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*このブログは名探偵コナン・ごくせん・花より男子・君に届け&ゲーム(ラブレボ・新撰組など)の二次小説のブログになります。
*このブログは管理人個人によるファンサイトです。 原作者や出版社等とは何の関連もありません。
*あくまでも管理人の二次世界の小説ですので、人によってはイメージに大幅なずれがある場合もございますのでご注意ください。
*閲覧については自身の責任においてお願いいたします。
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*万が一このブログをお読みになって不快感を感じられたとしても責任は負いかねますのでご了承ください。

ブランコ vol.44 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
 西門さんの口から美作さんの名前が出たとき、ドキッとしてしまった。
 やっぱり、聞いてるのかな・・・・・

「ここで良いか?」
 西門さんの声に、はっと顔を上げる。
 いつの間にかあたしたちは、この間西門さんが連れて来てくれたイタリアンレストランについていた。
「あ・・・うん。あたしは、どこでも・・・・」
「じゃ、入ろうぜ」
 そう言って西門さんは先に立って店に入っていく。
 あたしは慌ててその後についていった・・・・・。


 「・・・・あきらに、聞いた」
 食事を終えるころ、飲み物がテーブルに置かれるのを待って西門さんがそう切り出した。
「・・・・・そ、う」
 どういって良いかわからない。
「お前は、あきらのことどう思ってんの」
「ど、どうって・・・・・。友達、だと思ってるけど・・・・・」
「男としては?」
「・・・・・正直言って、よくわからないよ。今までずっと友達だと思ってたし・・・・・。美作さんは優しいし、頼りになるし、頭も良いし、一緒にいて楽しいと思う。だけど・・・・それは男としてっていうのとはちょっと違うでしょう?ただ・・・・・」
「ただ?」
「・・・・・今回のことで、気まずくなったり、会えなくなったりするのはやだなって思う。あたしのわがままかもしれないけど・・・・美作さんとはずっと、友達でいたい。いつも頼ってばっかりだけど・・・・迷惑もかけてると思うけど・・・・でもずっと、傍にいて欲しい」
「・・・・・・牧野・・・・・」
 西門さんの声に、はっとする。
 うあ、あたしってば何言ってんだろ!
「あ、い、今の美作さんには内緒ね。都合よすぎるよね、そんなの。ずっとだなんて、美作さんだっていつかは結婚だってするだろうし仕事だってあるのに」
「いや・・・・あいつがそれ聞いたら喜ぶだろうけどさ・・・・。ふ~ん、そっか・・・・・」
「え?喜ぶ?ってか、そっかって、何?」
 西門さんの、何か含んだような表情が気になる。
「・・・・・お前にとってのあきらの位置が、よくわかった」
「い、位置って・・・・・」
「結局のところ、あきらのことを男として見れたとしても、恋人になることはない、ってことだろ?」
 はっきりと言葉にされ、あたしは一瞬息を呑む。
 でも・・・・・
「うん・・・・・」
 あたしはゆっくり頷いた。
「美作さんの気持ちは、うれしいの。本当に・・・・・だけど、あたしはやっぱり―――」
 そのとき、あたしの言葉を遮るように西門さんの大きな掌が目の前に現れた。
「ちょっと待った。その先、言う前に俺の話を聞いてくれるか?」
「へ・・・・・?」
 あたしが目をぱちくりさせていると、西門さんは軽く溜息をついた。
「あのな、人が真剣に話そうって時に、そういう間抜けな声だすなっつーの」
「あ、ご、ごめん」
 あたしは思わず頭をかいた。
 そして改めて話を聞こうと、西門さんのほうを見ると―――

 本当に真剣な、今までに見たことのない表情をした西門さんと目が合った。

 「あ、の・・・・・」
「単刀直入に言う。俺は、お前が、好きだ」

 頭が、真っ白になった。
 今、この人、なんて言った・・・・・?

「言っとくけど、本気だから」
「うそ・・・・・・」
「嘘じゃねえよ」
「だって・・・・・ありえない、そんなの・・・・・大体、西門さんには彼女がたくさん・・・・」
「別れた。全部」
「は!?」
「お前、気付かなかった?俺が最近全然遊んでないの。今まで付き合ってた女とは、全部切れたよ。お前に惚れちまったら、何人もの女と付き合うなんて余裕、なくなる」
 そう言って、西門さんは軽く笑った。
 あたしは、開いた口が塞がらない。
 だって、あの西門さんだよ?
 プレイボーイで、真剣な恋愛なんて面倒くさがってた・・・・・
 その人が、あたしを好き・・・・・・・?
 そんなの、信じられるわけ、ない・・・・・・・
 でも・・・・・
「何で惚れたか、なんて聞くなよ?俺にもわからねえんだから。ただ、気づいたらどうしようもなく好きになってた。お前が類とくっついて・・・・・お前の口から類のこと聞くたんび、2人が一緒のところを見るたんびに俺がどんだけ嫉妬してたかしらねえだろ」
「し・・・らないよ・・・・嫉妬って、そんな・・・・・」
「してたよ。あきらにもしてた。昨日のこと聞いて・・・はらわたが煮えくり返るかと思った」
 次々と、西門さんとは思えないようなことを言うから、あたしの頭の中はパニックだ。
 いつもどこか冷めてるような、恋愛をバカにしているような感のあった西門さん。
 だけど今目の前にいる西門さんは、見たことのない熱い眼差しをあたしに向けていた。
 その目があまりにも真剣で、あたしは動くことが出来なくなってしまった・・・・・。

 「さっきと同じ質問、していいか?・・・・・俺のことは、どう思ってる?」
 しばらくの沈黙の後、西門さんがあたしを見つめたままそう言った。
「正直に言えよ。俺も伊達にいろんな女と付き合ってねえから、お前の言ってることが本当かどうかくらい見抜く力はある」
「・・・・・・わかってる。うそなんて、つかないよ」
「だろうな」
 そう言って、西門さんがやさしく笑ってくれたから。
 少しだけ、気持ちが楽になったような気がした。

 「あたしにとって、西門さんは、友達だよ」
 西門さんは、黙って聞いていた。
「友達、って言葉だけで片付けるのはもったいないくらい、大切な友達だと思ってる。あたしのいいとこも悪いとこも全部知ってて、それをちゃんとあたしに伝えてくれる。注意してくれる。あたし、今まで西門さんにいっぱい助けてもらったと思ってる。まさか・・・・あたしのことを好きでいてくれたなんて、思いもしなかったけど・・・・すごく、うれしいよ。本当に・・・・・美作さんといい、西門さんといい、何であたし・・・・・?もったいなさ過ぎ・・・・・信じられないよ・・・・・」
 知らないうちに、あたしの目には涙が浮かんでいた。
「・・・・・泣くなよ・・・・・・」
 西門さんは優しい声でそう言うと、指であたしの涙を拭ってくれた。
「・・・・・泣いてないもん。汗だよ、ただの」
 あたしの言葉に、西門さんがくっと笑う。
「かわいくねえ女」
「・・・・・・ごめん」
「・・・・・謝るな」
「・・・・・あたし、やっぱり、類が・・・・・・・」
 そう言い掛けたあたしの口に、西門さんのきれいな指が触れる。
「今は、その先言わないでくれ。わかってるから・・・・・わかってるけど、今聞くのは堪える」
「・・・・・・・・」
「今日は、帰るんだろ?花沢の家に」
「うん・・・・・」
「静のこと、ちゃんとはっきりさせとけよ。それから・・・・お前の思ってることも、全部ぶちまけて来い。それでもしまた泣きたくなったら・・・・・俺のとこに来い。いつでも拾ってやっから」
 そう言って西門さんは、いつものようににやりと笑った。
 あたしは、涙を拭いながら、笑って言ってやった。
「美作さんのとこでもいい?」
 西門さんは半目になり、あたしのおでこをピンとはじく。
「アホ。言っとくけどあきらにだけはお前を譲るつもりねえからな。ま、類にも譲りたくねえんだけど・・・・お前の気持ちは尊重してやるよ」
 最後にはそう言って笑ってくれるから・・・・・
 あたしは、漸く気付いた。

 この人は、こうやっていつもあたしを守ってくれてたんだ・・・・・。
 冗談を言ったり、怒ってくれたり・・・・・
 あたしをいろんなものから守る為、あたしが気付かないような方法で・・・・・。
 本当は涙が止まらなくなりそうだった。
 西門さんの大きな愛に。
 それに気付かなかった自分の不甲斐無さに。
 でも泣いてしまったら、また西門さんはあたしを守ろうとしてくれるだろうから。
 だから、泣かない。

 類に会わなきゃ。
 会ってちゃんとあたしの気持ちを伝えなきゃ。
 美作さんと、西門さんの気持ちが、あたしに勇気をくれたみたいだった。
 きっと、今なら何でもできる。
 そんな気分。

 そうしてあたしは、西門さんと別れた後、真っ直ぐに花沢の家に向かった・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 さて、漸く次回、類くん登場です。
 いえ、マジで。「ブランコ」は類つくです。
 最後はハッピーエンドです、間違いなく・・・・(^^;)

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ブランコ vol.43 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -soujirou-
 「これから飲みにいかねえか」
 そうあきらから電話があって、出かけたのは夜の9時過ぎ。
 馴染みのクラブではなく、初めて行くバーだった。
 中は暗くて、あきらの顔色はよくわからなかったが、もう結構酔っているみたいに見えた。
「なんだよ、珍しいな。1人で飲んでたのか?」
「ん・・・飲みたい気分だったんだ。俺の話を聞いたら、お前もそう思うぜ」
「・・・・・どういう意味だ?牧野のことか?」
「・・・・・・牧野に、告白した」
「な・・・・・!!」
 俺は驚いてあきらの顔をまじまじと見た。
 どう見ても冗談を言っている様子じゃなかった。
「・・・・・話せよ。何があったのか」
 俺の言葉にあきらは力なく笑うと、溜息をついてから話し始めた・・・・・。


 「言うつもりはなかったんだ。こんなタイミングで・・・・・けど、あいつの涙見てたら・・・・止まらなかった。これ以上、類の傍に置いておきたくなかった。自分の傍において、ずっと守ってやりたい。そう思っちまったら・・・・知らないうちに言葉にしてた」
「ふん・・・・。しかし、静が帰国してたとはな・・・。類のやつ、何で牧野に黙ってたんだ?」
「知るかよ。あいつの話はしたくねえ。どんな理由があろうが類が牧野を泣かしたことは事実だ」
「・・・・・・それほど類のことを想ってるってことだろ。あきら、飲みすぎだぜ」
「お前はずいぶん冷静だな」
「・・・・・・・・」
 ―――冷静?俺が?冗談じゃねえ。
「俺は今、類よりもお前を殴ってやりたい気分だよ」
 そう言うと、あきらは今日初めて俺のほうを見た。
「・・・・・・抜け駆けしたから?」
「それもある。あきら、お前言ったよな。牧野を守りたいって。けどお前がやってることはなんだよ。類のことで傷ついてる牧野に告白なんかして、あいつがどう思うか・・・・今までお前の想いに気付かなかったことで自分を責めるのは目に見えてんじゃねえか」
 あきらはまた、俺から視線を逸らせた。
「それに、あいつが今弱ってることもわかってるだろ。その弱ってるとこにつけ込むつもりかよ?」
「んなつもりはねえよ・・・・。結果的に告っちまったけど、そんなつもりはなかったんだ。あいつの性格は俺だってわかってる。今頃きっと悩んでるかと思うと・・・飲まなきゃやってらんねえ」
「・・・・・牧野は、どこに?まさかあのうちには戻ってないんだろ?」
「・・・・たぶん、優紀ちゃんのところだよ」
「ああ、そうか・・・・・」
「・・・・・悪かったな、抜け駆けして」
 酒は回ってる筈なのに、ちっとも酔えない。
 そんな顔して落ち込むあきらを見て、俺は溜息をついた。
「・・・・らしくねえこと言うなよ。たぶん、俺が同じ立場でも同じようなことしてたと思うしよ。それよりも類だ。あいつは何で牧野を追ってこなかった?まさか、静と寄りを戻したってこともないだろう」
 俺の言葉に、あきらは肩を竦めた。
「さあな」
 その一言だけ言うと、目の前の酒を飲む。
 それ以上この話をするつもりはないってことか・・・・・。

 あきらの気持ちはわからないでもなかった。
 さっきあきらに言ったとおり、俺がその場にいたらやっぱり同じことをしていたかもしれないと思った。
 だけど・・・・・
 実際には俺は蚊帳の外だったわけだから、おもしろくはない。
 牧野の傍にいて。
 傷ついた牧野を慰めて。
 牧野を抱きしめていたのは、全部あきらだ。
 
 こんなことなら、俺も昨日のうちに告っときゃよかった・・・・
 なんて、そんなことしたら牧野を余計に悩ませるだけか。

 ついそんなことを考えて、溜息をつく。
 すると、あきらが俺を見てにやりと笑った。
「・・・・こんなことなら、俺も告っときゃよかった・・・とか思ってんだろ?」
「・・・・人の心勝手に読むな」
「・・・・良いぜ、告っても」
「ああ?何言ってんだよ、あきら。そんなことしたら牧野が・・・・・」
「悩むなら、いっぺんに悩んだ方が後で楽じゃねえ?」
 酔ってるせいか、あきらが変な理屈を語り始める。
「あいつは・・・・・ちゃんとわかってるよ」
「え?」
「それとも総二郎は、あいつがそん時の情に流されて簡単に類と別れたり、俺と付き合ったりするような女だと思うか?」
「・・・・・・・いや。おもわねえな」
 高校生のころ、牧野が司と付き合う以前のことを思い出す。
 あんだけいろんなことがあって。
 司の想いも全てわかってたくせに、なかなか司と付き合う決心がつかなかった牧野。
 そうだ。
 あいつは、そんときだけの中途半端な気持ちで、簡単に物事を決めるやつじゃない。
 慎重すぎるくらい慎重で・・・・なのに、そいつへの気持ちが100パーセントになった途端、一気に突き進む。
 そんなやつなんだ・・・・・

 「そっか・・・・そうだよな・・・・・。類への気持ちが100パーセントだって言うなら、俺らがどんなにあいつに好きだっつったって、揺れ動いたりしない・・・・そういうやつだよな」
「そういうことだ」
 俺は、あきらと顔を見合わせると、同時に笑った。
「余計な心配しちまった。そんだったらさっさと口説いときゃよかったぜ」
「アホ。あいつを悩ますことに変わりはねえだろうが」
「そうやって真剣に悩んで、もし牧野が類以外のやつを選んだとしたって、それも本気ってことだろ?なら何の問題もないじゃん」
「・・・・・・・・・そういうことか」
「そういうこと」
 俺たちはまた笑い、酒を飲み交わした。


 翌日、俺は朝早く家をでると、優紀ちゃんの家へ向かった。
 家の前についたとき、優紀ちゃんが彼氏と歩いていくのが見えた。
 それを見送って・・・・・・俺は、牧野が出てくるのを待った。
 いつ出てくるかなんてわからない。
 だけど、いつかは出て来るはず。
 そこに牧野がいる。
 そう思うだけで、待つことも苦にならなかった・・・・・。

 昼近くになって、漸く出てきた牧野は、俺を見つけて目を見開いた。
「・・・・・西門さん・・・・・」
「ずいぶんごゆっくりだな。優紀ちゃんはとっくに出かけたみてえだけど?」
 にやりと笑って言うと、牧野の頬がほんのりと染まる。
「・・・・う、うるさいな。西門さんは、何でここに?」
「・・・・あきらに、たぶんここにいるって聞いて」
 『あきら』の名前に、反応する牧野。
「・・・・・ちょっと、歩かねえ?一緒に昼飯食おうぜ。あ、お前の場合は朝飯か」
「む・・・・・やなやつ」
 口を尖らせてふてくされる牧野。
 俺はそんな牧野の頭にぽんと手を乗せ、
「ま、そんな顔すんなって、奢ってやっから。とりあえず歩くぞ」
 と言って歩き出した。
 牧野は黙って俺の後を着いてくる。

 俺も牧野が好きだと言ったら・・・・こいつがどんな顔をするか。
 少しの不安と期待。
 女に対してこんな気持ちを持ったのは初めてだ。
 それでも。
 もう俺に、迷いはなかった・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 やばい。類くんの出番が(^^;)
 次回は、たぶん・・・・・・ いや、その次くらいかな?
 すいません、もうちょっと待ってやってくださいませ~

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ブランコ vol.42 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -akira-
 タクシーに乗った俺はそのまま通りを走らせ、やがてすぐに牧野の姿を見つけることが出来た。
「止めて」
 タクシーを降りて、牧野の前に立ちふさがる。
「待てよ」
 気付かず下を向いたまま通り過ぎようと知る牧野の手を掴むと、牧野は俺を見て驚いたような顔をした。
 その顔は涙で濡れていた。
「美作さん・・・・・・」
「・・・・・なんて顔してんだよ・・・・・」
「・・・・・うっ・・・・・・・」
 俺は、そのまま牧野の肩を引き寄せ、抱きしめた。
 牧野は崩れるように俺の胸に倒れこみ、そのまま声を押し殺して泣いた。
「・・・・・・・・・・やめちまえよ」
 耳元で低く囁くと、牧野の肩がびくりと震え、ゆっくりとその顔を上げた。
「婚約なんて・・・・やめちまえ」
「美作・・・・さん・・・・・?」
 涙で濡れた漆黒の瞳が、戸惑いに揺れながら、俺を映していた・・・・・。


 -tsukushi-
 ショックだった。
 類と静さんが2人でいるところを見て・・・・・。
 ―――どうして?静さんと会うなんて、聞いてないよ。
 あたしが不安に感じていたことが、そのまま現実になってしまったような、そんな気がした。
 

 レストランにいた類と目が合った瞬間、あたしは店を飛び出していた。
 後ろから美作さんが止める声が聞こえたが、あたしはそのまま走り続けた。
 
 しばらくはただ闇雲に走り続け・・・・
「待てよ」
 突然手を掴まれ、驚いて顔を上げると、そこには美作さんがいた。
「・・・・・なんて顔してんだよ・・・・・」
 優しく響く美作さんの声。
 気がつくと、あたしは美作さんの腕に抱きしめられていた。
 涙が止まらなかった。
 どうしてこんな風になっちゃうんだろう・・・・・・


 「落ち着いたか?」
 公園のベンチに座り、漸く涙が止まったころ、美作さんが優しく声をかけてくれた。
「ん・・・・・ごめんね」
「あやまんな。お前が悪い訳じゃねえだろ」
「・・・・・・」
「・・・・・なんか、言いたそうな顔」
 美作さんがあたしの顔を見て、ふっと笑う。
「だ、だって・・・・・」
「・・・・・さっき、俺が言ったこと?」
 ―――婚約なんて・・・やめちまえ
 確かに、美作さんはそう言った。
 どうしてそんなこと言ったのか、あたしにはわからない。
 でも、なんとなくそれは聞いちゃいけないような気がした・・・・・。
「忘れていいから」
「え・・・・・」
 見上げると、美作さんは真っ直ぐ前を見ていた。
 その目はとても真剣で・・・・・
 あたしの胸がどきんと音を立てた。
「これから俺が言うこと、忘れても良い。お前が苦しむところは、見たくねえ。けど、俺もこれ以上自分の気持ちを抑えることは無理みてえだから」
 そう言って、美作さんはゆっくりあたしに視線を戻した。
 どきん。どきん。
 胸が苦しい。
「美作さ・・・・・」
「好きだ」
「!!」
「ずっと、好きだった。お前の気持ちはわかってるし、類から奪うつもりもなかった。お前が幸せならそれで良いと思ってた。だけど・・・・・・俺も、こんなに嵌ると思ってなかった。こんなに・・・・・好きになるなんて。諦めらんねえんだ」
 真剣な、美作さんの目。
 その瞳から、あたしは視線を逸らすことができなかった。
「お前が苦しむところを見たくねえ。すぐにお前の気持ちが変わるとは思ってねえけど・・・・・それでも、このままお前が類のことで苦しむのなら、俺がお前を奪う。類から・・・・奪って見せる」



 ―――忘れても良い。
 そう美作さんは言った。
 だけど、忘れられるはずがない。
 あんな真剣な目をした美作さんを、初めて見た。
 美作さんの想いに気付かず、今まで美作さんを頼り続けていたことを後悔した。
 
 あたしって、ほんと鈍感だったんだ・・・・・。
 自分のバカさ加減に溜息が出た。

 どうしよう・・・・・・・

 その日、あたしは花沢の家には戻らず、優紀の家に行くことにした。
 類には会いたくなかった。
 静さんとの事を聞くのが怖かったのと、美作さんに告白された後で、どんな顔をしていいかわからなかった。

 「優紀は・・・・もしかして知ってた?美作さんが、その・・・・・」
「つくしを好きだってこと?うん、知ってたよ」
 あっさりと肯定され、あたしはがっくりする。
「また、気付いてなかったのはあたしだけかあ・・・・・」
「まあ、いつものことだしね」
 からからと優紀に笑われ、さらに落ち込む。
「・・・・・あたし、どうしたら良いかなあ・・・・・」
「・・・・・つくしは、つくしのままで良いと思うよ?」
 あたしは隣でやさしく微笑む優紀を見た。
「あたしのまま・・・・・?」
「うん。いろいろ大変だと思うけど・・・・・。でも怒ったり泣いたり、落ち込んだり笑ったり、いつでも自分に正直なつくしが、花沢さんも美作さんも、道明寺さんも・・・・・好きになったんだと思うから」
 道明寺の名前を言った後の微妙な間が引っかかったけど、あたしは優紀の言葉を黙って聞いていた。
「そう・・・・なのかな・・・・?」
「うん。なんだったらみんなと付き合っちゃえば?花沢さんは夫、道明寺さんと美作さんは愛人、みたいなさ」
「ゲッ、何言ってんのよ、優紀!んなことできるかっつーの!」
「あはは、そりゃそうだよねー」
「もう、人事だと思って!!」
「ごめん、ごめん。でもさ、あんまり悩みすぎないでね。そうやってつくしが落ち込んでると、きっと美作さんも気にするよ」
 その言葉に、あたしははっとした。
 美作さん・・・・・・
 いつでも優しく、あたしを見守ってくれてた人。
 今も、あたしのことを考えてくれてるのかな・・・・・
「ん・・・・・そうだね。優紀、ありがとう」
「いいって。つくしにはいつも笑顔もらってるからさ。こういうときくらい、つくしの役に立てればいいなって思ってるのよ」
 うふふ、とちょっと照れくさそうに笑う優紀。
 あたしは幸せ者だ。
 こんなに自分のことを考えてくれてる友達がいる。
「それから・・・ちゃんと静さんのこと、花沢さんに聞いてみなよ。きっと、わけがあるんだと思うよ?」
「ん・・・・・。明日は、ちゃんと帰るから・・・・・」
 
 その日はふとんの中でずっと優紀とおしゃべりをして・・・・・そのまま眠ってしまった。

 翌朝起きると、優紀はもう出かけてて。
「おはよう、つくしちゃん。優紀、今日はデートなんですって。つくしちゃんは疲れてるだろうから寝かせてやってって言われたのよ」
 優紀のお母さんが穏やかに言う。
 ―――そっか・・・・今日は土曜日・・・・大学も休みなんだ・・・・・。
「すいません、お邪魔しました」
「またいつでも遊びに来てね」

 優紀の家を出ると、あたしは目の前に立つ人を見て、目を丸くした。
「・・・・・・西門さん・・・・・」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 いつも応援ありがとうございます♪
 そしてメールや拍手コメントなどでの励ましもとてもうれしいです。
 わたしの体をお気遣いいただくこともとてもうれしく思っています。
 わたしは大丈夫ですよ♪思いついたときにガーッと書いてしまうタイプなので、勢いで書いてしまわないと忘れてしまう(^^;)
 いつも何とか忘れる手前で書くことができてます。

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ブランコ vol.41 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
  -rui-
 レストランに入り、中を見回すと静がこちらに手を振っている姿が目に入った。

 「久しぶり。いつ帰国したの」
「昨日よ。忙しくってなかなか連絡できなくて・・・。ごめんなさいね、急に呼び出したりして」
「いや、良いけど」
「それにしても驚いたわ。あなたが牧野さんと婚約したらしいっていう話を聞いたときには」
「司に聞いたの?」
「ええ、先週はN.Y.に行ってたのよ。でもとてもうれしかったわ。お似合いだと思うわよ、とっても」
 静が本当にうれしそうににっこりと微笑んだ。
 なんとなく気恥ずかしい感じもするが、静がそう言ってくれることは素直にうれしかった。
「で?今回の帰国は何で?」
「それが、従兄妹の結婚式でね。もう私は藤堂の人間じゃないから、と言ったんだけれど、姉妹のように育ったものだから・・・それなら友人として出席して欲しいと言われてね」
「へえ」
「あなたたちは?結婚は卒業してから?」
「・・・・・牧野に結婚する気があるならね」
「あら、それどういうこと?」
 俺の言葉に、静は首を傾げる。
「牧野さんは、結婚する気がないの?そんなことないでしょう?婚約までしたのに」
「どうかな・・・・なんか最近悩んでるみたいだし」
 そう。最近、牧野は何か考えていることが多い。
 昨日もあれから目を合わせようとしない牧野に、静のことも言いそびれてしまっていた。
「なあに?うまくいってないわけじゃないんでしょう?」
「・・・・・俺はそう思ってるけど。ときどき、牧野が何を考えているのかわからないときがある。好きだから一緒にいる。好きだから結婚する。それじゃダメなのか?」
 俺がついイライラとした調子でそう言うと、静はちょっと目を丸くし、それから楽しそうに笑った。
「・・・何?」
「ふふ、ごめんなさい。あなたがそんな風に感情を表に出すのは珍しいなって。本当に牧野さんが好きなのね」
 からかうような眼差しに、照れくさくなって目を逸らす。
 そのとき、通りの向い側にあるカフェの窓際に、こっちを見る人物がいるのに気付いた。
 その姿に、俺は思わずガタンと音を立てて席を立つ。

 ―――牧野?

 そこには、驚いたような表情で俺を見つめる牧野と、牧野の手を握るあきらの姿・・・・・

 「類?どうしたの?」
 「ごめん!」
 俺はそれだけ言うと、すぐに店を飛び出した。

 店を出ると、カフェから飛び出してきたあきらが目に入った。
「牧野!!」
 叫ぶあきら。
 視線の先には牧野が見えた。
 追いかけようとするあきらに声をかける店員。
 俺は通りを渡り、あきらを呼んだ。
「あきら!」
 俺に気付いたあきらが、立ち止まり、俺を睨む。
「・・・・類」
「何で・・・・今日は、レッスンの日だろ?何でこんなとこにいるの?牧野と・・・・・」
「・・・・・それはこっちのセリフだ。何でお前がここにいる?静と2人で・・・・牧野は知ってんのかよ?」
「それは・・・・・・」
「・・・・・・こんなことしてる暇はねえ。俺は牧野を追いかける。お前は、静のところにもどれよ」
 そう言ってあきらは俺に背を向けると、牧野が走っていった方へと駆け出した。
「あきら!!」
 俺の声には振り返らず、あきらは、ちょうど通りかかったタクシーを止めると、さっさとそれに乗り込んでいってしまった。
 俺は呆然とそれを見送り・・・・

 レストランに静を残してきたことを思い出し、とりあえず店に戻った。


 「今の、あきらと牧野さんよね?」
「・・・・・・ああ」
「・・・・・・もしかして、あきらも牧野さんのことが好きなの?」
 静の言葉に、俺は頷いた。
「・・・あきらだけじゃない。総二郎もだよ」
「あら、すごいのね」
「感心してる場合じゃないよ」
「ふふ、そうね。類は大変ね。だけど、牧野さんは類が好きなんでしょう?」
「・・・・・そう思ってるけど・・・・・」
 そう言って溜息をつくと、静はちょっと目を瞬かせ・・・・
「なんだか煮え切らないのね。心配になってきたわ。一体何があったの?」
「何も・・・・なんでこうなっちゃうのか、俺にもわからない」
「ね、これまでのこと、話してくれない?全部」
「全部?」
「ええ。それとも、牧野さんを追いかける?あきらと一緒に」
「・・・・・・いや、話すよ」


 「・・・・・原因はあなたよ」
 全て話し終えると、静が難しい顔で言った。
「は?なんでさ」
「あなたがそういうことわからないのは仕方ないかもしれないけど・・・・女の子にとっては重要なことだわ」
「なんだよ、それ?」
 俺にはわからない、と言われちょっとむっとする。
 こんなに牧野のことばかり考えてるっていうのに・・・・
「今の話聞いてると・・・・おば様とおじ様が帰国してから、婚約の話が決まったのよね?」
「ああ」
「それまで、牧野さんと結婚について話したことは?」
「・・・・・・ない、と思うけど・・・・・」
「じゃ、当然プロポーズもしてないわよね」
 思いがけない言葉に、俺は一瞬固まった。
「・・・・・・・」
「どう?」
「・・・・・してない」
「やっぱりね。牧野さんとしても、きっとあなたのご両親に認めてもらったことで、うれしさでそんなこと気にしてなかったんじゃないかしら。でもいざ一緒に暮らし始めて、ご両親もいなくなって・・・・・ふと、気がついたんじゃない?順番が違うことに。牧野さんてまじめな子だから、これで良いんだろうかって思ったんじゃないかしら。あなたにプロポーズもされていないのに婚約まで決まってしまって・・・・・あなたはそれで良いんだろうかってね」
「・・・・・・・・・・・・・」
 俺は何も言葉に出来なかった。
 考えたこともなかった。そんなこと・・・・・
 牧野が婚約することを承諾してくれて、一緒に暮らせることになって・・・・・あきらと総二郎のことはあるけど、でも2人一緒にいられるならって。
 俺は牧野といられればそれでよかったから。
 婚約とか結婚とか・・・・・そんな形なんかどうでも良かった。
「類。女の子はね、誰でもロマンチックを夢見るものよ。牧野さんだってあなたといられることが嬉しくないわけじゃないでしょう?でも、やっぱり確かなものが欲しい時もあるのよ。あなたは昔からそういうのに疎いところがあるから・・・・。その点はあきらや総二郎のほうが気が付きそうよね」
「・・・・・あの2人を見習えって?」
「見習うべき点もあるってことよ。わかるでしょ?あの2人がライバルじゃ、あなたも婚約したからって安心できないわね」
「・・・・・父さんみたいなこと言うなよ」
「あら、失礼」
 楽しそうにくすくすと笑う静を、俺は恨めしい顔で見て、ぷいと横を向いた。
「・・・・大丈夫よ。あなたのこと、牧野さんだって良くわかってると思うもの。ただ、今はちょっと一緒にいられることが幸せすぎて不安になってしまうのよ」
「幸せすぎて不安?」
「そういうものよ」
 そう言って穏やかに微笑む静。
 俺よりも牧野のことをわかっているようなその表情が。
 なんとなくおもしろくなくって、俺はまた窓の外に視線を向けた・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 昨日は1日お休みしてしまいました。
 ちょっとこのお話も不完全燃焼ですね
 続きはしばしお待ちを~

