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*このブログは名探偵コナン・ごくせん・花より男子・君に届け&ゲーム(ラブレボ・新撰組など)の二次小説のブログになります。
*このブログは管理人個人によるファンサイトです。 原作者や出版社等とは何の関連もありません。
*あくまでも管理人の二次世界の小説ですので、人によってはイメージに大幅なずれがある場合もございますのでご注意ください。
*閲覧については自身の責任においてお願いいたします。
*このブログについての誹謗中傷・クレームなどの書き込みはおやめください。
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*万が一このブログをお読みになって不快感を感じられたとしても責任は負いかねますのでご了承ください。

My Little Girl 1

Category : My Little Girl series(コナン・新ちび蘭)
―――ったく、どこに行ったんだよ!?
 新一は雨のトロピカルランドの中を、蘭を探して必死に走っていた。
―――蘭!!一体何があったんだ!?
 もうすっかり夜になっていた。後10分ほどで閉園の時間。雨のせいもあり、遊びに来ていた客は皆、出口に向かって歩いていた。その中を逆走するように、新一は走る。
 今日は、蘭とトロピカルランドに遊びに来ていた。空手のと大会で優勝したご褒美に・・・。最近は、新一が事件で呼び出されることが多く、あまり2人で出かけることもなくなっていたので、久しぶりに蘭と2人で楽しい休日を過ごすはずだったのだが・・・。2人で乗ったミステリーコースターで殺人事件が起き、とんでもないデートになってしまった。事件が解決し、やっと警察から解放されても、蘭はずっと泣いていて・・・。
「しょうがね―な―、ちょっと待ってろよ」
「?どこに行くの?」
「良いから、そこから動くなよ!」
 そう言って、新一は駆け出した。蘭に、今日の記念とお詫びに、昼間見かけて蘭がほしそうにしていたペンダントをプレゼントしようと思ったのだ。雫型の、中に天使の羽が見えるかわいいペンダント。
 きっと蘭に似合うはず。
 これを蘭に渡して・・・そして、自分の気持ちを言うつもりだった。
 ―――ずっと、好きだった、と・・・
 なのに。

 蘭がいたはずの場所へ戻ってみると、蘭がいなかったのだ。すぐに近くを探したが、どこにもいない。怒って先に帰っちまったのかな?とも思ったが、蘭の性格からして、新一に何も言わずに帰
るというのは考えられなかった。そのうち雨も降ってきて、閉園時間も迫り、人がどんどん出口へ向かって流れ始めたが、その中にも蘭の姿は見当たらなかった。
―――どうしたんだ?どうしてどこにもいないんだ?蘭―――!!
 迷宮無しの高校生名探偵といわれる新一も、こと蘭のことになると途端に普通の高校生に戻ってしまう。気ばかり焦って、冷静な判断ができない。蘭はそんなこと知る由もないが・・・。
 新一は、もう一度出口のほうまで戻り、また端から探していくことにした。蘭が、自分から行くとは思えないような建物の裏のほうも隅から隅まで・・・。

 そして、ようやく見つけたその姿は―――
 そこは、本当に人気のない、暗くて何もない空間だった。そこに、女の子が一人倒れていた。5,6歳くらいだろうか。新一は一瞬、迷子かと思った。迷った子供が、疲れて眠ってしまったのかと。
 が、すぐに異変に気付いた。それは、その少女が着ている服・・・。それは、今日蘭が着ていた服と同じものだった。
 新一はその少女の側に駆け寄った。雨でびしょぬれになっている少女を、そっと抱き起こす。その顔は・・・
「―――ら、ん・・・?」
 小さい頃の蘭に、そっくりなその顔・・・だが、まさか・・・そんなことはありえない。
「おい、大丈夫か?おい―――」
 少女の体を揺さぶり、声をかける。
「―――うっ・・・」
 苦しそうにうめいて、少女がうっすらと目を開けた。そして、新一の顔を見上げる。
「・・・ん・・・ち・・・?」
「・・・!」
 かすれて、聞き取れないくらい小さい声。だが、その口は確かに”新一”と言っていた・・・。
「蘭・・・蘭なのか?本当に?」
 驚き、目を見開く新一を不思議そうに見る大きな瞳。
「何・・・言ってるの?わたし・・・イタッ」
 起き上がろうとして、頭を押さえる。そのとき、新一は初めて蘭らしきその少女が、頭に怪我をしていて血が出ていることに気付いた。
「怪我・・・してるのか。―――とりあえず、帰ろう。話はそれからだ」
 新一は、軽々と少女を抱き上げ、足早に出口へと向かった。少女は、まだ意識が朦朧としているのか、新一の腕の中でおとなしくしていた。
「・・・んいちィ・・・」
 虚ろな目で新一を見つめ、新一の名を呟く。
「―――少し、眠ってろ。大丈夫、俺がついてるから」
 と、新一が言うと、少女は小さく頷き、そっと目を閉じた。


 「―――博士!博士!俺だ!ここを開けてくれ!!」
 新一は阿笠博士の家にたどり着くと、大きな声で博士を呼んだ。呼び鈴を押そうにも、両手が塞がっているので出来ないのだ。
「―――なんじゃ、新一、どうしたんじゃ?」
 中から阿笠博士が出て来て、新一を中に入れた。
「その子は?今日は、蘭君とデートじゃなかったのか?」
 新一の腕の中で眠っている少女を、不思議そうな顔で見ると、博士が言った。
「―――あとで説明するよ。こいつ、怪我してるんだ。救急箱、出してくれないか?それからタオルと―――着替え、なんてね―よな」
「当たり前じゃろう。わしには娘も孫もおらんからなあ」
「しょうがねえな。俺、ちょっと家から昔の俺の服、取ってくるよ。男物だけど、ないよりましだろ」
「ああ、分かった。わしは、この子の怪我の手当てをしておいてやろう」
「頼む」
 新一は、隣の自分の家へ走っていき、急いで子供の頃の服を探し出した。そして、トレーナーと半ズボンを取り出すと、それを手に、また阿笠邸へと引き返した。
「ワリィな、博士」
「うむ。とりあえず居間のソファに寝かせたが―――あの子は一体なんなんじゃ?」
「―――ゴメン、今はまだ、応えられねーんだ・・・」
「どういうことじゃ?」
「それより博士、女の子のパンツ、調達してきてくんねーか?」
「パ、パンツゥ?」
「ああ。さすがに俺もそんなもん持ってね―し」
「し、しかし、どうやって―――」
「近所にさ、5,6歳くらいの女の子がいる家、ねーか?そこに行ってさ、親戚の子が遊びに来てて、おもらししちゃったんだけど替えがないとか何とか言ってさ」
「う、うむ・・・そうじゃな。確か、3件先の家に小さい女の子がいたと思うが・・・」
「頼むよ、博士。俺が行ったら、ちょっと怪しまれそうだしよ」
「―――そうじゃな。よし分かった、行ってこよう」
「サンキュー、恩に着るよ」
 新一は博士を送り出すと、改めて蘭らしきその少女の元へ行った。頭に白い包帯が巻かれて、顔色も良くなかった。雨に濡れてしまったから、風邪を引いたのかもしれない。新一は持ってきた着替えを置き、そっと少女の側にひざまづくと、おでこに触れてみた。
 やはり少し熱い気がする。来ていた服は博士によって脱がされ、体にはバスタオルが巻かれ、その上に毛布がかけられていた。髪も一応拭いてあったが、まだ少し湿っていた。
「―――蘭」
 そっと呟いてみる。博士に事情を説明したかったが、どう言えばいいのか分からない。新一自身でさえ訳が分からず、混乱しているような状態なのだ。
「・・・う・・・」
 突然、少女が苦しそうにうめいた。
「蘭?どうした?」
「う・・・あ・・・いやあ!来ないで!」
「蘭!!」
 激しく身を捩り、苦しそうに叫ぶ蘭。新一は驚いて、何とか落ち着かせようと、蘭を抱きしめるようにその体を覆った。
「蘭・・・蘭・・・!」
「こ・・・ないでェ!助けて・・・新一ィ・・・!」
「蘭・・・!俺はここだ。ここにいるから・・・!」
 震える体を優しく抱きしめ、あやすように背中をさすった。
 ―――一体、何があった?蘭・・・!
 何か、よほど恐ろしい目にあったのか、蘭の体はぶるぶると震えていた。
「蘭―――大丈夫だ。俺がいるから・・・ずっと側にいるから・・・」
 背中をさすりながら、耳元に囁きつづけるうち、ようやく蘭は落ち着いてきたようだった。
「う・・・ん・・・新一・・・?」
 うっすらと目を開け、焦点の定まらない目で新一を見る。
「蘭―――大丈夫か?」
「わたし・・・一体・・・ここは?」
「阿笠博士の家だよ。今、ちょっと出てるけど・・・蘭、話、できるか?」
「うん・・・大丈夫」
 弱々しくではあるが、蘭は頷いて言った。
「俺と別れてから、何があった?どうしてあの場所を離れたんだ?」
 新一は、なるべく優しい口調で聞いた。
「あの時・・・」
 蘭は、少し遠い目をして、何か思い出そうとするように話し始めた。
「新一が行っちゃってから・・・その場所でちゃんと待ってようと思ってたの。そしたら、あの―――新一が気になるって言ってた、あの黒ずくめの服の男の人が・・・いたの」
「あの2人が!?」
「ううん、1人よ。その時は、髪の長い人はいなかったの。それで・・・何か、建物の裏のほうに入って行ったの。別に、何かしようと思ってたわけじゃないの。ただ、新一に知らせようにも、新一、どこに行ったのか分からなかったし・・・。あの人がどこへ行くのか・・・ただそれだけを確かめようと思って・・・。その人の後をついて行ったの」
「―――馬鹿!どうしてもう少し俺のことを待ってなかったんだっ」
 つい、声を荒げてしまう。蘭は、ちょっと怯えたように身を竦めた。その姿が、少女のものだけに、新一はすごくいけないことをしたような気がして―――ハッとした。
「―――ゴメン。俺のために、してくれたんだよな」
 蘭はちょっと首を振って、また口を開いた。
「―――ホントに馬鹿なこと、したと思ってる。わたし―――そこで、とんでもないもの見ちゃったの」
「とんでもないもの?」
 蘭はこくんと頷いた。大分、意識がはっきりしてきたようだった。 
 そして―――意識がはっきりして来るにつれ、蘭は違和感を感じ始めていた。
 
