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*このブログは名探偵コナン・ごくせん・花より男子・君に届け&ゲーム(ラブレボ・新撰組など)の二次小説のブログになります。
*このブログは管理人個人によるファンサイトです。 原作者や出版社等とは何の関連もありません。
*あくまでも管理人の二次世界の小説ですので、人によってはイメージに大幅なずれがある場合もございますのでご注意ください。
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Blue Christmas vol.1~花より男子・総つく~

Category : Blue Christmas(完結) ~花より男子・総つく~
 -tsukushi-
 
 今日は仕事だって言ってたのに。
 だからあたしは1人で買い物なんかしてるのに。

 なんでこんなとこにいんの?
 そこは2人でよく行く喫茶店。
 オープンテラスで微笑み合いながら話し込んでる男女。
 女の方は緩くまとめた柔らかそうな髪が女性らしく、キリッとした眉が仕事の出来る女という感じで同性のあたしから見ても魅力的な人だった。
 そして、その向かい側で足を組み、女を魅了する微笑みを浮かべ、向かい側の女性を柔らかく見つめている男。

 その男の名前は西門総二郎。
 あたし、牧野つくしの彼氏だった。

 まるで映画の中の恋人同士みたいだった。
 絵になりすぎてて、声をかけるのも憚れるほど。


 どうやって家まで帰ったかも覚えていない。
 夜になって何度も西門さんから携帯に着信があったけれど、出る気にはなれなくて。
 夜中の12時頃にかかって来た時にはさすがに電源も切ってしまおうかと思ったのだけど。

 着信の名前を見てあたしは驚いた。
「美作さん?」
 大学を卒業してからすぐに日本を離れてしまった美作さん。
 まさか海外から?
「も、もしもし」
『よぉ、牧野?俺』
「本当に美作さん?びっくり!今どこにいるの?」
『日本だよ』
「え。帰って来たの?いつ?」
『今日』
「ええ?そうなの?初めて聞いたよ」
『そりゃそうだろ。初めて言ったし』
 ・・・・・脱力。美作さんてこういう人だったっけ?
『んなことよりお前、総二郎のケイ番知ってるだろ?あいつ、携帯変えたこと俺に黙ってやがって』
 今、一番聞きたくない名前が出て、思わず一瞬言葉につまる。
 そういえば、以前西門さんが言ってたっけ。
 付き合っていた彼女たちと別れた時、別れた後もひっきりなしにかかってくる電話にうんざりして『携帯変えた。番号も変えたから』と・・・・・

『牧野?どうした?聞いてるか?』
「あ、ごめん、聞いてるよ」
 慌てて答えると、少し間が空いて、美作さんの声が聞こえる。
『総二郎と何かあったのか?』
「べ、別に、何も」
『何だよ、聞いてやるから言って見ろよ』
 美作さんの優しい声に、思わず涙が出そうになる。
『牧野?』
「ん。ごめん。大したことじゃないの。ただ・・・・・」
『ただ?』
「ちょっと自分に自信なくなっちゃって・・・・・」
『は?』
 あたしは今日あったことを美作さんに話した。

 『ふーん、なるほどね。その女があんまりきれいだったから、お子ちゃまの牧野は落ち込んじゃってるわけだ』
「・・・・・どうせ、ね。あたしなんて美作さんや西門さんから見れば子供だろうけど」
 思わず卑屈になってしまう自分が情けなくって嫌だ・・・・・。
 電話の向こうでくすくすと笑う美作さん。
「ちょっと・・・・・」
 思わずむっとするけど、美作さんは相変わらず明るい声であたしに語りかけた。
『あのな、あの総二郎が付き合ってる女全部切るほど惚れる相手なんて、お前が初めてなんだぜ?もっと自信持てよ』
「だって・・・・・・」
『今日のその話だって、総二郎に確かめたわけじゃねえんだろ?総二郎の言ったとおり、仕事の相手だって何で思わねえの?』
「あたしだって、そう思いたいよ。でも、なんていうか2人の雰囲気が・・・・とてもそんな感じじゃなくって・・・・・」
『そりゃ、お前がそういう目で見るからだろ』
「う・・・・・・」
 あっさり言われると、否定できない。
 そうなんだろうか、ほんとに・・・・・・
『しょうがねえなあ・・・・・じゃ、ちょっと試してみる?』
「え?」
 美作さんの言葉に、あたしは首を傾げる。
「試すって・・・・・・」
『いいから、言うとおりにしてみ』
 電話口の向こうで、にやりとほくそ笑む美作さんの顔が見えるようだった。
 なんとなく不安になりながらも、あたしは美作さんの話を聞くのだった・・・・・。


 -soujirou-

 あのやろう・・・・・こんな時間に誰と話してるんだよ?
 俺はイライラとしながら、ツーツーと無機質な音の流れる携帯電話を切った。

 今日はせっかくの休みなのにあいつと会えなかったから、せめて電話だけでもと思って9時くらいからずっとかけているのに、一向に電話に出ない牧野。
 それでも、友達と出かけているのかもしれないとか、外にいて、携帯の音に気付かないのかもしれないとか、着信履歴に気付けばかけ直すかと思っても一向にかかってくる気配もないし、携帯をどっかに忘れたのかもとも思ったのだが・・・・・
 日付が変わるころになって、コール音が話中の音に変わり・・・・・
 それが1時間近くも続いていれば、イライラもするというもの。
「くそっ」
 ついには携帯電話をベッドの上に放り投げ、そのままどさっと自分自身の体を投げ出した。

 お互いに仕事が忙しくて、この2週間ほどはまったく会う事が出来なかった。
 今日は、牧野のほうの仕事が久しぶりに休みで、俺も会いたかったけど・・・・・
「ったく・・・・人の気もしらねえで・・・・・」
 思わず溜息が漏れる。
 
 いつも電話をかけるのは自分のほう。
 デートに誘うのも自分。
 あいつの嬉しそうな声が聞きたくて。喜ぶ顔が見たくて。
 だけどたまには牧野のほうから電話してきて欲しい。
 そう言ってみれば、『だって、忙しかったら悪いなと思って・・・・・』と頬を染めて言う。
 そんな顔を見てしまえば、何も言えなくなってしまう。
 愛しさが溢れて抱きしめずにはいられない。
 そんな俺の行動を恥ずかしがる牧野。
 こいつも、俺のことちゃんと想ってくれてるんだと思う瞬間は嬉しいけれど・・・・・

 だけどやっぱり、俺のほうがよりあいつに惚れてしまってるんだという気がする。
 会えなくて寂しいと思うのは俺だけなのか。
 声が聞きたくて仕方がないと思うのは俺だけなのか。
 こんなに恋焦がれているのは、やっぱり俺だけなのか・・・・・


 翌日、俺は朝早く牧野の家まで車を飛ばした。
 ちょうど牧野はアパートの階段を降りて来るところだった。
「牧野!」
 俺の声に、驚いてこっちを見る牧野。
「ど、どうしたの?」
「・・・・・出勤前に、捕まえないとまた話もできねえだろ?最近残業ばっかりしてるみたいだし」
「だからって・・・・・」
 何か言いたげな牧野の傍へ行き、その手を掴む。
 牧野が驚いて目を見開く。
「な、何?」
「・・・・・昨日、何してた?」
 俺の言葉に牧野の顔色が僅かに変わり、俺から目を逸らした。
「何って、買い物とか・・・・・」
「誰と?」
「1人だけど」
 当たり前のようにそう答える牧野。
「・・・・・なんで電話に出なかった?」
「・・・・・電車の中にいたときにマナーモードにしてて、そのまま忘れてたの。着信履歴も見なかったし、気付かなかった」
「12時過ぎに話してたのは誰だよ?ずっと話し中だったじゃねえか」
 俺の言葉に、ぎくりと肩を震わせる牧野。
「・・・・・ゆ、優紀。つい話し込んじゃって・・・・・」
「・・・・・ふーん・・・・・」
 こいつはいくつになっても嘘が下手だ。
 そんなんで、俺を騙せると思ってるのか・・・・・
「も、もういいでしょ?あたし行かなきゃ・・・・・」
 さっさと話を終わらせようとする牧野。
 2週間ぶりに彼氏に会えたっていうのに、その態度かよ?
「・・・・23日、空いてるよな?」
「え?」
 牧野が漸くこっちを見る。
「イブの前日。イブは仕事だって言ってたけど・・・・・23日は会えるよな?」
 それは前から話していたことだ。
 イブの日は仕事で、会えるのはたぶん夜になってしまう。翌日も仕事があるから、食事するくらいしか出来ない。
 だけど23日は休みだから。
 そう言っていたから、俺も23日は何とか休めるように調節していたのだけれど・・・・・
「ご、ごめん、その日は・・・・・」
「は?」
「用事があって・・・・・会えない・・・・・」
「・・・・・・・用事って、何」
 思わず声が低くなる。
 牧野の手を握る手にぐっと力が入り、牧野が顔をしかめる。
「あの・・・・・き、急に取材が入って・・・・・・その日しか、スケジュールが合わないからって・・・・・」
「・・・・・・」
 俺は、握っていた手をぱっと離した。
 牧野がほっとしたように息をつき、俺を見る。
「・・・・わかった。悪かったな、引き止めて」
 俺の言葉に、牧野は少し気まずそうに首を振った。
「う、ううん・・・・・じゃ、あたし行くから・・・・・」
「ああ」
 牧野の後姿を見送り・・・・・・・
 俺は車に乗り込むと、ドアをばたんと乱暴に閉めた。
 ダッシュボードからタバコを取り出し火を着けると、気分を落ち着かせるように煙を吐く。

 あいつの嘘は、すぐに分かる。
 目を合わせようとしないし、言葉にも詰まる。
「何が取材だ・・・・・」
 俺はイライラと、せっかく火をつけたタバコをすぐにもみ消した。
 せっかく久しぶりに1日一緒にいられると思ったのに・・・・・
 牧野に会えないということはもとより、嘘をついてまで会うことを拒否されたことにショックを受けていた。
 心も体も、通わせたと思っていた。
 狂おしいほど会いたいと思ったり、声が聞きたいと思うのは、やはり俺だけなのか・・・・・。