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ブランコ vol.40 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
 プロポーズをして欲しいって思ってるわけじゃない。
 ただ、不安になってしまった。
 類はいつもあたしに愛情をくれるのに、何が不安なんだと聞かれるとはっきりとわからない。
 ただ、あたしたちを取り巻く状況だけが先走ってしまっているような気がして、本当にこれでいいのだろうかと思ってしまうのだ。
 友達としての付き合いは長いけれど、きちんと恋人として付き合ってからはまだ日が浅い。
 なのに、婚約なんてことまで決まってしまって。
 類は、本当に後悔しないのかな?
 本当に、あたしが類の相手でいいのかな?
 そんな想いだけが、あたしの心の中で大きくなっていた・・・・・。


 -akira-
 「そりゃ、マリッジブルーってやつだろ?」
 昨日の話を総二郎から聞いていた俺は、今日のレッスンを早めに終えると牧野の話を聞いた。
「・・・・って、まだ結婚するわけじゃないし・・・」
「似たようなもんだろが。じゃなかったら単なる惚気だろ。で、類と喧嘩したのか?」
「喧嘩って訳じゃ・・・・・ただ、なんとなく気まずくなっちゃって、昨日はあれからほとんど話してないし、今日も・・・・・」
 俯いて溜息をつく牧野。
 溜息をつきたいのは俺のほうだ。
 結局のところ、どんだけ牧野が類を想っているかってのを見せ付けられているのだから。
「・・・・・じゃ、婚約解消するか?」
 俺の言葉に、牧野は一瞬間をおいて首を横に振った。
「・・・・・迷いがあるなら、やめとけ。そんな顔されて横にいられたんじゃ類だって気の毒だぜ」
 ちょっときつい言い方をしてやると、牧野は恨めしそうに俺を上目遣いで睨む。
「美作さんて、そんなに意地悪だったっけ?」
「お前が、くだらねえことぐだぐだと言ってるからだろうが」
「・・・・・・・・」
 俺の言葉に、牧野はまたうつむいてしまう。
「・・・・・ちょっと、外行くか」
「え?」
「新しく出来たカフェがあるんだ。お前の好きそうな庶民的なやつ。ケーキがうまそうだったから連れてってやるよ」
 そう言って俺が立ち上がると、牧野もきょとんとしながらもつられて立ち上がる。
「そんな辛気臭い顔されたんじゃこっちまで気分が滅入ってくる。うまいケーキでも食って気分変えようぜ」
 そう言ってにやりと笑うと、牧野はちょっと泣きそうな顔をして・・・・
「・・・・・前言撤回。やっぱり美作さん優しい・・・・・」
 そう言って俺のシャツの裾をきゅっとつまむ。
「・・・・・行くぞ」
 そのまま部屋を出ながら・・・・・
 ―――そういう無防備な顔見せるから・・・・・俺の心臓がまた、落ち着かなくなるんだ・・・・・


 近所に出来たちょっと女の子向けのカフェ。
 きれいなケーキのディスプレイが並んで、牧野が好きそうだなと思っていた。
「わ、おいしそう」
 案の定、牧野が目を輝かす。
「好きなの頼めよ、今日は俺の奢り」
「え、でも・・・・・」
「いいの。今日のお前は俺の生徒だから。生徒に金出させるわけには行きません」
 俺の言い方に、牧野がくすりと笑う。
「・・・・・やっと笑ったな」
「え」
「今日はお前ずっと、暗い顔してた。調子狂うんだよ、そういうの。お前はそうやって笑ってる方が良い」
「・・・・・ありがと」
 牧野はケーキを2つと紅茶を頼み、俺はコーヒーをオーダーした。
 漸くいつもの調子を取り戻してきた牧野。
 俺はちょっとほっとしていた。
 牧野の、あんな沈んだ顔は見ていたくない。
「心配しなくても、類はいつでもお前のこと一番に考えてるよ」
「・・・・・うん」
「順番なんて、どうだっていいんだよ、お前といられれば。きっとそのうち思い出したようにされるよ、プロポーズなんて。そんときゃきっと、もう聞き飽きたっていう位しつこく言われるぜ」
 俺の言葉に、牧野はぷっと吹き出した。
「だから、うじうじすんな。お前らしくねえ」
「ん。そうだね、ほんと・・・・馬鹿みたい・・・・・」
 そう言って微笑み、運ばれたケーキを口に運ぶ。
「あ、おいしい。甘さもちょうどいい感じ。ね、美作さん食べないの?」
「俺はいい。家で嫌って程母親の作ったケーキ食わされてるから」
「あはは。あたしも先週頂いたよね。あのケーキも、すごくおいしかった」
「そうか?それ聞いたらあの人も喜ぶよ。俺はあんまりそういう風に言ってやったことないし。牧野のこと気に入ってるみたいだしな」
 
 ケーキを頬張りながら、いろんなおしゃべりを始める牧野。
 ケーキ1つで機嫌の直る牧野は、単純というかかわいいというか・・・・
 やっぱり見てて飽きないな。
 そんな風に考えながら、ふと店の窓の外へ目をやる。
 店の窓からは、とおりを隔てて向こう側に、割と高級感のあるレストランがあった。
 味も割とよくて、何度か足を運んだことがある。
 ああいうところに牧野を誘っても、きっと遠慮したがるんだろうな・・・・
 なんて思いながらそちらを見ていると、俺の目に飛び込んできた光景。
 それは・・・・・

「類・・・・・?」
 思わず声に出して呟き、その声に牧野が「え?」と顔を上げる。
 そして俺の視線を追い、窓の外へ目を向ける。
 牧野が、驚きに目を見開く。
「・・・・・・どうして・・・・・・」

 レストランの窓際の席。
 そこにいたのは、類と静だった・・・・・。
 どうして2人がそこにいるのかわからない。
 でも、2人が見つめあいながら親密そうに話しているその様子は、傍目には恋人同士に見えてもおかしくないくらい、絵になっていて・・・・・
「・・・・・どうして・・・・?」
 牧野が、もう一度呟いた。
 フォークを握る、牧野の手が小さく震えていた。
「牧野、落ち着け」
 俺は、とっさに牧野のその手を握った。
 真っ青になった牧野は、今にもぶっ倒れそうに見えた。
「・・・・聞いてないのか?類から、何か・・・・」
 俺の問いに、牧野は首を横に振った。
「・・・・静が帰国してたって話は俺も聞いてねえけど・・・・心配するようなことじゃねえよ。わかってるだろう?あいつの気持ちは・・・。もう静とは終わってるんだ。静はもう結婚してるんだし・・・だから・・・・・」
 俺の言葉も、牧野には聞こえていないようだった。
 俺は、徐々に血の気のなくなっていくその小さな手を両手で包み込み、何とか落ち着かせようとしたが・・・・・

 ガタン

 突然牧野は席から立ち上がった。
「牧野?」
「・・・・・ごめん、美作さん・・・・・・あたし、帰る・・・・・」
 牧野は消え入りそうな声でそう言うと、俺が止めるよりも先に、バッグを引っつかむと逃げ出すように店を駆け出して行ってしまった。
「牧野!!待てよ!!」
 俺は慌ててレジに伝票と金を置くと、牧野を追って店を飛び出した。
 猛スピードで走り去っていく牧野の後姿。
「牧野!!」
「お、お客様!お釣り!!」
 後ろからかけられた声に、
「いらねえよ!」
 と乱暴に言って牧野を追いかけようとするが・・・・・
「あきら!!」
 その声に振り向くと、いつの間に来たのか・・・・・というか、いつ気付いたのか、そこには、険しい顔をした類が立っていた。
「・・・・類」
「何で・・・・今日は、レッスンの日だろ?何でこんなとこにいるの?牧野と・・・・・」
「・・・・・それはこっちのセリフだ。何でお前がここにいる?静と2人で・・・・牧野は知ってんのかよ?」
 俺の言葉に、類が珍しく躊躇する。
「それは・・・・・・」
「・・・・・・こんなことしてる暇はねえ。俺は牧野を追いかける。お前は、静のところにもどれよ」
 そう言って俺は類に背を向けると、牧野が走っていった方へと駆け出した。
「あきら!!」
 後ろから類の声が追ってきたが、俺は振り向かなかった。
 ―――牧野!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 アンケート投票のご協力、ありがとうございます♪
 意外というか、なんと言うか・・・・総つくって人気あるんですね~。びっくりです。
 このお話が終わったら、集計結果を参考にさせていただき、次のお話を書きたいと思ってます♪

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ブランコ vol.39 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
結局、パパはすんなり類の会社への就職が決まり、あたしは類の家で暮らすことになった。
 なんだか順調に行き過ぎて怖いくらいだった。

 そして、今日は西門さんの家へお茶を習いに行く日だが・・・・
「類、行って来るね」
「・・・・・・・・・・」
 西門さんの家と美作さんの家へ行く日が週に1回ずつ。
 その日は決まって類の機嫌が悪くなる。
 最初のころは「俺も行く」と言ってきかなくて、一緒に行っていたんだけど・・・・・
 美作さんの家に行ってダンスのレッスンを受けてるときはレッスン中ずーーーっと睨み続けるもんだから、レッスンに集中できなくて次からは何とか説得してあたし1人で行かせてもらうことに。
 西門さんのときも同じく、横でじーーーっと睨みを利かせながら抹茶ミルクなんか勝手に作って飲んでるもんだから、西門さんが激怒・・・・・「次に一緒に来ても絶対門前払いするぞ」と言われ、あたし1人で行くことになったわけだ。
 どうせなら、類と一緒に習い事も楽しみたかったけど、こうなっては仕方ない。
 
 それでも、類と一緒に暮らす日々は楽しい。
 家政婦の人たちに家のことをいろいろ教えてもらいながら、毎日本当にいろんなことを勉強させてもらっていると思ってる。
 類のご両親はあの後またすぐに渡仏してしまったが、近いうちにきちんと婚約発表をしようと言ってくれていた。
 でも、あたしには気になることが1つあって・・・・・


 -soujirou-
 「で?何が気になるって?」
 稽古を終え、俺の部屋で2人くつろぎながら、会話している。
 稽古の後、こうして俺の部屋でくつろぎながら他愛のない話をするのが常になっていた。
「うーん・・・・気になるっていうかなんていうか・・・・・」
「なんだよ?お前にしちゃ珍しいな、歯切れが悪いの」
「・・・・・・まだ、なんだよね・・・・・」
「何が?」
「うーん・・・・・・」
 なかなかはっきりと言わない牧野に、俺はあることを思いつき、青くなる。
「・・・・おい、まさか、出来たのか?」
「へ?」
 何のこと?と牧野が俺を見て首を傾げる。
「出来た?何が?」
「・・・・・子供」
「―――は!?な、何言ってんのよ!違うわよ!」
 真っ赤になって大きな声を出す牧野。
 俺はひとまずほっと胸をなでおろした。
「―――じゃ、なんだよ?はっきり言えよ」
「・・・・プロポーズ・・・・・」
「は?」
「だ、だから、類のご両親が来て、婚約とかってなんかトントン決まっちゃてるけど、あたしまだ類にプロポーズされてないんだよ」
 牧野はそう一気にしゃべってから、恥ずかしくなったのか頬を染めてぷいっと横を向いてしまった。
 ―――こいつ、かわいいな・・・・・
 と、つい思ってしまってから、はっとして
 ―――いや、そうじゃなくって
「え、マジで?まだプロポーズされてないのかよ?」
「うん・・・・」
 意外だった。
 類のことだから、さっさとプロポーズの1回や2回してるもんだと思っていた。
「だ、だからね?正式に婚約発表とかいわれたけど、いいのかなって・・・・・」
「・・・・・・・お前はどうなんだよ?」
「え?どうって?」
「類と、結婚する気があるのかないのかって事」
「なかったら、婚約なんて最初から断ってるよ。ただ、まだ結婚て言われても実感湧かないけど・・・。でも、類のことは好きだしいずれ誰かと、って言ったらやっぱり類しかいないと思う」
「・・・・・・・・・・」
 俺は黙って聞いていたが・・・・・心の中は穏やかじゃなかった。
 やっぱりっていう気持ちと、悔しい気持ちがぐちゃぐちゃに入組んでるみたいだった。
「でもさ、ものには順序ってものがあるじゃない?プロポーズもされてないのに婚約だなんて・・・・ひょっとしたら、類だってまだ結婚なんて考えてないかもしれないのに・・・・・」
 ―――まあ確かに、類は結婚なんて形にはこだわらないかもな。でも、それこそいやだったらあいつはそう言うだろう。
「んじゃ、やめれば?婚約」
 どうしても言い方がそっけなくなってしまうのは仕方がないだろう。
「や、やめたいわけじゃないよ。ただ、なんとなく引っかかっちゃって・・・・。西門さんにしてみればくだらないって思うかもしれないけど!」
「わかってるなら聞くなよ」
 そう言って俺は牧野から視線を逸らせた。
 とてもじゃないが、真剣になんか聞いちゃいられなかった。
 何で俺が、そんなこと相談されなくちゃいけないんだ。
「・・・・ごめん。西門さんに言ったって仕方ないのに・・・・」
 それでも、急にしおらしくなられれば放って置けなくなる。
「いや・・・・別にいいけどよ。俺は聞くくらいしかできねえけど、それでも良ければいつでも聞いてやるから」
 そう言ってやると、牧野はほっとしたように微笑んだ。
 全く・・・・そういう無防備な笑顔をさらすから、諦めきれなくなるんだ。
「まあ、心配いらねえと思うぜ?それこそ、あいつはそんな形だけのプロポーズなんか気にしちゃいねえだろ。あいつはお前と一緒にいられさえすれば満足なんだからな」
「・・・・・そうかな・・・・・」
「・・・・・ま、あいつと一緒にいるのが嫌になったらいつでも来いよ。俺が拾ってやっから」
 そう言ってにやりと笑って見せると、牧野がむっとしたように眉間に皺を寄せて口を尖らせた。
「嫌になったりしないわよ。変なこと言わないで」
 そう言われることを予想していながら・・・・・
 ちょっとだけへこんでいる自分がいた・・・・・


 -rui-
 牧野と暮らせるようになって、毎日が楽しくなった。
 でも、心配事が多いのは相変わらずだ。
 今日はお茶を習いに総二郎の家へ行っている。
 総二郎は親友だ。
 いくら牧野のことを思っていても、無理強いするようなことはないと思うけど・・・・・
 それでも、今こうしている間にも2人きりでいるのかと思うと、気は休まらなかった。

 「ただいま、類」
「お帰り」
 漸く帰ってきた牧野を玄関で出迎え、靴を脱いで上がった瞬間にその体を抱きしめる。
「―――何もされなかった?」
「もう、またそういうこと・・・・・。もうちょっと信用してあげないと西門さんがかわいそう」
 そう言って俺を見上げた牧野の顎に片手を添えて、キスを落とした。
 すぐに深くなるキスに、牧野はきゅっと俺のシャツを掴んで自分を支える。
 俺は片手を牧野の腰に回し、逃げられないよう拘束した。
 毎日のように繰り返されるこの儀式に、最初は一緒に玄関で出迎えていた家政婦も、今は気を利かせて出てこなかった。


 「明日は、あきらのとこだっけ・・・・やっぱり俺、行っちゃダメなの?」
「うん・・・・ごめんね。でも、類だっていろいろやらなくちゃいけないことがあるんじゃないの?そんなに暇じゃないでしょう?」
「そうでもない。この間まで忙しかったけど・・・・。今は、大学の勉強と牧野の教育に専念しろってさ。もちろん、急に借り出されることもあるかもしれないけど・・・・今は大丈夫」
「そうなんだ・・・・・。あ、あのさ、類・・・・・」
 急に、何か言いづらそうに視線を泳がす牧野。
「何?」
「えっと・・・・・」
「いいづらいこと?」
「そうじゃないんだけど・・・・・あのさ、類は・・・・いいの?」
「何が?」
 牧野の質問の意味がわからなくて、俺は聞き返す。
「だから・・・・・その、あたしと婚約って・・・・・」
 牧野の言葉に、俺は目を丸くする。
「・・・・・そんなの、決まってるじゃん。何で急にそんなこと?」
「だって、急にこんなことになって・・・・あたしたちまだ大学生なのに・・・・」
「・・・・・結婚はまだだよ。婚約だけ」
「でもほら、あたしたちまだそんな話してなかったのに、ご両親に全部決めてもらっちゃって・・・・・」
「牧野」
 すこし強い調子で呼んだ声に、牧野がびくりとする。
 俺は牧野を抱き寄せると、耳元で話しかけた。
「・・・・なんで急にそんなこと言い出したの?・・・・総二郎に、何か言われた?」
 俺の問いに、牧野は首を振った。
「西門さんは、何も・・・・」
「じゃ、なんで?」
「・・・・・・・」
 なかなか話そうとしない牧野に、俺はちょっとイラついていた。
「牧野は・・・・・俺と一緒にいるの、嫌なの?」
 無意識に低くなる声。
 牧野の肩がびくっと震える。
「そ、そんなんじゃないよ!」
「・・・・・俺は、たとえ親が決めたことでも、牧野と一緒にいられるならそれで良いと思ってる。牧野はそうじゃないの?」
「あ、あたしは・・・・・」
 牧野は顔を上げて俺を見た。
 だけど、その口はなかなか開かなくて・・・・・・
「・・・・・・もういい、わかった。そんなに嫌なら帰れば?」
「い、嫌だなんて言ってないよ!そうじゃなくって・・・・・」
「・・・・・・何?」
 牧野の瞳をじっと見つめる。
 何か言いたそうに揺れる瞳。
 それでも何も言わない牧野・・・・・
「ごめん、もういい」
 ついにはそう言って俯いてしまった。
「牧野・・・・?」
「なんでもないの。ごめん、気にしないで」
 そう言って、俺に弱々しい笑顔を向ける牧野。
 なんでもないわけない。
 だけど、一度そうやって口をつぐんでしまったら、もうちょっとやそっとじゃ口を開かないだろう。
 そんな頑固な牧野に小さく溜息をつく。

「あの・・・あたし、お風呂いただくね。汗かいちゃって」
「ん。わかった」
 牧野が部屋を出て行くとすぐに、部屋の電話が鳴った。
「―――はい。―――え?ほんと?―――つないで」
 内線で聞こえてくる家政婦が言った名前に驚いた。
 そして、すぐに聞こえてくる懐かしい声。
 その声を聞くと、自然に笑顔が浮かんだ・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 投票フォームをつけました。携帯からだとたぶん見られないかと思いますが・・・
そろそろこのお話も終盤に差し掛かりましたので、次回作を考えようかな~と思ってるんですが、なかなか考えがまとまりません。
 皆さんがどんな話を読みたいと思っていらっしゃるか、参考までに教えていただけたらと思います♪

 それから、2、3日ちょっと忙しいかもしれませんので、更新できないかも知れません。
 なるべくがんばりますが・・・更新できなかった時はごめんなさい

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ブランコ vol.38 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -rui-
 「婚約者としてあなたの傍にいて欲しいと思ってるのよ。花沢の家で、その生活にも慣れて欲しいし。そのお話をしたら、牧野さんは・・・・・」
「あの・・・・お話はうれしいんですけど、うちには家族もいますし、家事は母とわたしが分担してやってましたので・・・・わたしがいなくなると、ちょっと困るかなって・・・」
 牧野が言いづらそうに言う。
「お母様が働いていらっしゃるから、ということよね。それなら、そちらの生活費も援助させていただくわ」
 という母の言葉に、牧野は目を見開いた。
「とんでもない!そこまでしていただくわけには・・・・・今、一応父親も働いていて、わたしが働かなくても両親の稼ぎだけで何とか食べていける状態ですけど、父の仕事は不安定で・・・・いつ仕事がなくなるか、わからない状態です。もしそうなれば、またわたしも働くことになると思います。でも、それはうちの問題で・・・・大学の学費や道明寺への返済までお世話になってしまっていて、これ以上甘えるわけには行きません。もちろん、言われたとおり勉強はきちんとやらせていただきます」
 牧野のきっぱりとした言葉に、母は溜息をついた。
 父は何事か考え込んでいるようだったが・・・・。
「それでは、君のお父さんにうちの社へ来てもらったらどうだろう?いや、そのためにわざわざポストをあけるのではなく、今ちょうど人がやめてしまって困っているポストがあるんだ。誰でもいいというわけではないが、つくしさんのお父さんに来てもらえればこちらとしてもうれしい。そこでの給料なら、おそらくきみやきみのお母さんが働かなくても暮らしていけると思う。どうだろう?明日にでも面接に来てもらって・・・・それで決まれば、つくしさんも我が家に来るというのは?」
「ええ!?」
 牧野が驚いて声を上げるが、母はうれしそうに手を叩いた。
「まあ、それはいいわね。ね、牧野さんそうなさって。それなら援助ではないわよね?それに、我が家へ来てもらえば時間の許す限り類からも教育を受けることが出来るし、朝の弱い類にとっても好都合だわ。ねえ、類?」
 そう言って母は俺を見てにっこりと笑った。
 今まで見たこともないような嬉しそうな表情。
 息子の俺はもとより、隣に座っている2人も相当驚いていた。
 でも・・・・・
 俺はちらりと牧野に視線を向けて。
 これを断る手はない。何より、隣の2人への牽制にもなる・・・・・。
 そう思った俺は、牧野に笑顔を向けた。
「うん・・・。いい方法だと思うよ」
 と言った。
「つくしさん。どうかね?わたし達や類のためと思って・・・・うちへきてはくれないか?」
 父の言葉に、牧野は困ったような顔をしていたが・・・・・
「・・・・わかりました。とりあえず、うちの父に話をしてみます。お返事はそれからでも・・・・・」
「ええ、もちろんよ。でも、楽しみにしているわ」
 そう言って母はにっこりと微笑んだ・・・・・・。


 「こんなことになってるとはね」
 総二郎が溜息とともに呟いた。
 今、俺の父親は会社からの電話で部屋の外に出ていた。
 母親と牧野は揃って化粧室に行っている。
「全く、類の両親にはやられたな」
 あきらもため息をつく。
「これは、俺のせいじゃないよ。俺も知らなかったんだから」
 そう言って俺は肩をすくめ、笑った。
 こんなことになっているとは思わなかったし、心底驚いたが・・・
 願ってもない話だ。
 牧野と一緒に暮らせるなんて・・・・・
「しかし牧野の教育係か・・・・・」
「はーーーーーーっくしょい!!!」
 総二郎が何か言いかけたとき、あきらが盛大なくしゃみをした。
「あきら、風邪?さっきも鼻すすってたみたいだけど」
 と言う俺の言葉に、総二郎はじろりとあきらを睨む。
「・・・・牧野に、移されたんじゃねえの」
「え・・・・・牧野の風邪・・・・・?」
 総二郎と俺の言葉に、あきらはぎくりとしたように肩を揺らす。
「な、何言ってんだよ、総二郎!」
「あきら・・・・・あの日、やっぱり牧野に何かしたの?」
 俺の頭の中に、2日前の光景が浮かぶ。
 熱を出した牧野が、あきらの家で休んでいた。
 俺が行くまでの間に、何かしてやしないかとずっと気になっていた・・・・・。
「何もしてねえって。ただ、近くにいたから移っちまったんだろ」
「どうだかな~。大人な振りして牧野油断させて、一番危険なのってあきらじゃねえの」
「総二郎!変なこと言うな、お前だって人のこと言えないだろうが。大体牧野が風邪ひいたのだってお前のせいだろ?一緒に風邪引いてたくせに・・・・・・」
 そこまで言って、あきらも総二郎もしまった、という顔になる。
「・・・・・・どういうこと?総二郎・・・・一緒に食事しただけじゃないの・・・・?」
 自分でも驚くくらい低い声。
 2人の肩がびくっと震えるのがわかる。
「な、何言ってんだよ、類。あきら、誤解されるから変なこというなよ」
「・・・・自業自得だろ」
「あきら!」
「あきら、総二郎。ちゃんと説明して欲しいんだけど?まだ俺の知らないことが、あるよね?」
 じろりと睨みつけながらそう言ったとき・・・・
 後ろの扉が開き、父親が入ってきた。
「ずいぶんと面白いことになっているようだな」
 俺たちの後ろに立って、にやりと笑う。
「あ、あのこれは・・・・」
 あきらが慌てて何か言おうとして、父に手で抑えられる。
「良いんだ。君たちの、つくしさんを見る目でなんとなく感じていたよ。ただの友達として、じゃない。1人の女としてみているんじゃないかと。類、この2人が相手じゃお前もまだまだ安心できんな」
「父さん・・・・」
「婚約といっても、形だけだ。つくしさんの心をしっかり捕まえておかないと、すぐに横から掻っ攫われるぞ」
「そんなこと、させないよ」
 と俺が言うと、父は楽しそうに声を上げて笑った。
「頼もしいな。わたしとしても、つくしさんのような娘が出来るのは大歓迎だ。だが、先のことはわからんからな。特に人の心というのは・・・・・。惚れた女の心をつなぎとめておけないというのは男のプライドにも関わる。しっかり男をみがいておくんだな」
 そう言って悠然と微笑む父。
 今まで、ずっと距離を感じてきた父。
 その距離が縮まることはないと思っていたけれど・・・・・
 今日、初めて父親を近くに感じることができたような気がした・・・・・・。


 「類、黙っててごめんね」
 一行と別れ、牧野を送っていく途中、牧野が申し訳なさそうに言った。
「いいよ。うちの親に言われてたんだろう?びっくりしたけど・・・・嬉しかったよ。牧野が俺とのこと真剣に考えてくれてるってわかって」
 そう言って笑うと、牧野も嬉しそうに微笑んだ。
「わたしも、嬉しかった・・・・。類のご両親に認めてもらえて。何より、類の両親の、類を思う気持ちがわかって、よかった。本当はずっと不安だったの。道明寺とのことがあったから・・・・今では全部思い出だけど、あのときの辛かったことを思い出したら・・・・また、同じことになったらどうしようって、気が気じゃなかった」
「牧野・・・・・不安にさせて、ごめん。いずれ俺から、両親に紹介するつもりだったんだけど・・・」
 俺の言葉に、牧野は首を振った。
「最初に類のお母さんがアパートに見えたときは、心臓が止まるかと思ったけど・・・。でも、ああして会いに来てくれて、類のこといっぱい聞かせてもらって、本当に感謝してる。お父さんにも・・・」
「ああ、そういえば」
「え?」
「・・・・・つくしさん、って呼んでたね」
「あ、うん・・・。花沢家に来るのなら、苗字で呼ぶのはおかしいからって・・・。あたしはまだ早いですって言ったんだけど、その名前で呼びたいって仰るから・・・。お母さんは、最初からずっと苗字で呼んでいたからまだ切り替えられないって。でもそのうち名前で呼びたいって言ってた」
「ふーん・・・。あの人たちがそこまで気に入っちゃうなんて、やっぱり牧野はすごいね」
「何言ってんのよ」
 牧野が照れた様に言う。
 少し頬を染めるその姿がかわいくて、思わず笑みがこぼれる。
「・・・・バイト、やめたの?」
「うん・・・。シフトが入っちゃってる分はやろうと思ってるけど、清掃と、ファミレスのほうはもう終わったの。後は居酒屋だけ」
「そっか。でも、良かったよ、牧野がまた大学へ来れる様になって」
「うん。あたしも、それはすごく感謝してる。ご両親の言うとおり・・・・大学では、今しか出来ないことができると思うから・・・・。すごく楽しみ」
「・・・・・でも、ちょっと不満」
 ふいっと目を逸らしてそう言った俺を、牧野が驚いて見る。
「え、何で?何が?」
「牧野の教育係・・・・なんで俺だけじゃないの」
「そ、それはだって、お茶とかそういうのは、類に教えてもらえないし」
「・・・・・・牧野は、やりたいの?」
「うん・・・・っていうか、たぶんとっても役に立つと思うの、そういうのって。せっかく身近にそういう人たちがたくさんいるのに、そこから何も吸収しないのはもったいないかなって」
 牧野らしいと思ったけど・・・・・
 俺にはまだ不満があるって、牧野は気付いてない。
「類の隣にいて、恥ずかしくないようにしたいの。いつも、堂々としていたい。それにはやっぱり、もっと勉強して自分に自信をつけなくちゃって思ったの」
「・・・・・・・」
「類?まだ怒ってるの?」
「牧野・・・まだ俺に言ってないことがあるでしょ?」
「え?何?」
 牧野がきょとんと首を傾げる。
「・・・・・この前、総二郎と食事したって話は聞いたけど。その後のことは聞いてなかったよ、俺」
 俺の言葉を聞いて、牧野の顔色がさっと変わる。
「牧野が熱出して倒れた日・・・総二郎も風邪引いて寝込んでたって。2人でどこいったの?」
 じっと牧野の顔を見つめる。
 牧野は「えっと」とか「あの」とか呟きながら、どう説明しようかと悩んでいるようだった。
「・・・・・・あの日・・・、西門さんが付き合ってほしいところがあるって言うから・・・・そんなに時間もかからないって言うし帰りも送ってくれるって言われて、少しなら・・・と思って付き合ったの。く、詳しい場所はわからないんだけど、車で30分くらいで行ける、海」
「海?」
「う、うん。そこでちょっとおしゃべりして・・・その後家まで送ってもらったの」
「それだけ?」
「うん。ごめんね、黙ってて・・・・。西門さんが・・・・いつも1人で行ってる場所だって聞いて・・・なんとなく、他の人には知られたくないんじゃないかって思ったから黙ってたの。でも、類ならいいよね?もしかしてその場所、知ってる?」
「いや。初めて聞いた」
「そっか。夜だったし、何も見えなくて最初すごく怖かった。でも、月明かりを反射する波がすごくきれいだった・・・。風が強くて寒かったから、西門さんが自分で着てたジャケット貸してくれたんだけど・・・そっか、西門さんも風邪ひいちゃったんだ。悪いことしちゃったな」
 そう言って牧野はすまなそうな顔をしたけれど・・・・
 俺はまた、胸にもやが広がるのを感じていた。あきらたちの話。それから今の牧野の話。
 俺だけが知らなかったこと。
 牧野と2人きりの時間を持ったあの2人に対しても頭に来ていたけど。
「・・・・・総二郎に車で送ってもらって・・・・・もしかしてそのとき、寝ちゃったりした?」
「え、そんなことまで知ってるの?実は、そうなの。いつの間にか寝ちゃってて・・・。気付いたらもう家についてた」
 照れくさそうに牧野は笑いながら言うけれど。
 惚れた女と2人きり、横で無防備に寝られたら、男がどういう気持ちになるか・・・・・
 