 ―――何かがおかしい。何かが・・・
 
 それがなんなのか、わからないまま、話を続けた。
「その人は、建物の裏の―――人気のない薄暗い場所にいたの。そこには、もう1人男の人がいて―――その人はアタッシュケースを持ってた。それを黒ずくめの男の人に渡していて―――」
「おい、それって―――」
「ん―――。何かの取引みたいだった。すぐに新一に知らせようと思って―――戻ろうと思ったら、いきなり後ろから棒のようなもので殴られたの」
「それが、髪の長いほうの奴か?」
「ん。それで、わたしは倒れて・・・気を失う前に、何か―――カプセルのようなものを飲まされたの」
「カプセル?」
「うん。男が、『組織が新開発した毒薬』だって言ってた。『死体から毒が検出されない完全犯罪が可能なシロモノ』だって・・・」
 蘭は、その時の事を思い出したのか、ブルっと身震いすると、毛布をぎゅっと握り締めた。
「わたし―――殺されちゃうんだって思った。もう―――新一に、会えないんだって・・・」
「蘭・・・」
「でも・・・良かった・・・。わたし、生きてるんだよね―――」
「・・・ああ・・・」
 新一は頷いた。だが、その表情は、どこか悲しげに歪んでいた。
「?・・・新一・・・?どうしたの・・・?」
「蘭・・・おまえ、今自分がどんな姿してるか・・・わかんねーか?」
「姿って・・・」
 言われて、蘭は気付いた。この違和感。これは・・・そして、恐る恐る自分の手を目の前に上げてみた。
「―――――!!」
 それは、今までの自分の手ではなく・・・小さな、子供の手だった・・・。そして、そっと毛布をめくり、バスタオルに巻かれた自分の姿を見下ろした―――。
「・・・これ・・・何?どうして・・・」
 体が、ガクガクと震えだす。何がどうなってしまったのか、わからない。そういえば、声も子供の声・・・。感じた違和感はこれだったのだ―――。崩れそうになる蘭の体を、新一が支えるようにして抱きしめた。
「―――し、んいち・・・わたし・・・」
「蘭・・・大丈夫。俺が、側にいるから―――。守ってやるから―――」
 蘭は、新一の真剣な声と、優しい腕のぬくもりに、少しずつ体の震えが治まってくるのを感じていた。
「その―――毒薬が、どんなもんなのかわかんね―けど・・・原因は、それ以外に考えらんねー。蘭・・・、その薬のこと、もう少し詳しく話せるか」
「・・・詳しくって言っても・・・」
「分かることだけで良いよ」
 優しい口調の新一に、蘭は安心して話し始めた。
「ん・・・。飲んだときは、別に何も感じなかったの。それが・・・あいつらが見えなくなった直後位から、急に体が熱くなって・・・体が・・・骨が溶けるんじゃないかと思うくらい・・・。心臓がすごく苦しかった。鼓動が早くなって、息苦しくって・・・体が焼けるような感覚の後・・・意識がなくなったの」
「―――そうか・・・」
「ホントに・・・もうだめだと思った。だって、あの長髪の男は、必ず死ぬって言ってたから・・・」
「―――そいつは、本当にオメエが死んだと思ってるだろうな。闇取引きの現場を見られたんだ。ほおって置くわけはねえ。もし、生きていると分かったら・・・」
「分かったら・・・?」
 蘭の体が、また恐怖に震え始めた。
 新一が、抱きしめる腕に少し力を入れた。
「新一・・・わたし・・・どうなるの?こんな体になっちゃって・・・どうしたら良いの?」
 蘭の瞳から、ポロポロと大粒の涙が零れ落ちた。震えが止まらない。頭が、おかしくなりそうだった―――。
 新一は、蘭を安心させようとするようにその髪を撫で、そっと瞳に口付けた。ビックリして、目を見開く蘭。そんな蘭を優しく見つめながら、新一は口を開いた。
「蘭・・・好きだよ」
 蘭の目が、これ以上ないという位、大きく見開かれる。
「・・・え?」
「俺・・・蘭が好きだ」
 こんな時に言う台詞じゃないかもしれなかったが、新一はそうしなければいけない、と思ったのだ。
 蘭は今、パニックに陥っている。新一だってそうなのだが・・・。一度殺されかけ、助かったと思ったら自分の体が小さくなっていて、さらに、また命を狙われるかもしれないと分かったら―――。パニックにならないほうがどうかしているというもの。新一は、そんな蘭をどうにかして安心させてやりたい、守りたい、と思った。それを、蘭に伝えたくて―――告白したのだ。
 蘭は、ビックリしすぎて、体の震えが止まってしまっていた。
「新一・・・?今、なんて・・・」
「好きだって言ったんだよ。ずっと・・・ずっと前から好きだった。そして、これからも―――。俺が、ずっと側にいる。オメエを、守ってやる。だから―――泣くな。俺が絶対、オメエを元の姿に戻してやるから・・・心配するな」
 優しく、包み込むような笑顔で見つめられ・・・。蘭の体から、少しずつ力が抜けていった。そして、その瞳からは、また涙が零れ落ちた。
「新一・・・ありがとう。わたし・・・」
「泣くなっつったろォ?ったく、泣き虫なんだからなー」
 新一が呆れたように言った。
「だってェ・・・」
 そのとき、ドアが開いて、博士が部屋に入ってきた。
「新一、持って来たぞ。―――おや、気がついたのかね」
「ああ、博士、サンキュー。蘭、俺の服でワリィけど、着替えとけよ。俺たちは部屋の外にいるから」
「ん、ありがと・・・」
 蘭が弱々しく微笑んで頷いた。
「おい、蘭って―――」
「博士、こっち来て」
 驚いて何か言いかける博士の腕を取り、新一は部屋を出た。


 「―――おい!新一、どういうことなんじゃ?あの子は一体―――」
「あれは、蘭だよ」
「蘭くん―――じゃと?馬鹿な!ありゃ―どう見たって子供じゃないか」
「ああ―――とにかく、こっち来てくれよ。説明するからよ―――」
 新一は、地下の研究室に博士を連れて行くと、今までのことを全て博士に話した。
「そんなこと―――信じられんのォ。人間の体が縮むなんて・・・。そんな薬が存在するとは―――」
「ああ。多分そいつらは、蘭が死んだと思ってるだろう。なぜか分からないが、蘭にはその毒薬が効かなかった。そのかわり―――あんな体になっちまった。その薬の中の成分の何かが蘭の体を縮めてしまった―――。それしか、考えらんね―んだよ」
「ふむ・・・。で、これからどうするつもりなんじゃ?」
「博士に、頼みがあるんだ」
「わしに?」
「ああ。―――蘭の体を元に戻す薬を作ってくれね―か」
「な―――なんじゃと!?」
 博士が驚いて、目を見開いた。
「そんなこと、簡単にできるわけないじゃろう!?」
「分かってるよ。けど、こんなこと他に頼める人、いね―んだよ。蘭を―――1日も早く、元の姿に戻してやりて―んだ・・・。頼むよ、博士」
 博士は、新一の目をじっと見つめていたが―――やがて、ふうっと溜息をついて言った。
「分かった―――。できるかどうか分からんが、努力してみよう―――。で、これから蘭君をどうするつもりじゃ?」
「それなんだよな。あの状態の蘭を見たら、おっちゃん卒倒しそうだし・・・。それに、あの黒ずくめの奴らが蘭のことを調べて、あの家に行ったりしたら厄介だしな・・・。とりあえず、今日はここに泊めてやってくんねーか?その後のことは、蘭とも相談しないと・・・」
「そうじゃな。ああ、さっきコンビニでおにぎりを買って来たんじゃ。新一も腹が減っておるじゃろう?持って行って2人で食べたらどうじゃ?」
「ああ、サンキュー。博士は?」
「わしは、ここでやりたいことがあるんでな。ああ、蘭君には、わしのことは気にせず自由にやってくれて良いと言っておいてくれんか」
「分かった。―――博士」
 新一は部屋を出ようとして、足を止め、振り向いた。
「ん?なんじゃ?」
「―――サンキューな」
「―――いいんじゃよ」