 俺は、深い溜息をつくと、車のエンジンをかけたのだった・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「言葉に出来ない」の続編のようなものになります。
 前回は類だったので、今回はあきらに登場してもらいました。
 社会人になると、クリスマスだからって浮かれてばかりいられない現実がちょっと寂しいですよね~。
 そんな現実からちょっとでも離れるべく(^^;)
 妄想してみました。

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X'mas Panic!!vol.18~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -akira-
 「全く・・・・・お前ってやつは本当に流されやすいやつだな」
 俺は、隣でマフラーを編みながらも小さくなっている牧野をじろりと睨んだ。
「だって・・・・・拒否できる感じじゃなかったから・・・・・」
「要するに、誘惑されちゃったわけだ、つくしちゃんは」
 ソファーに寝転んでいた総二郎が同じように半目で牧野をじろりと睨む。
「そ、そんなんじゃ・・・・・・」
 真っ赤になってますます小さくなる牧野。
 その様子で、昨日牧野が大学と家庭教師を休んだ理由がわかってしまい、俺も総二郎も苛立ちを抑えられない。

 類は牧野の婚約者なのだから、当然といえば当然の話で。
 一緒に住んでいるのだから、そんなのは聞くまでもないことだし、それに対して文句を言える立場でもないことはわかっているのだが・・・・・
 恋というのは理屈では割り切れないものだ、という事実を今更ながらに知った気分だった。

 「・・・・・だいぶ進んだな。クリスマスまでには間に合いそうだ」
 俺がマフラーを見て言うと、牧野がぱっと顔を上げ、嬉しそうに微笑む。
「ほんと?良かった!美作さんのおかげだね」
 そんな牧野の笑顔に、つい見惚れてしまう俺。
 んとに・・・・・そういう無防備な顔すんなっつうの。
 ふと総二郎を見れば、さっきまで牧野に向けていたはずの視線を俺に向け、何か言いたそうに睨みつけていた。
 お互い本気の恋には慣れていない・・・・・まあ俺は、いつでも本気だったつもりだけど・・・・・から、一方通行の気持ちを持て余し気味なところがあるのだ。
 そんな思いに気付かない牧野は俺たちを信用して無防備な表情を見せてくる。
 それが嬉しくもあり、切なくもあり・・・・・
 でもやっぱり牧野との今の関係を無くしたくなくて、平気な振りして大人の顔を見せる。実際頭の中はいっぱいいっぱいなんだけどな・・・・・。


 「で、クリスマスはどうすんの?せっかくだから久しぶりに滋たちも呼んでパーティーでもやらね?」
 と総二郎が言い出す。
「ああ、いいな。集まるなら俺んち使う?」
「ああ。牧野、類にも言っとけよ。あいつのことだからお前と2人きりでいたいとか言い出しそうだけど・・・・・ちゃんと引っ張って来い」
「うん、わかった」
 類の反応を想像したのか、苦笑いしつつも嬉しそうに答える牧野。最近は滋とも会っていなかったから、久しぶりに集まれるのが嬉しいのだろう。
 そんな牧野の嬉しそうな表情を見ているとこっちまで嬉しくなってくる。
 俺ってこんなに現金だったっけ?と我ながらおかしくなる。
 ふと総二郎を見れば、やはりいとおしそうに牧野を見つめる穏やかな瞳。
 俺の視線に気付いた総二郎と目が合い、互いに苦笑する。
 
 ―――切なくってもいいか。
 ―――こいつの笑顔が見られるならな。

 たぶん、後にも先にもこんな風に好きになれることはないんじゃないだろうかと思えた。
 傍にいて、その笑顔が見られるだけで満たされる恋なんて・・・・・。


 「おっと、そろそろ類が来る時間だな。んじゃ俺もう行くわ」
 そう言って総二郎がソファーから体を起こした。
「え、もうそんな時間?」
「ん。お前もそろそろ帰る準備しな」
 俺が言うと、牧野が「はーい」と言いながら片付け始める。
「ギリギリ、終わりそう・・・・・。自分の分まではやっぱり間に合わなかったなあ」
 1人ごとのように呟いた牧野の言葉を聞いて、総二郎が振り向く。
「自分の分?」
「うん。この毛糸買いに行ったときね、美作さんが自分の分も作ってみればって・・・・・」
「え、もしかしておそろいとか?ださっ」
 総二郎の呆れた言い方に、牧野がむっと顔をしかめる。
「違う!色も素材も変えて・・・・・違う感じにするの!美作さんが選んでくれたんだから!」
 その言葉に、総二郎の半目になり俺をじろりと睨む。
 ―――こえーって・・・・・
「へえ~え。あきらが、ね・・・・・んじゃ、今度俺にも作ってよ、つくしちゃん」
「え~?」
「え~ってなんだよ!」
「総二郎、早くいかねえと類とバッティングするぞ」
 俺の言葉に、ちっと総二郎が軽く舌打ちする。
「じゃ~な、また明日」
 仕方ない、と言った風に軽く手を上げ、裏口に向かう総二郎。
 万が一にも類に見られないよう、総二郎は裏口から出入りしているのだ。

 「さ、こっちも出るか。―――って、牧野?どうした?」
 牧野が、総二郎の行ってしまった方を見て、手を口に当てて何か考えているようだった。
「―――え?あ、なんでもない、ごめん」
 俺の声にワンテンポ遅れて反応し、置いてあったバッグを手にする牧野。
「なんか、気になることでもあんのか?」
 部屋を出ながら、聞いてみる。
「っていうか・・・・・類がね、気付いてるみたいなんだよね・・・・・」
「何に?まさか、プレゼントのことか?」
「ううん、そっちじゃなくて・・・・・西門さんも、ここに来てるってことに」
「は?マジ?」
「うん・・・・・あたしから話すまでは、聞かないって言ってくれたけど・・・・・もうすぐ言えるときが来るからいいかなって思ったけどね、隠し事をするのってなかなか難しいなあって」
 眉間に皺を寄せ、まじめに言う牧野がおかしくて、つい笑ってしまう。
「お前の場合、特にだろ?考えてること全部、顔に出るタイプだもんなあ」
 くすくす笑って言えば、今度はむっと顔をしかめて拗ねる。
「何よ、馬鹿にして・・・・・あたしは正直な人間なの!」
「そりゃごもっとも」
 そう言って軽く頭をぽんぽんと叩くと、頬をぷうっと膨らませて俺を上目遣いで睨む。
「また・・・・子ども扱いしないでよね!1つしか年だって違わないんだから!」
「ん?あーそうだな。じゃあ大人の女として扱ってやろうか?」
 そう言って俺は牧野の肩を抱き、その顎に手をかけ上に上げさせる。
 驚いたように目を見開く牧野をじっと見つめて、顔を近づけると・・・・・・
「―――わぁ!!」
 と言って慌てて俺から離れる牧野。
「ぶーーーっくっくっ・・・・お前、おかしすぎ・・・・・大人の女にゃ、まだまだだって」
 お腹を抱えて笑う俺を見て、真っ赤になって頬を膨らませる牧野。
 ほんとに、見てて飽きないやつ・・・・・。


 「牧野、お疲れ。・・・・あきら、何笑ってんの?」
 玄関を出ると、ちょうど類が車から降りたところだった。
「いや、別に・・・・。じゃあな、牧野」
 俺がしつこく笑いをかみ殺しながら言うと、牧野がじろりと俺を睨む。
「・・・・・美作さん、笑いすぎ!」
 ベッと舌を出し、車の助手席に乗り込む牧野。
 そんな牧野を不思議そうに見つめながら、類も運転席に乗り込む。
「じゃあね」
 軽く手を上げ、類が車を発進させる。
 俺は車が見えなくなるまで見送って・・・・・

 部屋に戻りながら、考えていた。
 ―――類が総二郎のことに気付いてたって?
 そりゃいつかは気付くだろうとは思ってたけど・・・・・
 あいつ、そういうとこ全然表にださねえからなあ。
 さっきだって総二郎のことなんて一言も・・・・・
 そういうとこがこえーな。類は・・・・・

 顔にも口にも出さないけど、牧野のことなら全部わかってるんだっていう自信。
 こんなとき、やっぱり類にはかなわねえなあって思う。
 同じように高校生のころから見てきたつもりだけど、俺たちには他に付き合ってる女がいたし、まだ自覚もなかった。
 類は、牧野だけをずっと見てきた・・・・・。
 今更後悔もないけど、あのころから自分の気持ちに気付いていたら、何か違いはあったのだろうかと、ふと思うことがあった・・・・・。

 「あ、お坊ちゃま」
 部屋に入ろうとしたところで、家政婦に声をかけられる。
「ん?」
「お電話が入っております」
「電話?誰から?」
「それが・・・・・」
 その名前を聞いて、俺は目を見開いた。
「―――俺の部屋につないで」
「はい」
 頭を下げ、下がっていく家政婦。
 俺は部屋に入り、息を整えると電話の受話器を上げたのだった・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 あきら視点は、なぜか書きやすい・・・・・。
 でも、類の出番が少なくなってしまうのが難点。
 クライマックスに向けて・・・・もう少し甘いお話が書けるといいんですけどね~。

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X'mas Panic!!vol.17~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
 道明寺がN.Y.に帰ってからしばらく経ち・・・・・。
 あたしたちは漸く日常を取り戻し、あたしの編み物も漸く先が見え始め、ラストスパートをかけられるところまで来ていた。
 類のほうも会社の手伝いがひと段落下らしく、最近は大学へも毎日通い、あたしといられる時間も以前にもまして増えていた。
 西門さん曰く『牧野のこと自分の監視下に置いときたいんだろ』という事らしいけど・・・・一緒にいられる時間が増えるのは、素直に嬉しかった。
 