 きっとあの2人は、お互いの状況を知って、自分と重ね合わせたんだ。

 それで、お互いそのときに何があったか知った・・・・・。

 気付いていないのは、その渦中にいる牧野だけだ。

 「類ー?ごめんってば。黙ってたことは謝るから・・・・そんなに怒らないでよ・・・」
 黙ったままの俺を気にして、牧野が困ったように俺の袖を掴む。
 
 俺は、牧野の腕を掴むとそのまま引き寄せ、驚く牧野の腰に手を回すと、そのままキスをした。

 まだ人通りの多い時間。
 通行人が驚いて俺たちを見ているのを感じたが・・・・・
 そんなことを気にする余裕はなかった。

 父の言うとおり、まだまだ安心できない。
 油断すれば、あの2人が横から牧野を掻っ攫っていくだろう。
 しっかり捕まえておかないと・・・・・

 俺は、牧野を抱きしめる腕に、力をこめた・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 やっぱりあきらと総二郎にはまだまだがんばってもらいたいな~
 という願望を、文章にしてしまいました。

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ブランコ vol.37 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -rui-
 「あれ・・・・総二郎?」
 そのレストランへ入ると、案内された個室には総二郎が座っていた。
「よお、類」
「何で総二郎がここに?」
「何でって・・・・お前の親に呼ばれたんだぜ?久しぶりに、一緒に食事しましょうって。しらねえの?」
「全然聞いてないよ。俺も、急に呼び出されたんだ」
 総二郎の隣に座りながら言う。
 ―――一体なんだっていうんだ?
 わが親のことながら、久しぶりに会うなりこんなところへ呼び出され、その意図が計りかねていた。
「よォ」
 後ろから聞こえた声に振り返ると、あきらが入ってくるところだった。
「あきらも?」
「おお、おまえんとこの親に呼び出されたぜ。なんなんだ?」
「知らないよ。こっちが聞きたい」
 と肩をすくめると、総二郎とあきらが顔を見合わせた。
「・・・・・・なあ、。席が1つ多くねえ?」
 席に着いたあきらが、周りを見回してから一言、言った。
「そういえば・・・・後類の両親が来るとして、1つ多いな。まさか司か?」
 と、総二郎。
「まさか。司は今確かドバイにいるだろ?朝のニュースでチラッと見たよ」
 と俺が言うと、2人とも「じゃあ誰が・・・・」と首をひねった。
 そこへ、また扉が開く音。
「やあ、お待たせしたね」
「お久しぶりね」
 振り向かなくてもわかる。
 俺の父親と母親が入ってきて、俺たちの向側の席に座る。
「ご無沙汰してます」
 と、総二郎とあきらが立ち上がって交互に挨拶する。
「まあ、2人とも立派になって・・・・どう?そろそろお仕事も忙しくなってきたんじゃなくて?」
 母親の言葉に、2人とも「はあ、まあ」なんて答えながら微笑んでいる。
「・・・・・もう1つ、席があるけど、誰か来るの?」
「ああ、そろそろ来るころだろう。どこだかに寄ってから来るから少し遅れるっていう話だったな?」
 父が母に向かって話しかける。
「ええ。でもたぶんそろそろ・・・・・」
 そう母が言いかけたとき・・・
 再び後ろの扉が勢いよく開いた。
 俺たちが一斉に振り返ると、そこには・・・・・
「「「牧野!?」」」
 3人が一斉に声を上げる。「あら、気が合うこと」なんていう母ののんびりした声がした。
「お、遅れてすいません、バイト先でちょっと手間取っちゃって・・・・」
 牧野は入ってくるなり息を切らしながら頭を下げた。
「いいのよ、気にしないで。さ、牧野さんはここにお座りになって」
 と、母が自分の隣の席を示し、牧野は「は、はい」と緊張しながらもその席に座った。
 それはちょうど俺の真向かいの席で・・・
 牧野が座り、前を向いて俺と目があった瞬間、漸く俺は我に返り、口を開いた。
「これは、どういうこと?何で牧野まで・・・・俺、何も聞いてないよ」
 じろりと両親を睨む。
 それでも2人は慌てることなく。
「あら、暫く会わない間にずいぶんおしゃべりになったのね、類」
「本当だな」
「茶化さないで。一体どういうつもり?」
 イライラする俺に、穏やかに微笑む2人。
「まあ落ち着きなさい。ほら、料理が運ばれてきた。まずは食事をしようじゃないか」
 ちょうどいいタイミングで食事が運ばれてきて、俺は口をつぐむことになった。


 「で・・・・そろそろどうしてここに呼ばれたのか、聞きたいんだけど・・・・・」
 食事を終え、食後のデザートとコーヒーが運ばれてくると、俺は再び口を開いた。
「・・・・そうね。じゃあ私からお話しするわ」
 と母がにっこりと笑いながら言った。
「類には怒られるかもしれないけれど・・・実は一昨日、牧野さんのお宅へお邪魔したのよ」
「な・・・・・」
 思わず、牧野の顔を見る。
 牧野はちょっと気まずそうに俺を見ていた。
「そこで私たちの考えを聞いていただいて・・・・昨日、牧野さんから良いお返事を頂けたので、こうして皆さんにここへ集まっていただいたのよ」
「・・・・どういうこと?一体何の話を・・・・・」
 思わず眉をひそめる。
「心配しないで。決して悪い話ではないはずよ。勝手なことと怒られるかもしれないけれど・・・・牧野さんには承諾していただいてるわ」
「だから、何を?」
「あなた達の婚約の話よ」
「こ・・・・んやく・・・!?」
 あまりに突拍子のない話に、俺はそれ以外言葉が出てこなかった。
 隣にいたあきらと総二郎も目を丸くしている。
 目の前の牧野は、頬を赤らめ、俯いているが・・・・・
「どういうこと!?」
「あら、喜んでくれるかと思ったのに・・・・嫌なの?」
「そういうことじゃなくって!何で・・・いつの間にそういうことになってるの?俺に何も言わずに・・・・」
「・・・・つくしさんの気持ちを知りたかったんだよ」
 それまで黙っていた父が口を開いた。
 『つくしさん』だって?
 父が牧野の方を見る。
 その眼差しはとても穏やかで優しく、息子の俺でさえ見たことがないような表情で・・・・・まるで、本当の娘を見つめるような眼差しだった。
 俺は驚きのあまり、声も出せないでいた。
「お前達のことは、全て私たちの耳に届いているよ」
 父がゆっくりと話し出した。
「つくしさんのこと、それから司君のこと・・・・彼女の今の状況も全て知っている。お前が真剣に彼女を愛しているということも、理解しているつもりだ」
「・・・・・・・・」
「私たちは、お前達の交際に反対する気はないんだ。お前が好きになった女性だ。素晴らしい女性だということは昨日彼女と話して再確認させてもらったし」
 そう言って再び牧野の方を笑顔で見ると、牧野は頬を赤らめた。
「ただ・・・・わかっているとは思うが、お前が真剣に付き合っているということは、今後の花沢にも深く関わってくるということだ。そうなった場合、今のままの彼女では外野が黙っていないだろう」
「そんなこと・・・・!関係ない!俺には、牧野しか考えられない!」
 思わず大きな声を出した俺を、父は落ち着き払って手で制した。
「だから、お前達の交際に反対する気はないと言っているだろう。問題はそんなことじゃないよ。それに、もう解決している話だ。今日お前達を呼んだのは私たちが決めた話を報告するためと、今後の計画に協力してもらうためだ」
「計画・・・・・?」
「私たちは、つくしさんとお前に一緒になってもらいたいと思っている」
「!!」
「だから、周りにもお前たちのことを認めさせたい。今のままのつくしさんをお前が愛していることは知っている。だが、いつの日か結婚したときに、このままではきっとつくしさんは辛い思いをすることになる。わかるか?花沢の家に嫁に来るということは、普通の結婚とは違う。当人同志が良ければ良いという理屈は通らない。だから・・・つくしさんに、お願いしたんだ」
「・・・・何を?」
「もう一度、大学に通ってもらうことをだ」
「!!」
 その言葉に俺はもちろん、あきらも総二郎も驚いた。
「そして、しっかり勉強してもらう。大学の勉強だけではなく・・・花沢の人間になるために必要となること全て、卒業するまでに習得してもらいたいと思っている」
「牧野さんは、承諾してくれたのよ」
 母の言葉に、俺は牧野の顔を見た。
「あの、黙っててごめんね」
 牧野が慌てて口を開く。
「私たちが黙っているように言ったんだ。今日、みんなが揃っている席で報告したかったからね。これから卒業するまでの間、お前とつくしさんには充分に勉強をしてもらいたい。そして・・・・そのために、あきら君と総二郎君の力を借りたいと思っている」
 そう言って父はあきらと総二郎を見た。
 2人はちらりと顔を見合わせる。
「それは、どういうことですか?」
 あきらが冷静に聞く。
「俺たちは何をすれば?」
 と、総二郎。
「君たちには、君たちが教えられること全てを彼女に教えてやって欲しいんだ」
「あなた達は2人とも、いつ社交界に出ても恥ずかしくないと、私達も思っているわ」
「それはどうも・・・・・」
「総二郎さんには茶道と礼儀作法、あきらさんには社交ダンスや食事マナーなど、2人の得意分野を牧野さんに教育してあげて欲しいの。もちろん類にも役目があるわ。あなたの得意な音楽や絵画、語学などの知識をきちんと教育してあげて欲しいの。彼女が卒業するまでに、どこへ出しても恥ずかしくないように・・・・。そして、一番大切な役目。あなたはいつも牧野さんの傍にいて、彼女を支えてあげるのよ」
「もちろんあきら君や総二郎君にはそのためのお礼はさせてもらうよ。貴重な時間を割いてもらうわけだから・・・・。それから、君たちの仕事の邪魔もしないから安心してくれ」
 悠然と笑う父を、俺たちは言葉もなく呆然と見ていた。

 まさか、そんなことを言われるなんて・・・・
 いずれ両親に紹介しなくちゃいけないとは思っていた。
 だけど、いつ帰国するかもわからなかったし、しょっちゅう移動していてどこにいるかもわからない。だから、今度帰国したときに話をしようって。
 ずっとそう思っていたのに、まさかこんなかたちで・・・・・。

 喜んでいいのか、怒った方がいいのかも良くわからない。
 目の前の牧野も、恥ずかしそうな、それでいて気まずそうな微妙な表情をしている。

 「どうした?類。何か不満でもあるか?」
「いや・・・・不満はないけど、びっくりしてる。俺の知らない間にこんなことになってたなんて」
「・・・・・お前には・・・・悪いことをしたと思ってる」
「やめてよ」
「・・・・・いい男になったな。社会人としてはまだまだ足りないところばかりだが、それはこれからどうにでもなる。何事も経験だ。その経験を積むためにも・・・お前にはつくしさんが必要だろう」
「それでね、昨日牧野さんにも相談したんだけど・・・・牧野さんはなかなか首を縦に振ってくれなくて。類から説得してもらえないかしら?」
「?何を?」
 不思議に思って聞くと・・・母の隣に座っていた牧野がなぜか慌てた素振りを見せる。
「牧野さんに、うちへ来てもらったらどうかと思って」
 そう言って、俺の母親・・・花沢優子はにっこりと微笑んだのだった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 類の両親はちょっとコミカルにしたかったんですよね。
 類みたいな人の親だから、きっとやっぱり世間からずれてるところがあるんだろうと思って。
 皆さんのイメージと違ってたらすいません。
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ブランコ vol.36 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 翌日、あたしは久しぶりに家でゴロゴロとして過ごした。
 もう熱は下がっていたが、やはり疲れが溜まっていたのか目が覚めたのは昼過ぎ。
 家族もみんなもういなくなっていた。
 1人のんびり過ごす1日。
 こんなのは本当に久しぶりで、なんとなくどうしていいかわからない戸惑いがあった。
「・・・・・・退屈・・・・・・買い物にでも行こうかな・・・・」
 そう思ったとき―――

『ピンポーン』

「誰だろ?」
 首を捻りながらも、「はーい」と返事をしながらドアを開ける
「こんにちは」
 にこやかに玄関で笑っていたのは、品の良い、ちょっと日本人離れした顔立ちの女性・・・・。
 どことなく、誰かに面影が似ていた。
「あの・・・・」
「突然ごめんなさいね。牧野つくしさん・・・・でしょう?」
「は、はい」
「私、花沢優子と申します」
「・・・・・!!」


 息が止まるかと思った。
 誰か、だなんて、類に似てるんじゃない!
 わたしは慌てて部屋の中をざっと片付け、類のお母さんを通した。
「あ、あの、すいません、散らかってて・・・・普段はもうちょっときれいなんですけど!」
「結構よ。ご両親も働いておられるんでしょ?それに弟さんはまだ高校生だと。皆さんお忙しいわよね」
「は、はあ・・・・・」
 類のお母さんは、その類に似た眼差しで、あたしに微笑んでくれていた。
 もう、緊張するなんてレベルじゃないっつーの!
「・・・・・お茶、どうぞ。す、すいません、安物なんですけど、結構いけるんです!」
 震える手でお茶を出し、しどろもどろになるあたしを見て、お母さんはくすくすと笑った。
 あ、この笑い方・・・・・・類に似てる・・・・・。
「ありがとう。ごめんなさいね。ご都合も聞かずに押しかけてしまって。急に帰国が決まって・・・・ぜひ、あなたにお会いしたいと思って、空港からここまで真っ直ぐに来てしまったのよ」
「あ、ヨーロッパにおられると・・・・・」
「ええ。今回はあまり時間がないのだけれど・・・主人ももちろん一緒に帰ってきてるのだけれど、あちらは会社の方へ直行していて」
「はあ・・・・・・」
「・・・・・・あなたのことは、聞いています」
 ドキン。
 心臓が、いやな音を立てる。

 道明寺の母親のことを、思い出してしまう。
 また・・・・・反対されるのだろうか・・・・
 また、引き裂かれるのだろうか・・・・・ 
 それだけは、絶対にいやだ!
 類とは、別れたくない。絶対に・・・・・

 よっぽどすごい顔をしていたのか、あたしの表情を見て、類のお母さんはまたくすくすと笑った。
「大丈夫よ、そんな怖いお顔をされなくても」
「あ・・・・・」
 うわ、恥ずかしい・・・
「今日は、あなたにお願いがあってきたの」
「あた・・・わたしに・・・・?」
「ええ。できるだけ早くお会いしなければいけないと思って・・・・。こちらの勝手な希望だけれど、あなたのためにもなると思うの」
「はあ・・・・・」
 何を言われるんだろう?
 あたしの心臓は、うるさいくらいに高鳴っていた。
「あなたに・・・・・もう一度大学へ行って欲しいの」
「・・・・・は!?」
「あなたの情報は、いろいろと私たちにも届いています。気を悪くなさらないでね。これは、類も知らないことなのよ。いずれ類には父親の跡を継いでもらわなければならない。そのためには、やはりあの子の生活を把握しておく必要があるの。ある程度、あの子の自由は許してきたけれど、それもみんな社会勉強になっているという判断なのよ」
「・・・・・・」
「そして、あなたのことは・・・・類が初めて本気で愛した女性と認識しています。静さんの時には、憧れの域を出なかった。それがわかっていたから、あの子が静さんを追ってフランスに行ったときも黙っていたの。きっと・・・・あの子が自分で気付くだろうと思っていたから。結果、あの子が傷つくことにはなったけれど、あの子の人生経験として必要なことだったと思っているの」
 淡々と話すその様子は冷静でいて、類への愛情が溢れているような気がした・・・・・。
「あなたと関わって・・・類は大きく変わったのね。いつも離れた場所にいて、たまにしか会うことが出来ないけれど、会うたびにあの子が男として成長しているのがわかって、とてもうれしいのよ。もちろん母親として寂しい気持ちもあるけれど・・・・あの子があなたに出会ったことを、私はうれしく思っています。司君とのことも、もちろん知っています。あの件も、あなたには辛かったでしょうけれど、人として大きく成長することになったのではないかしら」
「・・・・はい。そう思います。道明寺には、とても感謝しています」
 類のお母さんは、あたしの言葉ににっこりと笑って頷いた。
「やっぱりあなたは、私の思ったとおりの女性だわ。あなただったら・・・・きっと類を幸せにしてくれると思っています」
「え・・・・じゃあ・・・・・」
「もちろん、あなた達の交際を反対するつもりはありません。ただし・・・1つだけ、こちらの希望を聞いていただきたいの」
「希望・・・・・?」
「ええ。それが、もう一度大学へいくということ。大学を辞めることになった経緯も聞いています。あなたの気持ちは、理解しているつもりです。でも、やはり大学へ行くことはあなたにとって必要なことだと思うのよ。今後も類を支えて行ってくれるつもりがあるのならなおのこと、大学での勉強は必要不可欠だわ。いずれ・・・・・あなたが花沢の家に入ったとき。大学で学んだことは絶対に役立つことですし、逆に大学へ行かなかったことで、後悔することがあると思うわ」
「・・・・・・・・・」
「今、学ばなければいけないことをきちんと学んで欲しいの。学費についてはこちらで全て負担しますわ。今あなたが道明寺家に返済しようとしている分についても全て。そして、あなたには学業に専念して欲しいの」
「そ、そんなことは!」
「聞いて頂戴。あなたが今までしてきたアルバイトもとても大事なことだし、無駄ではなかったと思うの。でもこれからは、その時間を他の事に使って欲しいのよ」
「他のこと・・・・・?」
 首を傾げるあたしに、類のお母さんは優しく微笑んだ・・・・・。


 「それでは、良いお返事を待ってるわ」
 そう言って、類のお母さんは帰って行った。
 あたしはドアを閉めた後、しばらくその場に突っ立ったまま、考え込んでいた・・・・・

 『今のままのあなたもとても素敵だし、類にとっても十分魅力的だと思ってるわ』

 『だけど、今後のことを考えればあなたが花沢類と結婚ということになればいろんなことを言ってくる人たちがたくさんいるわ』

 『きっと類はあなたを守るでしょう。でも、あなたはそれで満足できるかしら?ただ類に守られるだけで』

 『自分をみがいて欲しいの。お茶や食事マナーや社交ダンス。他にもいろいろ、学ばなくてはいけないことがたくさんあるわ』

 類のお母さんの言うことは、いちいちもっともだった。
 そして、何よりもあの話・・・・・。

 『あなたには・・・・わたしのような後悔をして欲しくないの』

 そのきれいな瞳を伏せて・・・・ゆっくりと話し始めた。

 『あの子の・・・・・類の幼少時代の話を聞いているでしょう?父親が厳しかったのもあるでしょう。でも・・・たぶん一番の原因は私なのよ。あの子が母親を一番必要としていたとき・・・・わたしはあの子の傍にいなかった。あのころの私は、花沢の家を盛り立てようと・・・・花沢の家に認めてもらおうと必死だった。一流といわれる大学を出て、それなりの学と礼儀は備わっていたけれど、それだけでは足りなかった。花沢は何も言わなかったけれど・・・・でもきっと、周りにいろいろ言われていたと思うわ。私は・・・・私の父は有名な資産家だったけれど、私の母は、その父の愛人だった。政略結婚で一緒になった女性よりも前からずっと愛し合っていたけれど・・・母の家はフランスの一般家庭だったから。ずっと蔑まされてきて・・・・。認められたのは、父の本妻だった女性が亡くなって、父と母が駆け落ち同然で家を飛び出してから。そのとき母のお腹には私がいたの。前の奥さんには子供が出来なかったから・・・・仕方なく母を本妻として迎え入れたのよ』

 『そんな私を、花沢は妻として迎えてくれたわ。だけど母の苦労を見てきたわたしは、周りの目が気になって・・・必死に勉強したわ。類が生まれても、育児はほとんどを家政婦に任せて、仕事と勉強に明け暮れた。そして気付いたときには・・・・類は、母親の私にさえ笑ってくれない子になっていたのよ・・・・・』

 『そのとき・・・・・死ぬほど後悔したわ。私のたった1人の息子に、そんな思いをさせてしまうなんて・・・・母親失格だわ』

 『花沢も、後悔していた。花沢を継ぐものとして、厳しくしすぎたって。だから・・・類が今のように変わってくれたことがわたしも花沢も、とてもうれしいの。だからこそ、あなたたちに私達のような後悔はして欲しくないの。今やれることは、全て今やっておかなくては。そして2人に子供が生まれたら・・・・そのときは2人で、生まれてきた子供に精一杯の愛情を注いで欲しいのよ。そうすることがあなた達の、そして子供のためになるわ。それは結局、花沢のためになるということなのよ・・・・・』


 あたしは、その日全てのアルバイト先に電話をかけた。
 
 先のことはわからない。
 でも、今やるべきことは、今やらなくちゃ。
 後悔しないように・・・・・・
 あたしの中に、もう迷いはなかった・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 なんか、説明だけで終わってしまいましたが・・・・
 こんな感じの嵐です。

 遅ればせながら。
 31話のR版のお話を「Bitter&Sweet」の方へアップしました。
 文字通り18禁のお話となりますのでご覧になられる方はご注意くださいね。
 「Bitter&Sweet」については「Bitter&Sweet」のカテゴリをご覧下さいませ。

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ブランコ vol.35 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -akira-
 「・・・・・おもしれーな・・・・あんな余裕のない類、初めて見たかも」
 2人が行ってしまって。
 俺は先ほどまでの類の表情を思い出して1人笑っていた。
 そして牧野の笑顔・・・・・。
 恥ずかしそうに真っ赤になってはにかむ顔も、すねたような表情も、はじけるような笑顔も、どれも眩しくて・・・・
「やべえな・・・・・」
 あいつのいろんな表情が目に焼きついて、離れない。
 類にどんなに恨まれても、もう後戻りなんて出来ない・・・・・そう思った。
「そういや、総二郎のやつ・・・・」
 俺は類に聞いた話を思い出し、総二郎に電話をかけた。

 『・・・・・・なんだよ』
 電話口の向こうから聞こえてきたのは、総二郎の不機嫌そうな声。
 ってか、声枯れてねえ?
「なんだよ、風邪か?」
『おお。熱もあってさ、マジ参ったわ。今日は大学も休んだ。お前は、大学行った?』
「・・・・いや・・・・・」
 そう答えながら・・・・・・
 牧野と総二郎が、同時に風邪・・・・?
 俺の中に、ある疑惑が首をもたげる。
「・・・・・お前、牧野のバイト先に通ってたろ」
『・・・・ああ、まあな。何、類にでも聞いた?それとも牧野?』
「類。お前が、黙って牧野を連れ出したって怒ってたぜ」
『はは・・・・やっぱばれたか。牧野には言うなって言っておいたんだけど・・・・あいつ、嘘のつけねえ性格だからな』
「で、一緒に風邪ひいたわけだ」
『え、あいつも?やっぱり・・・・あそこ結構寒かったからな・・・薄着してたからジャケット貸してやったんだけど、やっぱ風邪ひいちまったか・・・』
「・・・・・・ふーん。2人で仲良く風邪ひいちまうほど寒いところへ行ったわけか」
『・・・・ちょっと待てよ。あきら、お前俺たちがどこ行ったか、聞いてねえの・・・・・?』
「いーや?俺は類から、『2人で食事した』ってことを聞いただけだぜ?」
 しばし沈黙。
 そのうち、電話口の向こうから盛大な溜息を聞こえてきた。
『・・・・・やられた・・・・・。てっきり牧野が全部しゃべったと思ったから・・・・・きたねえぞ、あきら』
「ふん、どっちが。で?どこいったんだよ?薄着してて風邪ひいたってことは外にずっといたんだろ?ってことは海かなんかか?」
『・・・・・あたり。俺が良く行くとこ・・・・夜の海に連れてった』
「なるほどね・・・で?その後車であいつんちまで送って・・・・眠りこけてるあいつにキスでもしたか?」
 抜け駆けされた事にイラついて・・・つい口から出た言葉。
 でも、電話口の向こうでは気まずい沈黙。
 まさか・・・・・
「・・・・ほんとにしたのか、キス」
『・・・・・あきらが俺の立場でも、してたんじゃねえ?』
「・・・・・・・・」
『・・・・・・・・』
「ま・・・・そうかもな。あいつ、今日バイト先で熱出してぶっ倒れたんだよ」
『ぶっ倒れた!?』
「ああ。ちょうど俺もそこにいたから、あいつを運んでやった」
『運んだって・・・どこに?』
「まずは病院に連れて行った。で、あいつんち電話したんだけど誰も出ねえから、俺のうちに連れてきた」
『・・・・・・で?』
「それだけだよ。類が心配して電話してきて、ここにいるって言ったら慌てて迎えに来た」
『は・・・なるほど。で?何した?』
「・・・・類と同じこと聞くな」
『・・・・・俺にああ言うってことは・・・あきらもあいつにキス、した?』
 俺はその問いには答えなかった。
 2人の間に、なんとも言えない沈黙。
「・・・・類には、言わないでおいてやるよ」
『ああ、俺も。ってか、病人に何してんだよ』
「お前に言われたかねえよ。大体、お前が俺の立場だったらキスだけじゃすまなかったんじゃねえの」
『バカ言うなよ。おれだってそこまで野獣じゃねえ』
 ふてくされたような物言いに、思わず噴出す。
 総二郎がどんな表情をしているのか、手に取るようにわかった。
 普段ポーカーフェイスをなかなか崩さないやつが・・・・
 全く牧野はたいした女だと思う。
『笑うな。・・・・ったく・・・・・具合が悪くなきゃ、そこまで行って殴ってるとこだぜ』
「物騒なこと言うなよ。ま、具合が悪いならおとなしく寝てな。昨日まで忙しくって何も出来なかった分、俺がその間に取り返しといてやるよ」
 俺のセリフに、総二郎が少し笑う気配がした。
『冗談。言っとくけど俺がマジになったら、あきらにはぜってえ負けねえぜ』
「それはこっちのセリフ」
 電話越しに、挑発しあう。
 お互い、絶対に弱みは見せられない相手だ。
 本気を出さなきゃ、負ける。
『・・・じゃ、大学でな』
「ああ、お大事に」
 そう言って電話を切った。
 携帯を握っていた手には、いつの間にか汗をかいていた。
 それに気づいて苦笑いする。
 こんな会話を、総二郎や類とすることになるとは思っていなかった。
 だけど・・・・・・
「・・・・・おもしろい・・・・・」
 本気だからこそ。
 今まで感じたことのない闘志が、胸のうちに漲っていた・・・・・。


 -rui-
 牧野を車に乗せ、家まで送るために走らせる。
 その間、俺はどうにも納まらないイライラを黙っていることで抑えていた。
「類・・・・もしかして、怒ってる・・・?」
 牧野が俺の顔を見ながら、恐る恐る聞いてくる。
「別に、怒ってない」
「嘘。あたしが倒れたこと怒ってるの?」
「怒ってないよ。何でそんなことで怒るの。具合悪かったのは仕方ないし、無理するのもいつものことだろ?」
「じゃ、何で・・・・・?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・類ってば!」
 牧野が堪えきれずに俺の名を呼ぶ。
 俺は、溜息を着いて車を路肩に寄せた。
「・・・・興奮すると、また熱が上がるよ」
「ごまかさないでよ・・・・何怒ってるか教えて。あたしには知る権利があるでしょ?」
 牧野の言葉に、俺はふっと笑った。
「相変わらず強気な女」
「これがあたし。牧野つくしだもん。それとも、あたしのこと嫌になった?」
 急に、声音が弱くなる。
 顔を見ると、いつもの強気な表情に、泣き出しそうな色が見え隠れしていた。
「牧野・・・・・」
 俺はそのまま牧野を引き寄せ、何か言おうとする唇を塞いだ。
 舌を絡ませ、俺を押し戻そうとする手を掴んだ。
「・・・・ふ・・・・・・っ・・・・・・」
 すぐに息が上がってしまった牧野の唇を開放する。
「・・・・・風邪、移っちゃうよ・・・・・」
「移せば、良くなるよ」
「・・・・・類に迷惑かけたくない」
「迷惑だなんて思ってない」
 そう言って笑うと、牧野も少し安心したように微笑んだ。
「・・・・・俺が牧野を嫌になるなんて、ありえないよ」
「だって・・・・・」
「牧野が悪いんじゃない。ただ・・・・・・俺が、やきもち妬いただけ」
「・・・・・ひょっとして、美作さん・・・・・?」
「あれ、今日は鋭いね?熱のせい?」
 俺が笑うと、牧野はすねたように唇を尖らせた。
「茶化さないで。だって、それしか思い当たらないもん。今日は他に男の人と話したりとかしてないし」
「・・・・・あきらのこと・・・どう思ってる?」
「どうって・・・・友達でしょ?」
 牧野が戸惑ったように答える。
「じゃ、総二郎のことは?」
「西門さん?西門さんだって友達でしょ?何で急にそんなこと?」
「俺以外に、今身近にいるのはその2人でしょ。友達でも男は男。特にあの2人じゃ心配だよ」
 俺の言葉に、牧野はぷっと吹き出した。
「大丈夫だよー、だってあの2人が好きなタイプって、あたしとは全然違うでしょ?あの2人にとってあたしって『女』じゃないもん。類ってば、心配しすぎだよ」
 思わず溜息が出る。
「・・・・・牧野がそう思ってるなら・・・いいけど」
 鈍感な牧野。このまま気付かないならそのほうが良い。
 気付いてしまったらきっと牧野のこと、あの2人を傷つけないようにと悩むはずだから。
「変な類。心配しなくても、あたしそんなにもてないよ。それに・・・あたし、そんなに浮気性な女じゃないよ」
 まじめな顔でそう言う牧野に、つい笑みが漏れる。
「どうかな。俺が放って置いたらどうなるかわかんないじゃん」
「もう!・・・・・じゃ、放っておかないで?」
「え・・・・・」
「類が、あたしのことずっと捕まえててくれたら・・・・あたし、どこにも行かないよ」
 恥ずかしそうに、顔を赤らめてそんなことを言うから。
 また、離したくなくなる。
 このままどこかに閉じ込めてしまいたい。
 ずっと一緒にいたい・・・・・
「・・・・・・そんなこと言われたら、本当に離せなくなるよ・・・・・」
 そう言いながら・・・・・
 俺はまた、牧野を抱きしめた。
 今度は額にそっとキスを落として・・・・
「まだ熱い・・・・。明日はちゃんと休めよ」
「ん。そうする・・・・。ごめんね、心配かけて」
「ごめんねは聞き飽きたってば。とにかく、牧野が元気になってくれれば、俺はそれで良い」
 そう言って笑うと、牧野も笑って頷いた。

 こんな風に穏やかなときがずっと続けば良いのに・・・・・・
 そう思っていたのに。
 牧野はきっと、波乱を呼ぶ女なんだ。
 もうすぐそこに嵐がやってきていることに、俺も牧野もまだ気付いていなかった・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 二次小説っていうのは、ある意味自己満足の世界なんですよね。
 自分の書きたいものを書いて楽しむ。
 それを読んで楽しんでくれる人がいればなおうれしい。
 でも、書きたいものを書いているだけなので、もちろんそれを良しとしない人もいるでしょうね。
 だけどわたしにはこういうものしか書けないし。
 今はそれで満足しているので、誰になんと言われようと、自分のやり方は変えられません。
 いろんな方から感想のメールを頂いて、本当に励みになってますし、読むのが楽しいです。
 これからもわたしなりにがんばりますので、どうかお付き合いくださいませ。

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ブランコ vol.34 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 どうしてあきらが?