 「蘭、入っていいか?」
 新一は、居間のドアをノックして言った。
「うん」
 中から、蘭の声が聞こえた。
 ドアを開け、中に入ると新一の持ってきた水色のトレーナーと紺の半ズボンをはいた蘭が、ちょこんとソファーに座っていた。髪も、もう乾いていた。
 大きな目でちょっと不安そうに新一を見上げる蘭。その姿のかわいさに、新一はこんな状況だというのに、胸が高鳴ってくるのを感じた。
「―――新一?どうしたの?」
 小首を傾げ、聞いてくる蘭。
―――スッゲー、かわいい・・・
「あ・・・なんでもね―よ。おにぎり、食うか?博士が買ってきてくれたんだ」
「うん、ありがと。博士は?」
「下にいるよ。やりて―ことがあんだって。―――蘭、今日はここに泊れよ」
「え?」
 蘭がビックリして目を見開く。そんな表情も、とてもかわいく見えた。
「そんな姿でさ、帰りたくねーだろ?オメーもさ」
「う、ん・・・確かに」
「明日、今後のことを話し合おう。今日は、オメエも疲れてるだろうし。博士も自由にして良いって言ってくれてっから、遠慮すんなよ」
「―――新一は・・・?」
 蘭は、不安そうに新一を上目遣いで見上げた。
「俺は・・・すぐ隣にいるし・・・」
「帰っちゃうの・・・?」
 蘭の瞳がますます不安に揺れ、涙が溢れてくる。
―――うう・・・んな顔すんなって~~~
「いや、その・・・ほら、博士もいるしさ」
「・・・帰っちゃうんだ・・・」
 蘭はしょんぼりして、下を向いた。必死に涙を堪えているようだった。
 新一は観念して、
「・・・いるよ、俺もここにいる」
 と言った。
「ほんと!?」
 蘭がぱっと顔を上げた。新一が頷くと、うれしそうにニッコリ笑う。
―――か、かわいすぎる~~~
「良かった・・・」
「あ、そ、そうだ。おっちゃんに電話しねーとな」
「あ、うん。そうだね」
 蘭は立ち上がって、部屋の隅にある電話のところへ行き、家に電話をかけた。
「―――あ、もしもし、お父さん、わたし・・・」
 子供の声、と言っても女の子は声変わりがないので、ちょっと大人っぽい声を出せば、何とか誤魔化せるようだ。
「・・・うん、そう。博士が具合悪そうだから・・・。お年寄り一人じゃ、何かと大変でしょ?だから・・・うん、ゴメンね、じゃあ・・・」
 ふう、と溜息をつきながら、蘭は電話を切った。あまり嘘をついたことのない蘭にはつらい電話だったのだろう。だが、振り向いたときには笑顔で新一を見ていた。
「おにぎり、食うか」
 と、新一が笑顔で言うと、蘭はニッコリ笑って頷いた。2人でおにぎりを食べながら、しばらく他愛のない話をした。新一はこんな場合ながら、小さくなった蘭の姿に見惚れていた。小さな手でおにぎりを持ち、小さな口で一生懸命食べる姿が、あまりにも愛らしくて・・・。このまま、どこかに閉じ込めてしまいたい位、かわいかった。 
 新一の視線に気付いた蘭は、頬を赤らめ、上目遣いで新一を見た。
「なあに?新一。じろじろ見て・・・」
「や、別に・・・あのさ、蘭」
「え?」
「あのさ・・・さっきの話だけど・・・」
「さっきの話?」
 蘭がきょとんとした顔で聞き返す。
「その・・・俺は蘭が好きだって言っただろ?」
 新一が顔を赤くして言うと、蘭も真っ赤になって下を向く。
「う、うん・・・」
「―――オメエは?」
「え?」
「オメエの気持ち・・・俺、まだ聞いてね―んだけど・・・」
 そう。実は、新一はさっきからずっとそのことが気にかかっていたのだ。蘭が自分のことをどう思っているのか・・・。嫌われてはいないだろうというのは分かるが・・・。幼馴染という関係はとても微妙で・・・居心地の良い分、その関係を壊したくなくて、ずっと告白できずにいた。誰よりも蘭の近くにいるはずだが、蘭の中で、自分がどういう存在なのか・・・。ただの幼馴染なのか、それとも自分と同じように想ってくれているのか・・・。
 迷宮無しの名探偵にも、それは解けない謎だった・・・。
「蘭―――?」
 下を向いて黙ってしまった蘭に不安を感じ、新一が蘭の顔を覗き込むようにして見た。
 蘭は、真っ赤な顔をちょっと上げ、新一を見た。
 ドキンッと新一の心臓が跳ね上がる。
「・・・いしょ」
「へ?」
「内緒・・・って言ったのっ」
 再び赤い顔をして、俯く蘭。
「な、内緒って―――!」
 なんだよ、そりゃ?人が必死の思いで告白したっつーのに・・・。
「・・・戻ってから・・・」
「え?」
「戻ってから、言いたいの。本当の・・・高校生のわたしに戻ってから・・・。それまで・・・待っててほしいの・・・」
「・・・・・」
「・・・ダメ?」
 小首を傾げ、上目遣いで新一を見る蘭。新一が最も弱い表情・・・。そんな顔をされて、新一がダメと言えるわけがない。
「・・・分かったよ。待ってる・・・。でも、約束だぞ?」
「うん」
 そう言ってニッコリ笑う蘭。そして、またまたその笑顔に見惚れる新一。
―――少しは期待してても良いってことかな・・・


 おにぎりを食べ終わり、お茶を飲んでから、
「―――もう寝るか?疲れただろ、今日は」
 と、新一が笑顔で言うと、蘭はちょっと恥ずかしそうに、
「うん・・・。あの、お風呂、入って良い・・・?」
「あ、そっか。入ってなかったよな。待ってろ、今準備してくっから」
 新一は立ち上がり、お風呂の準備をするべく、部屋を出て行った。それを見送ると、蘭は小さな溜息をついた。両手を、目の前にかざして見る。
 ―――小さな子供の手。どうしてこんなことになってしまったのか・・・。あの時、新一の言うことを素直に聞いて、あそこで待っていれば・・・。後悔しても、もう遅かったが―――
 ―――ゴメンね、新一・・・。新一の気持ち、すっごくうれしかった・・・。わたしもずっと好きだったから・・・。でも・・・。
 蘭は、また溜息をついた。
 ―――いつ、この体が元に戻るか分からない・・・もしかしたら、ずっと戻らないかもしれない。そしたら・・・こんな体になってしまったわたしよりも、もっと新一に相応しい人が現れるかもしれない・
・・。もちろんそんなことあって欲しくないけど・・・もしもそうなってしまったときに、新一の邪魔にはなりたくない・・・。それに、そんなの惨め過ぎるよ・・・。
 蘭の瞳に涙が溢れる。それを堪えようと、フルフルと頭を振る。
 ―――ダメ、泣いちゃ!・・・新一は、言ってくれたもの。守ってくれるって・・・ずっと、側にいてくれるって・・・。今はそれを信じなきゃ―――それを・・・新一を、信じるしかないもの・・・。


 一方、新一は・・・お風呂の準備をしながら、大きな溜息をついた。
「チェッ・・・元の姿に戻るまで内緒・・・か」
 あんなふうに言われると、余計に気になってしょうがね―じゃねーか。―――こうなりゃ、早くあの黒ずくめの奴らを捕まえて、蘭を元の姿に戻すっきゃねーよな・・・。よしっ明日っから気合入れてく
ぞ!
 風呂洗い用のスポンジを握り締め、なぜか気合を入れて風呂掃除をする新一だった・・・。



""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""""

やっちゃいました~。この話は原作に沿って、半永久的に(笑)続きます。あ、でも基本的にこれは推理ものではなく、恋愛ものなので、中間の推理しているときの話や、管理人が「かけない!!」と思ったものは飛ばしていきます。


 そんなわけで、お楽しみいただけましたでしょうか♪
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My Little Girl 2

Category : My Little Girl series(コナン・新ちび蘭)
 次の日、いつもより早く目が覚めてしまった新一は、ソファで眠る蘭の顔をボーっと見つめていた。
 好きな子と同じ屋根の下で眠る・・・こんなにおいしいシチュエーションはない。はずなのだが・・・。

―――まさか、こんな姿になっちまった蘭に手ェ出すわけにいかねーもんなァ。それじゃ犯罪だって・・・。

 新一は大きな溜息をついた。それに反応したかのように、蘭がちょっと身動きした。
「・・・う・・・ん」
 少し口を開け、あどけない顔で眠る蘭。
 ―――かわいい、よなあ。こんなにかわいかったっけか、こいつ・・・。
 じっと見惚れているうちに、新一は心臓が高鳴ってくるのを感じた。

 ―――ちょっとくらい・・・キスくらい・・・してもいいな・・・。こいつ、一度寝たらなかなか起きねーし・・・それくらいじゃ起きねーよな・・・。
 新一は、高鳴る胸を押さえつつ、そっと蘭に近づき、蘭の桜色のかわいい唇に、自分のそれを・・・
 ガチャッ
 突然、ドアが開く音がして新一は飛びのくように蘭から離れた。