 そしてあと1週間でいよいよクリスマスという日の夜。
 突然、類が言い出した。
「旅行、行こうか」
「はい?」
 類の唐突な言葉に、あたしは目をぱちくりさせた。
 この人のこういうところにもだいぶ慣れたつもりだったけど・・・・・
「えーと、それはいつくらいの話?」
「いつでも。休みに入ってからのほうが良い?」
「そりゃね・・・・。でも、今からじゃどこも予約いっぱいじゃない?てか、どこに行きたいの?」
「どこでも。牧野の行きたいとこで良い」
「え・・・・って言われても」
 急に言われても思いつかない。
 でも、もう12月も半ば過ぎだし、今から冬休み時期の宿の予約なんかできるのかなあ?
「俺は牧野といられればどこでも良い。どこでも、2人きりになれるとこが良い」
 薄茶色のビー玉のような瞳でじっと見つめながらそんなこと言うもんだから、顔が熱くなっていくのがわかる。
「で、でも、今からじゃ・・・・」
「予約、必要ないところなら大丈夫じゃない?」
「え・・・・・」
 思わず驚いてしまって・・・・・
 ―――あ、そうか・・・・・。別荘とか持ってるんだよね・・・・・・。
「海外でも良いよ。ヨーロッパとか、アフリカ、オーストラリア・・・・」
「うわあ、ちょ、待って!」
 気軽に海外とか、その考え方について行けないってば!
 あたしが慌てて言うと、それがツボに嵌ったのか類がクックッとお腹を抱えて笑い出す。
「か・・・・・海外って、だってそれこそ、行ったことないとこばっかりだし・・・・」
「だからこそ、行きたいとことかないの?海外にこだわらなくても良いけど」
「うーん・・・・・」
 あたしが首を傾げて考え込んでいるのを、ニコニコしながら見ている類。
「・・・・・・あたしも」
「ん?」
「あたしも・・・・・類といられるなら、どこでも良いな・・・・・・」
 そう言った瞬間・・・・・
 
 ふわり、と類の温もりがあたしを包んだ。
「・・・・・やばい・・・・・」
「え、何・・・・・・」
「明日、大学休まない?」
「な、なんで・・・・?」
「とまんなくなりそうだから」
 顔が、カーッと熱くなる。
「だ、駄目だよ、明日は出たい講義もあるし、美作さんちにも行かなきゃいけないし・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
 急に下がった空気の温度に、あたしはしまった、と思った。
「・・・・・・る、類、あの・・・・・」
「決めた」
「え・・・・何を?」
「旅行の行き先」
「え、どこ?」
「まだ言わない。あいつらに邪魔されるのやだし」
「は・・・・・・・」
「それから、明日は休みね」
「な!」
 驚いて抗議しようと顔を上げたあたし。
 それを待っていたかのように、類は不敵な笑みを浮かべると、あたしの顎を持ち上げ、その唇を塞いだのだった。

 「今日は、寝かせない」
「ちょ・・・・・待ってよ、明日は・・・・・」
「行ってもいいよ。行けるならね。それからあきらのところにも・・・・最近、何でか総二郎も一緒みたいだけど?」
「あ・・・・・・」
「聞かないって約束だから、聞かないけど・・・・・3人でいるほうが俺も安心だし?それについてはいいや。でも1日くらい、休んだって文句は言えないんじゃない?」
「・・・・・・・ずるい」
 悔し紛れに言った言葉。
 でも類には通用しない。
 にっこりと無邪気な笑みでかわされてしまう。
「嫌なの?」
「嫌、じゃない・・・・・けど」
「けど?」
「ちょっと悔しい・・・・・類には敵わないんだから」
 拗ねるあたしを見て、類はくすくすと笑う。
 それでも抱きしめる腕が緩むことはなくて・・・・・

 そのまま眠りにつくことなく、翌日、太陽のまぶしさにめまいを感じることになるのだった・・・・・。


 -rui-
 司がいなくなってから、俺の仕事の方も漸く落ち着き、大学へも毎日行けるようになった。

 それで気付いたこと。
 週に4日、家庭教師とレッスンのためにあきらの家へ通っている牧野だけど。
 それにどうやら総二郎も参加しているらしいということ。
 牧野があきらの家へ行くときは決まって総二郎の姿も消えるし、迎えに行ったとき、総二郎の車が走り去っていくのを見ることも何度かあった。
 何をやってるのかは知らないけれど、きっと2人にヤキモキした総二郎が牧野を問い詰めて、そしてそれを俺に黙っている代りとか何とか言って自分もそこにいられるように取り付けたのだろうということは想像できた。

 まあ、あきらと2人きりにさせておくよりは3人のほうが安心だからいいのだけれど・・・・・
 それでも、牧野が俺に隠し事をしているという事実にちょっともやもやしてしまうのは仕方がないところだと思う。
 
 そんなときに思いついたのが、冬休みの旅行だった。
 一緒に暮らしてはいるけれど、何かと邪魔されることの多い毎日。
 たまには2人きりを満喫したいと思うのは俺のわがままだろうか。

 照れたり驚いたり怒ったり・・・・
 相変わらず1人で百面相する牧野がおかしくて笑ってしまう。
 俺が笑うと、牧野は拗ねたように頬を膨らませるけれど。
 そんな表情もかわいくて仕方ない。

 今日は寝かさない。
 何度でも愛して、ずっと牧野を感じていたいんだ。
 あの2人も知らない、俺だけに見せる牧野の顔と、俺しか聞いたことのない牧野の声。
 ずっと永遠に、俺しか知らないままでいい。
 そう願いながら・・・・・・
 俺は翌日まで、牧野を離すことはなかった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
 なんかこれだけで短編のお話みたいになってしまいました。
 前半、類の出番が少なかったのでたまには甘いお話を~と思ったんですが・・・・
 お話もこれから終盤戦です。
 仕事が忙しくなってきたのと「Bitter&Sweet」の方でも連載を始めたので、毎日の更新が難しくなってきましたが、なるべくまめに・・・・本当のクリスマス前には終わらせる予定で更新しようと思ってます。

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X'mas Panic!!vol.16~花より男子・類つく&F3~

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 -tsukushi-
 「こんなところにヘリポートが・・・・・?」
 あたしは目を丸くした。
 みんなで道明寺を見送るために外に出たあたしたち。
 入り口の方に向かうのかと思ったら、ホテルの敷地内を奥へ奥へと進む4人。
 そして突然目の前に現れたのは、大きなプロペラの回るヘリコプターだった・・・・・。
 
 驚くあたしの前で、平然と会話するF4。
 ―――このノリについていける日が来るのか?あたし・・・・・

 4人の少し後ろで固まってたあたしを見て、類が優しく笑う。
「牧野、何してんの?こっちきなよ」
「あ、うん・・・・・」
 あたしが傍へ行くと、道明寺があたしを見て笑った。
「何緊張した顔してんだよ。ヘリくらい、慣れとけよ」
「そんなこと言われたって・・・・・」
「・・・・・お前にも、迷惑かけたな」
 急にそんな殊勝なこと言うから、あたしは戸惑ってしまった。
「別に・・・・迷惑なんて、思ってないけど・・・・・」
 あたしの言葉に、道明寺はにっこりと笑った。
「また、遊びに来るわ」
「・・・・・うん」
「元気でな、司」
「あんまりがんばりすぎんなよ」
「・・・・・元気で」
 F3が笑顔で道明寺と握手する。
 先にヘリに乗っていた西田さんが司に声をかける。
「司様、少しお急ぎください。飛行機の時間が・・・・・」
「今行く。―――じゃあな!」
 そう言って手を上げると、道明寺は颯爽とヘリに乗り込んでいった。
 西田さんから声をかけられた道明寺は、もう仕事の顔になっていた。
 あたしの知らない、道明寺の顔・・・・・
 でも、その本質はやっぱりあたしの知ってる道明寺で。
 会えて良かった・・・・・。
 そう思った。
 空に舞い上がるヘリを見送って・・・・・
 あたしたちはまた、ホテルへと戻ったのだった・・・・・。


 「しっかし今回は司のやつにしてやられたな。最初からこうなる予定だったんだろ?」
 帰りの車の中で、美作さんが疲れきったように言った。
 ハンドルを握っているのは西門さんだった。
「最終手段だって言ってたよ?その前にレイさんを説得できれば、必要なかったって・・・」
 あたしの言葉を聞いて、西門さんがちらりとこちらに視線を向けた。
「縁談の話があったんだって?司のやつ」
「うん」
「結局断っちまったんだろ?いくら政略結婚だって言ったって・・・・思い切ったことするよな」
「え・・・どうして?」
 あたしが聞くと、2人は顔を見合わせ・・・・・
「・・・ま、牧野はしらねえ方がいいかもな」
「だな。気にすんな」
「ちょっと・・・・・」
 隣に座っていた類が、くすくすと笑う。
「類まで・・・・何よ?」
「・・・すごい大物だったってことだよ。レイの娘と結婚てことになれば、世界的なニュースになってたと思うよ」
「え・・・・・」
 あのレイさんて、そんなに大物だったの・・・・・?
「聞きたい?あの人の正体」
「・・・・・いや、いいや。なんか怖くなってきた」
 知らないほうが、いいこともある。
 どっちにしろもう済んでしまった話なわけだし・・・・・。
 