 あきらの声が電話口から聞こえた瞬間、俺の頭の中は真っ白になった。

 昨日、牧野をうちに強引に泊めて・・・
 バイト先まで送っていったまでは良かったけど、あの後の牧野のことがどうしても気になった。
 どことなく、だるそうに見えた。
 ずっと休みなくバイトをしているから、疲れているんだろう、と思った。
 でもやっぱり気になって・・・・
 それでも仕事が急がしくて、なかなか時間ができず、漸く時間を作れたのはもう夕方の5時近くて。

 メールしてみたけど、返事はすぐに来ない。
 電話をかけてみても、一度目は留守電になってしまった。
 すぐにかけなおして・・・・漸く出たと思ったら、そこから聞こえてきたのは聞きたかった牧野の声ではなく、あきらの声だった。

 あきらのとの電話を終えて、俺はその後の仕事を大急ぎでやっつけた。
 次の日に回せるものは全て回し、急がなければいけないことだけを片付けると後を会社のものに任せ、すぐに車を走らせた。

 

 あきらの家に着き、家に通されると俺は牧野の居場所を聞き、真っ直ぐにその部屋へと向かった。

 扉の前に立つと、中から牧野の楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
 俺はノックをしようとしていた手を止め、そのままドアを開けた。
「類!」
 牧野が俺を見て、うれしそうに微笑む。
「牧野・・・・・今日、倒れたって」
「うん・・・・ちょっと熱があったみたいで・・・・・。たまたま美作さんがあそこにいてね、病院に連れて行ってくれたの」
「・・・・たまたま、ね・・・・・」
 俺はちらりとあきらを見てみたが、あきらは俺のほうを見ずに知らん顔を決め込んでいる。
「で・・・・今は?まだ熱あるの?」
「えーと、さっき測ったときは少しあったけど・・・・でも、気分は大分いいの。明日にはきっとすっかり良くなると思うんだ」
「そっか・・・・。でも無理しないで、明日1日くらい休めば?」
「うん、さっき美作さんにもそう言われて・・・・だから、明日1日はお休みもらうことにしたの。その後2日仕事したら、また休みだし、それなら無理でもないしね」
 そう言って牧野は笑った。
「・・・・・なら良かった。そろそろ帰る?」
「うん。あ、その前に・・・・えーと、美作さん、トイレ借りていい?」
 牧野が少し照れくさそうに言うと、
「おお。あ、ワリイこの部屋のトイレ故障してんだ。明日業者が来ることになってんだけど・・・この部屋出て左の突き当たりにあるから、そっち使ってくれるか」
「うん。ってか、この部屋にもトイレあるって知らなかったよ。各部屋にあるの?すごいね」
 感心しながらベッドから起き出して、部屋を出て行こうとする牧野。
「大丈夫?着いていこうか?」
 と言う俺に、
「大丈夫。そんなに重病人じゃないよ」
 と、ちょっと頬を赤らめて言い、出て行った。

 しばしの沈黙の後、口を開いたのは俺。
「・・・・なんで、あのビルにいたの?」
 それを聞いて、苦笑するあきら。
「・・・あそこに俺が、仕事でいたとは思わねえの?」
「思わない。今日、牧野があそこでバイトだったから・・・だろ?牧野に会うためにあそこに行ったんだ。違う?」
「・・・ちがわねえ。もうごまかしてもしょうがねえわな。そのとおり、牧野に会いたかったんだ。で、あそこに行って・・・声かけようかと思ったら目の前でぶっ倒れて、めちゃくちゃあせったぜ」
「で・・・・・ここに連れてきて。それから?」
「それからって、それだけだよ。電話でも言っただろ?熱出して寝てるやつに、何が出来るって言うんだよ」
「・・・・・・・何もせずにいるほうが無理って気がする」
 俺の言葉に、あきらが一瞬ぎくりとした顔をする。
 それはほんの一瞬だったけど・・・俺の目はごまかせない。
「・・・・・・・何したの」
 俺の表情が変わったのを見て取ったのか、あきらが俺から目を逸らす。
「だから、何もしてねえって!お前親友を疑うなよ」
「親友だからこそ・・・・あきらのこと良く知ってるから疑うんだろ」
 俺の言葉にあきらが脱力する。
「お前な・・・・・」
「・・・・・あきらも総二郎も、このことに関しちゃ信用なんか出来ないよ。総二郎だって、俺に黙って牧野連れ出すし・・・」
「は!?なんだよそれ、俺聞いてねえぞ」
 あきらの顔色がさっと変わる。
「俺だって総二郎からは聞いてない。牧野から、一緒に食事したって聞いただけで・・・・だけど、それを俺に黙ってたってことは下心があったってことでしょ?」
「・・・・ま、そういうこったな。しかし、総二郎のやつ・・・・やっぱりあいつが一番油断できねえな」
 あきらの言葉に、俺は思わず顔をしかめる。
「俺から言わせれば、あきらだって変わんないよ。言っとくけど、牧野に何かしたらいくら2人でも絶対許さないから」
 俺の言葉に、あきらの顔がこわばる。

 「すっごい広くてきれいなトイレだね~。しかもいいにおい。あのトイレもお母さんの趣味?」
 ドアが開くなり、牧野がそう言いながら入ってくる。
 それまでの張り詰めた空気が一瞬にして変わり、あきらがほっとしたように息を吐き出す。
「・・・この家のもんは、俺の部屋以外全部母親の趣味だよ」
「へえ~。お嫁さんになる人大変だ。あ、でも同じ趣味の人なら問題ないか」
 牧野の言葉に、あきらが顔をしかめる。
「バカ言うな。同じ趣味のやつなんて冗談じゃねえよ。大体、結婚したらここには住まねえし」
「あ、そうか」
「牧野、もう行こう」
 俺が声をかけると、牧野は頷いたが・・・
「うん。あ・・・・・」
 と、急に何か思いついたようにあきらを見て、それからちょっと赤くなった。
 ―――なんだ?
「どうした?」
 あきらの言葉に牧野はちょっと言いづらそうにしていたが、ちょっとあきらのそばへ駆け寄ったかと思うと、何事か耳打ちをし始めた。
「牧野?」
 その行動にむっとして俺は牧野を呼ぶ。が、牧野は答えずにあきらに何か言った後、あきらの反応を気にしているようだ。
「なんだ、そのことか。心配すんな。やったのは俺じゃなくて家政婦だから」
 その言葉に牧野はほっと胸をなでおろしている。
 あきらはちらりと俺のほうを見ると、小さく笑った。
「何の話?」
 思わずむっとして聞くと・・・・
「な、なんでもないよ!ほら、行こう!」
 そう言って牧野が俺を引っ張る。
 なんでもないって?
 それで俺が納得すると思っているんだろうか。
 俺がじーっと牧野を見つめていると、牧野はうっとつまり、ちょっと視線を泳がせた後、仕方ないといった感じで溜息をついて口を開いた。
「・・・・・あたし、バイト中に倒れて・・・そのとき作業服着てたはずなのに、ここで目覚めたときには、私服に着替えてたから・・・・誰がやってくれたのかなって・・・・・」
「俺がやったと思ったんだろ。別に俺がやってやったって良かったけど」
 そう言ってにやりと笑うあきら。
 あきらをじろりと睨む俺。
 牧野は、あきらの言葉に真っ赤になって「何言ってんのよ!」とか言ってる。
 そういう顔、あきらに向けないで欲しい・・・・・。
「だから、家政婦にやってもらったって言っただろ。心配すんなよ」
 くすくすと楽しそうに笑うあきら。
 真っ赤になっている牧野の反応と、俺がやきもちを妬いているのを楽しんでいるんだ。
「牧野、行くよ」
 俺は今度こそ牧野の腕を取ると、ドアを開けた。
「あ、待ってよ。あの、美作さん、ありがとう。今度お礼するから・・・・・」
「ああ、気にすんな。またいつでも来いよ。おいしい紅茶用意しとくから」
「うん!じゃ、また・・・・・」
「牧野!」
 俺はあきらに笑顔を向ける牧野を引っ張り、手を振るあきらにちらりと視線を向けてから、その場を後にしたのだった・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 すいません~。類つくのラブラブは、この後出てくる・・・予定です。
 しばしお待ちを!!
 
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「にゃんこのうしろがわ」

ブランコ vol.33 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -akira-
 俺は部屋を出ると、ふーっと溜息をついた。
 ―――参ったな・・・
 あいつを抱き上げたとき・・・あまりの軽さにびっくりした。
 その体は見た目よりも細くって、力を入れて抱きしめたら、そのまま折れてしまうんじゃないかと思うくらい華奢で・・・・
 あいつの熱が、移ってしまったみたいに自分の体が熱くなるのを感じて、正直焦った。
 そして・・・・
「あの顔は、反則だ」
 熱のせいで、上気してほんのり赤く染まった頬と、潤んだ瞳。
 ゆらゆらと揺れる瞳で見つめられたら、とても冷静でなんかいられない。
 冗談にしてごまかしてしまったけれど、あのままだったらやばかった・・・・・。


 俺は2人分の紅茶を入れると、再び部屋に戻った。
「おい、牧野――――と」
 ベッドでは、牧野が再び寝息を立てていた。
 俺はそっとテーブルに紅茶を乗せたトレイを置くと、静かにドアを閉めた。
「―――ったく・・・無理しやがって」
 俺はベッドの横に置いてある椅子に座り、牧野の寝顔を見つめた。
 まだ熱のせいで顔は赤かったが、呼吸はだいぶ楽になったようだ。
「・・・ガキみてえな顔」
 まだあどけなさが残る顔。
 それでも、ときどき女の顔も垣間見えて。
 そんな顔をするようになったのは、きっと類のせいだろう。
 牧野のことをずっと見てきて、こいつがどんな思いで司と付き合っていたか。どんな思いで別れたか。そしてどんな想いで類と付き合うことにしたか・・・
 わかっているつもりだ。
 わかっていてもなお、俺の想いは募るばかりで・・・・・。

 もうやめようとか。
 こいつは友達だからとか。
 何度も自分に言い聞かせてきて。
 それでもやっぱりダメだった。
 こんなに1人の女に嵌るなんて、思ったこともなかった。

 額に張り付いた前髪を、そっと指ですくう。
「ん・・・・・・・・・」
 微かに反応する牧野。
 それを見て、またうるさくなる俺の心臓。

 ―――このままじゃ、やばい・・・・・
 離れなければ。
 そう思うのに、体が動かない。
 俺の手が、牧野の頬に触れる。
 火照った頬。
 俺の手の温度が低くて気持ちよかったのか、擦り寄ってくるような仕草。
 体が勝手に動く。
 少しだけ開いた、ほんのりと赤い唇に誘われるように、顔を近づける。

 唇まで、あと1センチ・・・・・

 そのとき、突然どこかから何かの曲が響いてきた。

 反射的に牧野から離れる。
「やっべ・・・・・」
 俺は大きな溜息をつくと、音源を捜した。
「・・・・メールか・・・?」
 それは、牧野のバッグの中から聞こえてきた。
 しばらくすると曲は止み、また牧野の静かな寝息だけが部屋の中に響いた。

 「そういや、類に連絡しなきゃいけないんだったっけ・・・」
 そう言いつつ・・・・俺は牧野を見つめたまま、動けずにいた。
 こいつがここにいるってわかったら、類のやつはどうするかな・・・・・
 仕事ほっぽって迎えに来るか、それとも俺のことを信用してこのまま任せてくれるか・・・・・
「それはねえか」
 きっとあいつは一も二もなく駆けつけるだろう。
 元々自分の家の仕事に対しても執着がない。
 もちろんジュニアとして家を継がなきゃいけないってことはわかっているんだろうが・・・・。
 それでも、あいつにとって牧野以上に大切なものなんて、今はないんだろう。
 それは類を見ていればいやって程伝わってくる。
 本当だったら、幼馴染として、親友として、あいつのことを応援してやらなきゃいけない立場なんだろうな・・・・・。

 でも、それが出来ない・・・・・
 俺はもう一度、牧野に触れようとして・・・・・
 今度は、さっきとは違う曲が牧野のバッグから聞こえてきた。
「・・・・・・今度は、電話か・・・・・・」
 しばらくすると曲が止む。
 が、またすぐに鳴り出す。

 俺はしばらく放っておいたが、あんまりにもなり続けるから、仕方なく牧野のバッグから携帯電話を出すと、その画面を確認した。
「・・・・・類か・・・・・」
 鳴り続ける携帯。
 このまま放っておいたら、あいつのことだ、仕事そっちのけで牧野のバイト先に電話して、今日のことも調べて、そしてここまでたどり着くんだろうな。
 そのまま放っておこうかとも思ったが・・・・・
 俺の手が、勝手に動いていた。
「もしもし」
 電話の向こうで、一瞬息を呑む気配が伝わってくる。
「・・・・・・あきら・・・・・?」
「さすが、幼馴染。よくわかったな、声だけで」
「・・・・・なんであきらが牧野の携帯に出んの?牧野は?」
「寝てる」
「寝てる!?どういうこと!?」
 その、余裕のない声に、苦笑いする。
「あきら!?今どこにいんの!!」
「でかい声出すなよ。聞いてるから。今、俺んち」
「・・・・あきらの家?何で・・・・・」
「あいつ、仕事中に熱でぶっ倒れたんだよ。ちょうど俺がその場に居合わせたから、病院に連れてった。で、あいつんち誰もいなかったから俺んちに連れてきた。心配すんなよ、何もしてねえから」
 電話口の向こうで、沈黙する類。
 きっと心配しているんだろう。
「お前、まだ仕事中だろ?終わったら迎えに来いよ。それまで俺が見ててやるから。・・・・・ま、ただ見てるだけって保証はないけど?」
「!!あきら!」
 類の慌てた声に、思わず噴出す。
「ぶっ・・・・冗談だよ。熱出して寝込んでるやつ襲うほど、俺は野獣じゃねえよ。心配すんなって。とりあえず仕事ちゃんとやれよ。じゃあな」
 そう言って俺は電話を切った。

 きっと、あいつは猛スピードで仕事を片付けてここに来るだろうな。
 親友だから安心して任せられるなんてこと、今はありえない。
 俺の気持ちを知っているから。
 きっと、司と牧野が付き合っているとき、類も同じ気持ちだったはずだ。
 好きな女と2人きりでいて、たとえそれが親友の彼女だとしても、平気でいられるはずがないってあいつは知ってるはず・・・。

 牧野を見ると、相変わらず無邪気な顔して眠っている。
「―――暢気なやつ・・・・」
 本当なら、このまま閉じ込めておきたい。
 類には渡さず、自分だけのものに出来たら・・・・・
 だけど、それじゃダメだ。
 今、そんなことをしてもこいつは手に入らない。
 牧野の心も、体も、笑顔も全部手に入れるには・・・・無理やり奪うんじゃ、ダメなんだ・・・・・

 「好きだ・・・・・」
 掠れる声で囁く。
 自分でも驚くほど、切なさが滲む声。

 類が来る前に・・・・・
 これくらいは許されるんじゃないか・・・・・?
 なんて勝手な解釈をして。

 俺は、寝ている牧野にそっと顔を近づけ、唇を重ねた。
 やわらかく、温かい唇。
 熱で荒くなった呼吸が、まるで俺を誘っているようで・・・・
 俺は2度、3度と続けてキスをした。
「・・・・・ん・・・・・・・」
 3度目のキスの後、牧野が微かに身じろぎをして・・・・
 ゆっくりと、その目を開いた。
「・・・・・美作さん・・・・・・」
 焦点の合わない目で俺を見上げる。
「・・・・類から、電話あったぞ」
「・・・・・え!」
 俺の言葉に、一気に目が覚めたように目を見開く。
「仕事終わったら、迎えに来るって。だから、それまではここで休め」
「あ・・・・・ありがと・・・・あの、類、なんて・・・・・」
「別に、そんだけ。仕事中だったみてえだし」
「そっか・・・・・」
「紅茶、入れたけど・・・・もう冷めちまったな。もう1回入れなおしてくる」
 そう言って立ち上がろうとした俺を、牧野が慌てて止める。
「あ、いいよ、それ、飲む。熱いと飲めないし・・・」
「そうか?じゃ、ちょっと起きろよ」
「うん」
 牧野はベッドに起き上がり、俺の渡した紅茶をゆっくり飲んだ。
「・・・・おいし・・・・。美作さんて、こういうの上手だよね」
「慣れてるからな。お前、紅茶好き?」
「うん!うちでは安物の紅茶しかないけどね。でも好き」
 『好き』
 その言葉に、思わずどきりとする。
「・・・・じゃ、また来いよ。いつでも入れてやる、おいしいやつ」
「ほんと?うれしい!じゃ、今度来るときはお茶菓子作ってこようか」
「げ。食えるやつか?それ」
「あー、ひっどい!超うまいっつーの!」
「お前、女がうまいとかゆーなよ、おいしいって言え」
 そう言って笑いながら・・・・

 今度こいつが来たときのために、おいしい紅茶を用意しておいてやろうと、俺は思った・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 急げ、類!(笑)

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ブランコ vol.32 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
 「まさか、類の家から出勤することになるなんて」
 あたしは車の助手席で溜息をついた。
「でもちょうど良かった。俺1人だと、なかなか起きられないんだよね」
 と、類が笑う。
 昨日、あれから結局類に流され、類の家に泊まってしまったあたし・・・。
 車で送ってく、という類の好意に甘えてこうしてバイト先へ向かっているところだった。
「家政婦さんに起こしてもらうんでしょ?いつも」
「ん。でも、大抵1回では起きられないし。できれば毎日牧野に起こして欲しいなあ。今日もうちに来ない?」
「な、何言ってんのよ!」
 あたしが慌てて言うと、類が笑い出す。
「冗談だよ。あんたってやっぱりおもしろい」
「もう・・・・・」
 毎日起こして・・・・って、毎日あんなんじゃ寝不足になっちゃうよ・・・・・。
 あたしは、昨夜のことを思い出し・・・・カーッと顔が熱くなっていくのを感じた。
「何赤くなってんの」
 類がニヤニヤしながらあたしを見る。
「な、なんでもないよ!」
「・・・昨日のこと、思い出しちゃった?」
 なんて含み笑いをしながら言うから。
 ますます恥ずかしくなってしまうあたし。
「そ、そんなんじゃ・・・・!」
「昨日、すごくかわいかった」
 にっこりと微笑む類。
 な、何でそんなこと、そんな顔で言うかなー!
「ぶっ・・・・・・牧野、顔真っ赤だよ」
「だ、誰のせいよ!!」


 今日のバイト先は、久しぶりのあのビルだ。
 清掃会社の休みも終わり、また昼間は清掃、夜は居酒屋というバイト生活が始まる。
「じゃ、夜また迎えに行くから」
「うん、じゃあね」
 そう言ってシートベルトを外して降りようとすると―――
「きゃっ!?」
 突然横から腕が伸びてきたかと思うと、あっという間に類に抱きしめられ、唇を塞がれた。
「・・・・・っんっ・・・・・・・・!!」
 いきなりの深いキスに、あたしの頭の中は真っ白。
 必死で身を捩るが、男の人の力に敵うはずも無く・・・・
 漸く開放されたころには、すっかり息が上がっていた・・・・。
「もう・・・っ、遅刻しちゃうよ!しかも、こんなとこで・・・・」
 車の外は、結構人通りもあるのだ。
「誰も見てないよ。それに・・・・牧野が悪い」
「な、なんで!」
「俺を煽るから」
「煽ってなんか・・・!」
「いいの?時間」
 類の言葉にあたしははっと我に返る。
 やば!
「い、行ってくる!」
「行ってらっしゃい」
 車の中から余裕の笑顔で手を振る類。
 それを振り返る余裕もなく、あたしはビルの中へ駆け込んで行ったのだった・・・・。



 相変わらず広いビルの中で、あたしはもくもくと掃除をしていたが・・・・・
 ―――なんか、だるい・・・・。風邪引いたかな・・・・・
 おととい西門さんと海に行ったとき、結構寒かったから・・・・。
 熱っぽいような気もしたが、このくらいは気力で何とかなるような気がした。
 あと少しで昼休みだし・・・・・
 そう思って、あたしは気合を入れようと体を伸ばそうとしたが、その瞬間・・・・・

 グラリ

 体が揺れた。
 かと思ったら、急に目の前の風景が歪み、力が抜けていくのを感じた。

 「牧野!!」

 目の前が真っ暗になる直前、誰かの声が聞こえた気がした・・・・・。


 
 -akira-
N.Y.から帰ってきてからというもの、家の仕事を押し付けられて朝から晩まで走り回ってすっかり睡眠不足だ。
 当然、牧野と会う時間なんてこれっぽちもなかった。
 類も忙しそうだと聞いていた。
 それでも居酒屋のバイトの帰りの時間までには何とか片付けて迎えに行ってるらしい。あいつは、牧野が関わると本当に人が変わる。いや、それが本来のあいつの姿なのかな・・・。
 総二郎は何も言ってこないけどたぶん牧野と会っているんだろう。
 あいつのことだ。毎日のようにあのファミレスに通いつめてるに違いない。
 焦っても仕方がないことだとはわかっているけど、落ち着かなかった。
 それ以上に、牧野に会いたかった。
 仕事に追われて精神的にも疲れきって。
 早く牧野の笑顔がみたかった。
 牧野の笑顔が見られれば、疲れなんか吹っ飛ぶ。
 そう確信してた。


 今日の牧野のバイトは、例のビルでの清掃だとわかっていたから、俺は大学に行く前にビルへ向かった。
「お疲れのようですから、今日はおやすみになれば」
 そう言われたが、おとなしく家にいるよりも、牧野に会った方が癒される。

 その姿はすぐに見つけた。
 相変わらず仕事をしているときのあいつは生き生きとしている。
 が・・・・・
 あいつ、どうしたんだ・・・・・?
 何か、おかしかった。
 動きに、いつもの切れがない気がした・・・。

 次の瞬間、牧野の体が揺らいだと思うと、そのまま前に倒れこんだ。

 「牧野!!」

 瞬間、俺は駆け出していた。
「おい!牧野!!」
 牧野の体を抱き起こす。
 牧野の体が、熱かった。
 呼吸が荒い。
「熱があるのか・・・おい、牧野・・・?」
「どうしたんですか!?」
 この会社の社員が俺に気付いて駆け寄ってくる。
「救急車を呼びますか?」
「・・・いや、それよりも俺の車を使った方が早い。悪いけど、地下の駐車場まで先導してくれるか?これ、車のキー」
 そう言って俺は、車のキーをその男に渡した。


 -tsukushi-
 体がだるい・・・・・。
 まぶたが重い・・・・・。
 でも、なんだろう・・・・良いにおい・・・・・これは・・・・バラ・・・・?

 ゆっくりとまぶたを開く。
「・・・・・・・?」
 明るい天井。
 ここはどこ?
「よお、気付いたか」
 声の方を見てみると、そこには美作さんが座っていた。
「美作さん?何で・・・ここどこ?」
「俺んち。お前、あのビルでぶっ倒れたんだよ。覚えてねえ?」
「・・・・倒れた?あたしが?」
「そ。すげぇ熱があったから、俺の車で病院に連れてった。風邪だろうって言われたけど・・・過労もあるみたいだな。お前、N.Y.から帰ってきて、ろくに休んでねえだろ」
「うん、まあ。でも、これくらいいつも平気なのに・・・」
「過信するな。いくら稼ぎたくたって、倒れてたら世話ねえよ。自分の健康管理くらいしっかりしねえと」
「・・・・だね。ありがとう、美作さんが運んでくれたの?あのビルにいたんだ」
「ああ、たまたまな・・・。お前んちに運ぼうと思ったんだけど、誰もいねえみたいだし、とりあえずここに運んだ」
「ここ・・・・美作さんの部屋?」
 周りを見回す。
 広い部屋にはバラの花が飾ってあり、なんだかメルヘンチックな・・・・
「バカ言うな。ここは客間。こんな少女趣味な部屋、俺の部屋な訳ねえだろ」
 顔をしかめて言う美作さんがおかしくて、思わず噴出す。
「・・・・・・大丈夫そうだな」
 美作さんが、優しく微笑む。
「お前が元気ねえとこっちまで調子狂う。そうやって笑っててくれよ」
 あたしの目をじっと見つめて、そんな風に言ってくれるもんだから、思わず赤くなってしまう。
「な、何言ってんのよ、急に。いつもうるさがるくせに」
「だから、うるさいくらいでお前はちょうどいいんだよ。お前のそういう元気なところ、俺は好きだよ」
 ドキン。
 別に、深い意味じゃなくて、友達としてってわかってるけど。
 その整ったきれいな顔で見つめながら言うもんだから、どう返したらいいのかわからない。
 その上、美作さんはあたしをじっと見つめたまま動かないもんだから、なんだか緊張してしまって変な汗が出て来た。
 ―――な、何?この空気は。
 
 「・・・・・・・・・・・・・ぶっ」
 突然美作さんが、耐え切れなくなったように吹き出した。
「な・・・・!」
「お前、なんて顔してんだよ」
「だだ、だって、美作さんが急に変なこと言うから!」
「どもんなよ。本気で口説かれると思った?」
「べべ、別に!」
「だからどもんなって。ほんとお前っておもしれえな。一緒にいて飽きねえわ」
「・・・・・・・・・それはどうも」
 いつまでもおなかを抱えて笑ってる美作さんを、あたしはじろりと睨んだけれど・・・・
「ま、でも安心したよ。その分なら大丈夫そうだよな。けど、居酒屋のバイトは休めよ」
「え・・・・・」
「え、じゃねえだろ。まだ熱下がってねえんだぞ。今日は休め」
「でも、類が・・・」
「ああ、俺が連絡しといてやるから。まだお前の家族も戻ってねえだろうからもう少しここで休んで行けよ」
「そ、そんなわけにいかないよ!もう大丈夫だから・・・バイトは休むけど、家に帰るよ」
「・・・・ふーん・・・?」
 そう言って美作さんはちょっと細目であたしを見て・・・・起き上がろうとしたあたしの額を人差し指でツンと押した。
 と、あたしはまたそのままベッドにとすんと倒れた。
「な・・・!」
「ほれみろ、まだふらふらしてんじゃねえか。いいから休んでけ。今何か飲み物持ってきてやる。いいか、動くなよ」
 そう言って美作さんはあたしに向かってびしっと指差しをすると、そのまま部屋を出て行ってしまった・・・。

 「・・・・・・・・何よ、もう」
 普段見たことのない美作さんの顔を見てしまった気がして、なんだか落ち着かなかった。
 熱のせいか、やっぱり体がまだだるい。
 目を閉じてみると、急に体が重くなったように、ふわふわのやわらかいベッドに沈んでいくような、奇妙な感覚がして・・・・
 そのままあたしはまた、眠りに落ちていった・・・・・



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ブランコ vol.31 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 居酒屋のバイトが終わり、車で待っていた類の元へ行く。
「お待たせ」
「ん。おつかれ」
 いつもと変わらない類の笑顔。
 この笑顔を見ると、バイトの疲れも吹っ飛んでしまうようだ。
 類の隣で、彼の空気に包まれる。
 できればずっと、こうしていたいと思うくらい、安心する空間だ・・・・・。

 「牧野」
「え?」
 ふいに類に呼ばれ、あたしは我に返る。
「疲れてる?」
「少しね。でも大丈夫」
「・・・・これから、うちに来ない?」
 類の言葉に、あたしは「え」と驚いてその顔を見る。
「これからって・・・・これから?」
 あたしの間抜けな問いかけに、類はくすくすと笑い出す。
「そう言ってる」
「あ、あのでも、こんな時間に、迷惑じゃ・・・・」
「大丈夫。俺以外には家政婦しかいないし、この時間はもう休んでるから、遠慮しないでいいよ」
「で、でもあの・・・・・」
「牧野」
「はい」
「いやなの?」
「・・・・・・そんなはず、ない」
 薄茶色のビー玉のような瞳でじっと見つめられたら、もう何も言えなくなる。
 そういうこと、きっと類は分かっててやってるんだって思うのは考えすぎかな?
「じゃ、行こう」
 そう言って満足そうに微笑むと、類はまた前を向き、運転することに集中した・・・・・。


 「類って、こうと決めたら絶対曲げないよね」
 類の部屋に通されて。
 あたしは思ってたことを言ったら、類はくすりと笑った。
「それは牧野でしょ。あんたみたいに頑固な女、見たことないってみんな言ってるよ」
「ふーんだ。どうせ、かわいくないですよ」
 ベッと舌を出すと、類は楽しそうに笑った。
 子供のように無邪気な笑顔。
 そういう笑顔、大好き。
「そんなこと言ってないよ。俺にとってはどんな牧野だってかわいい」
 照れもせず、そんなことさらっと言ってくれるもんだから、あたしはとっさに何も言えなくなってしまう。
「・・・・・ずるいんだから」
「何が?」
 そう言いながら類はあたしの手を引き、ベッドに座った。
 軽く引っ張られ、あたしもその横に座る。
 そのまま類があたしの顔を覗き込むから・・・・
 息がかかるほどの近い距離に、どきんと胸がなる。
「な、何?」
「・・・・・・・・・聞きたいことが、あるんだけど」
「え・・・・・」
 何?と聞こうとして。
 その前に、唇を塞がれる。
 あたしの肩を引き寄せ、もう片方の手を頬にそえる。
 それはすぐに深いキスに変わり、あたしの頭の中心がジンと熱くなる。
「・・・・・・っん・・・・・・・」
 息苦しさに少し身を捩ると、ようやく類はあたしの唇を解放してくれた。
「・・・・・・・昨日、どうしてた?」
 あたしの眼をじっと見つめながら、息のかかる距離で聞かれる。
「昨日・・・・って・・・・・」
「居酒屋のバイト、休んだでしょ?ファミレスのバイトの後、すぐに家に帰ったの?」
 ドキン。
 ―――類には、言うなよ
 西門さんの顔が頭に浮かぶ。
「あ・・・当たり前・・・でしょ。何?急に・・・」
 嘘をつく後ろめたさに胸苦しさを感じながらも、あたしはそう言った。
「・・・・・・・・本当に・・・・・?」
 疑っているような類の目。
 もしかして・・・・知ってる・・・・・?
「何でそんなこと聞くの?あたしが・・・・嘘ついてるって思うの?」
「・・・・・そうじゃないけど・・・・・」
 あたしの言葉に、類はちょっと躊躇するような様子を見せたが・・・・・
 
 次の瞬間、あたしはベッドの上に押し倒されていた。

 「類・・・・・?」
「牧野のことは、信じてるよ」
「じゃ、どうして・・・・・」
「・・・・・・・心配だから」
「何が・・・・?」
 その問いには答えず、類はそのまま唇を重ねてきた。