「お?新一、起きとったのか。早いのォ」
 と、言いながら阿笠博士が入って来た。新一はちょっとばつが悪そうな、不貞腐れたような顔をして振り向いた。
「・・・なんじゃ、その顔は。昨夜は良く眠れたのかの?」
「いや・・・いろいろ考えてたから・・・」
「ふむ・・・そうじゃな。しかし・・・」
 博士はふと気付いたように、ニマッと笑うと、
「―――新一、何か不埒なことを考えていたんじゃあるまいな?」
「な―――!!」
「お?その顔は図星かの?何しろ好きな女の子と1つ屋根の下というシチュエーションはそうそうないからのォ」
「ば―――!俺はそんな―――!」
 真っ赤になって怒鳴り返す新一。名探偵も形無しである・・・。
「・・・うーん・・・新一ィ・・・?」
 新一の声が大きかったせいか、蘭が目を擦りつつ、体を起こした。
「ら、蘭―――!い、今の聞いて―――!」
「?・・・何のことォ?あ・・・博士、おはようございますゥ」
 博士を見つけた蘭は、かわいらしくニッコリ笑って言った。
「おはよう、蘭君。よく眠れたかの?」
「―――ハイ。すいません、お邪魔しちゃって・・・」
「いやいや、いいんじゃよ。自分のうちだと思って、寛いでおくれ。―――ところで新一、今日はこれからどうするんじゃ?」
「ああ、それなんだけど・・・蘭」
 新一は、真剣な顔をして蘭を見た。
「何?新一」
「今日は、これからのことを話し合おうと思ってたんだけど・・・」
「うん」
「おまえの体がこんなふうになっちまったこと、言っておきたい人間はいるか?」
「言っておきたい、人間・・・?」
「ああ。今のところ、いつ体が元に戻るか分からない状況だ。もちろん学校も休まなきゃなんねェ。当然、周りは変に思うはずだ。そういうことをいろいろ手を回して辻褄が合うようにしておかなきゃならねえだろ?」
「うん・・・」
 蘭は考え込むように下を向いた。
「もちろん、蘭が誰にも知られたくないなら、それでもいいよ。ただ・・・おっちゃんにどういう風に説明するか・・・それがちょっと問題なんだけどな」
「・・・・・」
 蘭はキュッと眉根を寄せて、考え込んでいる。新一と博士は、蘭が何か言うのをじっと待っていた。
 たっぷり1分ほど経ってから、蘭は突然顔をあげ、新一を見た。
「―――新一」
「ん?」
「・・・お母さんに、言っておきたいの」
「へ・・・お母・・・さん?」
 新一は一瞬、その顔を思い浮かべることが出来なかった。それはそうだろう。蘭の母親―――弁護士である妃英理は10年も前に家を出て、別居生活をしているのだ。当然その間、新一は会っていないわけで・・・。
―――どんな人だったっけ・・・?確か、蘭と遊びまわって泥だらけになって帰ると、スッゲー怒られたこととかは覚えてるけど・・・。ヤベ・・・怒られたことしか記憶にねーよ。
「蘭君のお母さんというと・・・弁護士の先生じゃったかな」
 と、博士も思い出したように言った。
「はい。・・・今は月に1回、お父さんに内緒で会ったりするくらいですけど・・・」
「月に1回、会ってたのか?」
「うん。やっぱり会いたいもん。まだ離婚したわけじゃないし」
 と、蘭はちょっと寂しそうに言った。
「そっか・・・。それでお母さんにだけ言いたいってことか?」
「うん。お母さんなら多分、今の状況を判ってくれると思うし、協力してくれると思うの」
「・・・そうだな。おっちゃんに隠しておくにはそのほうが好都合、か」
「学校には、言えないし。友達にも・・・このことに巻き込みたくないし・・・」
 友達思いの、優しい蘭らしい言葉だった。
「お父さんは心配性だし、元刑事の探偵だから、自分で何とかしようと思って危険なことしそうだし」
 蘭は、ちょっと苦笑いして言った。さすがに父親のことを良く分かっている。
「分かった。それなら・・・これから、会えるかな?おばさんに」
「うーん・・・。電話してみるけど・・・お母さん、忙しいから」
 と言いつつ、蘭は母親の妃英理に電話した。
「―――もしもし、お母さん?私、蘭・・・」
「蘭?どうしたの?こんな朝早く」
「うん。ちょっと・・・。ねェ、今日、時間ある?」
「今日?どうして?」
「ちょっと・・・。大事な話があって。ダメ?」
「急に言われてもね・・・。ちょっと待ってね」
 と言って、英理は電話を置いたようだ。今日の予定などを確認しているのだろう。
「・・・お待たせ。そうね、3時から5時・・・までなら何とかなるわ」
「ホント?ゴメンね、えっと、じゃあ・・・」
 蘭がチラッと新一を見る。新一は手振りで“ここで”と伝えた。
「あの、阿笠博士、知ってるでしょう?新一の家の隣に住んでる・・・」
「ああ、あのちょっと変わった人ね」
「う、うん・・・その、博士の家に来て欲しいんだけど・・・」
「あそこに?またどうして?」
「それは、今はちょっと言えないの・・・来てから全部、話すから」
「―――分かったわ。とにかく、3時に阿笠さんのお宅へ行けばいいのね」
「うん。ゴメンね、忙しいのに」
「何言ってんの。あなたがそんな事言うってことは余程の事だもの。大丈夫よ、ちゃんと行くから」
「うん・・・ありがとう」
 母の優しい言葉に思わず涙が溢れてくる。

 ―――電話を切ると、蘭はちょっと目を押さえ、新一と博士のほうに向き直った。
「おばさん、来れるって?」
「うん。3時から5時までなら何とかなるって」
「そっか・・・。じゃあ、それまでどうすっか」
「新一、今日学校あるでしょ?行って来ていいよ」
「え?けど、おまえ・・・」
「わたしなら大丈夫。博士もいるし」
 と言って、蘭はニッコリ笑ってみせた。
「そうじゃな。3時なら学校から少し早めに帰ってくれば間に合うじゃろう」
 と言って、博士も頷いた。
 新一としては、少しでも蘭の側についていたかったのだが・・・蘭がそういうのでは仕方がない。
 
 新一は一度自分の家に戻り、制服に着替え学校へ行く準備をして再び博士の家へ行った。
 博士の家では、博士と蘭が朝食の準備をしているところだった。体が小さくなってやりづらそうではあるが、さすがに家で毎日家事をしていただけあって、てきぱきと動いている。そんな蘭を見ながら、“いい嫁さんになるなあ”などと不謹慎なことを考えている新一だった・・・。


 「じゃあ、行ってくるよ」
 朝食を食べ終わり、玄関へ向かった新一とそれを見送りについてきた蘭。博士は早々に地下の研究室に行ってしまった。
「いってらっしゃい」
 と言ってニッコリ笑う蘭はとってもかわいく、新一は諦めきれずに、
「なァ、やっぱ俺もいたほうが・・・」
 などと言い出した。
「大丈夫だってば。ね、心配しないで行ってきて」
「―――分かったよ。・・・あ、そうだ!」
 と、突然新一が大きな声を出したので、蘭はビックリして目をぱちくりさせる。
「何?急に」
「ちょっと待ってろ!」
 と言うと、新一は自分の家へ走って行き、蘭が呆気にとられている間に、またすぐに戻ってきた。
「どうしたの?」
「これ―――」
 と言って、息を切らしながら新一が差し出したのは、小さな袋・・・。
「?これ、何・・・?」
「昨日、おまえを待たせて買いに行ったもの。本当は昨日のうちに渡すつもりだったのに・・・すっかり忘れちまってた」
 蘭はその袋を受け取ると、丁寧に開けて中のものを手のひらに出した。
「わあ・・・かわいい!これ、わたしが欲しがってた奴ね?」
「ああ」
「新一、覚えてくれてたんだ。興味なさそうにしてたのに・・・」
「・・・つけてやるよ」
 新一は真っ赤になった自分の顔を隠すように蘭の後ろにまわり、ペンダントをつけてやった。蘭は嬉しそうにそのペンダントを見つめている。
「ありがとう、新一。とってもうれしい」
 満面の笑みでそう言われ、ますます赤くなる新一。
「じゃ、じゃあ、俺もう行くから・・・」
「うん。行ってらっしゃい」
 後ろ髪を惹かれつつ、新一は学校への道を歩き出した。蘭は、その姿が見えなくなると家の中に入り、玄関の鍵を閉めた。
 本当はすごく不安だったのだ。こんな体になって、怪しげな組織に狙われ、これから先のことが何も見えない不安に、蘭の小さな胸は押しつぶされそうになっていたのだ。
 でも・・・蘭は胸に揺れる雫型のペンダントを見つめた。

 ―――不思議・・・。なんだかこれをつけてると、新一が側にいてくれるみたい・・・。
 蘭はなんだかうれしくなって、いつも家でそうしてるように博士の家の掃除や洗濯などを始めたのだった・・・。


 新一は結局我慢できずに、昼休みに入るとすぐに学校を後にした。蘭のことが心配で授業どころではなかった。それに、滅多に休まない蘭が学校を休んだので、蘭の親友園子が新一に根掘り葉掘り聞いてくるのに心底閉口し、早々に逃げ出したかったというのもあった。
「ただいま!」
 勢いよくドアを開け、博士の家の中へ入る。ちょうど居間でお昼ご飯を食べていた博士と蘭が、ビックリして新一を見た。
「新一?ずいぶん早いね、どうしたの?」
「どうしたって、そりゃ心配で・・・・って、蘭、その格好・・・」
 新一は蘭を見て目を丸くした。
 蘭は朝まで着ていたトレーナーと半ズボンという格好とは打って変わり、かわいらしいピンクのワンピースを着ていた。襟や裾には白いレースがあしらわれ、椅子にちょこんと座っている姿は、まさにお人形のようだった。
「デパートに、博士と買い物に行って、買ってもらっちゃったの・・・変?」
 恥ずかしそうに頬を赤らめて首を傾げる蘭。ボーっと見惚れていた新一は、蘭の言葉にハッと我に帰り、
「い、いや、変じゃね―よ!すげ―似合ってる!」
「ホント?良かった」
 えへへ、とテレ笑いする蘭。その横で、まるで孫でも見るように目を細めて蘭を見つめる博士・・・。
 なんとなく、新一は面白くない。
「買い物に行くなら、俺も一緒に行ったのに・・・」
「だって、新一は学校あるでしょ?それに、わたしだって朝はそんなつもりなかったし・・・でも博士が」
「どうせ必要になるもんじゃしの。昨日、その下着を借りに行った家で聞いておいたんじゃ。小さい女の子の服を買うのはどこが良いか。そこのお宅にも昨日のお礼に何か買っていこうと思ってたんでな」
「そっか・・・」
「新一、お昼は?何か食べたの?」
「いや」
「じゃ、食べなよ。これ、まだあるから」
 蘭が自分の前のチャーハンを指差す。
「ああ。じゃあ食べるよ。―――あ、いいよ。俺が取ってくるから」
 椅子から降りようとする蘭を手で制し、新一は台所のフライパンに残っていたチャーハンを皿に盛って、席についた。
「これ、博士が作ってくれたのよ」
 と、蘭がニコニコして言う。
「へえ、やるじゃん、博士」
「いやいや、蘭君がやってくれると言ったんじゃが、やはり危ないじゃろう?その小さな体では」
「ごめんなさい、役に立たなくて・・・」
 蘭が申し訳なさそうに言う。
「何をいっとるんじゃ。掃除や洗濯までしてくれて、大いに助かっとるよ。それにわしも孫が出来たようで楽しいんじゃよ」
「・・・ずいぶん、仲良くなったみて―だな」
 と、ちょっと不貞腐れたように新一が言う。
「なんじゃ、新一。やきもちか?」
 博士が二カッと笑って新一を見ると、新一の顔が一気に耳まで赤くなる。
「バッ、何言ってんだよっ」
 一方の蘭も、顔を赤くして俯いている。そんな2人を、博士は笑いながら楽しそうに眺めていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 ちょっと短め。新一、博士に嫉妬するの巻って感じで。会話が多くなってしまいました。
 次回は英理さん登場と、蘭の仮の名前が決まります。