 結局その話をそれ以上することもなく、あたしたちは漸く帰路についたのだった・・・・・。


 -rui-
 あきらや総二郎と分かれ、家路についた俺と牧野。
 さすがに疲れたのか、牧野も口数が少なくなっていた。
「大丈夫?まだ頭痛い?」
 俺の言葉に、それでも笑顔を向けてくれる。
「ううん、大丈夫」
「部屋で休もう。何か飲み物持ってこさせようか?」
「んー、平気」
 部屋に入り、バッグを置くとすぐにベッドに身を投げ出す牧野。
「はー、なんか1日しかたっていないとは思えない・・・・・」
 牧野の実感の篭もった言い方に思わず噴出す。
「確かに。司と牧野が関わると、いつもこんな感じだけどね」
「変なこと言わないで。あたしじゃなくって、道明寺だよ」
 不本意そうに顔を顰める牧野。
 俺はくすくす笑いながら牧野の横に寝転がり、その顔を見つめた。
 すぐ間近に迫った牧野の顔。
 牧野は俺の視線にすぐ赤くなり、照れたように顔をそらせてしまう。
「牧野、こっち向いて」
 そう言うと、牧野はおずおずとこちらに視線を向ける。
 上目遣いに俺を見る牧野。
 その表情が、俺を煽ってるんだってことにいつになったら気がつくんだか。
「いろいろあって疲れたけど・・・・でも、最後に牧野の気持ちがちゃんと聞けてうれしかったよ」
 そう言って笑うと、牧野も嬉しそうにちょっと照れたように微笑んだ。
「・・・・・あのまま、牧野が司と一緒に行っちゃったらどうしようかと思ったけど・・・・」
「それ、ありえないよ」
「ん。でもやっぱり心配だった。総二郎やあきらも最近俺がいても関係なく牧野のこと口説きにかかるし・・・・・」
「え・・・・・」
「毎日心配ばっかりしてるよ。気の休まる暇がない」
「類・・・・・」
 溜息をついて言えば、牧野が不安そうに眉を寄せる。
 俺はそんな牧野を安心させるようにそっと牧野の頭を抱き寄せ額にキスを落とした。
「・・・・・早く卒業して、結婚したい」
 耳元で呟くと、牧野の体がピクリと反応する。
 耳が真っ赤になって、ものすごく照れているのがわかる。
「・・・・・既成事実、作っちゃおうか」
 さらに声を潜めて耳元に囁くと、牧野が突然がばっと体を起こした。
「だ、駄目だよ!そんなの!」
「どうして?牧野は俺と結婚したくないの?」
「そ、そうじゃなくって・・・!」
「じゃ、何で?」
「だ、だって、まだまだ大学で勉強したいことがたくさんあるし、今のままじゃきっとあたし、類の隣には立てないもん」
 牧野の答えをある程度予想していた俺は、困ったような顔をしている牧野の腕を引っ張り、腕の中に封じ込めた。
「・・・・・・わかってる。冗談だよ」
「じょ、冗談って・・・!」
「今すぐにでも結婚したいのは本当だけどね。でも、今結婚しても、俺もきっと牧野の隣に立てない。まだまだ半人前だからね。だけど・・・牧野の隣を、他のやつに譲る気はないから。忘れないで」
「・・・・・忘れたりしない・・・・・て言うか、あたしだって、同じ気持ちだもん。類こそ忘れないで。あたしが一番好きなのは類なんだから。それに・・・・・類のことを一番好きなのもあたし。この場所は、絶対譲らないんだから」
「牧野・・・・・」
 普段恥ずかしがってなかなか言わないことを、照れながらもぎゅうっと俺にしがみついて強気な口調でそう宣言する牧野がかわいくて、言ってもらったことがうれしくて、俺は牧野の顔を両手で俺のほうに向けさせると、そのまま唇を奪った。
 
 何度も口づけを繰り返すうちに、牧野の体からは力が抜けていった。
 
 ―――やりすぎたかな・・・・・?

 そう思って唇を開放してその顔を覗き込むと・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・」
 牧野は、静かな寝息をたてて眠りについていたのだった・・・・・

 ―――この状況で寝られるのって、牧野くらいじゃないの・・・・・?

 俺は呆れつつも、無邪気な寝顔で安心したように眠る牧野の横で、しばらくその寝顔を見つめていた。
 そのうち俺にも睡魔が襲ってきて・・・・・・
 そのまま2人で夜まで眠っていたのだった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ちょっとひと段落?
 クリスマスのお話は、これからです♪

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X'mas Panic!!vol.15~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
 頭がガンガンする・・・・・。
 高い天井がぼんやりと見えた。
「あ、気がついた?」
 聞こえてきた声に、あたしは体を起こしてそっちを見る。
「気分どう?」
 窓際のロッキングチェアーに座っていた類が心配そうに立ち上がってあたしを見ていた。
「類・・・・・あたし・・・・・」
「ホールでぶったおれたんだよ。ワイン飲んですぐにダンスなんて踊ったりするから、酒が回ったんでしょ」
 類の呆れた言い方にあたしは恥ずかしくて思わず赤くなる。
「ご、ごめん。また迷惑かけちゃったね」
「うん。そうだね」
 ―――ガーン・・・・・
 あたしが馬鹿みたいに口を開けて固まっていると、類がクスリと笑ってあたしの側に来た。
「嘘。でも気をつけてね」
「う、うん。ごめんね・・・・・」
「具合、どう?」
「ん・・・・・。ちょっと頭が痛いけど、大丈夫」
 類が、じっとあたしを見つめてくるから、なんだか落ち着かない。
「あ、あの・・・・・」
「黙って」
 そう言ったかと思うと、ふいに類の手が伸びてきて、あたしの肩を抱き寄せそのまま唇をあわせた。
 あたしはちょっとびっくりしたけれど、暫くされるがままになっていた。

 漸く唇を離して。
 類を見上げると、熱っぽい瞳があたしを見つめていて、どきんと心臓が音を立てる。
「・・・・・倒れる前のこと、覚えてる?」
 類に聞かれ、あたしはホールでのことを思い出す。
「えーと・・・・・」
 類が部屋を出て行った後、あたしはそのまま部屋で待っていることが出来ずホールへ行ったんだ。
 類があたしのことを怒っていたことが悲しくて、寂しくて、渡されるままワインを飲んで・・・・・
 そしたら、類が来てくれたんだ。
 仲直りできて嬉しかった。類が優しく抱きしめてくれたのが嬉しかった。
 
 その後・・・・確か美作さんたちが来て・・・・ダンスを踊って・・・・・
 
 踊っている途中からの記憶が、あやふやになっていた。美作さん、西門さんと踊ったのは覚えてる。
 でもそのときの会話が・・・・・途中が飛んでるような・・・・・

 『強引な方が良いってことか?―――』
 『―――お前は、きっとずっと変わらないんだろうな・・・・・』
 『ずっとそのまま、変わらないでくれよ。―――俺は好きだから』
 『―――俺も相当お前に狂わされてるんだぜ』

 『―――お前、俺のことどういう風に見てんだよ。俺だってへこむの。惚れてる女に全く男として意識されてなかったらな』
 『―――お前ってやつは司には抱きしめられるわ、あきらにはキスされそうになるわ・・・・・』
 『・・・・・お前、かわいすぎ・・・・・』


 思い出すのは、あの2人の熱い眼差しと、あと少しで唇が触れそうなほど近い距離・・・・・

 「・・・・・・・・・・・・・」
 顔が熱くなる。
 と同時に、嫌な汗が背中を伝う。
「・・・・・思い出した・・・・?」
「は・・・半分くらい・・・・・」
「・・・・・俺は、全部覚えてる」
 類の声が、不機嫌に低くなる。
「あの、類・・・・・・怒ってる・・・・・の?」
 恐る恐る聞くと、類は表情を変えずに
「どうだと思う?」
 と逆に聞いてくる。
「・・・・・えーと・・・・・」
 どう答えていいかわからずに俯くと、突然ふわりと抱きしめられた。
「・・・・・怒ってるよ」
 静かな声に、びくんと震える。
「俺、牧野に関しては度量の狭いやつだから・・・・・。すげぇむかついた」
 そう言いながらも、あたしの髪を撫でる類の手は優しかった。
「牧野があの2人のこと、信用してるのはわかってる。ただの友達とも違う、特別な存在だってことも・・・・・だけど、むかつく。あんなふうに牧野に触れたり、抱きしめたりしていいのは俺だけ・・・・キスしていいのは、俺だけだよ・・・・・」
「類・・・・・」
「ほんの少しだって、離れられない。あんたがあんなふうにあいつらに隙を見せるから・・・・・。ちゃんと突っぱねることが出来ないなら、ずっと俺があんたを見てなきゃ」
 そっと体を離し、あたしの目を正面から見つめる類。
 薄茶色のビー玉のような瞳が、熱っぽくあたしを見る。
 どきどきが止まらない・・・・・。
「あ・・・・・あのね、お酒飲み過ぎて・・・・・ボーっとしてたんだと思うの。途中から、あんまり覚えてなくて、ほんとに・・・・・だから、普段だったら、ちゃんと突っぱねてると思うよ?あ、あたしだってそんな浮気性じゃないもん」
 あたしの言葉に、類はまだ疑わしげな視線を向けてくる。
「あの人たちがあたしにとって特別なのは本当だけど・・・・・でも、本当の意味で特別なのは、類だけ・・・・・だよ?」
 その言葉に、類がちょっと目を見開く。
「それは・・・・・・どういう意味で?」
 あたしの顔を覗き込んでそんな風に聞いてくるから、あたしはますます赤くなる。
「だ、だから・・・・・・」
「だから・・・・・?」
 わかってるくせに聞いて来るんだから、性質が悪い。
「・・・・・牧野?はっきり言ってくれなきゃわからないよ」
「・・・・・嘘。分かってるくせに。類って、結構意地悪なんだから」
 上目遣いに睨むと、類の瞳がやさしく揺れた。
「・・・・・・牧野の口から、聞きたいから」
 耳元で囁かれる声に、胸が高鳴る。
「俺ばっかりが牧野に夢中みたいで、焦るんだ。全然安心できない。こんなに近くにいるのに・・・・牧野の心が離れて行きそうで、不安になるんだよ」
「類・・・・・」
 切なげな類の瞳が、あたしの胸をも苦しくさせる。
 これが類の作戦だったとしても・・・・・あたしは、言わずにいられなかった。
「不安なのは、あたしだよ。一緒にいられないときだって、類のことばっかり考えてる。あたしの知らない間に、類があたしの知らない女の人と一緒にいたらって考えただけで不安になる。それがたとえ仕事の相手だって、嫌。類があたし以外の女の人を見るのも、話すのも嫌。わたしのわがままだってわかってるけど・・・・・類にはあたしのことだけ見てほしいって、思ってる」
「牧野・・・・・」
「あたしは、類が好き」
 真っ直ぐに、類の瞳を見つめる。
「・・・・・大好きだよ」
 類が好き。
 だけどその想いの深さをどうしたら伝えられるんだろう?
 どうしたら、類を不安にさせずに済むんだろう?
 あたしには、ただこうして『好き』と言うことしか出来ない・・・・・