 冷たくて、気持ちのいいキス・・・・。

 少し開いた隙間から、暖かい舌が浸入してきて、口内を徘徊する。

 そのキスの心地よさにあたしの頭はポーっとしてきて、思考回路が麻痺してしまう・・・・・。

 類の片手が、カットソーの上からあたしの胸に触れる。

 体が勝手にピクリと反応してしまう。
 それが恥ずかしくて身を捩ろうとするけど、類は許してくれない。

「牧野、教えて・・・・・」
「な・・・・に・・・・・」
 耳元をくすぐる類の息遣いが、くすぐったい。
「どうして・・・総二郎があそこに毎日来てるって、言わなかったの?」
「ん・・・・・・別に・・・・・忘れてた、だけ・・・・・」
「忘れてた・・・・・?」
「・・・・・だって・・・・・類と会える時間、少ないから・・・・・たくさん話したいし・・・・類のこと、たくさん聞きたい、から・・・・・」


-rui-
 それは反則。
 いきなり、こっちがうれしくなるようなこと言うから・・・・
 思わずぴたりと手を止める。
「類・・・・・?」
 牧野のそういうところは、計算されているものじゃないから余計に始末が悪い。
 こっちの懐のど真ん中にストレートに響いてくる。
「・・・・じゃ、他に言ってないことは・・・・?」
「他に・・・・・?」
 俺は、愛撫の手を休めずに聞く。
 牧野の体から徐々に力が抜け、唇からは甘い吐息が漏れ始める。
「・・・・・昨日・・・・居酒屋のバイトを休むって、総二郎に言った・・・・・?」
「う・・・・ん・・・・・・それが・・・?」
 やっぱり・・・・・。
 確証はなかったけど・・・・・ずっと小さなころから一緒だったんだ。
 嘘をついているかどうかくらい、わかる。
「で・・・・・どこに行ったの・・・?2人で・・・・・」
 その言葉に、牧野ははっとして起き上がろうとした。
「おっと。逃がさないよ」
 俺は牧野の体を再びベッドに押し付けた。
 ・・・・・嘘がつけない性格っていうのは、ときに罪だよな・・・・と思う。
「あの、類、それは・・・・・」
「総二郎に、口止めされた?」
「・・・・・!!」
 驚きに目を見開く牧野。
 全くわかりやすい・・・・・。
 そんなところも愛しくはあるけれど。
「あの、みんなでね、食事をするはずだったの。でも、みんな忙しかったみたいで、集まらなくて・・・結局、あたしと西門さんだけで食事したんだけど・・・でも別に、やましいことは何もしてないよ?」
「・・・・・・・・」
 みんな忙しかった、ね・・・・・。
 総二郎の言葉をそのまんま信じちまう牧野にちょっと不満はあるが、やっぱりこの場合責めるべきは総二郎だろう。
「牧野・・・・・」
「なに?」
「今度から、そういうことがあったら、俺に連絡して」
「いいけど・・・・・」
 少し不満そうな牧野。
「・・・・・俺、あんたと付き合ってから、性格悪くなったかも」
「何で・・・・・」
「あんたに近づくもの全て、遠ざけたくなる。総二郎もあきらも・・・・きっとあんたの弟にだって嫉妬するよ」
「進?」
「あんたに関わるもの全て、気になってしょうがないよ。こんなにヤキモチばかり妬いてたら、そのうち頭がおかしくなりそうだ」
「・・・・・・でも、あたしはうれしい」
 そう言って、本当にうれしそうに笑うから。
 俺はますますいかれてく。
 どこまで夢中にさせるのか。
 どこまでも落ちていくよ。
 あんたと一緒にね・・・・・




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ブランコ vol.30 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 *総つくっぽい要素が含まれますので、ご注意ください。
 
 -soujirou-
 帰りの車の中で。
 妙に静かだなと思って横を見てみたら、牧野が眠りこけていた。
 連日バイト漬けで、N.Y.から帰ってきてからもろくに休んでいないのだから疲れていて当然といえば当然だが・・・・・。
「男の隣で、平気で寝るなよな・・・・・」
 こいつはこういうやつなんだと、認識はしてるつもりだけど・・・
 惚れてる女が隣で寝息を立てているのを平気で見ていられるほど、俺も大人になりきれていない。

 ―――無防備な顔しやがって・・・・・


 牧野のアパートについても、まだ起きない。
 あまりに気持ち良さそうに寝ているから、すぐに起こすのもかわいそうな気がしたが・・・・
「・・・・ずっとこうしてるわけにもいかねえよな・・・・俺がもたねえ・・・・・」
 溜息をついて、隣の牧野を見つめる。
 ほんの少し開いた唇から漏れる静かな寝息。
 伏せられた睫は、意外と長く、無邪気な寝顔は子供のようでいて、女の色香も感じさせて・・・・・
「どうすんだ、これ・・・・・」
 さっきからずっと、心臓が落ち着かない・・・・・。
 牧野の寝顔から、目が離せなくて・・・・・
 自然に、体が動いていた・・・・・。
「お前が、悪いんだぜ・・・・」
 耳元に、言い訳を囁いて・・・・・
 
 牧野の唇に、自分の唇を重ねる。

 やわらかい感触に、酔いそうになる。

 髪から香る甘い香りが鼻腔をくすぐる・・・・・。

 そのまま溺れそうになるのを、どうにか理性をかき合わせて自分にストップをかける。

 そっと唇を離し、頬にかかっていた髪を指ですくう・・・・と、伏せられていた睫が微かに震え、まぶたがゆっくりと開いた・・・・・。

「ん・・・・・・あれ・・・・・」
「・・・・・・よく寝てたな。もう着いたぜ」
「え、嘘。あ、ほんとだ・・・・」
 牧野は慌てて体を起こし、窓の外を見た。
「うわ・・・・ごめん、西門さん」
「別に。疲れてんだろ。俺こそ悪かったな、付き合わせて」
 と言うと、牧野はちょっと意外そうな顔をして俺を見た。
「なんか、優しい西門さんって変」
「お前な・・・・」
「あはは、うそうそ。あたしも楽しかったからいいよ。送ってくれてありがとう」
 そう言って車から降りると、
「じゃ、おやすみなさい!事故らないように気をつけてね!」
 と手を振って、アパートの階段を駆け上がっていった。
「・・・・・類の運転と一緒にするなっての・・・・」
 そう言って、俺も軽く手を振ったが・・・・・。

 牧野の姿が扉の向こうに消えたのを確認してから、俺ははーっと大きな溜息をついた。
「・・・・・参ったな・・・・・」
 片手で口を押さえる。
 顔が熱い。
 今自分がどんな顔をしているのか。鏡を見なくてもわかった。
 きっと、どうしようもないくらい真っ赤になっている。

 牧野がかわいくて。
 どうしようもなく愛しくて。
 自分で自分をコントロールできない。

 俺がこんな気持ちになるなんて・・・・・

 俺はもう一度、牧野の部屋を見上げ・・・・・
 そっと、呟いた。
「・・・・・・・好きだよ・・・・・」
 
 その呟きは誰にも届くことなく、夜の静寂に消えて行った・・・・・。



 -tsukushi-
 「牧野さん、あくび」
 翌日のバイト中。
 ファミレスの店長に指摘され、慌てて口を閉じる。
「しっかりしてくださいね」
「はい・・・」
 じろりと横目で睨まれ、あたしは素直に返事をするしかない。
「大丈夫?すっごい眠そうだよ」
 同僚の女の子に言われ、笑って頷く。
「大丈夫。ちょっと眠いだけだから」
「なら良いけど・・・・あ、あの人、今日も来たよ」
 そう言われて店の入口に目を向けると、ちょうど西門さんが入ってくるところだった。
「相変わらずカッコイイよね~。あ、つくし、行って来てよ」
「あ、うん・・・・」
 あたしは西門さんのところへ行くと、席まで案内した。
「昨日はごちそう様」
 とあたしが言うと、西門さんはいつものようににやりと笑って頷いた。
「どういたしまして。うまかっただろ?また連れてってやるよ」
「じゃ、今度は本当にみんなで行こうよ」
「あー・・・そうだな」
 席に案内すると、西門さんはメニューを開きながら、口を開いた。
「・・・昨日のことだけど」
「え?」
「類には、言うなよ」
「・・・・なんで?」
「俺が殺される」
「だって別に、やましいことないでしょ?」
「・・・って、あの類がそれで納得するとは思えない」
「・・・・隠し事は、したくないんだけど」
「じゃ、言っても良いけど、俺があいつにぼこぼこにやられたら、お前責任取ってくれんの?」
 そう言って、半目であたしを睨む西門さん。
「責任って何よ」
「もし手ぇ怪我して使いもんにならなくなったら、どうすんの?近く茶会もあんのに、お前代わりやれんの?」
「そ、そんなの、無理に決まってるじゃない!」
「じゃ、言うなよ」
「・・・・・・・わかったわよ」
 あたしはしぶしぶ頷く。
 全く勝手なんだから・・・・・。
 大体、内緒にするくらいなら最初からあたしを誘わなきゃ良いのに。
 そんなことを思っていると・・・・
「あ」
 西門さんが、入り口の方を見て驚いた表情をする。
「え、何?」
 つられてあたしも振り向くと・・・・・
「類!?」
 店の入口には、不機嫌そうにこちらを睨みながら立っている類の姿が・・・・・


 「びっくりした。どうしたの?」
「びっくりしたのはこっち。何で総二郎がここにいんの」
 西門さんと同じテーブルに案内して。
 席に着いた類は前に座る西門さんをじろりと睨む。
「・・・や、今俺も暇でさ。お前もあきらも、仕事でいねえし暇つぶしにちょうどいいんだよ」
 と言う西門さんの言葉にも納得いかない様子で。
「こんなとこまで来て暇つぶし?総二郎の家からだいぶ遠いじゃん」
「家の近くは知ってるやつが多いし。うぜえんだよ、近所のおばちゃんとかにつかまると」
「・・・・・・・・ふーん・・・・・・・・・」
「えっと・・・・・ご注文は?」
 不機嫌なオーラを放つ類に、恐る恐る声をかける。
「コーヒー」
「あ、俺も」
「じゃ、コーヒー2つで・・・・」
 オーダーを取ると、あたしはそそくさと厨房に引っ込んだ。
 ―――やっぱり、昨日のことは言わない方がいいかも・・・
 ちらりと2人のほうを振り返り・・・・
 眉間に皺を寄せたままの類を見て、そう思ったのだった・・・・・。


 -rui-
 昨日1日牧野に会えなくて。
 どうしても会いたくなって、仕事の合間にここまで車を飛ばしてきたら、窓から見えたのは総二郎と牧野が何か話している光景。
 どうして総二郎が?まさか、今までにもこうして会ってたのか?
 ふつふつと湧き上がる嫉妬心をどうにか抑えながら、同じ席に着く。
「そう睨むなって」
「・・・・・ここ、よく来てるの」
「・・・・・まあな。暇してるのは本当だし。別に会いに来るくらい良いだろ?」
「・・・・・本当に会いに来てるだけ?」
「当たり前だろ。あいつはここのバイトの後も居酒屋のバイトが入ってて遊んでる時間もないだろ」
「・・・・昨日は?」
「え・・・・」
「昨日は、俺が迎えにいけないから、居酒屋のバイトは休ませた」
「へえ。知らなかったな」
 総二郎はそう答えたけど・・・・・
 こっちを見ようとしないのはなぜだ?
 俺はじっと総二郎を見ていたけど、総二郎は俺と目を合わせようとしない。
 
「はい、コーヒーどうぞ」
 牧野が2人分のコーヒーをテーブルに置いた。
「おー、サンキュー。お、類、言っとくけどここのコーヒーまずいぞ」
 総二郎の言葉に、牧野の顔が引きつった。
「あのね・・・事実だとしても、ウェイトレスの前で言わないでくれる?」
「はは、ワリイワリイ」
「全くもう」
「・・・・・牧野、今日もバイト、休めない?」
 俺の言葉に、牧野は目を丸くする。
「ええ?無理だよ、2日も続けて・・・・。何で?今日も仕事、入ったの?」
「いや・・・・そうじゃないけど・・・・」
「類?」
 牧野が不思議そうな顔をして首を傾げる。
「・・・・・・俺が代わりに迎えに行ってやっても良いけど・・・・」
「ダメ」
「・・・・やっぱり」
「なんでもないよ。気にしないで。今日はいつもどおり迎えにいけるから」
 そう言って笑って見せると、牧野もほっとしたように微笑んだ。
「ん。わかった。じゃ、あたし戻るね」
 そう言って牧野が戻っていく。
 
 総二郎の行動が気になる。
 場数で言えば、総二郎には敵うわけない。
 牧野に限って、とは思うけど。
 総二郎が本気で牧野を口説いたら・・・・・
 総二郎のことをよく知っている牧野だからこそ、総二郎の本気を見せられたら、どうなるか・・・・・

 「じゃ、おれもう行くわ。今日はこれからちょっと忙しいんだわ。ここは払っとく。またな、類」
「あ、ああ、さんきゅ」
 総二郎が伝票を持っていくのを見送って・・・・

 やっぱり、ここは牧野に注意しとくしかないな・・・・

 そう思って、俺は小さく溜息をついた・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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ブランコ vol.29 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 ―――やめてよね、そういう不意打ち」

 不意打ちは、お前の方だ。
 真っ赤になって、上目遣いで俺を睨む。
 そういう顔、すげぇそそられるってわかってねえよな、こいつは。
 まあもちろん、こいつに惚れてるからこそ、なんだけど。

 N.Y.での一件が終わって。
 それぞれが新しいスタートを切ることになって。
 でも帰ってきてからは類もあきらも忙しいようでなかなか時間を取れないでいるようだった。

 もちろん、こんな機会を俺が逃すはずがない。
 バイト漬けの牧野。
 何とかチャンスを作ろうと毎日バイト先に通い、ついに今日、そのチャンスがやってきたというわけだ。
 何とかうまく食事に誘うことは出来た。
 さて、この後はどうするか・・・・・

「なあ、この後って何か予定あるか?」
「え?この後?別に・・・・元々バイト行くつもりだったからね」
 牧野が残念そうに答える。
 こいつはマジで、働くの好きだよなあ。
「じゃ、ちょっと付き合えよ。まだ時間もはええし。ちゃんと家まで送っていくから」
「付き合うって・・・どこに?」
「ドライブ」
 俺がにやりと笑って言うと、牧野は途端に警戒した顔になる。
「何であたしと?また何か企んでない?」
「アホ。警戒すんなよ、俺がそんな悪い男に見えるか」
 警戒してるといっても、男として、じゃないんだよな。こいつの場合・・・・。
「見える。ってか、あたしと2人でドライブなんかしたっておもしろくないでしょ」
「あっさり言うな・・・。行きたいところがあんだわ。車で30分くらいだけど、1人じゃつまんねえし。牧野でも誰もいないよりましだし。一応女だし?」
「あったまくる、そういう言い方」
 額に血管浮き上がってやがる。
 こいつはほんとにからかい甲斐のあるやつだ・・・。
 本当は牧野だからこそ一緒に行きたいのだが、そんなこと言ったらこいつは逃げ出すだろうから。
 警戒心を持たせないよう、あくまでも女として見ていない振りをする。
「そうおこんなって。ここの飯は奢ってやるから」
「別にそんなの良いけど・・・・どこに行きたいの?」
 怒りながらも、俺の行きたいところがどこか気にしてくれるあたり、こいつのお人好し加減が現れてる。そういうところが・・・・好きなんだ。
「付き合ってくれんの?」
「・・・・・暇だし?N.Y.のことではお世話になったしね」
「・・・・義理堅い女。そういうとこ、かわいいよな、お前」
 と言ってみると、牧野の顔がみるみる赤く染まる。
 ・・・・・・・・・・・・・・こういうのが、不意打ちなんだ。
 いつも強気な態度取ってるくせに、ちょっとしたことで女の顔を見せやがる。
 そういう顔を見るたびに、反応に困るのはこっちの方だ。
 心臓が、いつもよりもずっと早い鼓動を打ち始める。
「きゅ、急に変なこと言わないでよ。借りを作りたくないだけ。で・・・30分くらいで行けるとこでしょ?別に良いよ、付き合っても。ちゃんと帰りも送ってくれるんでしょ」
「お、おお。任せとけ」
 ―――やべえやべえ・・・・・。こんなことでいっぱいいっぱいになってるようじゃ、俺もまだまだだな・・・・・。


 「どこまでいくの?そろそろ教えて欲しいんだけど」
 車に乗って20分ほどしたところで、牧野が痺れを切らしたように言った。
「そうあせんなよ。そろそろ着くから」
 その言葉に牧野は肩をすくめ、車の外へ視線を移した。

 その10分後、漸く目的の場所に着き、俺は車を止めた。
「・・・・・真っ暗だよ?ここどこ?」
 ちょっとだけ心細そうな声を出す牧野に、俺はくすりと笑いを洩らす。
「耳澄ましてみ。なんか聞こえてこねえ?」
 車を降りて、牧野はじっと耳を澄ます。
 目の前には松林が広がっていていたが、走ってきた道にも俺たちの行こうとしている先にも街灯はなく、何も見えなかった。
「・・・・波・・・・・?」
「正解。ここ、海だぜ」
「海!?」
「そ。ほら、行こうぜ」
 そう言って俺が歩き出すと、牧野が慌てて着いてくる。
「待ってよ!暗くって・・・・前、見えないんだけど。西門さん、何で普通に歩けんの?」
「そりゃ、知ってる場所だから、慣れてるってだけ。ほら、つかまれよ」
 そう言って腕を差し出してやると、少し戸惑ったような素振りの後、遠慮がちに俺のジャケットの袖口をつまんだ。
 ・・・・・・何の躊躇もなく腕を組まれるよりも、よほどドキッとする仕草だよな・・・・・。

 俺は、牧野が転ばないように松林の中をゆっくりと歩いた。
「足元、気をつけろよ」
「わかって・・・・・ぎゃっ」
 言ってるそばからよろける牧野を、倒れる寸でのところで抱きかかえる。
「・・・・っと。大丈夫か?ってか、色気のねえ声」
 クックッと笑うと、牧野が慌てて俺から離れる。
「な、何よ、しょうがないじゃない。何にも見えないんだもん」
「わあってるよ。ほら、離れたら歩けねえだろ?ちゃんとつかまれよ」
 そう言って手を引いてやると、今度は素直に従う。
 ・・・・俺の心臓は、さっきからどくどくと落ち着かない。
 さっき牧野を抱きかかえたときの柔らかな感触が手に残っていて、そこから体が熱を持っていくようだった。
 まるで、初めて恋をする中学生のようだ。


 漸く松林を抜け、砂浜に出る。
 目の前には、月明かりに照らされた夜の海が広がっていた。
「うわ・・・・きれー・・・・・」
「だろ・・・・・?夏の海とは全く違う・・・・ここは、異世界なんだ・・・・・」
 白い波が月の光を反射し、きらきらと輝いている。
 俺たちはしばらく、しゃべることも忘れ、その場にたたずんでいた・・・・・。

 ふと牧野を見ると、少しだけ体が震えていた。
 長袖のカットソーとジーパンという軽装。
 もう5月とはいえ、夜は冷える。特にここは風も強いからなおさらだ。
 俺は、自分の着ていたジャケットを脱ぐと、牧野の肩にかけてやった。
 牧野が、小さく「え」といって振り向く。
「い、いいよ、大丈夫」
「馬鹿。風邪ひかれたら俺が困る。良いから着てろ」
「だって、西門さんが・・・・」
「俺はだいじょーぶ。これ結構厚手だし。遠慮すんな。・・・・ってか、それでも寒いくらいじゃねえか?大丈夫か?」
 まだ少し震えている牧野が心配になる。
「だ、大丈夫・・・・」


 -tsukushi-
 急に優しい言葉をかけてくるから、なんだか落ち着かない・・・・・。
 なんだか、今日の西門さんはいつもと違うみたいで、緊張してしまう。
 少し気まずくて、あたしは西門さんからふいっと顔を逸らすと、前の海を見つめた。
 風が強くて寒いくらいだけど、それが今は心地よかった。
 訳もわからず火照った体を、夜の空気が冷ましてくれるみたい・・・・
 なんて思っていると、ふいにふわりと温かいぬくもりを背中に感じて、びっくりする。
 西門さんが、後ろからあたしを軽く抱きしめるように腕を回してきたのだ。
「ちょ、ちょっと何してんのよ?」
 あたしが慌てて離れようとしても、西門さんは離してくれない。
「風が強くて、寒いだろ?こうしてりゃあ少しはあったかい。別に深い意味はないから気にすんな」
「気にすんなったって・・・・!」
 気になるっつーの!
 日ごろ鈍感だと言われているあたしも、さすがにこの格好はやばいと思うんだけど!
 深い意味がないことくらい分かってるけど・・・・・
 背の高い西門さんからふわりと漂ってくる香り・・・・これは、香水・・・・・?
 類とは違う男の人の匂い・・・・
 あたしの心臓は、さっきからどきどきと落ち着かなくて、その音が西門さんに聞こえてしまうんじゃないかと気が気じゃなかった。
 周りには誰もいなくて、波の音しか聞こえない。
 なんだか本当に異世界に迷い込んでしまったみたいで、西門さんとここに2人きりというのが、妙に落ち着かなかった・・・・・。

 「たまに・・・・ここに1人で来て、海を見るんだ」
「・・・・夜に?」
「そ。だーれもいなくって、世界に俺1人だけ・・・・そんな錯覚を覚える」
「寂しくないの・・・・・?」
「・・・・・だけど、自分は確かに生きてるって、思えるよ。波の音を聞いて、月明かりに照らされた海を見て・・・・この世界に、確かに俺はいるんだ・・・・ってね。カッコイイだろ?」
「・・・・・・・・気障」
 だけど本当にそれが格好良いから笑えない。
 自分で茶化すように言ってるけど、きっと1人でここに来るときは落ち込んでいるとき・・・・・誰にも、見られたくないときなんじゃないかと思えた。
「あの・・・・あたしが一緒で、良かったの・・・?」
 そんな大切な場所に、どうしてあたし・・・・・?
「ああ。今日は、お前ときたかった。お前は・・・・特別だよ」
 背中に感じるぬくもりがくすぐったい。
 西門さんの低い声が頭の上から聞こえて、なんだかそっちを見れない。
「特別って・・・・・」
「深い意味はねえよ。俺らF4にとって、牧野つくしって存在は特別だってこと。司や類だけじゃない。俺やあきらも・・・・お前と出会ってから、変わったんだ」
「・・・・・・・・・・」
 そう言われても、よくわからない。
 あたしにとっては毎日戦争のようで・・・ただ必死に生きてきたから・・・・・
 西門さんや美作さんにとってどんな存在かなんて、考えたこともなかった・・・・・。
 それでも・・・・・
 こうして西門さんが、自分だけの場所へ連れてきてくれたことはなんとなくうれしくて・・・・。
 あたしは仲間として、この人の中に確かに存在してるんだと思ったら、勇気が湧いてくる気がした。
「・・・・・西門さん」
「ん?」
「・・・・・ありがと・・・・。ここにきて、よかった・・・・・」
「・・・・・・うん・・・・・そろそろ、帰るか」
 そう言って西門さんはあたしから離れると、あたしに手を差し伸べた。
 あたしは自分の手を差し出し・・・・ごく自然に西門さんと手を繋ぎ、歩き出したのだった・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ちょっと雲行きが・・・・
 類ファンの方、ごめんなさい!次回は類くん、出る予定ですので、しばしお待ちを・・・・・

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ブランコ vol.28 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 日本に帰ってからは、バイトに明け暮れる日々。
 ちょうど類も仕事が入っているらしく、会えるのは居酒屋のバイトが終わってから、家に帰るまでの時間だけだった。
 毎日会えるだけ、道明寺のころと比べたら幸せなんだとは思っても、もっと会いたいと思ってしまうのは、あたしが贅沢になってるんだろうか・・・・・。
 GW中は清掃会社のバイトはお休みなので、その代わりファミレスでのバイトが入っていた。連休中は時給が良いので稼ぎ時だ。
 そしてなぜかそのファミレスに毎日のように現れるのが、西門さんだった。
 
 「今日も来たの?」
「って・・・・・ご挨拶だな。わざわざ来てやってんだぜ」
 とえらそうに言う。
「頼んでないし。ってか、暇なの?」
「お前なー、俺が暇なわけねえだろ。その気になりゃあ毎日デート三昧で寝る暇もねえよ」
 と、西門さんがにやりと笑う。
「じゃ、なんで?」
「女と遊ぶのも結構疲れるんだよ。だから、エネルギー補給」
「エネルギー補給?ここで?」
 不思議に思って首を傾げると、西門さんはあたしをじっと見つめ・・・・・意味ありげにニッコリと笑った。
「ああ。お前と会うと、元気が出るから」
「・・・・・・・は?」
 意外な言葉に、目が点になる。
 まるきり、いつもの西門さんとは思えない言動だった。
「なんだよ、その顔」
「だって・・・・・らしくないって言うか・・・・どうしたの?熱でもある?」
「お前な・・・・。まあ良いや。それより、GW中ってずっとバイト?休みねえの?」
「ない」
 あたしが即答すると、なぜか西門さんはずっこける。
「だって、N.Y.行くためにもう3日も休んじゃってるし。GWって稼ぎ時なんだから」
「・・・・・・あ、そ。今日もあの居酒屋のバイトあんのか?」
「あ、今日は・・・・」
「なんだよ。ねえの?」
「あったんだけど・・・休んじゃった」
「は?何で?具合でも悪いのか?」
 不思議そうに聞く西門さんに、あたしは肩をすくめて説明した。
「今日は、類が迎えにこれないの。仕事の都合でどうしてもその時間までに帰ってこれないから、バイト休めって」
「は・・・・自分が来れないなら、バイトも休ませるって?すげぇな、それ。で、お前素直に従ってんの?」
「従ってるって・・・・しょうがないじゃない。類、一度怒らせるとなかなか機嫌直してくれないから・・・。大体、西門さん達がこの間の河野さんのこと、類に言ったからそうなったんだからね?」
「ああ、あん時の。それじゃあしょうがねえだろ。大体あんなやつと一緒にいるお前が悪い」
 きっぱりとした言い方に、思わず目を見開く。
「何よ、それ。言っとくけど河野さんって、いい人だよ?仕事もまじめで、後輩達にも優しいし。あの居酒屋で一番親切に教えてくれる人なんだから」
 と言うと、西門さんは思いっきり顔をしかめてあたしを見た。
「な、何よ?」
「・・・・ったく・・・・お前、ほんっとうに自覚がたんねえな」
「だから、何のことよ?」
「・・・・まあ良いや。それより今日、居酒屋のバイトないなら、この後どっかいかねえ?」
「は?」
 話の流れについていけないんですけど?
「どっかって・・・」
「暇してるやつに声かけとくからさ。みんなで飯でも食おうぜ」
 そう言ってにやりと笑う西門さん。
 みんなでご飯・・・。
 まあ、断る理由もないし、良いか。
 そう思って、あたしは頷いた。
「良いよ。じゃ、終わったら・・・」
「ここの前で待ってるよ。ああ、あそこにいる人、お前のこと呼んでるぜ」
「え?」
 振り向くと、店長が手招きをしていた。
「あ、やば。じゃああたし行くね」
「おう、がんばれよ」
 そう言って西門さんは、微笑みながらちょっと手を挙げて見せた。
 その姿に、周りの席にいた女の子たちがざわめく。
 西門さんはそれに気付いているのかいないのか、無関心を決め込んでいてすぐに窓の外へと視線を移した。
 そんな様子もさすが時期家元、というべきか、気品が漂っていてため息が出るほど絵になっている。

 「あの人、マジでかっこいいよねえ。本当に彼氏とかじゃないの?」
 同じバイト仲間の女子高生に聞かれる。
「やめてよ。ただの友達だってば。大体あの人、あたしのこと女として見てないんだから」
 というと、その子は楽しそうに笑って「わかるわかる」なんて言ってる。
 失礼しちゃう、全く。

 それから30分くらいして、西門さんは一度帰っていった。
「また後でな」
 そう言って、また魅惑の笑みを振りまいていくもんだからお客さんもバイトの子たちも一斉にキャーキャー騒ぎ出して、騒がしいったらない。

 それにしても意外だ。
 こんなパンピーしか来ないようなファミレスに、西門さんが来るなんて。
 「エネルギー補給」だなんて言っているけど・・・・・まさかここに西門さんが目を着けるような女の人がいたりして・・・?