 なつかしいなあ。このシリーズを書くのもとっても楽しかったです。
 また時間があれば、続きを書きたいんだけど・・・

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My Little Girl 3

Category : My Little Girl series(コナン・新ちび蘭)
 予定である3時10分前に、英理がやって来た。さすがに母親だけあって、蘭のことはすぐに気付いてしまった。もちろん驚いていたし、事情を説明しても、すぐには信じることが出来なかったようだが・・・。 
 目の前に小さくなった蘭がいるのは紛れもない事実。
「蘭・・・」
 英理は蘭の前に屈み込むと、娘の体をやさしく抱きしめた。泣き虫な蘭の瞳からはポロポロと涙が流れる。
「お母さん・・・」
「例え、あなたがどんな姿をしていても、わたしの娘には違いないわ。そうでしょう?」
「うん、うん」
 英理は蘭の目をまっすぐに見て、微笑んだ。
「安心なさい。あなたが元の姿に戻れるように、わたしもできる限りの事はするわ」
「うん、ありがとう」
 英理は蘭をソファに座らせると、向かい側のソファに座っている博士と新一を見た。
「それで、これからどうしようと思ってるの?新一君」
「はい。それなんですが・・・とりあえず、学校には本当のことを言うわけにはいかないので・・・」
「そうね。あんまり長く休むとお友達も心配するだろうし。こういうのはどう?海外に留学したことにするの」
「留学・・・」
「そう。とりあえず半年・・・いえ、1年ということにしておいて、その前に戻れたら留学先で事故があったとかいう事にして戻ったら?」
 新一はあごに手をやり、少し考えてから、
「・・・そうですね。蘭、それでいいか?」
「うん」
 蘭はこくんと頷いた。
「細かいことはまた後で決めましょう。それから・・・蘭、このこと、あの人に言うつもりはない?」
 あの人、とは、父、小五郎のことだろう。
「・・・うん。お父さんにはそのうち話そうと思ってる。今はまだ、余計な心配かけたくないの。」
「そう。分かったわ。安心して。あの人のことはわたしが何とかするわ。新一君、任せてくれる?」
「はい、もちろん。お願いします」
 英理に言われ、頷く新一。
 ―――やっぱ、この人苦手だ・・・。有無を言わせねェ雰囲気をもってんだよな・・・。
 などと考えていた新一。しかし、顔には出さないようにして、話を続ける。
「それで、住む所なんですが、とりあえず博士のところにいてもらっていいでしょうか」
「ここに?」
「はい。あの時の奴ら・・・あいつらは人を殺してもなんとも思わないような奴らだ。蘭が目撃した取引のことを考えても裏で相当の悪事を働いているはずだ。そいつらが、もし蘭が生きていると分かったら・・・蘭を放って置くはずがない」
「うん・・・」
 蘭は頷きながら、薬を飲まされたときの恐怖を思い出して青ざめた。英理がそんな蘭をきつく抱き寄せる。
「おそらく、蘭のことはもう調べているはずだ。あの時俺と一緒にいるところも見られているんだから、調べれば蘭が何者かってことも分かっちまう。そうなれば、おっちゃん、おばさん、俺の周りも当然調べるだろう」
「でもそれなら、あなたの家の隣に住んでる博士のことだって調べるんじゃなくて?」
 と、英理が言う。
「―――かもしれません。でも、そこに小さな女の子がいても、すぐに蘭とは結びつかないでしょう。博士と蘭は、今までそれほど交流があったわけじゃない。それに・・・」
 そこで言葉を切ると、新一はチラッと蘭を見た。
「博士の家にいれば、俺が側にいられる・・・守ってやることが出来ます。何か変化があれば、すぐに分かります。だから・・・」
 本当はもっと側に・・・自分の家に置いておきたいところなのだが、幾ら子供の体になっているとはいえ、やはりそれは許してもらえないだろう。
「でも・・・博士は?いきなり蘭と一緒に暮らせ、なんていっても博士の生活があるでしょう?」
「わしは構わんよ」
 と、博士がのんきに言った。
「蘭君は一通りなんでも出来るじゃろう?わしは研究室にいることが多いしの。いろいろやってもらってかえって助かるくらいじゃし・・・それに、なんだか孫ができたみたいで楽しいんじゃよ、ハハハ」
 大口を開けて笑う博士を、新一がチラッと横目で睨む。その光景を見て英理はほっとしたように笑い、
「博士がそうおっしゃるなら・・・。お願いしますわ、蘭のこと」
 と言った。蘭もペコッと頭を下げる。
「よろしくお願いします」
「それで・・・蘭、学校の事だけど」
 と、英理が蘭に向き直った。
「学校・・・?」
「あなたの体・・・多分10年前くらいに戻ってるのね。とすると、今は6歳ってことになるわ。ちょうど小学1年生よ」
「え・・・って、まさか・・・もう1回小学校に行けってこと?」
 蘭が、心なしか顔を引きつらせて言う。
「もちろんよ!こんな小さい子が毎日家にいたらおかしいでしょう?」
「で、でも、家から出ないようにすれば・・・」
「ダメよ!」
 英理がいつになく厳しく、キッと蘭を見て言ったので、蘭は思わず見を竦めた。
 英理はそんな蘭に今度はふわりと優しく微笑みかけ、そっと抱き寄せた。
「・・・蘭、あなた今、すごく不安でしょう?無理しなくてもいいのよ。でもね、ずっと家の中に篭ってたら、それこそその不安に押しつぶされてしまう。博士は研究室にいることが多いだろうし。新一くんだって学校があるわ・・・。あなたを1人ぼっちにしたくないの。分かるでしょう?」
「お母さん・・・」
 蘭は、英理を見上げた。
「わかったわ。わたし、学校に行く」
「ところで、名前なんだけど・・・」
 と、新一が蘭に向かって言った。
「学校へ行くんだったらなおさら、本名のままじゃまずいと思うんだ」
「そうね・・・」
 と、英理がまじめな顔をして頷いた。蘭はちょっと戸惑ったような顔をして、
「でも、なんて名前にしよう・・・?」
「そうだなあ・・・蘭・・・乱歩・・・江戸川・・・ってのは?」
「江戸川ァ?」
 蘭があからさまにいやそうな顔をする。新一は心外、と言う顔をして、言った。
「なんだよ、そのいやそうな顔・・・。じゃ・・・コナン・ドイルの、コナン、とか・・・」
「外国人じゃないのよ?」
「・・・んじゃ、明智小五郎の明智・・・」
 蘭は、ハアッと溜息をついた。
「・・・なんで全部、そういう類の名前なのよ?」
「・・・他に思いつかね―んだよ」
「にしたって、明智じゃすぐ連想できて・・・わたしやあよ。怪人20面相とか言われるの」
「あら、じゃあ浅見は?」
 と、英理が口をはさんだ。
「浅見?」
「ええ。浅見光彦って知らない?」
「知ってる!あのドラマのやつよね」
「ああ、あの探偵気取りのルポライターとか言う・・・」
「わたし、あの人好き!」
 途端にうれしそうな顔をして蘭が言う。新一は、蘭の口から他の男(ドラマの中の人間だが・・・)を好きという言葉を聞いて、ギョッとした。
 ―――す、好きって、そんな・・・
「お、おい、蘭―――」
「決めた!苗字は浅見にするゥ」
 蘭は、新一の様子に気付くことなく、嬉しそうにそう言い切った。
「下の名前はどうするの?」
 と英理。もはや新一抜きで、話は進められていた・・・(泣)。
「下の名前・・・光子・・・じゃなんかなァ・・・」
「そうね。そのまんまだものね」
 と、2人で考え込む。
「V.I.ウォーショースキー・・・」
 新一がボソッと言った。
「は?何それ?」
 と、蘭が怪訝な顔をする。
「ウォーショースキーって・・・確かサラ・パッキーが書いた小説に出てくる探偵ね。本名はヴィクトリア・ウォーショースキー・・・元弁護士で、空手の達人という・・・」
 と英理が言った。
「へえ?わたし知らないけど・・・」
「蘭にぴったりだろ?」
「そうね、確かに。でも、V.I.とかヴィクトリア・・・っていう名前はちょっと・・・」
「・・・新一って、ネーミングセンスないよねェ」
「全くじゃ」
 蘭と博士が頷きあって言うので、新一はブスッとして、黙り込んでしまった。
「あらでも、作者の名前ならいいんじゃないの?“サラ”ってきれいな名前よ」
「そういえばそうね。浅見サラ・・・か。うん、良いかも。サラっていう漢字は後で考えるね」
「じゃ、決まりね。浅見サラで・・・。じゃ、漢字が決まったら連絡頂戴。わたしはそろそろ行くわ」
 と言って、英理は席を立った。蘭や新一、博士も慌てて立ち上がる。
「―――じゃあね、蘭。くれぐれも気をつけて。何かあったらすぐに連絡するのよ」
「うん、ありがと、お母さん。―――お父さんのこと、よろしくね」
「分かってるわ。―――新一君」
「!はい」
 急に名前を呼ばれ、新一の心臓が跳ね上がる。
「蘭のこと、よろしくね。その組織のこと、わたしも調べてみるから・・・何かわかったら知らせてね」
「はい」
「博士・・・ご迷惑をおかけしますけど、どうぞよろしく」
「ああ、任せなさい」
 博士は相変わらずニコニコ笑っていた。じゃあ、と英理が帰り、再び3人になる。
「さて、じゃあ早速蘭君の小学校の転入手続きをしとかなきゃならんな」
「博士、頼めるか?」
「おお、わしの遠い親戚の子で、両親が海外に行くことになった、ということにしておこう。かまわんかな?蘭君」
「はい」
 2人が微笑み合う。傍から見ていると、本当におじいちゃんと孫、という感じだ。
 その後、また博士が地下の研究室に行ってしまうと、新一と蘭は2人で紅茶を飲んだ。
「サラ・・・か。これからは外でそう呼ばなきゃなんね―な」
「ん。・・・あ、わたしも“新一”って呼び捨てじゃおかしいよね。―――新一お兄ちゃん・・・って呼ぶ?」
 その言い方になぜか新一は照れて、
「好きにしろよ」
 と言った。
「―――なァ、蘭」
「ん?」
「さっきはああ言ったけど・・・その・・・もしおまえが不安なら、俺の家に来ても良いんだぞ・・・?」
「え・・・」
 蘭が大きな瞳をさらに大きく見開き、少し顔を赤らめて新一を見る。
「ほ、ほら博士はあの通りだしさ。1人じゃ寂しいだろ・・・?」
 蘭は新一の顔をじっと見つめていたが、やがて新一が見惚れるような笑顔になると、
「ありがと、新一。じゃ、さびしくなったら新一のところに行くね」
 と言った。
「あ、ああ」
「でも、新一も1人じゃ寂しいでしょ?」
「へ?」
「ご飯とか、一緒に食べようよ。こっちで3人分、作るから。―――あ、もし警察に呼び出されたりして一緒に食べれないときは、新一の家の冷蔵庫に入れておくよ。―――行っても、良い?」
「ああ、かまわねーよ。合鍵、作っとくから、好きなときに来いよ」
 と新一は言った。
 ―――こんな状況じゃなかったら、ゼッテ―言えなかったな。ホントは喜んでる場合じゃねーんだけど・・・少しくらい、楽しんだって良いよなァ?
 無邪気にニコニコ笑っている蘭を見つめながら、思わず顔が緩んでくる新一だった・・・。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 一応ここで終わります。次回はちょっとタイトル変えて・・・蘭の小学校転入編なんてやってみようかなあと思ってます。もちろん少年探偵団も出てくる予定です。

