、寂しげな道明寺の言い方に、心臓が嫌な音を立てる。
「あと1年・・・・・・あと1年だ。必ずお前を迎えに来る。だから・・・・・・それまで、ちゃんと待っててくれ」
「道明寺・・・・・・・」
別れを、言われるのかと思った。
そっと見上げると、道明寺のいつになく優しい瞳にぶつかり、どきんと胸が鳴る。
「・・・・・・類にも・・・・・・他の誰にも、おまえをやるつもりはねえからな。1年後、誰かがお前の傍にいても、必ず俺が奪い返す。だから・・・・・お前も、俺だけを思ってろ」
「・・・・・4年も放ったらかしで、偉そうなんだから」
「そう言うな。おれには、お前しかいねえんだ。一生・・・・・女はお前だけだ」
涙が、頬を伝った。
桜の花弁が舞い落ち、あたしの頬を掠めていく。
道明寺の大きな掌があたしの頬に優しく触れ、涙を拭った。
「愛してる・・・・・・」
風にかき消されそうな、でもしっかりとあたしの胸に響いてくる道明寺の声。
「・・・・・あたしも」
それだけ言うのが、精一杯だった。
腰を引き寄せられ、唇が重ねられる。
道明寺jの優しいキス。
それも何ヶ月ぶりだろう・・・・・。
でも、それだけであたしは幸せになれる。
あと1年。
大丈夫。
だって、あたしにも道明寺だけかだら・・・・・・
ぐいと、道明寺の胸倉を掴む。
「1年後・・・・・もしあんたがこなかったら・・・・・あたしが、奪い取りにいくからね」
あたしの強気なセリフに、道明寺は一瞬目を瞬かせ・・・・・
「楽しみだな、それも」
そう言って子供みたいに笑った・・・・・・。
fin.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
久しぶりのつかつくです。
絶好調とまではいきませんが、だいぶ復調してきました。
短いお話なら何とかなるかなと思って書いてみましたが・・・・・
楽しんでいただけると嬉しいです。
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大きな桜の木を見上げながらあたしが言うと、道明寺は、まるで初めて気付いたかのように上を見上げて目を瞬かせた。
「ああ、本当だ。すげえな」
満開の桜が空も隠してしまうほど一面に広がり、あたし達を見下ろしているようだった。
「―――もうすぐ新学期だよ。F4はもういないんだよね」
高校生の時からずっと一緒だった人達。
彼らがいよいよ卒業し、この春からはそれぞれの道を歩き出す。
なんだか、突然周りが静かになってしまい、気が抜けてしまったようだった。
「・・・・・寂しいか?」
道明寺の声にあたしは素直に頷いた。
「少しね。でも大丈夫だよ。あたしも忙しくなるし、1年後にはあたしも卒業だもん。寂しがってる暇なんかないよ」
「そうか・・・・・。あいつらも、お前のことは気にかけてる。なんかあったときにはぜってえ力になってくれるはずだ。もし、何かあったら遠慮せずにあいつらを頼れよ」
桜を見上げながらそう言う道明寺を、あたしは首を傾げて見た。
「・・・・・そんな顔すんな。俺は、あと1年は帰ってこれねえし、おまえに何かあったとき、すぐには駆けつけてやれねえ。そういうとき、頼りに出来るのはあいつらだ。そんでも・・・・・できれば何の問題も起きないでいて欲しいけどな。お前の場合、それを期待すんのは難しいだろ?」
「何よそれ、あたしはトラブルメーカーじゃないんだから」
「立派なトラブルメーカーだよ。今までに何度問題を起こしたか・・・・・」
呆れたようにあたしを見る道明寺に、あたしはむっとして睨み返した。
「人を問題児みたいに言わないでよ。あたしが問題を起こしてるんじゃなくて、そういうトラブルに巻き込まれるだけよ」
「・・・・・だから、心配なんだよ。先が思いやられる」
溜息をつく道明寺にむかついて、あたしはぷいと横を向いた。
「心配なんかしてくれなくってもいいです!あたしの問題は、あたしが自分で解決するし!」
先を歩こうとするあたしの腕を、道明寺の腕が掴み、ぐいっと引っ張られた。
そのままよろけるようにバランスを崩し、道明寺の腕の中に収まるあたし。
反射的に離れようとして・・・・・そのままぎゅっと抱きしめられた。
「・・・・・・お前の、そういうところが、危なっかしくて見てらんねえ」
「・・・・・何よ、いつだって見てないじゃない」
「ああ・・・・・・本当はずっと俺の目で、見ていたかったんだけどな・・・・・」
なんだか、寂しげな道明寺の言い方に、心臓が嫌な音を立てる。
「あと1年・・・・・・あと1年だ。必ずお前を迎えに来る。だから・・・・・・それまで、ちゃんと待っててくれ」
「道明寺・・・・・・・」
別れを、言われるのかと思った。
そっと見上げると、道明寺のいつになく優しい瞳にぶつかり、どきんと胸が鳴る。
「・・・・・・類にも・・・・・・他の誰にも、おまえをやるつもりはねえからな。1年後、誰かがお前の傍にいても、必ず俺が奪い返す。だから・・・・・お前も、俺だけを思ってろ」
「・・・・・4年も放ったらかしで、偉そうなんだから」
「そう言うな。おれには、お前しかいねえんだ。一生・・・・・女はお前だけだ」
涙が、頬を伝った。
桜の花弁が舞い落ち、あたしの頬を掠めていく。
道明寺の大きな掌があたしの頬に優しく触れ、涙を拭った。
「愛してる・・・・・・」
風にかき消されそうな、でもしっかりとあたしの胸に響いてくる道明寺の声。
「・・・・・あたしも」
それだけ言うのが、精一杯だった。
腰を引き寄せられ、唇が重ねられる。
道明寺jの優しいキス。
それも何ヶ月ぶりだろう・・・・・。
でも、それだけであたしは幸せになれる。
あと1年。
大丈夫。
だって、あたしにも道明寺だけかだら・・・・・・
ぐいと、道明寺の胸倉を掴む。
「1年後・・・・・もしあんたがこなかったら・・・・・あたしが、奪い取りにいくからね」
あたしの強気なセリフに、道明寺は一瞬目を瞬かせ・・・・・
「楽しみだな、それも」
そう言って子供みたいに笑った・・・・・・。
fin.
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
久しぶりのつかつくです。
絶好調とまではいきませんが、だいぶ復調してきました。
短いお話なら何とかなるかなと思って書いてみましたが・・・・・
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