 5時になってバイトが終わり、着替えて外に出るとそこには車に寄りかかる西門さんの姿が。
「よォ、お疲れ。乗れよ」
 そう言って助手席のドアを開けてくれるので、あたしはそのまま車に乗り込んだ。
「みんなは?先に行ってるの?」
 あたしの問いには答えず、西門さんは運転席に乗り込むと、車を発進させながら言った。
「イタリアンで良いだろ?もう予約してあるから」
「あ、うん。でもあたしあんまり持ち合わせが・・・・・」
 あたしの言葉に、西門さんはふっと笑った。
「わあってるよ。心配すんな、俺が立て替えといてやるから」
「ありがと・・・・・」
 西門さんの優しい言葉に、あたしも素直に頷く。
「なんか、最近優しいよね、西門さん」
「ああ?何言ってんだよ。おれはいつだって優しいだろうが」
 不本意そうに顔をしかめる姿がおかしくて、笑ってしまう。
「何笑ってんだよ」
「だってさ・・・。あのね、ありがとう」
 あたしの言葉に、西門さんはびっくりしたようにあたしの方を見て目を見開く。
「ちょ、ちょっと前見てよ!」
「・・・・なんだよ、いきなり」
「N.Y.のこと。連れてってくれて・・・・感謝してるの。おかげで、すっきりした」
「ああ・・・・・別に良いよ。俺たちもすっきりしたかったから」
「え?」
「何でもねえ。着くぜ」

 意外と庶民的な感じのイタリアンレストランに着くと、駐車場に車を止め、あたしは西門さんに連れられて中に入った。
 
 「・・・・結構気さくな感じだね。珍しいよね、こういうとこに連れてきてくれるの」
 大体西門さんたちに連れて来られるレストランっていったら高級なところばっかりで、いつもあたしは財布の中身を確認してはひやひやしてることが多い。
「たまにはな。味は保証つき」
 そう言ってにやりと笑い、案内された席に着いた西門さんだけど・・・・・
「ねえ、他の人たちは?」
 案内されたのは4人席だけど、テーブルには2人分のセットしかない。
 不思議に思って聞いたあたしに、西門さんはいともあっさりと答えた。
「こねえよ」
「・・・・は?だって、暇なやつ誘うって・・・・・」
「だから、暇なやつがいなかったから、今日は俺とお前だけ」
 西門さんの言葉に、しばし呆然としていると
「なんだよ、その顔。俺と2人じゃ不満か?」
 と、顔をしかめる。
「そ、そうじゃないけどさ。さっきはそんなこと言ってなかったじゃん」
「・・・・・・最初に言ったら、逃げられそうだったから」
「は?」
「いや、こっちの話。それよりもそんなとこ突っ立ってないで座れよ」
「あ、うん・・・」
 促されて座ったあたしに、メニューが渡される。
「好きなもん頼みな。どれもうまいけど・・・・ここはピザがうまい」
「あ、そうなんだ。じゃあ・・・・・」
 あれこれと悩んだ結果、西門さんの勧めるピザを頼むことにする。

 「おいしい!」
「だろ?取材拒否の店だからあんまり知られてねえけど、ここのピザは俺が知ってるイタリアンの中でもピカイチだぜ」
「へえ、そうなんだ。本当においしいね」
 そのおいしさに感激して夢中で食べていると、その様子を見ていた西門さんがぷっと吹き出す。
「な、なによ」
「いや。お前って本当にうまそうに食うよな。奢り甲斐があって良いよ」
「・・・・・食い意地が張ってるって言いたいんでしょ」
「バーカ、そんなんじゃねえよ。人の言うことは素直に聞いとけ」
「・・・・・わかった」
「よろしい」
 と、また偉そうに西門さんが言うから思わず噴出す。
 今度は西門さんも一緒になって笑う。
 なんか、西門さんと2人でこんな風に食事するなんて、新鮮かも。
 そんなことを考えて食事を勧めていると、西門さんがふいに口を開いた。
「―――お前さ、あん時、したの」
「は?何の話?」
「N.Yで。類と2人、クラブから消えたろ」
「あ、あの時―――」
 急に話を振られ、あたしはもろにあのときのことを思い出してしまって、体温が急激に上昇するのを感じた。
「な、何言い出すのよ、突然」
 真っ赤になってしまったあたしを見て、西門さんがぷっと吹き出す。
「お前って、わかりやすすぎ。もうちっとごまかすっつーことも覚えろよ」
「だ、だって、西門さんが突然聞くから・・・!やめてよね、そういう不意打ち」
 悔しくってそう言いながら睨むと、西門さんはなぜかあたしからふいっと目を逸らして呟いた。
「・・・・・・・・・不意打ちは、お前だっての」
「は?今なんて?」
 西門さんの呟きは、小さすぎてあたしには聞こえなかった。
 聞き返しても、「なんでもない」と言って肩をすくめるだけ。
 もう、なんなのよ・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 あ、なんか中途半端・・・・。
 この後、総二郎編に続く予定です。
 「Bitter&Sweet」について、たくさんのお問い合わせを頂ありがとうございます。
わたしの予想以上にたくさんのメールをいただき、軽くパニック状態のきららです(^^;)
ご希望にそえるものだと良いんですけども・・・あまり、期待しないでやってくださいませ。
今後もまた、そちらの話をかければいいなと思ってます。

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ブランコ vol.27 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 翌日、ホテルに帰ったあたしを待っていたのは何もかもわかっちゃってるような顔で出迎えた桜子と、完全に2日酔いで昨日のことを全く覚えていない滋さんだった。
「花沢さん、優しくしてくれました?」
 ニヤニヤしながら耳元で聞いてくる桜子。
「う、うるさい!」
 そう言ってしっしっとやるけれど、耳まで真っ赤になってしまっているのが自分でもわかり、恥ずかしくって仕方ない。
 『飛行機の時間までに合流すれば良いよ』
 と言っていた類の言うことを聞いておけば良かったと思った。
 朝帰りなんかしたら、みんなに心配かけちゃうと思って、早く帰ってきたのが間違い・・・。

 きっと美作さんや西門さんにもからかわれるんだろうなーと覚悟していたんだけれど。
「それはどうですかね?どんな顔するか楽しみですけど」
 と言ってまたにやりと笑う桜子。
 首を傾げながらも、その後合流するためにロビーへ行くと・・・・・
「よお、鉄のパンツ、ようやく脱げたな」
 と、にやりと笑う西門さん。
「おめえら、帰ってこねえなら連絡くらい入れろよな」
 と美作さんにはおでこをこつんとはじかれ。
 それでおしまい。
 
 ・・・・・・なんとなく・・・・いつもと違うような・・・・・?
 でも2人ともあたしより大人だから。
 こんなことでいちいちからかったりしないのかな。
 そんなことばかり気にして身構えてた自分が馬鹿らしくなって、その後はいつもの調子を取り戻して優紀たちとお土産を買いに行ったりして残りの時間を過ごした。
「N.Y.の土産なんて、なに買うんだよ」
 なんて文句を言いながらも、西門さん達まであたし達に付き合ってくれて。
「何にも買わないのにぞろぞろついてきて・・・・やることないのかな」
 とあたしが言うと、優紀がくすくす笑いながら
「西門さんたちにとっては、ここって渋谷とかと変わらない感覚なんだろうね。でも・・・・きっと心配なんだよ」
 と言った。
「心配?何が?」
「つくしが」
「は?何であたし?それに西門さんと美作さんだよ?」
 と言うと、優紀はまたくすくすと笑った。
「大変そうだなあ」
「何が??優紀ってば、何1人で結論出して納得してんのよ。あたしにはさっぱりわかんないんだけど!」
「わかんなくて良いよ。つくしはそのままで・・・・」
「はあ?もう・・・・・訳わかんない・・・・・」
 その後あたしと優紀は家族へのお土産にお菓子なんかを買い、残った時間はみんなでお茶をして、その後空港へ向かったのだった・・・・。

 あっという間に過ぎてしまったけれど。
 なんだかこの3日の間にいろんなことがあった気がする。
 道明寺と会って、類とのことを話して。
 もう当分、道明寺と会うことはないんだろうな。
 そう思うとやっぱり少し寂しくて・・・・。
 でも、あいつとは友達だから。
 きっと、また会えるよね・・・・・。


 それから、類との初めての時間。
 緊張したし、すっごく恥ずかしかったけど・・・・・
 後悔は、してない。
 類はあの後も全然いつもと変わらなくて。
 あたしばっかり青くなったり赤くなったりしてたのが、なんだかちょっと悔しいけど・・・・。
 でも、あせったってしょうがないし。
 あたしはあたし。
 そう思うことにした・・・・・


 -rui-
 ホテルに帰ると、既に2人は起きていて―――と言うか寝てない?―――不機嫌さを隠そうともしない目で睨まれた。
「やってくれたよな、類くんは」
 総二郎が肩をすくめる。
「・・・マンションに行ってたのか?」
 あきらに聞かれ、頷く。
「・・・・ったく・・・・・一言くらい言ってけよな」
「言ったら、邪魔したでしょ」
 と俺が言うと、総二郎が大きな溜息をつく。
「そりゃ、邪魔くらいするっての。けど、結局は牧野が決める問題だからな。牧野が行くっつーんなら止めらんねーだろ」
「そういうこと。言っただろ?俺らは牧野を幸せにしたい。泣かせるようなことはしたくねえんだ。お前らを無理に引き裂くようなことはしねえよ」
「・・・・・・・・・・・・」
 それを聞いて、すっかり安心できるなんてこと、あるわけない。
 2人の目を見れば、まだ牧野のことを諦めてないってことくらいわかるし。
 この2人に、隙なんか見せられるわけない・・・・・。


 -tsukushi-
 空港に着き、あたし達は搭乗までの時間をロビーで過ごしていた。
 そのとき・・・・・・・・・・・・
「おい!!」
 聞き間違えようのない、よく通る大きな声が聞こえてきて、あたし達はびっくりして声の方を振り向く。
「ど、道明寺!?」
 そう、そこには、あの道明寺が息を切らしながら額に汗を浮かべて立っていたのだった。
「はあ。何とか間に合ったな」
「司!!」
 呆気にとられていたあたしたち。
 いち早く行動に出たのは滋さん。
 嬉しそうに道明寺に駆け寄り、その腕を取った。
「来てくれたのね!良かった・・・・せっかくここまで来たのに、一度も会えないで終わっちゃうのかと思ったよ!」
「悪かったな、滋」
 道明寺が滋さんに笑顔を向ける。
「道明寺さん!わたしも会いたかったです!」
 一歩で遅れて、桜子が滋さんの横に並ぶ。
「おう、久しぶりだな」
 そう言って桜子にも笑いかけた後、道明寺はあたし達の方を見た。
「なんだよ、呆けてんじゃねえよ。せっかく見送りに来てやったのに」
「だ、だって・・・・そんなこと一言も言ってなかったじゃん」
「だよなー。驚かせやがって・・・時間、大丈夫なのかよ」
 美作さんが、相変わらずの気使いを見せる。
「ああ、何とか無理やりねじ込んだんだ。またしばらくは会えねえし・・・。せっかくここまで来てくれたんだしよ。ダチの見送りぐれえしてえよ」
「司・・・・・」
 さすがの類も驚いて、言葉がない様子だった。
 道明寺は、類の傍まで行くと、真剣な目で類を見た。
「・・・・類。お前には、1つ言い忘れたことがあったんだ。たぶん、わかってるとは思うけどな・・・・・」
「・・・・何?」
「いつか・・・・きっと近い内にお前にも、苦しい選択を強いられるときが来る。それは俺たちジュニアの宿命だ」
 静かだけど、重みのある道明寺の言葉に、あたしははっとして類を見る。
 類は静かに道明寺を見つめていた。
「お前のことだから、大丈夫だろうとは思う。絶対牧野を離したりはしねえだろうってな。けど・・・・お前は、言葉が足りないところがあるから。自分ひとりで考えて、牧野に余計な心配かけるようなこと、するな。考えてることはちゃんと牧野に言え。どんなに好き合ってても、言葉にしなきゃ伝わらないことがあんだ」
「司・・・・」
「道明寺・・・・・」
 胸が、痛かった。
 道明寺の瞳に、切なさが滲んでいる。
「俺は・・・・もう牧野が悲しむ姿を見たくねえ。散々俺が泣かしといて言うセリフじゃねえけどよ。だけど・・・いつものわがままと思って聞いてくれ。牧野を悲しませるな。必ず・・・幸せにしてくれ」
 道明寺の言葉に、類は優しく微笑んで頷いた。
「・・・わかってるよ。必ず、幸せにするから・・・・」
 その類の言葉に、道明寺はほっとしたように微笑むと、今度はあたしの方へ向かった。
「牧野」
「道明寺・・・・ありがとう」
「礼なんか言うな。俺は今まで散々お前を振り回してきたんだ。いつか・・・罪滅ぼししなきゃいけないと思ってた。こんくらいのことじゃ全然たんねえくらいだ」
「罪滅ぼしって・・・・あたし、道明寺のこと恨んだりしてないよ?」
「わかってる。けど、俺の気がすまねえんだ。それに・・・・」
「それに?」
 あたしが先を促すと、道明寺はちょっと笑って首を振った。
「いや、何でもねえ。・・・・・いろいろ言いたいことはあるんだけどよ。きっと今言ってもお前にはわかんねえだろうし」
「な、何よそれ!?」
「何つーか・・・まあ気をつけろってことだ。自分の周りの人間にも、な」
 そう言って、道明寺はちらりとあたしの背後に視線を移した。
 あたしの後ろにいるのは・・・美作さんと、西門さん?
 不思議に思ってあたしがその視線を追おうとすると、そんなあたしの頭を道明寺の大きな手が捉え、ぐいっと正面を向けられた。
 すぐ間近に道明寺の笑顔。
 わかってたことだけど・・・・・やっぱりこいつ、とんでもない美形だわ。なんて思って一瞬ドキッとしてしまった。
「見惚れんなよ」
「な!何言って―――!」
 カッとなって反論しようとした瞬間、道明寺の顔が近づき、唇に暖かい感触を感じる。
 それはほんの一瞬の出来事―――

 今のは・・・・何・・・・・?

 状況が飲み込めず固まってしまったあたしの肩が、すごい力で引っ張られる。
「司!何してんだよ!」
 後ろからがっちりあたしを抱きしめたのは、珍しく焦った様子の類だった。
 道明寺はにやりと笑い、その場から一歩後ずさると、あたしに向かって言った。
「牧野、類に飽きたらいつでも俺が引き取ってやるから!遠慮なく言って来いよ!」
「はあ!?」
 あたしが何か言うよりも先に。
 道明寺は高らかに笑いながら、走っていってしまった・・・・・。
 道明寺が走って行く先に。あの、秘所の男性の姿があった。
 なんだか、あたしが知っている道明寺の姿ではないような気がした。
 秘書とともに空港を悠然と歩くその姿は、もう以前の「道明寺」ではなくなっていた・・・・。

 なんて、ちょっとセンチメンタルな気分に浸っていると、周りから殺気にも似たオーラを感じ、背中を悪寒が走る。
「・・・・・牧野」
 後ろからあたしを抱きしめていた類の、低い声。
 怖くて振り向けないけど・・・・絶対怒ってる!
「あ、あの、類?い、今のは・・・不可抗力だよ?」
「・・・・にしては、あいつのアップに見惚れてなかった?つくしちゃん、案外美形に弱いよな~」
 そう言いながら、西門さんがあたしに顔を近づけてくる。
 西門さんも美形だけど。っつーか、何で西門さんまで怒ってるの!?
「近寄んな、総二郎」
 類が西門さんの頭をぐいっと押しやる。
「それに、キスも嫌がってる感じじゃなかったよな~」
 西門さんとは反対側から、美作さんが近づく。
 半目になって口の端をちょっと上げてるその表情は、笑っているように見えるのに怖いんですけど!?
「あきら、来んなよ!」
 その美作さんの顔も容赦なくぐいっと押しやり、類があたしを抱きこむ。
「ちょ、ちょっと類!」
「・・・・・・・・浮気もの」
「なな、何で、浮気・・・・!?」
 反論しようとするその前に。
 あたしの唇は、類の唇によって塞がれていた。
 息着く間もないくらい・・・・・眩暈を感じるほどの激しいキスを降らせながら、類はあたしを強く抱きしめた。
 周りに人がいるのに。
 そんなことも忘れてしまうくらい濃厚なキスに、時間まで忘れそうになり・・・・

 漸くキスから開放されたときには周りに誰もいなくなっていて。
 あたしは慌てて・・・・類は面倒くさそうに、搭乗ゲートへと向かったのだった・・・・・。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 N.Y.編は終わり。しばらく司は出てきません。
 そして日本に帰ってからはいよいよF2が動き出す・・・・予定です。

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ブランコ vol.26 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 「ここ・・・・・」
 タクシーで着いた先は、あの、類のマンションだった。
「わかった?」
 類がにっと笑って言う。
「うん!うわあ、懐かしい」
 いつまでも外から眺めて感激しているあたしの腕を取り、類は中に入っていった。

 部屋の中も、あのころと変わらない。
 懐かしさと、あのころの切ない思い出があたしの胸によみがえってくるみたいだった。
「・・・牧野?」
「ん?」
「・・・大丈夫?」
 あたしの気持ちを察してか、類が心配そうにあたしを見つめる。
「もちろん。あのころとは違う・・・・。今、こうして類とまたここへ来ることができて、うれしい。類、ありがとう」
 あたしの言葉に安心したように、類が優しく微笑んでくれる。
「あんたのありがとうは聞き飽きた・・・。良かった。牧野が、元気で・・・・・」
 そう言って、ふわりとあたしを抱きしめてくれる類。
 空気のようにあたしを包む優しいぬくもりに、胸があったかくなっていくような気がした。

 しばらくそうやって抱き合っていたが・・・・・
 類が、あたしの耳元に顔を近づけると、そっと囁いた。
「約束、覚えてる?」
 耳にかかる吐息がくすぐったくて、身を捩りながら類のほうを振り返る。
「や、約束・・・って?」
「・・・・・やっぱり忘れてる。けじめをつけたら・・・って言ったよね」
 類のすねたような口調に・・・・
 あたしの顔からサーッと血の気が引いた。

 ―――そうだ。あたし・・・・・

 道明寺にちゃんと話をしなくちゃって、そればっかり気になっちゃって・・・
 終わってからも、漸くこれでけじめがつけられたって、ほっとしちゃって・・・・
 すっかり、忘れてた・・・・・

 「ずっと2人きりになりたかった」
「だって・・・・クラブに行くって言ったのは類のほうだよ」
「そりゃ、邪魔されることがわかってたから」
 そう言って類は肩をすくめた。
「邪魔?」
「そう」
 類は頷いたけど・・・あたしは訳がわからない。
「そんなこと、もうどうでもいいよ。今、やっと2人きりになれたんだから・・・・」
 そう言って類はあたしの腰を引き寄せ、そっとキスをした。
 キスはすぐに深いものに変わり、腰に回った腕に力がこもった。
 息苦しさに、ほんの少し開いてしまった唇の隙間から、類の熱い舌が滑り込んでくる。
 その熱さにあたしの体がびくりと震え、思わず逃げ出しそうになる。
 
 一度唇が離れると、類があたしを見つめた。
 その視線の熱さに、あたしは言葉を発することが出来なかった。

「牧野・・・・俺が怖い?」
 類の問いに、あたしはふるふると首を振った。
 類が怖いわけじゃない。
 だけど・・・・
「無理やりするのは・・・いやだと思ってる。だけど、俺も男だし。こうして牧野と2人でいたら・・・・我慢できる自信はない」
「類・・・・・」
「だから・・・・・もしいやだったら、タクシーを呼ぶからホテルに帰って」
 類の目は真剣だ。
 本気で言ってるんだ・・・・。

「あたし・・・・・帰らないよ」
「・・・・・いいの?後でダメって言われても・・・・・もう受け付けないよ?」
 類の言葉に、あたしは頷いた。
「あたしは、類が好きだから。だから・・・帰らない・・・・」
「牧野・・・・・」
 類はうれしそうに微笑んで、あたしを優しく抱きしめてくれた。

 大丈夫・・・・・。
 類が好きだから。
 もうあたし達を止めるものは、何もないんだから・・・・・

 あたしはそっと目を瞑り、そのまま腕を類の背中に回した・・・・・・・・。


  *************************************

 -rui-
 「なんか、やっぱり恥ずかしい・・・」
 ベッドの中、2人でシーツに包まって・・・。
 牧野の髪を撫でていると、牧野がシーツを顔の半分まで引っ張りあげて、上目遣いに俺を見る。
 その顔はまだほんのり紅潮していて、目も潤んでいて艶っぽい。
 そんな表情に俺が煽られていることなんて、きっとまた気付いてない。
「そればっかり・・・。そんな顔してると、またしたくなる」
「だ、ダメ!」
 途端に真っ赤になる牧野。
「そんなに速攻拒否しなくても・・・・俺、ショック」
 はーっと大きくため息をつき、顔を伏せる俺に、牧野が慌てる。
「あ、ご、ごめん、そういう意味じゃなくって、今日はやっぱりその、初めてだったし!」
 その必死さがおかしくって、思わず笑ってしまう・・・と、気付いた牧野がぷくっと膨れる。
「もう!またからかって・・・」
「ごめん。うれしいんだ。牧野とこうなれたこと・・・・・。牧野のことだから、何年も待たされるかもって、ちょっと覚悟してたから」
「もう・・・・・。どういう女だと思ってんの、あたしのこと。あたしだって・・・・・普通の女だもん。類のこと、好きだから・・・・」
 だんだんモゴモゴと声が小さくなる牧野。
 さっきまでお互い一糸まとわぬ姿で抱き合ってたっていうのに、今は恥ずかしくって仕方がないって顔してシーツをかぶってる。
「牧野・・・・・」
 俺はだんだんシーツに隠れてく牧野の顔が見たくって、そのシーツをそっとめくってみる。
 真っ赤に染まった頬。切なげに俺を見上げる瞳が揺らめいて、少女と女の間を行ったりきたりしているかのような微妙な色香が漂っていた。
 ここに来るまでは、感じなかったもの・・・。
 俺に抱かれて変わった。
 それがうれしくて・・・・
 俺は牧野の頬を撫で、キスを落とした。
 
 舌を絡め、互いの熱を分かち合うような深いキス。
 夢中でキスを繰り返すうちに、また熱を持ってくる体。

 「・・・・・・やっぱ、ダメかも」
「え?」
「全然たんない・・・・もっと、もっと・・・・・牧野を感じたい・・・・・」
「類・・・・・」
 牧野が困ったように眉をひそめる。
「あたし、いっぱいいっぱいで・・・・・・もう・・・・・」
「大丈夫・・・・ちゃんと優しくするから・・・・」
「だって、さっきだってそう言って、結局・・・・」
「それは牧野が悪い」
「な、何であたし?」
「牧野が、かわいすぎるから・・・・我慢できなくなるんだ。俺のこと、煽るから悪い」
「あ、煽ってなんか・・・」
 まだ何か言おうとする牧野の唇を、キスで塞ぐ。
「・・・・・・・・・・・・んっ・・・・・・・」
「・・・・・・・・もう、しゃべんないで・・・・・キス、出来ないから・・・・・」
 それから先は、ひたすらキスを繰り返し、牧野の体からは次第に力が抜け・・・・・

 それからまた、俺は牧野の体に溺れて行った・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 こういう場面は、どうも苦手です。
 でも一応、18禁のお話としてR版を「Bitter&Sweet」の方へアップする予定です。
 「Bitter&Sweet」はパス制のブログで、ご覧いただくには、メールでURLとパスワードを請求していただくことが必要となります。18禁のブログですので、18誌未満の方にはお教えすることが出来ませんのでご了承ください。
 請求の仕方は、「Bitter&Sweet」のカテゴリーをご覧ください。

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ブランコ vol.25 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 地下にあるそのクラブはかなりの広さがあり、セレブ御用達らしくN.Y.のクラブにしては上品なつくりになっていた。
 滋さんは既にかなりの量のお酒を飲み、上機嫌だ。
 その滋さんに捕まり、桜子は少し閉口気味。
 優紀とその彼氏は少し離れたテーブルで顔をくっつけるように楽しそうに談笑していて、2人の世界を作っている。
 そして西門さんと美作さんは、きっとすぐに女性に囲まれちゃったりするんだろうなあと思っていたら、なぜかあたしと類と同じテーブルに着き、しばらくはあたし達とずっとしゃべっていた。
 それでも彼らはやっぱりかなり目立っていたようで、何人かの女性に声をかけられ、引っ張られるようにして連れて行かれたかと思うと、あっという間に囲まれてしまっていた。
 もちろん類もかなりの注目を受けているのだが、類がしっかりとあたしを抱き込むようにしてくっついているので声はかけてこない。
「はあ、すごいね・・・こんなところでもF4健在だ」
「・・・・・・うざ」
 面倒くさそうに呟く類。
「でもなんか意外。西門さんと美作さんも面倒くさそうだね。女の人に囲まれて喜ぶのかと思ったのに」
「・・・・・・・・気になる?」
「へ?や、別に・・・・」
 類の言葉に、思わず類のほうを見上げて答える。
 何でそんなこと聞くんだろう?
 なんか、今日の類はちょっと変。
 なんだかずっと不機嫌そうにしてるし・・・・。あたし、何かしたかな・・・・。
「・・・・類?今日、道明寺のところで何があったか・・・・聞いちゃダメ?」
「ダメ」
 やっぱり。
 類は意外と頑固だから。こうなると絶対しゃべらない。
 でも気になるよ。あたしだけ外に出されて、4人で何を話したんだろう?
「・・・・・たいしたことじゃないよ。牧野は知らなくていいんだ。俺たち4人の問題だから」
「ん・・・・。わかった。じゃあもう聞かない。でも・・・」
「でも?」
「類、ずっとそんな顔してる。何か怒ってるみたいで・・・・・」
 あたしの言葉に類は少しだけあたしの体を離し、あたしの顔を覗き込んでくる。
「・・・・・俺、そんな顔してる?」
「うん・・・・・」
「ごめん・・・・そんなつもりなかったんだけど・・・でもたぶんそれ、牧野のせいだよ」
「ええ!?何であたし?」
 類の言葉に、あたしは驚いて思わず大きな声を上げてしまう。
「別に、牧野が悪いって言ってるんじゃなくて・・・牧野が原因だってこと」
「意味わかんないよ。どういうこと?」
 訳わかんなくて首を傾げると、類はくすりと笑い、あたしの耳元に顔を寄せて囁くように言った。
「・・・2人きりに、なりたい」
 低く囁かれたその声に、どきんと胸がなる。
「え・・・・・」
「昨日の夜からずっと、俺牧野欠乏症」
「って・・・・・ずっと一緒にいるじゃない。それに昨日の夜からって、まだ1日しか・・・・」
「2人きりになりたかったんだ」
 そう言って類は、あたしに顔を近づけてくる。あと数センチで、唇が触れそうなほど・・・・・
「る、類、待ってよ、こんなとこで・・・」
「じゃ、出よう」
「は?」
 あたしがまた驚いて目を見開くと、類はにっこりと微笑み、
「2人で抜け出そう」
 と言って、立ち上がったのだった・・・・・


-soujirou-
 「おい、類と牧野は?」
 まとわり着く女を振り払いながら席に戻ると、類と牧野がいなくなっていた。
 隣のテーブルには酔いつぶれた滋と、その滋に付き合って傍でカクテルを飲む桜子。
「出てったみたいですよ、さっき。あたしもトイレに立ってたから気づきませんでしたけど・・・」
 桜子が肩を竦めて答える。
 ―――やられた!
 ちっと舌打ちすると、後ろからあきらも来た。
「やっぱやられたか」
「・・・・・・・聞きたいんですけど」
 桜子が口を開く。
「どうして急に、みんなで道明寺さんに会いに来ようと思ったんです?」
「言っただろ?牧野と司を会わせる為だ」
「それだけなら、先輩と・・・まあ花沢さんも来ると思いますけど、その2人だけで良いじゃないですか。西門さん達が道明寺さんと久しぶりに話したかったっていう事を無理やり納得したとして、あたし達も一緒に連れてきたのはなぜですか?」
「・・・・お前、相変わらずそういうことには鼻が利くな」
「お褒めいただいて光栄ですわ」
 にっこりと、その完璧な顔で微笑む。
「・・・先輩抜きで、4人で何を話してたんですか?4人で話をするために・・・その間、先輩と一緒にいる人間が必要だったから、私達も呼ばれたんでしょう?」
 俺とあきらは顔を見合わせ、互いに肩を竦めた。
「ま、そういうことだ」
 俺が頷くと、桜子はまた続けた。
「で?道明寺さんに言ったんですか?2人とも牧野先輩が好きだって」
「・・・・・・桜子、あのな」
「言っときますけど、あたしが気付いたのはF4が高校を卒業するとき。あのプロムでF4全員が牧野先輩をパートナーに選んだ。1人だけを選べないとか、いろんな口実作ってましたけど、どう見ても全員、牧野先輩に夢中って感じでしたよ」
「・・・・そう思ったのはお前だけだよ。そのころは俺もあきらも自覚なかったんだから」
「案外鈍いんですね」
 桜子の遠慮のない言い方に、俺もあきらも苦笑するしかなかった。
「で、道明寺さんはなんて?」
「・・・あいつも気付いてたよ。いつからかはわからんと言ってたけど。あいつは・・・まだ牧野が好きだから。牧野との距離が変わらなければ、牧野とくっつくのは俺ら3人のうち誰でも構わないってさ」
 俺が答えると、桜子はうんうんと頷いた。
「なるほど。道明寺さんらしい・・・。先輩の気持ちを優先して一度は引いたけど、まだ諦めたわけじゃないってことですよね。先輩との距離が変わらなければまだチャンスはある。そう思ってるんですね」
「そこまで考えてるのか?あいつ」
 あきらの言葉に、桜子はにやりと笑った。
「当たり前じゃないですか。道明寺さんは牧野先輩のことにかけちゃものすごい野生の勘が働くんですから」
「はっ、そうだったな。―――そんなやつが、何で牧野を繋ぎ止めておけなかったんだか・・・」
「それは・・・・きっと道明寺さんが優しいから」
「ああ、それは言えるな。なんだかんだ言ってあいつは牧野に甘いんだよな。それでも・・・何が何でも繋ぎ止めておきたいっていう気持ちが抑えられるほど仕事も大事になってきたってことは・・・大人になったってことなんだろうな」
 あきらがどことなく寂しそうに呟く。
 仕事が大事。
 それは社会人になれば当然のこと。ましてや司のように背負っているものが大きければ大きいほど・・・。惚れた女と仕事を天秤にかけるわけには行かない。どっちが大事か、なんて・・・そういう問題じゃないんだよな・・・。
 だけどその問題は遅かれ早かれ俺達にも降りかかってくる問題なんだ。
 そのとき俺達は・・・類は・・・牧野をちゃんとつなぎ止めておくことが出来るのか・・・?
 類はきっと牧野を手放したりはしないだろう。けど。「花沢」がどう出るか。それは類にも予想がつかないもんなんじゃないだろうか・・・・。

 「しかしあいつら、どこに行きやがったんだ」
 気分を替える様に俺が声を上げると、桜子が少し考えるように首を傾げ。
「・・・今日はあの2人、帰ってこないかもしれませんね・・・」
 と言ったので、俺とあきらはほぼ同時に「あのやろォ・・・・」と頭を抱えたのだった・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 さて、2人はどこへ?