 今日はちょっと早め更新。
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学校へ行こう!

Category : My Little Girl series(コナン・新ちび蘭)
 「―――あ、浅見、沙羅です・・・。よろしくお願いしますっ」
 真っ赤な顔で、沙羅―――蘭はペコッと頭を下げた。帝丹小学校の1年生としてやって来た蘭。小さな子供とはいえ、大勢の前に立つのは、やはり緊張してしまうものだ。
 そんな蘭を見て、クラスの子供たちはざわざわと騒ぎ出す。
「かわいー!」
「すげームツカシイ字だなー」
 などといった声が、あちこちで聞こえて来る。
「じゃ、浅見さんの席は、あの1番後ろの開いている席ね」
「あ、はい」
 蘭はとことこと歩いて行くと、言われた席に座り、ホッと息をつく。まだちらちらと自分を見ている視線が痛かったが―――。
「さあ、じゃあこれからみんなで浅見さんに校内を案内してあげましょうか」
 と、担任の女性教師がそういったので、蘭は思わず、
「あ、大丈夫です。知ってますから―――」
 と言いかけて、“まずい!”と思った。蘭はこの小学校の卒業生。知っていて当然なのだが、今、それを口にしたらまずいだろう。
「知ってるって・・・」
 先生が訝しげに蘭を見る。
「あ、いえ、あの・・・と、隣に住んでるお兄さんがこの学校の卒業生で―――聞いてるんです、その―――いろいろと・・・」
「あ、そうなの。それじゃあ・・・」
 と、少々訝りながら、それでも一応先生は納得したようだった・・・。
 蘭は、ホッと息をつくと改めて回りを見回した。当然のことながらみんな小学1年生。
 ―――可愛いなあ・・・。わたしと新一も、昔はこんなだったのよね。なんか懐かしい・・・。
 もう一度小学校へ通うことなど考えたこともなかったので、今自分がこんな姿で、この場所にいることがなんだか信じられなかった。
 1年生は給食が終わると、すぐに下校時間になる。
 蘭はランドセルに教科書をしまい、帰ろうと席を立ったが・・・
「浅見さん!」
 と、女の子が1人寄ってきたのだが、その名前にまだ慣れていない蘭は、そのまま帰ろうとして、
「浅見さんってば!」
 と、腕をつかまれ、ハッとした。
 ―――あ、わたしの事だ。
「あ、ご、ごめんね。ボーっとしてて・・・何?」
 蘭の腕を掴んだその女の子はニコッと笑った。瞳の大きな、なかなか可愛い女の子。黒髪は肩でそろえられ、どことなく、蘭に似ているような・・・。
「あたし、吉田歩美。よろしくね」
「あ、うん、よろしく」
 蘭も、ニッコリ笑う。
「ね、沙羅って字、ムツカシイ字書くんだね。はじめて見たよ」
「う、うん、そう?」
「さらちゃん・・・って呼んでもいいかなあ?」
 歩美が可愛らしく首を傾げる。蘭は思わず笑って、
「もちろん!わたしも、歩美ちゃんって呼んでいい?」
「いいよ。みんなそう呼んでるし」
 ニコニコ笑っている歩美を見て、蘭も微笑んだ。
 ―――可愛い女の子。なんか、妹とか欲しくなっちゃう。
「あれ?歩美ちゃん、何話してるんですか?」
 と、顔を出したのは、まじめそうな、顔にそばかすのある男の子。
「あ、光彦君」
「よお、帰ろうぜ」
 その後ろからぬっと出て来たのは、体の大きな男の子。
「元太くんも。ね、4人で帰ろうよ。さらちゃん、いいでしょ?」
 歩美が嬉しそうに言う。蘭はニッコリ笑って、
「もちろん!」
 と言ったのだった―――。


 「ただいまァ」
 蘭が博士の家のドアを開けた。
「おお、帰ってきたか。お帰りなさい、ら・・・沙羅君・・・」
 出て来た博士が慌てて言い直したのは、蘭の後ろから、3人の子供たちが顔を出したからで・・・。
「あ、博士、ただいま。あのね、同じクラスのお友達。歩美ちゃんと、光彦君と、元太くん・・・。遊びに来てくれたんだけど・・・。上がってもらってもいい?」
「おお、もちろんじゃよ。さあどうぞ。いや、早速友達が出来たのか。良かったのォ」
 博士に促され、3人はリビングに入って行った。蘭はそれを見送ってから、
「ごめんなさい、博士。なんか断りきれなくて・・・。あの子達、すっごく可愛いの」
 まるで、自分の子供のことでも話しているかのような蘭の口調に博士は笑い、
「いいんじゃよ。ここは蘭君の家でもあるんじゃから。これからも、どんどん友達を連れてきなさい。―――わしも、これからは沙羅君と呼ぶようにしなきゃならんのォ」
「ふふ・・・。ありがとう、博士」
 蘭は安心したように笑い、自分もリビングに行き、3人に加わった。
「さて、ジュースがあったかのォ」
 といいながら博士は、キッチンへ向かったのだった。