 「・・・・・それ、反則」
「え?」
「そんなかわいいこと言われちゃったら、もう怒れないよ」
 そう言って類は優しく抱き締めてくれた。
 優しい、類の匂い。
 その心地良さに目を閉じると、類の腕がゆっくりとあたしの体をベッドに横たえた。
 見つめ合い、類の顔がゆっくり近づいてくる・・・・・・・・。


 「おーい、類!!牧野大丈夫か!?」
 ドンドンとドアを叩く音と共に西門さんの声が聞こえた。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
 甘い空気が一瞬にして凍りつく。
「おーい、類、開けろよ!」
 それでも類はその声が聞こえていないかのようにあたしを見つめてる。
「る、類、西門さんが・・・・・」
「・・・・・無視」
「で、でも・・・・・」
「おーい」
 まるで中にいることがわかっているかのように、ドンドンとドアを叩き続ける西門さん。
「・・・・・・・・・・・・・」
 なおも無視し続けようとした類だったけど あまりのしつこさに無理だとあきらめたのか、大きな溜め息をつき立ち上がった。
 あたしも慌てて起き上がり、ベッドから降りるといつの間にかずり落ちたドレスの肩ひもを直し、髪を整えた。
 類が扉を開けると、そこには道明寺、西門さん、美作さんの3人が揃っていた。
「お、牧野、大丈夫か?」
 美作さんがあたしを見て言う。
「あ、うん。ご、ごめんね。心配かけて」
 あたしが言うと、西門さんはニヤリと笑って類を見た。
「悪いな、類、邪魔して」
「わざとでしょ」
 類が不機嫌なのを隠そうともせずに言うと、西門さんと美作さんは顔を見合わせて笑った。
 1人、状況がわかっていないのは道明寺で、
「何してたんだよ。出てくんのおせえよ」
 なんて言っているから、思わず乾いた笑いが漏れる。
「・・・司、もう帰るってさ」
 美作さんの言葉に、あたしの笑いが止まる。
「え・・・・そうなの?」
 あたしの言葉に、道明寺が穏やかに笑って頷いた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 思いの他、PCに向かう時間がなくって1日更新あいてしまいました。
 「Bitter&Sweet」の方も更新しました。
 {Bitter&Sweet」についてはカテゴリーの方ご覧下さいませ。

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X'mas Panic!!vol.14~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -akira-
 「お前、顔赤いぞ。どんくらい飲んだ?」
 俺は牧野をリードして踊りながら聞いた。
 牧野の頬はほんのりと赤く染まり、瞳も潤み、胸の開いたカクテルドレスのせいかいつもより数段女っぽい牧野に、俺は柄にもなく少し緊張していた。
「え、そんなに赤い?ワイン、2杯・・・3杯?ん~よく覚えてないけど」
「・・・・・類は、納得したのか?司のこと」
「うん・・・最初はちょっと怒ってたけど、大丈夫。それより、ごめんね、こんなことになって、美作さんたちにまで心配かけちゃって・・・・」
「ああ、良いよ。司が横暴なのは昔からだし、それでもちゃんとやるだけの理由があるってわかったし。大人になったと思ってたけどやっぱり司は司だな」
 俺の言葉に、牧野はぷっと吹き出した。
「あたしもそう思う。やっぱり、中身はそう簡単に変わらないよね。でも返って安心した。あたしはああいう道明寺の方が良いな」
「強引な方が良いってことか?そんなこと言ってるとまた類が拗ねるぞ」
「そういう意味じゃなくて・・・・・。なんだか、道明寺が全然知らない人みたいな気がしてたから。おかしいかな。人は大人になれば変わっていくのは当然かもしれないけど・・・・・。でも、変わらないほうがいいこともあるじゃない?」
「まあな・・・・・。お前は、きっとずっと変わらないんだろうな・・・・・」
「あ、何それー、あたしはずっと子供のままって言いたいの?」
「バーカ、違うよ。精神的に大人になっても、本質的なところは変わらないだろうってこと。俺も、お前には変わらないでいて欲しいって思うし」
「え・・・・・」
「ずっとそのまま、変わらないでくれよ。ちょっとがさつだけど、強気なところも、意外と泣き虫なところも、超鈍感なところも、俺は好きだから」
「!!」
 俺の言葉に牧野は目を見開き、その顔が真っ赤に染まった。
 俺の言葉に照れる牧野が、かわいかった。

 -tsukushi-
 「・・・・・お前が攫われて、すげぇ焦った。このまま司に持ってかれたらって思ったら、気が気じゃなかった。類だけじゃなくって・・・俺も相当お前に狂わされてるんだぜ」
 美作さんが静かに微笑む。
 その甘い微笑みに、思わず見惚れてしまう。
 じっと見つめられて、あたしの心臓が落ち着かなくなる。
「そ・・・そんな風に言わないでよ、どういう顔したらいいか、わからない・・・・・」
 思わず下を向いたまま、顔が上げられなくなる。
 すると突然、美作さんがぴたりと止まるから、あたしは前につんのめって、美作さんの胸に倒れこむようにぶつかってしまった。
「わっ」
「・・・・・無事でよかった」
 真剣な美作さんの声に、あたしは顔を上げる。
 間近に迫った美作さんの瞳が、あたしを映す。
 突然すぎて、声が出ない。
 ゆっくりと迫ってくる美作さんのきれいな顔から、目が離せない・・・・・・。

 「はい、ストーップ!」
 突然、あたしと美作さんの顔の間に現れた手。
「・・・・・総二郎」
 美作さんが苦虫をかみ潰したような顔でじろりとそちらを見る。
 その手は、西門さんの手。
 視線はあたしに注がれていた。
「駄目だぜ、牧野。油断してっとあきらの毒牙にかかっちまうからな」
「毒牙ってなんだよ!せっかくいい雰囲気だったのに・・・・」
「だからだろうが。いくらなんでも類の前でそれはまずいだろ。お前、殺されるぜ」
 そう言って西門さんが顎でくいと指し示す方を見ると・・・・・
 類が、すごい目で美作さんを睨んでいた。今にも掴みかかってきそうな類の腕を掴んでなだめているのは道明寺だった。
「うあ・・・・・」
 サーッと青くなる。
 あたしってばうっかり今の状況忘れてた・・・・・。
 ワインのせいか、さっきから足元はふわふわしてて、頭もボーっとしてる気がする。
 やばいやばい、しっかりしなきゃ。
「とりあえず交代な。あきら向こう行ってろよ」
 そう言って西門さんは美作さんの手をあたしから離すと、しっしっと手を振った。
「はいはい。じゃあな、牧野」
 そう言って苦笑しながらもきれいにウィンクを決めて行った美作さんにまた、ドキッとしてしまう。
 あーもう、あたし何やってんの・・・・・。これもお酒のせい?
「まったく」
 西門さんが思いっきり半目であたしを睨む。
「な、何よ」
「少しは警戒しろっつーの。隙だらけなんだよ」
「だ、だって、美作さんだし」
「だからこそ、だろ。お前ちょっとあきらのこと信用し過ぎ。あいつだって男なんだからいつ狼になるかわかんねえぜ」
「・・・・・そうかなあ?」
 あたしが首を傾げると、西門さんが大きな溜め息をついた。
「じゃ、俺は?」
「え?」
「俺のことは信用してる?」
「そりゃ、もちろん」
「・・・・・それは友達として?それとも男として?」
 あたしの腰に手を回し、ゆったりした曲に合わせて踊りながら、西門さんがあたしを見つめて言う。
 その目はいつになく真剣で・・・・
「え・・・・・・」
「・・・・どっちにしても、複雑だよな」
「複雑・・・・・?」
「友達として、信用されるのは嬉しい。でも、男としてみたらあんまり信用されるのも、全然意識されてないみたいでへこむ」
「へこむ・・・・西門さんが?」
「あのな・・・・お前、俺のことどういう風に見てんだよ。俺だってへこむの。惚れてる女に全く男として意識されてなかったらな」
 じっと見つめながらそんなことを真剣な顔で言われ、あたしはまた顔が熱くなるのを感じた。
「な・・・・なんでそういうこと言うの?美作さんといい・・・・もう、どういう顔したらいいかわかんない」
「そりゃ、俺たちだってマジだから。今日は・・・・ていうかもう昨日の事だけど、すげぇへこんでたんだぜ」
「え・・・・なんで?」
「そりゃ、お前が目の前で攫われたってのに、すぐに動くことが出来なかったんだから。惚れてる女を目の前で攫われて、何も出来ないなんてそれ程情けないことねえっつーの。あれがもし司じゃなくて、別の全く知らない暴漢だったら・・・って考えるとぞっとするぜ」
 西門さんの言葉に、全く考えてもいなかったことに愕然とする。
「そんなこと・・・・・考えもしなかった。でも、道明寺じゃなかったら、あたしだってそんな簡単には・・・」
「ま、そうだろうけどよ。でも万が一ってこともある。花沢類の婚約者だってことはもう知られてるわけだから、これからそんなことがないとも限らないんだぜ」
「やだ、変なこと言わないでよ」
「バカ、マジで言ってんだ。お前は隙が多いんだから。ま・・・・今度は俺も目の前で掻っ攫われるようなこと、しないけどな。・・・とりあえず、無事でよかったよ」
 西門さんの笑顔に、あたしは素直に頷く。
「ありがとう・・・・。心配かけて、ごめん」
「いいけどな。お前を心配するのなんていつものことだし。それより・・・・司に、何もされてねえか?」
 途端に不機嫌な顔になる西門さん。
「は?」
「は?じゃねえよ。司に何もされてねえだろうな。外でお前があいつに抱きしめられてるの見たときは、マジで頭きたんだからな」
「な・・・・何もされてないよ、類みたいなこと言わないでよ」
「言いたくもなるっての。お前ってやつは司には抱きしめられるわ、あきらにはキスされそうになるわ・・・・・」
「キ、キスって・・・・」
「されそうになってただろうが。あいつに見惚れてたの、俺が気付かないとでも思ってんの?あきらにちょっとときめいてたろ」
「そ、そんなこと・・・・!」
「ふーん?」
 そう言って西門さんがぴたりと動きを止め、あたしはまた勢い余って転びそうになり、それを西門さんに支えられ・・・そのまま抱きすくめられる。
「ちょ、ちょっと・・・・・・」
「・・・・・相手が俺だったら、どうする・・・・・?」
 耳元で、西門さんが囁く。
 低く、甘い声が耳をくすぐり、思わずぎゅっと目を閉じてしまう。
「・・・・・お前、かわいすぎ・・・・・」
 西門さんの声がすぐ近くで聞こえ、そのまま近づいてくる気配。
 あたしがそのまま固まっていると・・・・・