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ブランコ vol.24 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 「つくし、これは?メイドさん♪」
「いや、滋さん・・・・」
「じゃ、これは?シンデレラ♪」
「あの、だから・・・」
「これならどうよ!赤頭巾ちゃん!」
「・・・・・・・・・普通のでいいから!」
 
 あーだこーだともめながらも、あたしが借りたのは結局黒いシフォンのミニワンピースに、淡いピンクのストール。そして黒いエナメルのパンプスを桜子から借りて出来上がり。
「え~、なんか地味じゃな~い?」
 十分だっつーの・・・・・。


 -rui-
 俺たちも一応着替えを終えると、ホテルのロビーで牧野たちが出てくるのを待っていた。
 トーマスは「セレブが行くようなとこにはいけない」と言って帰っていった。
 そこへ・・・・・
「ねえ、ティアラつけようよー、あたしとお揃い」
「いやですってば!」
「滋さん、仮装大会じゃないんですから・・・」
 賑やかにエレベーターから出てきた牧野たち・・・・。

 俺は、黒いミニワンピース姿の牧野に目を奪われた。
 シンプルなのに艶やかで。ノースリーブの肩にかかる薄いストール越しの白い肌が妙に艶っぽく俺たちの視線を釘付けにした。
 俺は牧野の傍まで行くと、横に立って腕を組むよう促した。
 少し照れながら、それでもそっと腕を絡ませて来る牧野。
 あきらと総二郎の視線を感じたが、あえて気付かない振りをした。
「きれいだね」
「あ、ありがと・・・・・。なんか、照れくさいかも」
 えへへと頬を染めながら笑う牧野がすごくかわいい。
「堂々としてれば良いよ。すごく似合ってる。みんな牧野を見てるよ」
「まっさか。類たちを見てるんだよ。こんな麗しい男が3人も揃ってたら、目立ってしょうがない」
 ホテルのロビーには、いつの間にか俺たちを囲んでギャラリーが集まっていた。
 その間を通って、ホテルを出て待たせていたリモに乗り込み2組に分かれて予約していたレストランへ向かう。
 俺たちと一緒に乗ってきたのは牧野の友達とその彼氏だ。
「優紀のワンピース、かわいいね。そんなの持ってきてたんだ」
「うん。桜子さんがね、行く前に電話くれて。たぶんこういうことになるから、1枚それっぽい服持ってきたほうが良いって」
 ベージュのシンプルなワンピースに、胸元にはサーモンピンクのコサージュ。
 派手さはないけれど、彼女の雰囲気によくあっていた。そしてグレーのシンプルなスーツに身を包んだその彼も、なかなかどうして品があって様になっていた。小さな会社を経営している家の長男だと言っていたから、それなりの教養もあるんだろうと、総二郎が言っていたことを思い出した。
「あたしは桜子からなんにも聞いてなかったよ。あいつ、こうなること知ってて楽しんでたんだ」
 そう言ってぷくっと頬を膨らませる牧野の顔がおもしろくて、思わず噴出す。
「もう、類まで・・・・。みんなしてあたしで遊ぶんだから」
「おもしろいからだよ。牧野がいると、いつもおもしろい。みんなが笑顔になるんだよ」
「そうそう。つくしがいるだけで、その場が明るくなるみたい。昔からそうだったよね」
「褒められてるのかなんだかわかんないよ」
 ふてくされる牧野を見て、友達の彼氏まで楽しそうに笑ってる。
 それに気付いた牧野が少し恥ずかしそうに頬を染めて・・・
 別に深い意味はなく、ただ照れてるだけなんだってことはわかってる。
 だけど、なんかおもしろくなくって。
 牧野が他の男にそんな顔を向けるのが気に入らなくて。
 気付いたら、牧野の肩を引き寄せ、そのまま唇を奪っていた。
「!!・・・・・っ」
 驚いて目を見開く牧野。
 そのまま俺は深く口付け・・・・・
 漸く離れたときには牧野の顔は真っ赤になっていて、瞳は潤んでいた。
「・・・・はあっ・・・・・類!」
 潤んだ瞳のまま、上目遣いで睨んでくる牧野。
 そんな顔したって、かわいいだけなんだけど。
 向側のシートでは呆気に取られ、顔を赤くする2人・・・。
「よそ見しちゃ、だめだよ」
 至近距離まで顔を近づけて耳元で囁く俺に、牧野はその体をピクリと震わせ、
「し、してない」
 と首を振った。
「てか、何のこと!?」
 その問いには答えず、俺はただ微笑んで見せた。
 超鈍感なのは知ってる。
 でも、知らずに男を挑発するような態度は、やめてもらわないとね・・・・

 
 -tsukushi-
 「なんかお前、疲れてねえ?」
 レストランに着き西門さんたちと合流すると、あたしの顔をみて西門さんが言った。
「・・・なんでもない・・・」
 説明しようがない。
「ふーん・・・?ま、いいや。ここ、滋のお勧めだってさ。うまいもんでも食って機嫌直せよ」
 そう言って笑い、あたしの頭に掌を乗せた。
 目の前には、いかにも高級そうなレストラン。
「なんか高そう・・・」
「お前な、すぐそうやって金のこと気にすんのやめろ」
「そんなこと言ったって・・・こんなところで食事できる経済状態じゃないもん」
「だから、今日はここに来たんだろ」
「え?どういうこと?」
「今日は司の奢り。ここなら司の顔が利くんだ。司が、ゆっくり時間取れなかったお前達への侘び・・・・ってことにしといてくれってさ」
「道明寺が・・・・・」
「あいつも、ここに来たかっただろうな」
 西門さんにそう言われ・・・・
 レストランに入っていくメンバーを見ながら、あたしには一瞬、その中に道明寺の姿が見えたような気がした・・・・。
「牧野」
 いつの間にか類が隣に来て、あたしの肩を抱いていた。
「類」
「入ろう」
 そう言ってにっこりと笑い・・・反対側にいた西門さんにちらりと視線を向けた。
「・・・・・そう睨むなって。まだ何もしてねえだろ」
 西門さんが困ったように言うのを、あたしは不思議に思って首を傾げる。
「何のこと?類?」
「・・・なんでもないよ。ほら、もうみんな入って行ってる」
 そう言って促され、あたしたち3人もレストランに入った。
 広くて開放的なレストラン。
 中にいるのはみんな高級そうな服に身を包んだ人たちばかりで・・・・
 ―――あたし、やっぱり場違いだわ・・・
 なんて思ったが、今更引き返すわけにも行かず、案内された席に着く。
 全員が席に付くと、やってきたウェイターに滋さんが流暢な英語で何か告げるとすぐにウェイターは下がり、程なくして次々と料理が運ばれてきた。
「すごい・・・・こんなの、食べたことないかも」
 目の前の料理に目を丸くする優紀。
 あたしも、この人たちと食事するのは初めてじゃないけど・・・・
 何度見ても慣れない。

 「あたしも、司に会いたかったなあ」
 食事を始めると、滋さんがちょっと不服そうに言った。
「わたしも!どうして会わせてくれなかったんです?」
 桜子もそう言って頬を膨らませた。
「バーカ。お前らが一緒にいたら話したいことも話せないっつーの。ただでさえあいつは忙しくって少ししか時間が取れなかったんだ。貴重な時間無駄にしたくねえだろ」
 西門さんの言葉にも、滋さんはさらに不満そうな顔をする。
「だからって、仲間外れはないじゃん。久しぶりに会えると思ったのに・・・」
 一瞬、切なそうな表情をする滋さん。
 やっぱりまだ、道明寺のことを・・・・
 そう思うと、あたしも胸が痛んだ。
「ごめん、滋さん・・・」
「やだ、何でつくしが謝るのよ!つくしはちゃんと話できたんでしょう?良かったじゃん!今回の目的はそれだったんだから、いいんだって。あたしは・・・・また、1人でもこれるし」
「あ、1人でなんてずるいですよー、そのときはあたしにも声かけてくださいね!」
 すかさず桜子が口を挟む。
 それを見て、あたしはちょっと苦笑いする。
 この2人がタッグを組んだらそれこそ最強・・・。道明寺も追い返せないくらいのパワー、持ってそうだよ。

 料理の味はさすが、申し分なく、あたし達は満腹になるまで堪能した。
「さて、そろそろ行くか」
 そう言って先に立ち上がったのは西門さんだ。
「これから行くクラブって、どこにあるんです?」
 桜子がナプキンで口元を押さえながら聞いている。
「ん?あそこ」
 そう言って美作さんが指差したのは、このレストランの目の前。
 通りを1本隔てたすぐそこだったのだ・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 優紀の彼氏の名前を考えてなくて・・・・
 この話が終わるまでに、でてくるかどうか・・・(^^;)
 なんか最後まで「優紀の彼氏」で終わりそう。かわいそうな人だ。

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ブランコ vol.23 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 道明寺邸を出ると、そこには懐かしい顔が待っていた。
「つくし!久しぶり!」
 そう言っていきなり抱きついてきたのは・・・・・
「ト、トーマス!?」
 そう、あのトーマスだ。
 うれしそうに人懐こい笑顔を見せるトーマス。
「またつくしに会えるなんて、本当にうれしいよ」
「びっくり・・・・まだこっちにいたの?」
「1度はドイツに帰ったみたいですよ」
 と言ったのは桜子。滋さんも隣でニコニコしている。
「うん、そう。でもおもしろくなくってさあ。ここには気の合う仲間もいるし、またここに戻ってきちゃったんだ」
 無邪気に笑うトーマス。
 なんだか時間が巻き戻ったみたいな感覚を覚える。
 変わってないなあ、トーマスは・・・。
「つくし、あの時一緒だった・・・類くんだっけ?彼と付き合ってるんだって?」
「え、う、うん、まあ・・・」
 どきっとしてついどもってしまう。
「そっかあ。あの時の類くん、つくしのことすごく大事にしてるみたいだったから、どうなったのか気になってたんだ。そっかあ。でもなんだかちょっと悔しいなあ」
「悔しい?何で?」
 あたしの問いに、トーマスはにっこりと笑った。
「だって僕も、つくしが好きだったから」
「は?」
 何言ってるんだか、この外人は・・・・
 どうせ冗談に決まってると思い、相手にしないでおく。
「全く、とんでもないですよね。面倒見てあげたわたしを差し置いて牧野先輩を好きになるだなんて、どういうつもりかしら」
 不本意そうに桜子が言うのを、トーマスは肩をすくめて答える。
「だって桜子性格悪いから・・・」
「な、何ですって!!」
「うわ、ごめん、でも桜子には感謝してるよ。だからいろいろ協力したじゃないか」
「・・・・・・・ま、いいわ。それにしても、牧野先輩って何気にもてますよね」
「もてるって・・・・そんなことないでしょ。誰にもててるのよ」
 とあたしが言うと、桜子は思いっきり呆れた目であたしを見つめた。
「あたしもつくし大好きだよォ。いっつも元気もらってる。つくしがもてるの当然だと思うけど」
 滋さんまでそんなこと言うもんだから、あたしは思わず照れてしまう。
「な、何言ってるのよ、滋さんまで!あ、あれ、ところで優紀は?」
 さっきから姿が見えない優紀とその彼氏。
「あ、あの2人は2人の世界作ってたんで別行動してもらいました」
「え・・・・・」
「大丈夫ですよ。そのほうが向こうもうれしそうだったし。それよりもせっかく来たんですから4人でどこか行きましょうよ。さっきロックフェラーにいったから、次は・・・・」
 と、桜子はさっさと歩き出す。
 あたしは慌ててその後を追いかけながら。
「あ、ちょっと待ってよ。後から類たちも合流するんでしょ?」
「あ、そうでしたね。どれくらいかかるのかしら?カフェにでも行って時間つぶします?」
「そうしようよ、あたしおなか空いちゃったあ。ケーキ食べたい♪」
 滋さんが嬉々として言い、あたし達は滋さんが案内するカフェへと向かったのだった。


 「つくし、今度またぼくらの家に遊びに来てよ」
「えー、トーマスの家って、例のあそこ?相変わらず共同生活してんの?」
「そ。メンバーの入れ替わりはあるけど、大体いつも10人から20人くらいがいて、賑やかだよォ。つくしのこと話したら、きっとみんな会いたがるよ」
「んー・・・一応お世話になったしねー・・・」
 でも、あの時はトーマスたちのせいで散々な目にもあったのよね。
 今となっちゃあ懐かしい思い出だけどさ。
 と、それまであたしとトーマスの会話を紅茶を飲みながら聞いていた桜子が口を挟んだ。
「・・・・なんか先輩って、ブランコみたいですよねえ」
「は?ブランコ?何言ってんのよ、桜子」
「いつもユラユラあっちへ行ったりこっちへ行ったりしてて。でも結局は元に戻る、みたいな感じじゃないですか。一番大きく揺れたのは道明寺さんと付き合ってたときでしょうけど・・・それでもいつも傍には花沢さんがいて。花沢さんが支柱の役目をしてしっかりと先輩を支えてくれるからこそ、先輩がどんなに大きく揺れても大丈夫なんじゃないですか?そして、先輩が疲れたときにもしっかりと傍で支えてくれる。先輩と花沢さんは、2人でいたらきっとどんなことでも乗り越えていけそうな気がしますもの」
「桜子・・・・・」
 驚いた・・・。
 桜子が、そんな風にあたし達のことを見ていたなんて、思いもしなかった。
 幼いころに道明寺の心無い言葉で傷つき、屈折した恋愛感情を持ち続けていた桜子。
 傷ついてもやっぱり道明寺のことが好きで、あたしもひどいことされたりしたけれど、今はいい友達になれたと思ってる。
「でも、あっちへ行ったりこっちへ行ったりって何?あたしそんなにふらふらしてないよ」
 あたしの言葉に、桜子は呆れたように横目であたしを見た。
「よく言いますよ・・・。先輩のそういう無自覚なところはある意味無敵ですよね。あの道明寺さんでさえ敵わないんですもの。花沢さんも苦労しますよ」
「な、何よそれ。類に苦労なんかさせないわよ!」
「はいはい、せいぜいがんばってくださいよ」
 ひらひらと手を振り、運ばれたケーキを食べ始める桜子。
 強引に話を切り上げられたみたいであたしはちょっと不満だったが、目の前においしそうなケーキが運ばれてきて、あたしも食べることに専念することにした。
「そうだ、類くんも一緒に来れば良いよ。類くんのこともみんな覚えてるよ」
 と、またトーマスが元の話に戻す。
「あー、じゃあ類に聞いてみて・・・・」
「あ、無理だと思いますよ」
 と、桜子が突っ込む。
「へ?何で?」
「前とは状況が違うじゃないですか。今の花沢さんが、いい顔するとは思えないですもん」
「意味わかんないんだけど・・・前のときは類もおもしろがってたよ?」
「だ・か・ら、前とは状況が違うって言ってるじゃないですか。今は、先輩花沢さんの彼女なんですから。試しに、トーマスがいるときに花沢さんに聞いてみたらどうですか?」
 桜子の確信しているかのような言い方に、あたしとトーマスは顔を見合わせたのだった・・・・・。


 「ダメ」
 30分後、桜子が西門さんに連絡を入れ、3人がカフェにやってきて。
 早速あたしは類をトーマスの家へ誘ってみると、むすっと顔をしかめたまま、そう言われた。
 ほらね。
 とでも言いたげな桜子の含み笑いを見て、あたしは類に詰め寄った。
「何で?前にも行った事あるじゃない」
「今回は行かない。・・・それより、そこ、俺の席」
 そう言って類が顎で指したのは、あたしの隣、今トーマスが座っている席だった。
「あ・・・そうか、ごめんよ。じゃ、僕はそっちの席に移るよ」
 そう言ってトーマスは、隣の4人がけのテーブル、西門さんと美作さんが座っているほうへ移動した。
 類はそのままあたしの隣にすとんと座る。
「類?何かあった?」
 この店に入ってくるところから、なぜか不機嫌そうな顔をしている類。
 あの後、4人で何かあったんだろうか。
 心配そうに顔を覗き込むあたしに、類はちょっと笑って見せた。
「別に、何もないよ。そんな顔しないで」
「そうそう、20分くらい、4人で話しただけ。あいつ忙しいから、すぐに連れてかれちまったし」
 そう言って西門さんが笑った。
「そういうこと。なあ、明日はもう帰るけどこの後どうする?どっかで飯食った後クラブでも行くか?」
 美作さんが上機嫌で言う。
 なんかこの2人だけ、機嫌良いみたい・・・。
「あ、行きたい♪ね、それじゃこれから服買いに行かない?おしゃれしていこうよ」
 滋さんが身を乗り出す。
「良いですよ」
「あ、あたし無理。そんなにお金持ってきてないし。このままじゃダメなの?」
「場所にもよるけど・・・あたしの服でよければ貸すよ?つくしいないとつまんないし、みんなでおしゃれした~い」
 滋さんが口を尖らせる。
「でも・・・・」
「良いじゃん、牧野。滋がそう言ってんだし。せっかくだからみんなで行こうぜ」
 西門さんがそう言って優しく微笑む。
 なんだか妙に優しい気が・・・・
 あたしは類のほうを見た。
「・・・類も行く?」
 類が面倒くさがって行かないと言うんだったら、あたしも行かないんだけどな・・・と思って聞いてみると、意外なほどあっさりと
「うん。牧野も行こう。服、借りればいいじゃん」
 と言われ・・・・
 こうなったら、もうあたしに断る理由はなくなってしまうので、ここはもう滋さんの言葉に甘えさせてもらうことにした。
 コスプレ好きの滋さん。
 どんな服を貸してくれるのやら、一抹の不安を抱えつつ、あたし達はカフェテリアを後にした・・・・・



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ブランコ vol.22 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 牧野が部屋から出て行くと、早速司が口を開いた。
「で?何なんだよ?」
 ちょっとイライラとしたその口調に、あきらが場の空気を和らげるように言った。
「あせんなよ、司。たいしたことじゃねえ。ただ、牧野には聞かれたくなかっただけだ」
「牧野には・・・・ってことは、あいつに関係のあることなんだろ?」
「お、さすが。馬鹿なくせに牧野のことになると鋭いな」
「総二郎、てめえ!!」
 総二郎の言葉にカッとなって掴みかかるのを、またあきらが慌てて制する。
「おい落ち着けって。総二郎も、事を荒立てるようなこと言うなよ」
 あきらの言葉に司は舌打ちしてその手を引っ込め、総二郎も肩をすくめて両手を挙げた。
「ワリイワリイ。ついいつもの調子で・・・・」
「ったく・・・・。あのな、司。今言っとかねえと後で面倒くせえことになるかもしれないと思って、総二郎と相談したんだ。類には話したんだが・・・・」
 あきらが言いかけたとき、司が口を挟んだ。
「もしかして、お前らが牧野に惚れてるってことか?」
 その言葉に、俺たち3人はそろって固まった。
「んだよ、その顔」
「・・・・・って、司、そのこと・・・・」
 あきらが何とか口を開くが、言葉が続かない。
 まさか、司が気付いてただなんて・・・・・
「いつから、気付いてた?」
 俺の問いかけに、司は肩をすくめた。
「いつからって・・・んなの覚えてねえよ。高校生のころから、そうだったろ?あきらは年上の女しか相手にしないくせに、牧野には一目置いてた。子供っぽい女は面倒くさいって嫌がってたくせにな。総二郎は女たらしのクセに、牧野には暴言吐いてたろ。どんなに気にいらなくったって、あの海って女にさえ遠慮してはっきり物言えなかったやつがよ。牧野の前では素直だったじゃねえか。2人とも類みたいにあからさまに態度に出してなかったってだけで、好きだったんだろ?ずっと」
 ・・・・・・・・・・・・・・驚いた。
 俺は、最近になるまで2人の気持ちには気付かなかった。
 確かに言われてみれば司の言うとおりだけど、牧野は仲間だから・・・2人にとっても友達だからって、そういう風に思って何の疑問も持ってなかった。
 おそらく、2人にとってもそうだろう。
 少なくとも、高校生のころは自分でも自覚してなかったんじゃないだろうか・・・。
 司と別れて、牧野がフリーになったことで、急に2人の中で何かが弾けたんだ・・・・・。

「で?何だよ、話ってのはそれか?」
 固まっていた俺たちは、司のその言葉で我に返った。
「あ、いや、そうなんだけど・・・・・参ったな。お前がそうくるとは思ってなかった」
 あきらが頭をかく。
「全く・・・・予想のつかないやつだぜ。まあでも司がそれ知ってるんだったら話が早い。つまり、そういうことだ。俺もあきらも牧野が好きで、諦められない。牧野の気持ちはわかってるけど、どうにも出来ない。もちろん俺もあきらも牧野の幸せを望んでるけど」
「それでも諦めたくないってか・・・・・・俺とおんなじだな」
「司・・・・・」
「俺だって、まだ牧野が好きだ。だけど・・・・・・・今、俺にとって仕事はすげぇ大事なんだ。牧野の危機に駆けつけてやることはできても、ずっと傍にいてやることはできねえ。それでも、気持ちがつながっていれば大丈夫だと思ってた。変わったのは俺なのか、あいつなのか・・・あいつの気持ちが類に向いてるのに気付いてたのに、俺は何にも出来なかった。いや・・・しようとしなかったんだ。仕事が忙しいのを理由に、ことを先延ばしにして・・・結局手遅れになっちまった」
 苦笑いしながら人事のように話す司の表情には、後悔が滲んでいた。
「あん時のこと、後悔はしてるけど・・・たぶん、今でも同じことしてたと思うよ。俺から仕事は切り離せねえ。たぶん変わったのは俺だな。俺は、牧野が幸せになってくれるならそれで良い。相手が類でも総二郎でもあきらでも、俺にとっちゃあおんなじだ」
 そう言ってにやりと笑う。
 その顔はもういつもの司の顔で・・・・・
「牧野が良けりゃ良いってこと?」
 俺の言葉に、さらに笑みを深くして、言う。
「ちょっと違う。牧野の相手がお前らの中の誰かなら良いってことだ。お前らの中の誰かと一緒になりゃあ、俺と牧野の距離は変わらねえ」
 その言葉に、俺たち3人はまた固まる・・・・・。
 やっぱり司は最強だ・・・・・。


 その後、部屋に現れた秘書に司は攫われるように連れて行かれ、部屋には俺たち3人が残された。

 「全く・・・あいかわず嵐のような男だな」
 あきらが呟いてソファーに体を静めた。
「けど、話はついたぜ。司は、牧野の相手が俺たちのうち誰でも良いってさ」
 総二郎がにやりと笑うのを見て、思わずむっとする。
「・・・・牧野と付き合ってるのは俺だよ」
「だけどまだ結婚したわけじゃない。大体、司と付き合ってたときに堂々と告白して牧野の傍にいたのは類、お前だろ。結果的に牧野とうまくいった。おっと怒るなよ。事実だろ。俺とあきらは、あのときのお前と似たようなもんだ」
「・・・・・牧野に言うつもり?」
「いや、それはまだだ」
 あきらが冷静に言った。
「司との話にけりがついたばかりで、また新たな問題が発生したんじゃ牧野が気の毒だ」
「そういうこと。今日は、司と話がしたかったんだ。あいつが今でも牧野のことを想ってることはわかってたし。あいつにちゃんといっとかねえと俺たちもスタートが切れないってことだ」
 そう言って総二郎は、俺を見て微笑んだ。
「心配すんなよ。牧野の幸せを願ってるってのは本当だから、あいつを泣かせるようなことするつもりはねえよ。それに、お前と友達止めるつもりもねえ。無理やりあいつを奪ってやろうとか、そんなことは考えてねえから」
「・・・・わかった。だけど、俺は絶対牧野を譲ったりしないよ。牧野だけは、誰にも渡さない」
 俺の言葉に、あきらと総二郎は顔を見合わせて笑った。
「んなことは百も承知。だけど俺たちも諦めない。手ぇ抜くつもりはねえからな」
「正々堂々とぶつかってってやるから、覚悟しとけ」

 俺たち3人の間に、見えない火花が散った。
 
 これからが、スタート。 
 まだまだ気の抜けない日々が続きそうだ・・・・・



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ブランコ vol.21 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 「牧野、大丈夫?」
 類が、心配そうのあたしの顔を覗き込む。
「大丈夫・・・。ちょっと緊張してるだけ」
 そう言って頷いて見せた。
 道明寺の邸。
 あたし達はその中の1室で道明寺が現れるのを待っていた。
 美作さんの言うとおり、ここを尋ねてきたあたし達はあっけないほどすんなりとここまで通され、返って拍子抜けしてしまったくらいだった。

 あたしと類、そして美作さんと西門さんがここまで来ていた。
 他のメンバーは今日はN.Y.観光を楽しんでいる。
 あたし達も、ここでの話が終わったら合流する予定なのだが・・・・。


 ガチャリ。
 部屋のドアが開けられる音に、あたしの心臓が飛び上がる。

 ゆっくりと開かれる重厚な扉。
 そこへ入ってきたのは・・・・・。

 「司」
 西門さんが声をかける。
 入ってきた道明寺はあたし達を見渡し、にやりと笑った。
「なんだよ、本当に全員できやがったのか。暇なやつらだな」
 憎まれ口もなんだか懐かしい。
 道明寺と会うのは2ヶ月ぶりだ。
 前に会った時は、別れ話だったけれど・・・・・。
「で?今日はなんだよ。ワリイけど、あんまり時間がねえ。手短に頼むぜ」
 そう言って道明寺は中央のソファーに座った。
 なんだか以前よりも貫禄が出たような気がする。
「あの、道明寺・・・」
 あたしは道明寺の正面に立った。
 道明寺の鋭い視線があたしを捕らえる。
「あたし・・・今、類と付き合ってるの」
「・・・・そうか」
「それを言いたくて・・・何度も電話したんだけど・・・」
「知ってるよ」
 あたしの言葉に、道明寺は肩をすくめて答えた。
「司・・・・」
 類が何か言いかけるのを、道明寺は片手で制した。
「待て。・・・あのな、いくら忙しくたって携帯の着信履歴くらい見るし、寝てねえわけじゃねえんだからかけなおす時間くらいあったよ」
 あたしは驚いて目を見開いた。
「な!?じゃ、じゃあ何で!!」
「・・・・電話で、済ませられる話じゃねえだろ」
「!!」
 道明寺の真剣な声に、あたしは言葉が出なかった。
「少なくとも俺にとっては、そうだ。お前と類から同時期に何度も着信がありゃあ、何が言いたいのか大方の想像はつく。だけど俺は、お前と類に直接会って、聞きたかった。だから、会う時間を作れたらこっちから呼び出してやろうと思ってたんだが・・・・あきらたちが」
 そう言って道明寺は美作さんたちに視線を移した。
「絶対に時間を作れって。さもないと・・・・お前が不幸になるって」
「あ、あたし?何で・・・・」
「しらねえよ。まあ俺も、何とか時間を作らなきゃと思ってたからな。ちょうど良かったんだ」
 道明寺はそう言ったけど・・・あたしは首を傾げた。
 あたしが不幸になるって、何?何で美作さんがそんなこと?
 訳わかんないけど・・・それもあたしと道明寺がちゃんと話せるようにするため・・・ってこと?
 類を見ると、類は不機嫌そうに眉間にしわを寄せ、美作さんたちを睨んでいた。
 な、何・・・・・?類が怖いんだけど・・・・・
「類」
 道明寺の声に、類が道明寺を見る。
「牧野を・・・幸せに出来るのか?」
「・・・ああ。幸せにするよ」
「・・・泣かせるような事、するなよ。牧野を不幸にするやつは、俺がぜってえゆるさねえ」
「わかってるよ」
「道明寺・・・・・」
「牧野・・・・お前には、幸せになる権利がある。俺っていう最高の男が、保証してやる」
 いつものように自信に満ち溢れた顔でそう言って、あたしの手を握る。
 あたしは零れそうになる涙を堪えながら、その手を握り返した。
「ありがと・・・・・あたし、幸せになるから・・・・」
「あたりまえだ。もしも類がお前を不幸にしやがったら、俺がぶっ殺してやるよ」
「ぶ、物騒なこと言わないでよ!」
 あたしが慌てて言うと、道明寺は声を上げて笑った。
 明るく、吹っ切れたような笑い声。
 それを聞いて、あたしも漸くほっとできた気がした・・・・・。

「ところで。類と牧野の用件はわかったけど、おめえらはなんだよ?」
 道明寺が再び美作さんと西門さんを見て言った。
「ああ・・・・あ、ちょっと待て」
 西門さんが何か言おうとして・・・ポケットの携帯が鳴り出して、それを取った。
「ああ、俺・・・・・わかった」
 簡単なやり取りですぐに切ってしまうと、西門さんはあたしを見た。
「牧野。お前、もう行け」
「は?」
 突然話を振られ、あたしは訳がわからない。
「滋たちがここの前で待ってる。あいつらと合流しろよ」
「俺も行って良いの?」
 と言う類の声に、美作さんが口を開く。
「類はここにいろ。4人で話がしたいんだ」
 一瞬の沈黙。
「あの・・・・」
 あたしが口を開くと、西門さんがそれを遮るようににっこりと笑って言った。
「そんな顔すんな。久しぶりに会ったから幼馴染4人で話がしたいだけだよ。お前も、気ィ張ってて疲れただろ?あいつらとゆっくりして来いよ」
「でも・・・・」
「牧野」
 類が、あたしを見てにっこりと笑う。
「心配ないから」
「・・・・・わかった。じゃ、あたし行くね。・・・・道明寺、ありがとう。また・・・・」
「おお、またな」
 道明寺があたしにひらひらと手を振る。

 そうして、あたしは後ろ髪を引かれながらも、邸を後にしたのだった・・・・・。



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ブランコ vol.20 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 俺は部屋を出ると、隣の部屋をノックした。
「はーい」
 元気な声とともにドアが開かれる。
「あ、類くん!ちょっと待ってね。つくし~類くんだよ~」
 大河原がすぐに牧野を呼んでくれる。
「は~い、ちょっと待って」
 牧野は何かがさがさと荷物をいじっているようだ。
「じゃ、あたし達はちょっと買い物してきますから。先輩は花沢さんとごゆっくり~」
 三条が牧野に声をかけ、ニヤニヤと含み笑いをしながら大河原とともに出て行った。
 2人が行ってしまうと、俺はその部屋に入り手近なソファーに座った。
「ごめんね、カメラが見当たんなくて・・・・あった!良かった~」
 そう言って、トランクから取り出したカメラを大事そうに抱えた。
「・・・・・カメラ、持ってきたんだ。何撮るの?」
「え・・・・・いや、何かあるかなあと思ってさ・・・・せっかくここまで来たんだし・・・・」
 恥ずかしそうに言うその姿がかわいかった。
「じゃ、被写体でも探しに行く?すぐそこ、セントラルパークだし」
 くすくすと笑いながら言うと、牧野はうれしそうに瞳を輝かせた。
「うん!行く!」
 

 ホテルの目の前にあるセントラルパーク。
 俺たちはそこを並んで歩いた。
「懐かしい・・・・。季節が違うと、ちょっと違って見えるね」
「うん」
 しばらく無言で歩く。
 たぶん牧野は以前ここに来たときのことを思い出してる。
 高校生だったあのころ。
 ただ司に会いたい一心でここまで追いかけてきた牧野。
 そんな牧野を放って置けなくて。
 ただ牧野のことが心配で、追いかけてきた俺。
 自分の気持ちを告白した俺に、動揺する牧野がおもしろくって、かわいくって・・・。
 でも牧野の気持ちはわかっていたから。
 司は親友だから。
 ただ見守るだけでいいと思ってた。
 牧野の笑顔が見られるなら、それだけでいいと思ってた。
 いや。
 たぶん、そう思おうとしてたんだ。
 牧野の傍にいたかったから。
 恋人にはなれなくても、友達ならずっと傍にいられる。
 そう思ったんだ。
 だけど心は正直で・・・・・。
 牧野の心が欲しいって。
 俺の心は、ずっとそう叫んでたんだ・・・・・。


 「類・・・・類?どうかした?」
 黙りこんでしまった俺の顔を、牧野が心配そうに覗き込む。
「あ、ごめん。ちょっとボーっとした。・・・なんか飲み物でも飲む?」
「うん、そうだね」
「じゃ、買って来る。ここで待ってて」
 そう言って俺は牧野を待たせ、売店の中に入った。