 新一はその日、学校が終わると急いで帰ってきた。今日1日、蘭のことが気になって仕方なかったのだ。今日は、蘭の転校初日だ。あいつ、大丈夫だったかな・・・。
 新一は自分の家には帰らずに、真っ直ぐに博士の家に向かった。勝手知ったるなんとかで、持っていた鍵でドアを開け、中に入る。――― 
 と、中から子供たちの声が聞こえてきた。
「?」
 不思議に思いつつ、リビングに入ってみると―――
「あ、新一―――お兄ちゃん、お帰りなさい」
 と、先に気付いた蘭がいうと、他の3人がほぼ同時に顔を上げた。
「え、さらちゃんのお兄さん?」
「へェ、オメエ兄ちゃんがいたのか」
「ちがいますよ。隣に住んでるお兄さん、でしょう?」
 次々に口を開く3人に、ちょっと苦笑いしながら蘭が口を開く。
「うん、そう。隣に住んでる、工藤新一・・・お兄さん。―――お兄ちゃん、わたしの新しいお友達・・・歩美ちゃん、光彦君、元太君よ」
 そう言われて、呆気にとられていた新一がはっと我に帰る。
「あ、ああ、こんにちは・・・」
「こんにちは――!!」
 元気一杯の3人に、気押され気味の新一・・・。早々に少し離れてその様子を見ていた博士の元へと逃げてしまった。
「―――なんでいきなり・・・」
「ま、良いじゃないか。蘭君は友達が出来て、嬉しそうじゃぞ?」
「―――っつーより、妹と弟が出来たみたいで喜んでんじゃねーか?あいつも一人っ子だし」
「かも知れんな」
 なんにしろ良いことじゃと目を細める博士。新一は、子供たちの中で何の違和感もなく、自然に溶け込み遊んでいる蘭を見た。
 歩美となにやら楽しそうにおしゃべりし、元太の取る行動を笑い、光彦の話に耳を傾け、目をぱちくりさせたり、笑ったり・・・。ころころ変わるその表情が可愛くて、見惚れていたが・・・その表情は、なぜかだんだんと険しくなって行った。 
 それに気付いた博士が、声をかける。
「なんじゃ、新一。不機嫌そうな顔をして」
「―――べつにっ、んな顔してね―よ」
 だがそんな言葉とは裏腹に、その表情はどんどん不機嫌になっていき・・・
「―――あいつ、何であんなに楽しそうなんだよ?」
 ボソッと呟く新一。博士が、ん?と新一の顔を見る。
「俺がいること、忘れてんじゃね―のか?あの光彦ってガキも、やたら蘭に話し掛けやがって―――。蘭が笑うと、顔赤くしたりしてよォ、ガキのくせに・・・。元太ってガキなんか、馴れ馴れしく“さら”って呼び捨てにしやがって・・・。あいつら調子に乗りすぎだぜ」
 ぶつぶつ文句を言いつづける新一を、ビックリしたように博士は見ていたが・・・
「んだよ!?」
 その視線に気付いた新一の声に、耐え切れなくなったかのように・・・
「ブワ―――ッハッハッハッハッ」
 と、笑い始めたのだった。突然の笑い声に、子供たちも皆、驚いて博士を見る。
「は、博士?」
 大きな瞳を、さらに見開く蘭。
「ど、どうしたんですか?」
 と言ったのは、光彦。
「おい・・・博士・・・」
 さすがに、博士の笑い出した原因に見当がついた新一が、ばつの悪そうな顔をして、博士を見る。
「ファッハッハッ」
「おい・・・笑い過ぎだって・・・」
「い、いや、すまん、つい・・・くくく」
 目に涙を浮かべつつ、笑いを堪える博士。
 子供たちは、そんな博士を不思議に思いつつも、また遊びに戻る。新一は、まだ微かに肩を震わせている博士を横目で睨んだ。
「おい・・・博士・・・」
「す、すまん、思わず・・・。しかし、名探偵も蘭君の前じゃと形無しじゃのォ」
「うっせーよ・・・」
「しかし相手は子供じゃぞ?蘭君はそれこそ、彼らのお姉さんのような気持ちで遊んでやってるんじゃろうから、心配は無用じゃと思うがの?」
「―――んなこと、分かってるよ。別に、本気で心配してるわけじゃね―さ・・・」
 と新一は言ったが、やはりその顔を不機嫌で・・・。


 3人が帰ってから、新一と蘭はようやくゆっくり話すことが出来た。
「ね、あの子達可愛いでしょう?歩美ちゃんはね、すっごく素直で優しい子なの。好奇心一杯って感じでね。あ、新一のこと”かっこいいお兄さんだね”って言ってたよ。元太君は、やることは乱暴だけどホントは優しいのよ。光彦君はとっても物知り。まじめでね・・・フフフ」
 3人のことを話しながら、急に含み笑いをはじめた蘭を、新一が訝しげに見る。
「なんだよ?急に・・・」
「うふ。光彦君ね、歩美ちゃんのことが好きみたいなのよ」
「へえ?」
「元太君も、そうだと思うけど。歩美ちゃんて可愛いし、優しいし人気がありそうだから大変ね、2人とも」
 と、のんきに笑う蘭。
 ―――オメエも多分、そうなるぜ?
 と新一は、密かに思ったりしていたのだった・・・。
「蘭君」
 地下に行っていた博士が、いつのまにか戻ってきて蘭に声をかけた。
「あ、博士」
「ちょっとこれを使ってみてくれんかの?」
 と言って博士が差し出したのは、赤いリボンのついたブローチで・・・
「?これ・・・裏に何かついてますよ?」
 リボンの裏を見ると、何かダイヤルのようなものがついていた。
「それはな、ブローチ型変声機なんじゃよ」
「ブローチ型・・・」
「変声機・・・?」
 蘭と新一が、眼をぱちくりさせながら博士を見る。博士は得意そうに笑い、
「そうじゃ。そのダイヤルを調節してな、どんな声でも出せるんじゃ。その丸いのがマイクになっとる」
「へ、へえ・・・」
「りぼんは取り外し可能じゃから、他のものをつけてブローチにすることもできる」
「・・・で、何に使うんだよ?これ」
「いやァ、蘭君もたまにはお父さんと話したり、友達と話したりしたいんじゃないかと思ってのォ」
「え・・・」
 蘭が、目を見開いて、博士を見る。
「幾ら女の子で変声期がないと言っても、子供の声じゃ、いつ怪しまれるかわからんじゃろう」
「で、これか?けど、それなら別に、他の声はいらないんじゃ―――」
「わしも最初はそう思ったんじゃが、これから何があるか分からんじゃろう?もしかしたら、何かの役に立つかも知れんじゃないか」
 蘭は、そのブローチを自分の胸につけてみた。
「蘭君には赤い色が似合うからのォ。今日のその紺のワンピースにも良くあっとるし。どうじゃ?」
「うん、可愛い。博士、ありがとう、すっごく嬉しい」
 満面の笑みを浮かべ、博士を見る蘭。満足そうに頷く博士・・・と、ソレをつまらなそうに見る新一・・・。
「―――じゃ、早速電話してみようかな・・・。お父さんと・・・それから園子に」
 そう言うと、蘭は電話に駆け寄った。
 蘭は今、留学の準備のために、母親の英理のところにいることになっていた。
 蘭が電話で話し始めるのを見て、新一はボソッと呟いた。
「本当は、会いたい、だろうな」
「そうじゃな・・・。しかしあの姿ではのォ・・・」
 2人で小さな蘭の後姿を見つめる。ブローチを使い、16歳の蘭の声で電話している姿は、どこか痛々しくもあり・・・。
「―――早く、戻してやんなきゃな・・・」
「うむ。わしもがんばって、薬の研究をしてみるとしよう」
「ああ、頼むよ。俺は―――ゼッテ―あの黒ずくめの奴らを探し出して、刑務所にぶち込んでやるっ―――見てろよ」
 新一の胸に、また静かな怒りの炎が燃え上がっていた・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 どうでしょう?新一の場合は、「小学生なんて!」とすごく嫌がってる感じだったけど、蘭ちゃんだったら、こんな感じなんじゃないかとおもって、作ってみました。そして、またジェラ新です。
 本当はオリジナルキャラとか出そうかと思ってたんですけど、それはやめておきました。
 次回はいよいよ宮野明美の登場予定です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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そして闇の中へ 1

Category : My Little Girl series(コナン・新ちび蘭)
「強盗に誘拐に、殺人、か・・・。ったく事件が絶えねーな―」
 新聞を見ながら、新一が言った。
 博士の家、蘭と二人でコーヒーを飲みながら寛ぐ時間。最近は前よりも蘭と一緒にいられる時間が増えたことを、密かに喜んでいたりする新一。
 ―――やべえなァ、あの黒ずくめのやつらのことを早く調べなきゃなんね―のに・・・。
 とは思うものの、蘭の笑顔を見ていると、つい顔が綻んでしまうのだった。
 とそこへ、
「まー、だからこそ君の推理が役にたっとるんじゃないか」
 と言いながら入って来たのは阿笠博士。今まで地下の研究室にいたのだ。
「ホレ、完成したぞ!ワシが発明した犯人追跡用めがねじゃ!」
「めがねェ?俺めがねなんてかけね―ぜ?」
 と、怪訝な顔をして新一が言う。
「まあまあ、必要なときだけかければ良いんじゃ。―――横のボタンを押してみい」
 言われた通り、めがねの横についているボタンを押すと、“キュイイイン”という音とともに、片方のレンズにレーダーが写った。
「おっすげー!」
 思わず新一は感嘆の声をあげた。蘭も目を見開き、感心したように見ている。
「この点滅してるのは?」
「近所の野良猫にこれと同じ発信機をつけたんじゃ」
 と言って博士は、手に持った小さな丸いものを見せた。
「その位置じゃと、2キロ東のゴミ捨て場にいるな。―――この発信機をつけておくと、半径20キロ以内ならどこにいても居場所が割り出せる。これはシールになっておるから、普段はボタンなんかにくっつけておけば良い」
「へェ、なるほどな」
「すごーい、博士天才!!」
 蘭がニコニコしながら言うと、博士の顔も一気に緩む。
「いやいや・・・」
 ニヤニヤする博士をチロッと睨みつつ、新一は席を立った。
「ありがとな、博士。あ、この発信機、もう1つ作っといてくれな?」
「ん?おお、良いが。どうするんじゃ?」
「1つは蘭に持たせる。俺がいねー間に何かあったら困るからな」
 と言って、蘭に笑いかけると蘭も嬉しそうに微笑む。
「新一、帰るの?」
「ああ、実はこれから依頼者が来ることになってんだ。―――蘭も来るか?」
「え、良いの?」
「ん。お茶とか、用意してくんねーか?」
「うん!」
 蘭は嬉しそうに頷き、新一と一緒に玄関に向かった。

 蘭が小さくなってしまってから、新一はとにかく蘭と一緒にいたがる。蘭の身が心配というのが大半の理由だが、それを建前に蘭と一緒にいられるのが嬉しいから、というのもあるようだった。