 「総二郎、やりすぎ」
 類の不機嫌そうな声がすぐ横で聞こえ、あたしははっとして目を開いた。
 すぐ間近に迫った西門さんの顔。
 その顔はしてやったりという満足そうな笑みをたたえていた。
「惜しいな。もうちょいだったのに」
「・・・・嘘ばっかり。類がこっちに来るの分かっててやったでしょ」
 悔しくて、上目遣いで睨みつけてやると、西門さんは困ったように笑ってあたしから離れた。
「ま、そういうことにしといてやるよ。お前、そういう顔俺たち以外には見せんなよ。さすがの俺も、理性飛びそうになる」
 そう言って西門さんはぽんぽんとあたしの頭を軽く叩いてから、美作さんと道明寺のいる方へ歩いて行ってしまった・・・・・。

 ―――そういう顔って、どんな顔・・・・・?
 わけわかんなくてあたしが首を傾げていると、突然視界が暗くなった。
「え?わ、類?」
 類が、あたしに覆いかぶさるように正面から抱きしめてきたのだ。
「・・・・・駄目だよ」
「え?」
「よそ見しちゃ、駄目・・・・・・」
「よ、よそ見なんて・・・・・」
 してない、と言いかけると、ふいに類があたしの体を離し、真正面からあたしの顔を覗き込んだ。
「してた。あきらに、見惚れてたでしょ?総二郎にも・・・・・キス、されそうになってた。何でそんな隙見せるの。駄目だって。あいつらマジなんだから、あのままだったら絶対キスされてたよ」
 拗ねたような、怒ったような表情の類。
 言われてることはもっともだと思う。
 何でちゃんと突っぱねられないんだろうって。
 だけど、どうしてかそうできなくて・・・・・
 あたしの体は、ますますふわふわと浮いているような感覚になってきて、頭もボーっとして・・・・目の前の類の顔が、かすんで来た。
「・・・・牧野?大丈夫?」
「る・・・・・い・・・・・」
 
 目の前が、真っ白になった。
 類があたしの名前を叫ぶ。
 そして・・・・・
 そのままあたしは、意識を手放した・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 つくしが2人を突っぱねられないのは、お酒のせいか、それとも・・・・?
 類くんにヤキモキさせるのが好きな、悪いやつでごめんね(^^;)

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X'mas Panic!!vol.13~花より男子・類つく&F3~

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 -tsukushi-
 あたしは、ここに来てからのことを全て類に話した。
 類はずっと黙って話を聞いてくれ、道明寺が考えていたことを何とか理解してくれたようだった。
 それでもどこか納得いかない様子で、腑に落ちない顔をしていた。
「・・・・・司に、また告白されて・・・・揺れ動いたりしなかった?」
 しばらく黙っていたと思ったら、急に類がそんなことを言い出したので、あたしは思わず目を瞬かせた。
「揺れ・・・・そんなこと、ないよ」
 素直にそう答えても、類はじっとあたしのことを見つめながら、今度はこんなことを聞いてきた。
「・・・・司は、俺から見てもすごく大人になったと思うし、仕事バリバリやってるあいつは正直格好良いと思うよ。牧野はそう思わなかった?」
「え・・・・・ていうか、あたしにとってはあんなふうにバリバリ仕事してる道明寺って、あたしの中にはいないから・・・・なんだか別人見てるみたいで、落ち着かなかった。ただ・・・・・」
「ただ?」
「最後に・・・・あたしに幸せになれって、1人じゃないって言ってくれた道明寺はやっぱり昔の道明寺とおんなじで。その道明寺を見たら安心したって言うか・・・・」
「・・・・・ときめいた?」
 そのときの道明寺の顔を思い出していたあたしは、不機嫌に響く低い声にドキッとして類を見た。
 類が胸の前で腕を組み、思いっきり不機嫌に半目になった表情であたしをじろりと見つめていた。
「と・・・・・ときめいたって、何言ってんの」
「だから、あんなふうに抱きしめられても逃げようともしなかったんじゃないの?」
「あ・・・・あれは、あたしがボーっとしてたらいつの間にかそうなってて・・・・・」
「ボーっとしてたのは司に見惚れてたからじゃないの?」
「ち、ちが・・・・っ」
「そんなドレス着て、司とダンスして・・・・・俺のことなんか忘れちゃってたんじゃない?」
「類・・・!!」
 さすがに頭に来てあたしが大きな声を出すと、類はあたしから目を逸らして急に立ち上がり、そのまま部屋の入口へと歩いていこうとする。
「ちょ・・・・・類!どこ行くの!?」
「・・・・・頭冷やしてくるよ。このままじゃ俺、あんたをめちゃくちゃにしちまいそうだ」
 そう言うと、類はあたしの方を振り返ることもせず、部屋を出て行ってしまった・・・・・。
「類・・・・・」

 何でこうなっちゃうの?
 すごく会いたかったのに。
 類に会いたくて、早く類の笑顔が見たくて・・・・・
 道明寺とダンスをしてるときも、1人でワイン飲んでるときも、ずっとずっと類のこと考えてたのに。
 「類・・・・・」


  -rui-
 イライラが治まらなかった。
 牧野が悪いわけじゃない。
 司に無理やり連れてこられて、パーティーに引っ張り出されて、どれも牧野が望んだことじゃない。
 それはわかっているのに、どうしてこんなにイライラする?

 久しぶりに会った司は、以前会ったときよりもさらに成長して大人の男になっていた。
 世界のトップに立つほどの大財閥の顔として、立派に仕事をしている幼馴染。
 知らない間に差をつけられていたようで、俺はあせっていたのだろうか。
 元々他人のことには興味がない。
 司がどれだけえらくなってもあいつが幼馴染であることに変わりはないし、司の本質は変わっていないと思う。
 じゃあどうして?
 牧野を俺から奪い返そうと思っていた司。だけど俺と牧野を見てそれは諦めたと言う。
 でも、もし司が本気で牧野を奪い返そうとしていたら?
 そうしたら、俺たちはどうなっていただろう。
 それでも牧野は俺を選んでくれただろうか。
 それとも、司の元へ戻って行っただろうか・・・・・・

 俺には、わからなかった・・・・・

 いつの間にか、さっきの噴水の前まで来ていた。
 ここで、月明かりの下抱き合っていた司と牧野。
 まるで、時が戻ったような・・・・・あの2人が付き合っていたころ、俺がただ牧野を見守っていただけのあのころに戻ってしまったような気がした・・・・・

 「ルイ?」
 突然後ろから声をかけられ、俺は驚いて振り返った。
 そこには、穏やかに微笑む大柄な外国人が立っていた。
「失礼。きみは、ルイ・ハナザワだね?」
「・・・・・・・ええ」
 俺が頷くと、男は嬉しそうに目を細め、微笑んだのだった・・・・・。


 「じゃ、司の言ってたのが・・・・・」
「おそらく、私のことだろうね」
 レイと名乗ったその外国人が、流暢な日本語で言った。
「きみのご両親とは何度かお会いしているんだよ。君のことも聞いてる。先日、週刊誌で婚約したという記事も見せてもらったよ」
「あ・・・・・・」
「ツカサの連れていたあのお嬢さん。彼女が、きみのフィアンセだね」
「・・・・・はい」
「素敵なお嬢さんだ。正直で、勇気があって・・・・聡明、という言葉を使ったら良いんだろうか。彼女の目は、嘘偽りを許さない強い輝きを持っている。とても素晴らしい女性だね」
「・・・・・・ええ。僕もそう思います」
「彼女は言っていたよ。ルイがいるから、今の自分はいると。ルイがいなければ生きていけない。ルイは自分そのものだと。ツカサという素晴らしい男が隣にいるというのに、彼女は自分の気持ちを覆い隠すことなく君のことを愛していると堂々と言える。そしてその彼女を包み込むように見つめていたツカサの瞳が、印象的だった。君たちの関係が、よくわかったよ。きっときみたちは他のものでは到底敵わないほど強い友情で結ばれているんだろうね。そこに男女というくくりはないのだろう。そんな単純な関係ではない。もっと深く、強い信頼関係がある・・・・そうじゃないかい?」
「・・・・・・そう、ですね・・・・・そうだった・・・・・・」
 レイの穏やかで胸の奥まで響くような低い声が、俺の中のもやもやとした感情を浄化するように広がっていく。
「・・・・・・レイ、ありがとう。俺は・・・・・大事なことを忘れてました・・・。失礼」
 そう言って俺は部屋に戻ろうとしたが、レイの声が後ろから追いかけてきた。
「ツクシなら、さっきホールに向かっていくのを見たよ」
 その言葉に俺はちょっと振り返り、相変わらず穏やかな笑顔をたたえているレイに、笑って見せた。
「・・・ありがとう」
 そして俺はそのまま、ホールへと駆け出したのだった・・・・・。