 「はい。ココアでよかった?」
 ベンチで待っていた牧野に飲み物を渡す。
「あ、ありがと」
 飲み物を受け取り、おいしそうに飲む牧野。
 こういうときの表情も、すごくかわいく思えてつい見惚れてしまう。
「な、何?」
 じっと見られたことが恥ずかしいのか、牧野の頬がほんのりと赤くなる。
「いや、かわいいなと思って」
 そう正直に言うと、ますます赤くなる。
 それがおかしくて、かわいくて、吹き出してしまう。
「類!もう、からかわないでよ!」
 途端に怒り出す姿も、全然怖くないし、むしろかわいいと思ってしまう俺は相当重症かもしれないと思う。
「からかってなんかないって。本当にそう思ってるんだから」
「もう・・・・あたしで遊ばないでよ」
 真っ赤になって頬を膨らますその表情は、小動物みたいで笑える。
「・・・まだ笑ってる。類ってそんなに笑う人だったっけ?」
「ん。牧野といると、自然と笑える。だから一緒にいると楽しいよ」
 そう言って笑うと、牧野は照れた様にちょっと俯いた。
「・・・・あたしも・・・・楽しいよ・・・・・?」
 恥ずかしそうに、頬を染めて呟く牧野。
 こういうのは不意打ちだ。
 さっきまで怒ってたのに急に女の子らしい表情になるから、俺の心臓が急に騒がしくなる。
「・・・・・それ、反則・・・・・」
「え?」
 俺の言葉に反応し顔を上げた牧野の唇に、掠めるようなキスをする。
 牧野はびっくりしすぎたかのように、固まっている。
「・・・・・・・・・・・・な!?」
「・・・ココア、こぼれるよ」
「え?うあ、あつっ」
「ぶっ・・・・・大丈夫?」
「もう、類が驚かすから・・・」
「そんなに驚く?初めてじゃないのに」
 そう言うと、牧野は相変わらず赤い顔のまま、また恥ずかしそうに俯く。
「だって、脈略ないんだもん・・・・びっくりする・・・・・」
「脈略・・・・充分あると思うんだけどな」
 俺の言葉に、いちいち反応してくれるのがかわいい、とか。
 ころころ変わる表情がかわいくて仕方ない、とか。
 そんな俺の気持ちに牧野は気付かないんだ。
 そんな風に見事なまでに鈍いところも、まあかわいいんだけど・・・・。

 俺はそっと、牧野の手を握った。
 牧野はちょっと驚いてピクリと反応したが、そのうち戸惑うように、俺の手を握り返してくれた。
「明日・・・・」
「うん・・・・?」
「司がもし、認めてくれなくても・・・・俺は、諦めないから・・・・」
「類・・・・・」
「ずっと待ってた。諦めることなんて、出来なかった。だから・・・司が何を言っても、俺の気持ちが変わることはないし、司が認めるまで、いつまででも待つよ」
 牧野が、俺の顔を見上げる。
 大きな瞳には、涙が溜まっていた。
「類・・・・・」
「覚悟しといて。俺、結構しつこいんだ」
 そう言ってにやりと笑って見せると、牧野は泣き笑いのような顔を見せて、俺の肩にこつんと額を乗せた。
「・・・・ありがと・・・・類・・・・大好き・・・・・」
 まだ肌寒いN.Y.の公園で・・・・
 俺は肩に感じるそのぬくもりを逃がさないように、しっかりと抱きしめたのだった・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 いつもご覧いただきありがとうございます。
 昨日も励ましの拍手コメントをいただき、本当にうれしく思っています。
 その中に昨日のわたしの反論に対するご意見がありましたが、それを読ませていただいてもやっぱり納得できるような内容ではなかったです。表現が似てる、というだけで「パクリ」というのは違うでしょう?
 もう、この話題はやめますね。たぶん読む人にとっても気分のいいものじゃないと思いますので。
 今後、そういった誹謗中傷のコメントを見つけた場合には即刻削除させていただきます。もちろんメールでのご意見にはお返事を返させて頂きますので、何か言いたいことがある方はそちらからどうぞ。

 励ましのコメントをくださる方へ、お返事が出来ないこともありますがコメントは全て読ませていただき、力にさせていただいています。これからも楽しんでいただけるようにがんばりますので、どうぞよろしくお願いします。

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ブランコ vol.19 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 「ねえ、あたしティファニー行きたいんだけど」
「待ってくださいよ、あたしその前に行きたいところが・・・」
「おいおめえら、勝手な行動すんなよ!」
 空港に着くなり、ばらばらに行動し始めるメンバーに檄を飛ばす美作さん。
 どこにいても変わらぬ光景に、あきれてしまうが・・・
 あたしの心中はそれどころではなく。
「おい、牧野しっかりしろよ」
 西門さんに、ぽんと頭をはたかれ、はっとする。
「今からそんな緊張した顔してんなよ。とりあえず先にホテルだ。そっからは俺たちに任せてお前は心の準備だけしとけ」
「うん・・・・」
 西門さんの言葉にあたしは頷くが・・・
 どうしても昔の記憶がよみがえる。
 ちゃんと会えるんだろうか・・・・・
 不安な表情のままのあたしの肩を、類がそっと抱いてくれる。
「大丈夫。俺が着いてるよ」
 類の、いつもと変わらぬ優しい笑顔にちょっと安心する。
「うん」


 -akira-
 「気に入らない」
 ホテルについて部屋に入った途端、類が履き捨てるように言う。
「おい、類・・・・」
 なだめようとする俺からふいと目を逸らす。
「あのなぁ、しょうがねえだろ、司に会って話すまではお前と牧野、同室にするわけにいかねえだろ」
「何で?」
 このふてくされようは、俺たちの策略のせいだ。
 ホテルの部屋は全部で3部屋。
 1つには優紀ちゃんと優紀ちゃんの彼氏。
 2つ目には牧野、滋、桜子の3人。
 3つ目には俺たち男3人が泊まる。
 類としちゃあ、当然牧野と同じ部屋に泊まる気でいたわけだから、ふてくされるのも当然だが・・・。
「さっきも言ったけど、今日は司に会えねえ。ワシントンに行ってんだ。帰ってくるのは明日。明日は絶対に話せるから話がつくまで待てよ。1日くらい我慢できるだろ?今までだってずっと待ってたんだ」
 俺の話を黙って聞いてた類は、しばらく黙った後、じろりと鋭い視線で俺たちを睨んだ。
 長いこと幼馴染をやってるが・・・
 こんな類を見るのは初めてだ。
 俺の背中を嫌な汗が流れる。
 隣にいる総二郎も同じだろう。類と視線を合わさずあさっての方向を見ている。
「・・・・・・・・・・・・何考えてんの」
「・・・何って・・・」
「俺が、2人の気持ちを知らないとでも?お前らが牧野に惚れてることくらい、知ってる」
 類にはっきりと言われ、俺たちは溜息をついた。
「だろうな」
 と総二郎が肩をすくめる。
「お前が気付いてないわけはないと思ったよ」
「で?何企んでんの」
 類の言葉に、俺と総二郎はちらりと視線を交わした。
「・・・・それは、まだ言うわけには行かない」
 総二郎が答える。
「明日・・・司に会いに行って。お前と牧野の話が終わったら、俺たちも司とお前に話がある。そのときにわかるよ」
「・・・・・・・・わかった。そのときに聞かせてもらうよ」
 そう言うと、類は部屋を出て行った。

 ドアがばたんと閉まると、俺たちは同時に息を吐き出した。
「・・・・・・・あいつのあんな顔、初めて見たぜ」
 そう言って総二郎が手近にあったソファに体を沈める。
 それに俺も頷き、溜息をついた。
「ああ・・・。明日のことが心配になってきたぜ・・・・・」
「おい、何言ってんだよ!言い出したのはあきらだぜ!」
「わかってるよ」
 総二郎の剣幕に、俺は思わず顔をしかめる。
「仕方ねえだろ、こうでもしなきゃ・・・・誰かさんは抜け駆けするし」
「ふん。あきらに言われたかねえよ。最初に抜け駆けしたのはおめえだろ」
 俺とあきらの視線が一瞬混じりあい、火花が散る。


 あの日・・・・・・
 仕事の途中に車で牧野のバイト先の居酒屋を通って。
 ちょうど時間的にもうすぐ牧野が来るころだろうと思って、少しの間そこで車を止めてもらった。
 そこへ現れたのが、総二郎の車から降り立つ牧野だった。
 
 何で総二郎と・・・・・?

 笑顔で店の中に消える牧野。
 それを切ない表情で見送る総二郎。
 あんな総二郎の顔を見るのは初めてで・・・・思わず声をかけそびれた。
 だけど黙っていることも出来なくて。
 翌日、俺は総二郎と話をしたんだ・・・・・。


 「まさかあの時、あきらもあそこにいるなんてな・・・よくよく俺たちって気が合うよな」
 自嘲気味に言う総二郎に、俺は肩をすくめた。
「高校生のときから、俺らはずっと牧野を見てきてる。司や類と、同じようにな。あんな強烈な女、2人といねえ。こうなることは時間の問題だったんだよ」
「確かに・・・。諦めようと思って簡単に諦められるもんでもねえ。だから、ここまで来たんだもんな。もう覚悟はできてる」
 そう言って総二郎はにやりと笑った。
 それを見て俺も笑みを返した。
「ああ。もう後戻りは出来ねえ。やれるだけのことはやる。俺たちにはそれしかねえよ」
 そうして俺たちは、拳をつき合わせた。
 
 幼馴染という関係は一生変わらない。
 だけど俺たち4人の中に牧野つくしという女が入り込んできたときから。
 微妙に変わり始めていたんだ。
 それは必然。
 もう誰にもそれを止めることなど出来ない。
 だから、俺たちも前に進む。
 たとえこの先にあるのが断崖絶壁だったとしても・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 いつも拍手&応援ありがとうございます。
 拍手コメントを残してくださる方に、いつもお返事したいなあと思ってるんですが、あれ、出来ないんですね。とてもうれしいコメントをいただいているので、なんだか残念です。この場でお礼をさせていただきますね。本当にありがとうございます。すごく励みになります。

 逆に、返事をしたり通常のコメントと違って特定のホストをブロックしたりすることが出来ないのを知っていてひどいことを書き込む人もいます。この下のほうの文章はちょっと愚痴というか、そういった書き込みに対する反論になりますので、読まれたくない方は無視しちゃってください。

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 誹謗・中傷コメントについては、もちろん速攻削除しますし気にしないようにはしてますが、頭にはきます。よっぽど暇なんですかね。わたしの書くお話が気に入らないというならそれでもいいんです。でも別に、拍手コメントでわざわざ知らせることですかね?読まなきゃいいことでしょう。
 それから、わたしはパクリなんてしてませんよ。「花男」という作品を元にしている以上、同じような台詞回しがあったり、似たような状況のお話を書いている人はたぶんいると思います。でも全く同じ話を書く人はいないでしょうし、そんなことしたって話がつまらなくなるだけで何の得もありません。原作のイメージを大切にして、自分なりの世界で別の話を作り上げるのが二次創作だと、わたしは勝手ながら思ってます。そこで他の人の創作したものをパクッたりなんて、しません。あくまでも自分の中の「花男」の世界のお話です。人様の書いたお話を読んで感動することもありますし、こんな風に書けたらと思うことはありますが、真似したって仕方ありません。むしろ、絶対に似たような話にならないようにしますよ。それでもどこかに似たような話はあるかもしれません。わたしも全てのサイト様のものを読んでいるわけじゃありませんから。それでも、全く同じ話なんてないはずです。もしどこかに本当にあるのでしたら、どうぞメールでお知らせください。ちゃんとお返事させていただきます。返事の出来ない拍手コメントでも中傷は卑怯ですよ。

ブランコ vol.18 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 「ねえ、本当にあたしも一緒に行っていいの?」
 優紀が遠慮がちに言う。
 バイトとバイトの合間の時間、居酒屋に近い喫茶店で優紀と会っていた。
「うん。美作さんと西門さんが、みんなで行こうって」
「だって、彼まで・・・本当にいいの?」
 申し訳なさそうに言う優紀。
 あたしは肩をすくめた。
「なんだかよくわからないけど・・・あの2人が旅費は出すって言い張ってるし。もちろんいやだったら断ってもいいと思うよ」
「あ、ううん。彼に話したらすごく喜んでて、あたしももちろん行きたいと思ってるんだけど・・・ただ、2人分の旅費出してもらうなんて、いいのかなって思って」
「大丈夫だよ。って、あたしが言うのもおかしいけど・・・。せっかくみんなで行けるんだし。どうせだったら楽しんじゃおう」
 と笑って言うと、優紀もほっとしたように微笑み・・・それから、不思議そうに言った。
「でも、珍しいね。つくしがそんな風に言うなんて。いつもは旅行どころじゃないって文句言ってるのに」
「はは・・・彼らとの付き合いも長いから。言っても無駄だろうと思ったの。多分ね、何かたくらんでることがあるんじゃないかなあ」
「企む?何を?」
「それはわかんないけどさ。だって、道明寺に用があるのはあたしなんだし、ほんとならあたし1人が行けば済む話じゃない?それを、わざわざそんな大勢で・・・って、何か裏があるに決まってる。でも、どうせ聞いたってはぐらかされるだろうからね。ゴールデンウィーク中にバイトが出来ないのはちょっと痛いけど、でも海外旅行なんてそうそう行けないし・・・。ここは楽しむことにしたの」
 そう言って笑うと、優紀も安心したように笑った。
「それ聞いて安心した。道明寺さんと・・・ちゃんと、話できるといいね」
「うん・・・・・」

 それだけが、あたしも心配だった。
 あたし達がN.Y.にいくこと、道明寺はちゃんと知ってるんだろうか。
 向こうまで行って、もし会えなかったら?
 
 高校生のときのことを思い出す。
 N.Y.まで道明寺を追いかけて行ったあたし。
 冷たく追い返されて、ショックで途方にくれていたとき、あたしの前に現れた類。
 あの時、類がいてくれたことでどれだけ救われたか分からない。

 また、あのときみたいににべもなく追い帰されてしまったら・・・・
 今度はあたし1人じゃないけれど。
 道明寺は、会ってくれるだろうか。
 あたしと類のこと、認めてくれるだろうか・・・・。

 それを考えると、少しだけ不安になる。
 でも、せっかく美作さんたちが作ってくれたこの機会を逃すわけには行かない。
 なんとしても、道明寺にあって、話をしなくちゃ・・・
 そうしなければ、あたしは新しいスタートを切ることが出来ない・・・・・。


 その日のバイトの帰り、類が店の前で待っていてくれた。
「類」
「牧野、お疲れ」
 いつものように穏やかに微笑む類。
 この笑顔には、本当にいつも癒される。

 車の助手席に載り、シートベルトをすると類が車を発進させる。
「・・・・・あきらと総二郎に聞いたけど・・・・・」
「あ、うん。N.Y.行きのことでしょ?類、行ける?」
「うん。大丈夫。それよりも」
「え?」
「・・・・牧野、昨日あの男と一緒だったって」
 少し不機嫌そうに言う類。
「あの男?・・・・って、もしかして河野さんのこと?」
 あの2人と会ったときに一緒だったといえば河野さんしかいない。
「何で、あの男と一緒だったの?」
「だって、帰る方向が一緒だし・・・バイト終わる時間も一緒だから、自然にそうなるよ。別に、河野さんのことは類が心配するようなことないよ?」
「でも、嫌だ。他の男と、2人きりになって欲しくない」
 拗ねたように言い捨てる類。
 困ったなああと思っていると、類が溜息をついて言った。
「・・・けど、1人で帰すのも心配」
「類・・・・・」
「だから、俺が迎えにいけないときは、バイト休んで」
 続く類の言葉に、あたしは目を丸くした。
「ええ?無茶だよそんなの!」
「どこが無茶?その時間には出来るだけ仕事入れないようにするよ。それでもどうしても迎えに行けない時は、バイト休んで」
 絶対譲ってくれそうもないその言い方に、あたしは絶句した。
「・・・・・・心配、なんだ。あんたのことが。俺のわがままだってことはわかってる。だけど、譲れない。わかって欲しい・・・・・」
 切なさを含んだ瞳で見つめられ・・・・あたしはうっとつまった。
 ビー玉のような瞳。
 そんな目で見つめられたら・・・嫌って言えない。
「・・・・・ずるいんだから・・・・」
 そう言って膨れたあたしの頬に、ふわりと一瞬の冷たい感触。
「好きだよ、牧野」
 にっこりと魅惑の微笑。

 ーーーほんとに、ずるいんだから・・・・・

 いつの間にか、この人のペースにはまってる気がする。
 きっとあたしは一生この人に敵わないんだろうな・・・。
 そう思いながら。
 それでも、胸があったかくなるような幸せを感じてしまってるあたしがいるのだった・・・・・。


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ブランコ vol.17 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 あのまま、身を任せてしまっても良かったと思う。
 でも、体が勝手に反応してしまった。
 類に不満があるわけじゃない。
 今まで、こんな気持ちになったことがないくらい、好き。
 好き過ぎて、どうしていいかわからなくなるくらい、好きなのに。
 あたしの心の中は、あたしが思っているよりずっと頑固みたいだった・・・・・。


 翌日、類に車で家まで送ってもらったあたしは、家族達の追及を避けるようにさっさとバイト先へと向かった。
 今日は、どうしても断れない仕事があるとかで類は迎えに来ない。
 そのことになんとなくほっとしてるあたしがいた。
 やっぱりちょっと気まずい気がしたから・・・。
 
 「あれ、牧野、今日迎えは?」
 店から出て1人歩き出したあたしに、話しかけてきたのは河野さんだった。
「あ、河野さん、お疲れ様です」
「お疲れ。今日、彼氏は?」
「今日は、仕事で・・・・」
「仕事?彼氏って大学生じゃないの?」
 河野さんが不思議そうな顔をする。
「あ、ええと・・・彼の家、会社やってて・・・・」
「へえ、そうなんだ。すごいね」
 どれほどすごいか、河野さんにはきっとわからないだろう・・・・・。
「じゃ、今日は1人か。それじゃ一緒に帰るか」
「そうですね」
 とあたしは答えたが・・・
「・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
 なにやら後ろから不穏な気配を感じ、2人で恐る恐る振り返ると・・・・・・・・・・・・・
「よォ、つくしちゃん」
「今お帰り?」
「に、西門さん、美作さん!?何で2人がここに?」
 後ろには、にこやかに・・・?西門さんと美作さんが立っていた・・・・・。


 「どうしたの?2人して」
 河野さんは2人の迫力(?)に恐れをなしってそそくさと帰ってしまった・・・。
「お前に話があって」
 と美作さん。
「今日は類が仕事で迎えに行けねえって聞いたからついでに送ってやろうと思ってきてみれば、誰かさんは浮気中と来たもんだ」
 嫌味たらしく言う西門さんに、思わずむっとする。
「な!浮気なんてしてないわよ!」
「どうだかな~。つくしちゃんは危なっかしいからな~」
「類も大変だよな~~~」
「ちょっと!」
 どうしてこうも意地悪なんだか・・・。
 この2人があたしを好きになるなんて、絶対ありえないっつーの。
「で?話って何よ?」
「ああ・・・・・お前、ゴールデンウィークってなんか予定ある?」
「ゴールデンウィーク?」
「どうせ暇だろ?」
「あのね・・・失礼だよ、西門さん。ゴールデンウィークは・・・まだ決まってないけど多分バイトが・・・」
「・・・・色気ねえなあ。いいか、バイト入れんなよ」
「はあ!?」
「出かけるからな」
「で、出かけるって?どこに!?」
「「NY」」

「NY!?」

 

 「お前が司と話しつけられるよう、協力してやるよ」
 「心配すんな、絶対会わせてやる」
 「言っただろ?俺たちにできることならなんだってしてやるよ」

 そう言って、西門さんと美作さんは自信満々で帰って行った・・・・。
「あの自信は、一体どこから来るんだろ・・・」
 布団に入ってうとうとしながら、あたしはあの2人に言われたことを思い出していた。

 「類には俺らから話しとく」
 「大丈夫、あいつがいやだっつっても俺らが引っ張っていくから」 
 「旅費のことも心配すんな。出世払いにしといてやる」

 何でそこまでしてくれるんだろ?
 あたしと類のことなのに・・・・・

 少し不思議に思わないでもなかったが・・・・
 友達、だもんね・・・・
 押し寄せてくる睡魔には逆らえず、それ以上のことは考えられないまま眠りに落ちて行った・・・・・。


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ブランコ vol.16 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 夕食を済ませ順番に風呂に入ると、俺たちはリビングのソファに並んで座り、テレビを見て過ごした。
「・・・なんか、こんなにゆっくりしたの久しぶりな気がする」
 牧野が呟く。
「いつも忙しすぎるんだよ、牧野は」
「だって・・・・・」
「気持ちはわかるよ。でも・・・司だって、急がなくて良いって言ってるんだし・・・」
「うん・・・・そうなんだけど・・・でも、なんか落ち着かないの。早くすっきりさせたくて・・・」
「・・・・・牧野・・・・」
「ん?」
 牧野が俺のほうに顔を向けた瞬間、その唇を塞いだ。
 一瞬、驚いたように目を見開く牧野。
 相変わらずの反応に、思わず笑みがこぼれる。
「・・・・その、牧野が司に返そうとしているお金を俺が出すって言っても、ダメだって言うんだろうね」
「あ、当たり前じゃない!これはあたしの・・・・」
「わかってる。そう言うってことは。だから、言わないよ。でも・・・・」
「でも?」
「それを返すまではお預けなんていうのは、なしにして欲しいんだけど・・・・・」
 俺の言葉に、牧野は不思議そうに首を傾げる。
「お預けって、何が?」
 俺はそれには答えず、牧野の肩に腕を回すとそのまま引き寄せ、キスをした。

 啄ばむようなキスを繰り返すうちに、牧野の頬が上気してくる。
 目じりに浮かんだ涙を唇で吸い取り、そのままこめかみに、耳朶に、首筋に、キスを落としていく。
「ん・・・・っ・・・・・」
 1つ1つのキスに敏感に反応する牧野。
 俺はそのまま牧野の体をソファに横たえ、その白い首に顔を近づけたが・・・
「ま、待って、類・・・!」
 その言葉に、俺はぴたりと止まる。
「・・・・お預けは、なしだよ」
「ち、違うの。ちがくないけど、あの、でも、待って」
「・・・何言ってんの?」
「だから・・・・・ごめん・・・・・」
 俺は、ゆっくりと体を起こした。
 さっきまで熱かった体から、すっと熱が引いていくようだった。
「・・・・・俺とは、出来ないってこと・・・・?」
 思わず低くなってしまう俺の声に、牧野の体がびくりと震える。
「・・・・そういうこと・・・?」
「ち、違う!そうじゃないの!」
「じゃ、どういうこと?」
 自分でも驚くくらい冷たい声。
「牧野・・・・やっぱりまだ、司のこと・・・・」
「違う!あたしが好きなのは、類だよ。それは信じて」
「じゃあ、なんで・・・・」
「・・・・・・けじめを、つけたいの」
「けじめ・・・・?」
 牧野はこくりと頷きながら、体を起こした。
 乱れた髪を直しながら、牧野は口を開いた。
「・・・怖いっていう気持ちも、ないわけじゃないよ。でも、類のこと好きだし、好きな人となら当たり前のことなんだって、わかってる・・・つもり・・・」
「牧野・・・」
「ただ、そういうのとは別に、あたしの気持ちが整理できてない気がするの。・・・道明寺に・・・ちゃんと、類とのこと、話したいの・・・・・」
「・・・・・・」
「道明寺に未練があるんじゃないよ。ただ、道明寺とは別れても、大事な存在だっていうのは変わらなくて。このまま類とのこと黙ってるのは、いやなの」
 必死で言葉を紡ぐ牧野を、俺は黙って見つめていた。
 牧野らしい考えだと思った。
 司とはもう終わっている。
 だけど、新しいスタートを切るために。そのけじめをつけるため、司にきちんと話しておきたいんだろう。
 その気持ちは、今まで牧野を見てきて、いやって程わかってしまう。
 だけど・・・・・
「・・・・・司に話をしたら、けじめはつくの?」
「うん」
「それは、いつ?」
「それは・・・・・・」
 牧野が、困ったように言いよどむ。
「あの・・・近いうちに話そうと思ってるんだけど、道明寺と連絡がつかなくて・・・・・」
「・・・・そっか」
 そう言って俺は溜息をついた。
 そんなことだろうと思った。
 実は俺も何度か司には話そうと思って電話をかけているが、一向につながらない。よほど忙しいのだろう。
 それも仕方のないことなのだが・・・・
 あせってるわけじゃない、とは言っても、ずっとこのままというのもいやだ。
 好きな女の子とずっと一緒にいて手も出さないでいられるほど、俺は紳士じゃない。

 こうなったら、強硬手段しかないか・・・・

「類・・・・?あの、あたしまた道明寺に連絡してみるから。だから・・・・」
 俺が黙っているのを怒っているとでも思ったのか、少し慌てたようにしゃべりだす。
 俺はちょっと笑って、牧野の頭にぽんと片手を乗せた。
「いいよ、わかってる。俺も何とか連絡とってみるし・・・。でも・・・・」
「でも・・・・?」
「あんまり時間かかると・・・・俺も男だから、我慢きかなくなるかもよ?」
 そう言ってにやりと笑うと、途端に牧野の頬が赤くなる。
「な、何言って・・・・」
「ぶっくっく・・・・・・わかりやす・・・・・」
「る、類!もうっ!」
「くく・・・ごめん、つい、かわいくて・・・・・でも、我慢きかなくなりそうなのはほんと。それくらい、俺は牧野に参ってるから。牧野が嫌がることはしたくないけど・・・・でも、それくらい惚れてるってこと、覚えといてね」
 牧野の髪をそっと撫でながらそう言う俺に、赤い顔でこくりと頷く牧野。
 かわいくて、今すぐ押し倒したくなる衝動に駆られるけど・・・。
 でも、好きだからこそ、牧野を傷つけるようなことはしたくないから・・・・・。


 その後の俺たちは、テレビを見ながら他愛のない話で盛り上がり、そしていつの間にかそこで2人寄り添ったまま、眠りに落ちていた・・・・・。



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ブランコ vol.15 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 牧野を抱き寄せ、唇をあわせる。
 甘く、柔らかい唇に酔いしれる。
 次第に深くなっていく口づけに、牧野の眉が切なげに寄せられ、体が熱を持ち始める。
 それに煽られるように俺はさらに深く、貪るように唇を求める。

 ーーーやばい・・・・止められない、かも・・・・・。

 「・・・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・・・・ん」
 牧野の苦しそうに寄せられた眉が、妙に艶っぽく俺を煽る。
「牧野・・・・好きだよ・・・」
 唇を離し耳元で囁くと、途端にその頬が朱に染まる。
 ほんとにかわいい・・・・
 我慢できなくて。
 牧野の体のラインをなぞるように片手を滑らせると、ビクッとその体が反応する。
「類・・・・・・」
「牧野・・・・・・」
 そのままその手を牧野の胸に触れさせる。
 と、牧野は突然体をこわばらせ、俺から離れようと両手で俺の胸を押した。
「牧野・・・・・?」
「ご、ごめ・・・・・・あたし・・・・・・」
「・・・・・怖い・・・・?」
 そう聞くと、牧野はふるふると首を振ったが、その表情は固かった。
「違うの、そうじゃなくて・・・・・・」
 必死で何か言葉を紡ごうとする牧野。
 その体が、細かく震えていた。
「・・・・・・・・・散歩、しようか」
 俺は、牧野を安心させるようにそう言って笑った。
 牧野は俺の顔を見ると、漸く安心したように微笑んで頷いた・・・・。


 しばらくは邸の近くの山道を黙って歩いた。
 別に、あせっているつもりじゃないけれど・・・。
 少し、不安になる。
 漸く気持ちが通じて、恋人という関係にはなれたけれど。
 牧野は、俺が想っているよりも、俺のことを想っていないのか。
 同じくらい俺のことを好きでいてくれているわけじゃないのか。
 そんな風に思ってしまう自分がいて、情けない。
 
「牧野・・・・・」
 俺の声に、牧野は微笑みながら「ん?」と俺の顔を見上げる。
「あのさ・・・・俺のこと、好き・・・?」
 真剣に見つめながら聞くと、牧野は一瞬驚いたように目を見開く。
「ど、どうしたの?急に」
 頬を赤らめ照れる牧野。
 言葉にするのは恥ずかしいんだってわかるけど、やっぱり聞きたくて。
「牧野の気持ちが、知りたい。俺の、片想いじゃない?」
「類・・・・・」
「聞かせて」
 自然に、足が止まる。
 ざわざわと風が木を揺らす音が妙にうるさい。
 牧野の大きな漆黒の瞳が俺を見つめる。
「好きだよ。あたしだって・・・・類のことが好き」
「本当に?」
「当たり前じゃない。そうじゃなかったら、ここにはいない」
 ふわりと微笑む牧野。
「なら・・・いいんだ。ごめん、少し不安になった」
「どうして?あたしのこと・・・信じられない?」
「そうじゃないよ。ただ・・・・時々、不安になる。誰かに取られるんじゃないかって」
「ええ?」
 目をぱちくりさせる。その表情が小動物みたいでかわいい。
「何それ?誰かって?」
「・・・・・総二郎とか、あきらとか・・・最近良く会ってるみたいだし」
「ああ!だって偶然だよ?それにあの2人があたしを好きになるなんて、ありえないって」
 おかしそうにくすくす笑う横顔を、少しあきれながら見つめる。
 
 ーーーーほんっとに鈍感。
 最近のあいつらの行動がおかしいことくらい、俺だって気付いてるのに。
 いつからか・・・たぶん、司と牧野が別れてからだ。
 2人の、牧野を見つめる視線が微妙に変わった。
 最初は気のせいかと思ったけど、そうじゃない。
 
 親友だって、思ってる。
 だけど、これだけは譲れない。
 司にだって、もう渡す気なんかこれぽっちもない。
 牧野は・・・俺だけのもの・・・・。

 日が傾いてきて、だいぶ寒くなってきたので俺たちは邸に戻ることにした。
「今から帰ったら、着くのは夜かな?」
 その牧野の言葉には答えず、俺はちらりと窓の外へ目をやってから言った。
「・・・今日、ここに泊まって行かない?」
 案の定、俺の言葉に目を見開き固まる牧野。
 ・・・・突然すぎたかな。
「と・・・泊まって・・・?」
「うん」
「だ、だって、夕食は?この辺、何もないんでしょ?」
「用意させといた。冷蔵庫に入ってるからレンジであっためればすぐに食えるよ」
「で、でも、何も用意・・・・」
「全部用意してある。着替えも一揃い持ってきた」
「でも、あの、あたし家に何も言ってきてないし・・・」
「俺が言っておいた。がんばってくれって言われたよ」
「!!!」
 牧野が金魚みたいに口をパクパクさせてる。
 青くなったり赤くなったり、その百面相がおかしくて俺は吹き出す。
「ぶーーーっくっくっく・・・・その顔・・・・・」
「る、類!!からかってるんなら・・・っ!」
 牧野が真っ赤になって言いかけるのを、俺はキスで塞ぐ。
「・・・・からかってなんか、ない。俺は本気だよ」
「類・・・・・」
「牧野・・・・・いや・・・?」
 俺の問いかけに、牧野は真っ赤になってうつむきながらも、小さく首を振った。
「いやじゃないけど・・・・突然なんだもん・・・・・」
「言ったら、逃げられそうな気がして」
「逃げないよ・・・。あたし、そんなに信用されてないの?」
 拗ねたように頬を膨らます牧野の頬に、チュッとキスをする。
「ごめん・・・。ちょっと、不安だった」
 そっと肩を引き寄せると、そのまま胸に寄りかかるように体を預けてくる。
「・・・・ちゃんと、好きだよ。あたしだって・・・・」
「うん・・・・」
 俺は、それでも拭えない不安を打ち消すように、ぎゅっと牧野を抱きしめる腕に力を込めた・・・・・。



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