 「お願いします、探偵さん!わたしの父を探してください!!」
「は・・・はい・・・」
 その依頼者、広田雅美は開口一番、新一にそう言った。
 おさげ髪にめがね、といういかにも田舎から出てきたばかりという感じの素朴な少女は、目に涙を溜めながら新一に訴えた。
「東京に出稼ぎにきてた父がこの1ヶ月間行方不明なんです・・・。働いていたタクシー会社も辞めてしまっていて・・・警察にも探してもらったんですが、全然見つからなくて・・・」
「それで僕の所へ?」
「はい・・・高校を休んで、山形から探しに出て来たんです。もう探偵さんしか頼む人がいないんです!」
「・・・分かりました。で、お父さんの写真なんかはお持ちですか?」
 新一が聞くと、雅美はポケットから1枚の写真を出して新一に見せた。
「これが父の広田健三です。身長は170cm、年齢は40歳です・・・」
「この猫は?」
 と新一は、写真の中で広田が抱いている黒い猫を見て言った。
「それは父が飼っている猫で、名前は“カイ”です」
「カイ?」
「父は猫好きで、他にも“テイ”“ゴウ”“オウ”の3匹を飼っています」
「なるほど・・・猫と暮らしていたわけですね」
 蘭は、新一が雅美と話している間に、お茶を入れていた。お盆にお茶を乗せ、雅美の所へ運ぶ。
「どうぞ」
「あ・・・ありがとう」
 雅美は蘭を見ると、何か懐かしむような眼をして、微笑んだ。
「・・・可愛いわね。工藤さんの妹さん?」
「あ、ううん。わたしは隣に住んでて・・・お兄ちゃんの家には、時々遊びに来てるの」
 と、蘭は子供らしく言った。最近は大分子供の振りも板についてきた。
「そう・・・」
 ―――?この人・・・
 蘭は、なんとなく雅美に違和感のようなものを感じていた・・・。
「小さいころに母を亡くして・・・父はわたしのたった1人の身寄りなんです・・・。もし父の身に何かあったら、わたし・・・わたし・・・う、うっ・・・」
 大粒の涙を流し、顔を伏せる雅美。
「だ・・・大丈夫だよ!雅美さん!」
 蘭の声に、雅美は顔を上げた。
「新一お兄ちゃん、名探偵だもん!きっと見つかるよ!」
 雅美は、蘭を優しい目で見つめ、ふっと微笑んだ。
「・・・ありがとう」


 それから1週間、新一は広田健三を探しつづけた。広田が勤めていたタクシー会社、ペットショップ、飲み屋など、思いつく限りの捜索をしたが、すぐに見つかるだろうという予想に反し、広田はなかなか見つからなかった。
「ええ、まだ・・・すいません。必ず見つけますんで・・・じゃあ・・・」
 新一が電話を切ると、側にいた蘭が心配そうに新一を見た。
「また雅美さん?」
「ああ・・・今日だけで2度目だ・・・クソッ、付き合いの悪い男だったらしくて仕事場でも誰も行方を知らねーし、娘がいたことさえ話さなかったみて―なんだ」
「そう・・・」
「もう1週間もたつってのによー」
 頭を掻き毟る新一。高校生名探偵として有名になり、様々な依頼が舞い込むようにはなったが、人探しというと殺人事件の捜査とはまた違った難しさがあるようだった。
 何とか新一の役に立ちたいと思っている蘭だが、どうして良いか分からず・・・と、そのとき点けっ放しにしていたテレビから競馬の実況中継の声が聞こえてきた。
『お―――っとその差は4馬身から5馬身!!ぶっちぎりだ――!!』
 蘭がテレビを見ると、1頭の馬が後続の馬に大差をつけてゴールするところだった。実況のアナウンサーが興奮した声で告げる。
『ゴーカイテイオー、G1、5連勝―――!!』
 ―――ゴーカイ・・・テイオー・・・?この名前って・・・!そうだ、広田さんの飼ってた猫の名前、確か・・・
 蘭は電話の横においてあったメモ用紙とボールペンをとると、テーブルの上で文字を書き出した。
「蘭?どうしたんだ?」
 新一が不思議に思って、蘭の手元を覗き込む。
 ―――「カイ」・・・「テイ」・・・「ゴウ」・・・「オウ」・・・これを並べ替えると・・・
「ゴウカイ・・・テイオウ・・・?」
「そうよ!今テレビで言ってた馬の名前!広田さんってきっと競馬が好きだったのよ!だから自分の猫に馬の名前をつけたのよ!」
 勢い込んで言う蘭に、新一はメモを見ながら、
「うーん・・・そうかも知れねえけど・・・」
 と、首を捻る。
「ね?だから!きっと競馬場にいるよ!行ってみよう!」
「へ?・・・って今からか?」
「もちろん!今テレビで流れてたVTRの馬・・・ゴーカイテイオーって、今日の3時半からやるメインレースに出るみたい。今、1時でしょ?今から行けば間に合うよ!」
 ・・・というわけで、なぜか博士も一緒に3人で競馬場へと向かったのだった・・・。


 競馬場についたのは3時10分。後20分でメインレースが始まるとあって、場内はたくさんの人でごった返していた。馬券売り場にはたくさんの人が並び、オッズやパドックの様子を伝えるモニターテレビの前にもたくさんの人だかりがしていた。この中で一人の人間を探すというのは至難の業に思えたが・・・。
「わーっ、わたし競馬場なんてはじめて―!!すごーい!!」
 と、蘭は目を輝かせている。
 ―――ったく、のんきなやつ・・・。
 新一は半ば呆れた様子で蘭を見た。そんな蘭にチラッと視線を投げる人間も結構いて・・・
「おっ、可愛いなあ。お嬢ちゃん馬が好きなの?」
 なんて声をかけていくのもいて、そのたびに新一は鋭い視線を投げて牽制するのだった・・・。
「早く雅美さんのお父さんを見つけなきゃ!」
 と言ってきょろきょろ周りを見回す蘭に対し、博士と新一は
「しかし、この人ごみじゃのォ・・・」
「ああ、そう簡単には・・・」
 といったとき・・・
「あ―――!!」
 と、蘭が大声を出した。
「「え?」」
 と、博士と新一が同時に振り向く。と、蘭の視線の先には―――

 ―――いた―――っ!!

 信じられないことに、本当にあの写真で見た広田健三その人が競馬新聞を見ながら歩いていたのだった―――。
「ねっ見て見て!わたしって名探偵!!」
 と、はしゃぐ蘭。
 ―――んな馬鹿な・・・。
 思わず自分の目を疑う新一だった・・・。


 その後3人は広田の後をつけ、彼の住んでいるアパートを確認してから一度新一の家に戻り、雅美に連絡をした。
 雅美は“すぐに行きます!”と言っていた言葉どおり、30分ぐらいで新一の家にやって来た。


「ありがとうございます、探偵さん!!父を見つけていただいて!」
 息を切らしながら礼を言う雅美に、少々呆気に取られながらも、
「あ、いえ・・・」
 と応える新一。
「しかし早いですね。ついさっき連絡したばかりなのに」
「嬉しくて飛んできたんです!それで父は今どこに?」
「練馬区の、アパートに・・・」
 と言いつつ身支度を整えながら、新一は何か妙な気がしていた。
 ―――あれ?彼女・・・こないだとずいぶん雰囲気が違うな。服装が大人っぽくなってるし、化粧もしてる・・・。

 疑問に思いつつも、それは表には出さず身支度を終えると、雅美、蘭とともに家を出た。
 本当は蘭は置いて行こうかと思ったのだが、博士が出かけてしまい、1人で留守番をさせるのは心配なので連れて行くことにしたのだ。

 広田のアパートにつき、ちょうど出てきた雅美と広田が対面する。
 広田は雅美の顔を見るなり手に持っていたゴミ袋を落とし、驚きに目を見開いた。
「ずっと・・・ずっと探してたのよ・・・お父さん!!」
 雅美は広田に抱きつき、泣き崩れた。それは、感動的な親子再会の場面のように見えたが―――
 なぜか、新一はその光景に違和感を覚えた。なぜだかは分からない。強いて言うなら探偵の勘、だとでも言うべきか・・・。 
 が、その理由は結局分からず、雅美に挨拶をすると、2人はその場を後にした。


「良かったね。雅美さん、お父さんが見つかって」
 蘭が無邪気に笑って新一を見る。新一は、
「ん・・・」
 と言ったきり、顎に手をやり考え込んでいた。
「新一・・・?」
 蘭は不思議そうに首を傾げたが・・・。ふと視線を感じ、後ろを振り向いた。それに気付いた新一も、後ろを振り返る。
 と、サングラスにくたびれたコートといういでたちの体格の良い男が、電柱の陰からこちらを伺っていた。が、2人が男を見ると、サッと背を向け、行ってしまったのだ・・・。
「・・・んだ?あいつ・・・」
 
 

 新一と蘭はまだ知らなかった。この日、広田健三が命を落とすことになるのを・・・。
 そして、事件がそれだけでは終わらないことを・・・。




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 何とかここまで終わりました~。やっぱり難しいですね。なるべく明るい話に持っていきたかったんですけど・・・。ここまでは原作に忠実に進めてみました。これからは微妙に・・・変わっていくはずなんですけど・・・。どうなることやら・・・。
 競馬場での描写には妙に力が入ってしまいました。ただ、未成年が入場できたかどうかちょっとわからなかったので、博士を連れてっちゃいました。子供連れで行ったことは何度もあるんですけどね・・・。
 と言うわけで、今回はこれにて♪

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