 ホールに入ると、オードブルの並んだテーブルの横に、ワイングラス片手にふてくされた様子で料理を手に取る牧野の姿が目に入った。
 どう見てもやけ食いの様相の牧野に、思わず苦笑が漏れる。
 深いボルドーのカクテルドレスも、ダイヤのネックレスもとても似合っていて男を惹きつけるには十分な魅力を備えているのに、本人が全くそれに気づいていない。
 周りにいる男たちは声をかけるタイミングを見計らっているようだが、牧野のすごい食いっぷりに気後れして声をかけるのに躊躇している。
 それでも気障な感じの金髪碧眼の男が1人、牧野に近づき声をかけた。
 俺は歩いていた足を速め、牧野の肩になれなれしく手を置いたその男を睨みつけながら、その手を払った。
「俺のだよ」
「!!類!どこ行ってたの!?」
 牧野が目を見開く。
「ちょっと、外・・・・・。牧野、顔赤い・・・・どのくらい飲んだの」
 頬を赤らめ、潤んだ瞳の牧野は近くで見るとドキッとするほど色っぽかった。
 俺以外のやつに見せたくないそんな顔で、1人でいるなんて。
「そんなに飲んでないよ・・・・大体、類が1人でどっか行っちゃうのが悪いんじゃない」
 拗ねたようなその表情に、俺はちょっと笑う。
「ごめん・・・・」
 素直に謝ると、今度は面食らったような顔で目をぱちくりさせる。
「さっきは・・・・言いすぎた。牧野が悪いんじゃないってことはわかってるのに・・・・・司に抱きしめられてる牧野見たら、冷静じゃいられなかった・・・・・」
「・・・・・ずるい」
「え?」
 拗ねたように、上目遣いで俺を睨む牧野。
 その表情にドキッとする。
「そんな風に素直に謝られたら、もう怒れないじゃない」
「・・・・・さっき、レイって人に会ったよ」
「え・・・・」
「レイに聞いた。牧野が・・・レイに言ってくれたこと。それから司のこと。俺・・・大事なこと、忘れてたよ。牧野にとって、司はただのモトカレじゃない。かけがえのない、大切な仲間だってこと。それに俺にとっても・・・・司は大事な仲間だ」
「類・・・・・」
「そんな大切なことも忘れちゃうなんて、駄目なやつだよな・・・・牧野に振られても、文句言えない」
「な・・・・何言ってんの?」
「聞いて。司が、俺から牧野を奪い返そうとしてたって聞いて・・・・すごくあせったよ。本当にそうなっていたらどうしただろうって。牧野が司の元へ戻ってしまったらって・・・・・司には、敵わない気がしてたから。でも・・・・もしそうなったとしたって、やっぱり俺には牧野しかいない。牧野が傍にいないと、駄目なんだ。司は大切な仲間だけど、牧野のことはやっぱり譲れない・・・・・」
「類・・・・・バカ・・・・・」
 牧野の大きな瞳に、涙が溢れる。
「あたしが・・・・類の傍、離れるわけない。類がいないと駄目になるのはあたし。ずっと傍にいて欲しいと思ってるのもあたし。ずっと・・・・・類のことしか、考えてないよ・・・・・」
「うん・・・・・」
 ぽろぽろと頬に伝う涙を拭いながら言葉を紡ぐ牧野を、そっと抱きしめる。
 牧野の腕が、俺の背中に回りぎゅっと抱きついてくる。
「・・・・・・やっと、こうしてくれた」
「牧野・・・・」
「ずっと、こうして欲しかったの・・・・・迎えに来てくれて、嬉しかった。早く会いたくて・・・早くこうしたくて・・・・・なのに、類は怒ってて・・・・・悲しかったんだから」
 顔が見えないからか、素直に甘える牧野がかわいくて、俺は抱きしめる腕に力をこめた。
「ごめん・・・・」
 そう言って俺は、牧野の髪にキスを落とした。
 牧野の体がピクリと反応し、おずおずと顔を上げる牧野。
 瞳を濡らしていた涙を人差し指で掬うと、恥ずかしそうに頬を染める。
 
 その潤んだ瞳に、理性が溶けそうになったとき・・・・・

 「2人の世界に入ってるとこ邪魔して悪いけど」
 突然割って入った声に、牧野は驚いて俺から離れる。
「・・・・・・何」
 現れた3人の男に、思わず俺の声も不機嫌になる。
 総二郎が、にやりと笑って俺たちの体を引き離す。
「パーティーに出るなら出るって言ってくれなきゃ。せっかく久しぶりにF4が揃ったのに、冷たいんじゃねえ?類くん」
「そうそう。せっかく一緒に牧野迎えに来たのに、1人占めはねえだろ」
 あきらが牧野の腕を引っ張る。
「わ、ちょ、何言ってんの?」
 牧野がよろけ、うろたえる。
「あきら、何すんの」
「ダンス。せっかくここまで来たんだから、これくらいの役得はねえと。日ごろの俺のレッスンの成果、見せてくれよ」
 牧野の腰に手を回し、にっこりと微笑むあきら。
 牧野の頬が微かに染まる。
「牧野!」
 俺が2人のほうへ行こうとすると、総二郎に腕をぐいと引っ張られる。
「あきら、次俺な」
「総二郎、放してよ」
「まあまあ、ちょっとくらい良いだろ、社交界デビューの練習だよ。お前の危険な運転にも耐えてここまで来たんだから、少しくらい牧野貸せって」
「牧野はものじゃない!ってか、なんだよ、危険な運転って」
 思わずむっとして聞き返すと、総二郎が溜息をつく。
「ここまでの道、何度死ぬかと思ったか。お前の運転、かなり上達したと思ってたけど・・・・山道を猛スピードで走るのは止めろ。生きた心地がしねえ。帰りは俺が運転する」
 心なしか青ざめている総二郎に、俺は顔を顰めた。
「失礼な」
「あのなー、身の危険を感じるあまり俺もあきらも無言だったの、少しは察しろよ」
「・・・・・・・」
 後ろで司が大笑いしてる。
 司のそんな顔を見るのも久しぶりだ。その表情は昔と変わらない、俺たちといるときに見せていた笑顔だった。
 そんな司を見てほっとしている俺。
 ―――大切な仲間、か。
 牧野にとっても俺にとっても。そしてこの3人にとっても・・・・・
 いつまでもその関係だけは変わらない。
 そう確信できるのが、嬉しかった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 あんまり甘くなりませんでした(^^;)
 ごめんなさい~。
 この辺でちょっと甘い話を・・・と思ってたんですが・・・・・。
 まだ続きますので、また次の機会ということで・・・・・

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X'mas Panic!!vol.12~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -rui-
 俺の車に3人で乗り込み、伊豆に向かう。
 道中はほとんど無言で、とにかくはやる気持ちを抑えるように俺は運転に集中していた。
 2人もそれをわかってくれているのか、ほとんど口を開くことがなかった。

 そのホテルの周りには民家はほとんどなく、目の前には海が、後ろには山が広がる静かな場所で、まだ建設途中のそのホテルだけが、まるで空中都市のように闇の中に浮かんでいるように見えた。

 「すげぇな・・・・さすがって言うかなんていうか・・・・・さっきまで山の中走ってたのに、突然オアシスが現れたって感じだな」
 総二郎が感心したように言う。
「感心してる場合かよ。早く牧野を・・・・おい、類、待てよ!!」
 さっさとホテルの敷地に足を踏み入れた俺を、2人が慌てて追いかけてくる。

 敷地に足を踏み入れてすぐ、フロントにあたる大きめのコテージの入口に、1人の男が現れる。
 俺は、その男を見て足をぴたりと止めた。
「西田さん・・・・・」
「お久しぶりです。お待ちしておりました」
「・・・・・司と牧野は?」
「ホールの方にいらっしゃいます」
 俺たちは西田さんの横を通り抜け、ホールの場所へと向かった。

 「西田さんのあの言い方・・・・俺たちが来るってわかってたんだな」
 あきらの言葉に、総二郎も頷く。
「ああ。全ては計算済みだったってわけか。馬鹿にしやがって」
「・・・・・・・・・・・・・」


 しばらく歩くと、
 漸く目的のホールが見えてきた。円形の、コンサート会場を思わせる大きな建物がそれだ。
「よし、入ろうぜ」
 あきらが言って、入ろうとする。
「・・・・・ちょっと待って」
「どうした?類」
 総二郎の問いには答えず、俺はホールの建物の奥のほう、広場のようになっている場所を目を凝らして見た。
 まだ出来上がっていない噴水の前、扇状の階段が見えた。
 その階段の下、見えたのは寄り添う2つの影・・・・・
 ―――あれは・・・・・

 頭で考えるよりも先に、俺は走り出していた。

 「おい!!」
「類、待てよ!!」


 「牧野!!」
 月明かりの下、寄り添っていた2つの影がびくりと揺れ、離れる。
「類・・・・・?」
 牧野が、まるで幽霊でも見るように俺を見る。
「牧野!?」
「司!てめえ!」
 後から走ってきたあきらと総二郎も2人に気付き、総二郎はそのまま司に掴みかかる。
「よお、遅かったな」
 司は驚きもせずに、そう言って俺たちを見回した。
「司・・・・・どういうつもり?こんなことして・・・・牧野に何した?」
 じっと睨みつけながら言う俺に、司は肩をすくめて答えた。
「パートナーになってもらっただけだ。このパーティーに出るためにな」
「けっ、自分が主催したパーティーだろうが!何のためにこんなことしたか、きっちり説明しろよ!」
 今にも殴りそうな勢いの総二郎を、あきらが止める。
「止めろ、総二郎。・・・・・司。俺たちが納得できるような理由なんだろうな」
「・・・・・さあな、それは話してみねえとわからねえな」
「おい・・・・・」
「とりあえず、ここじゃさみいから中に入ろうぜ。―――牧野」
 司は、牧野のほうを振り返ると手に持っていた何かを牧野の方へ放り投げた。
「へ?わっ」
 牧野が慌ててそれをキャッチする。
「あの部屋の鍵だ。中にお前の着替えもバッグも置いてあるから。あそこで類と話しな。俺はこいつら連れてくから」
 そう言ってスタスタと歩き出す司を、あきらと総二郎が慌てて追いかける。
 途中、2人が不本意そうにこちらを振り返ったが、俺はそんなことを気にしている余裕はなかった。

 「牧野・・・・・」
「あ、あの、類、ごめんね、心配かけて」
 慌てたように言う牧野。
 声が少し震えている。
 少し落ち着いて見てみれば、牧野はカクテルドレスの上に薄いストールをかけているだけで、その体は寒さに震えていた。
「・・・・部屋、どこ?そのかっこでいつまでもここにいたんじゃ風邪ひく」
 俺の言葉に、牧野は自分の格好を見下ろし、今気づいたというように目を瞬かせた・・・・・。


 「・・・気付いたら、この部屋にいたの。このドレスを着せられて」
 部屋に入り、置いてあったポットのお湯でコーヒーを入れる牧野。
 部屋は暖かく、牧野はほっとしたように微笑んだ。
「もう何がなんだかわからなくて・・・・・道明寺に引っ張られてパーティー会場まで連れてかれて、取り引き先の相手って人に紹介されて、なんだかよくわからないうちに道明寺の仕事はうまくいっちゃってて・・・・漸くここまで連れてこられたわけを聞いたのが、ついさっきだよ。ほんと、嫌になっちゃうよね、道明寺ってば。勝手すぎるんだから・・・・・」
 ちっとも嫌だと思っていない口調でそう言われても、俺が納得できるわけがない。
「・・・・・・わけを聞いて、それで抱き合ってたの?」
「え?」
「さっき、抱き合ってた。何で?どうして司と抱き合ってるの?俺、全然納得できないんだけど」
「だ、抱き合ってたわけじゃ・・・・・」
「じゃ、何してたの?」
「何って、その・・・・は、話をしてたら急に道明寺が・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「あ、あのさ、とりあえずあたしが話せること全部話すから、聞いてくれる・・・・かな?」
 遠慮がちに、上目遣いで俺を見る牧野。
 俺はイライラしながらも、仕方なく頷いた。
「全部話して。隠し事はなしだよ」
「ん、わかった」
 牧野がほっとしたように息をつき、テーブルにコーヒーを置いてからソファに座ると、話し始めたのだった・・・・・。


 -akira-
 「お前の話はわかったけど・・・・・類のやつがそれで納得するかどうか」
 俺と総二郎はホテル内のコテージの1室で、司の話を聞いていた。
「かなりどたまに来てたぜ。お前も知ってるだろ、類が牧野のことになると感情がむき出しになること」
 総二郎も漸く少し落ち着いた様子で言った。
「ああ。でも、その姿も見たかったんだ。あいつが本気で牧野を想ってるってことがわかるから・・・・安心出来る」
 あくまでも冷静に話す司を、俺たちはちょっと驚いて見ていた。
「・・・・・この先、俺がどんな女と恋愛しても、誰と結婚しても、きっと牧野に対する気持ちは一生かわらねえ。ずっと、好きだ。だから・・・あいつには絶対に幸せになってもらわないと困る」
「司・・・・・」
「前に言ったよな。俺と牧野の距離が変わらないなら、牧野の相手が誰でもかまわねえって。それはあいつを幸せに出来るならってことだ。お前らが自分のためだけに牧野を類から奪って、牧野を不幸にするようなことがあったら、俺はお前たちをゆるさねえ」
 ぎろりと鋭い目で睨まれ、その目で司の真剣さを感じた。
「・・・・お前こそ、覚えてるか?」
 総二郎がその目を見返して言う。
「俺たちだって、牧野に惚れてんだ。牧野の幸せを願ってるのは俺らも同じだよ。あいつが不幸になるようなこと、するわけねえだろ」
 その言葉に、司はにやりと笑った。
「それ聞いて安心した。お前らのことは俺もちゃんと信用してるよ。虫除けにもなるしな」
「俺たちは殺虫剤かよ」
 総二郎の言葉に、司はちょっと笑って、言った。
「あいつ・・・・しばらく会わないうちに、きれいになった。自分では気付いてないだろうけどな。お前ら以外の男があいつに近づくことだってありえる。どっかのくだらねえやつにあいつ取られたりするなよ?」
「当たり前だろうが」
 俺が答えると、総二郎も顔をしかめ、
「んなことになってたまるか。その辺のやつらに俺らがあいつ、渡すわけねえだろ」
 と当たり前のように言う。
 F4にとっての牧野は、絶対に欠かすことの出来ない存在だ。
 司の言うとおり、きっとそれはこれからもずっと変わらない。
 俺たちが他の女と結婚することになっても、きっと牧野だけは特別。
 好きな女は、牧野だけだ。
 だから、牧野が幸せになるためなら、どんなことだってする。
 

 俺たちは無言で目を見交わすと、お互いの拳をつき合わせたのだった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 F4にはやっぱりずっとつくしを好きでいて欲しい・・・・と思うのはわがままでしょうか。
 それぞれにもちゃんと幸せになって欲しいんですけどね。
 4人と結婚するのは無理だしなあ。

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X'mas Panic!!vol.11~花より男子・類つく&F3~

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 -tsukushi-
 「縁談が持ち上がったんだ」
 道明寺は、遠く、夜空を見上げながら話し始めた。
「縁談?あんたに?」
「ああ。それがあの・・・・レイの娘だった」
「え・・・・・」
「ああ見えてレイは気難しいやつで、今回の取り引きもなかなか首を縦に振ってくれなかった。何度もアプローチしているうちにだんだんと打ち解けて話せるようにまでなったんだ。ところが契約についてはやっぱりなかなか承諾してくれない。お袋もイライラし始めて、どうしようかと思っていたときに・・・・契約の条件として娘との縁談を持ち出したんだ」
「政略結婚てこと?」
「ああ。その娘ってのがまだ15歳で」
「15!?」
 てことは高校生・・・・うわ、あたし、15のときって何してたっけ?
「レイに何度か会っているとき、娘にも会ったことはあるんだ。明るくて飾り気のない、普通のやつだよ。ちょっと滋に似た感じかな」
「滋さんに・・・・」
「けど、まさかまだ15のガキと結婚しろなんて言われると思ってなかったから・・・・正直驚いた。お袋なんかはすげぇ乗り気で、すぐにでもその縁談を進めたいみたいだったけど、俺はそんな気にはなれなかった」
 道明寺が軽く溜息をついた。
「悪いやつじゃないし、別に嫌いじゃない。ただ、恋愛の対象として見たことはねえし、ましてや結婚となれば大事だ。俺はお袋みたいに結婚をビジネスとしては考えられねえ」
「・・・・・・・」
 あたしは、黙って道明寺の話を聞いていた。
 道明寺の表情から、道明寺が真剣に悩んでいたことが伺える。
「俺は、レイに正直に話したよ。娘に対しての気持ち、ビジネスに対する気持ち、それから・・・・俺には好きな女がいるってこと」
 そう言って、道明寺はあたしを見た。
「道明寺・・・・・」
「それでも・・・まあ当然といえば当然だけど、レイは納得しなかった。恋愛なんてはしかみたいなもんだ。一時の恋愛感情なんかすぐに色あせる。それならずっと先の人生を見据えろってね。娘のことが嫌いじゃないならきっとうまく行く。もちろんビジネスもうまく行くって・・・・・。俺も・・・・一時はそれももっともかもしれないと思って結婚も真剣に考えたよ。それでもやっぱり・・・・俺の心の中には、ずっとお前のことが引っかかってたんだ」
 道明寺の、切なげに伏せられたその瞳が、道明寺の想いの深さを表しているようであたしの胸が痛んだ。
「このままじゃ俺は前に進めない。いや、後にも戻れない。お袋やレイの言うとおりに結婚したら、きっと後悔する。きっと・・・・あいつを不幸にする。そう思った。俺はもう、誰のことも不幸にしたくない。だから・・・・・自分の気持ちにけじめをつけたくて、日本に来たんだ」
「え・・・レイさんに会いに来たんじゃないの?」
「もちろんそれもある。何とかレイを説得したかったんだ。その最終手段として用意した舞台が、ここ。まだオープン前で、建設途中のここなら類たちの目もごまかせると思ってさ。ここでのパーティーを企画して、レイを招待したんだ」
「・・・・・・じゃ、最初からこうするつもりで・・・・?」
 開いた口が塞がらないとはこのことだ。
 まさか道明寺がそんなこと考えてたなんて!
「今日までにレイを説得することが出来れば、お前を連れてくる必要もなかったんだけどな・・・悪かった、乱暴なやりかたして」
「本当だよ。でも、そういう事情なら、類には話しても良かったんじゃないの?道明寺のためなら、協力してくれたと思うけど・・・・・」
「ああ・・・・・けど、俺にはもう1つの目的があったから」
「もう1つの目的?」
「・・・・・お前を、類から奪い返しに来た」
「!!」
 道明寺の言葉に、あたしは思わずその場に立ち上がった。
「・・・・・って言ったら、どうする?」
「な・・・・・からかってるの?」
「まさか。あのな、言っただろ?俺はお前に心底惚れてんだ。お前が類のことを好きになったからってそう簡単に心変わりなんかしねえ」
「・・・・・・・」
「だけど、そのお前を手放したのは俺だ。何が何でも捕まえておかなかった俺が、お前たちの間に入る資格なんかねえよ」
「道明寺・・・・・」
「だけど、それでももう1度お前に会って、確かめたかった。もし・・・・お前と類の間に隙があるようなら、本当に奪い返そうと思ってたよ」
 そう言ってあたしを見つめる道明寺の表情は、真剣そのもので・・・・
 あたしは言葉が出なかった。
「けど、結局無駄だった。お前ら、こっちが恥ずかしくなるくらいお互いを好きで好きでしょうがないって顔してるんだぜ」
 そう言ってにやりと笑う道明寺。
 あたしは、顔から火が出るかと思うほど恥ずかしくなった・・・・・。
「そ、そんな顔・・・・・」
「してるんだよ。馬鹿らしくって、お前らが寝ちまってからじゃねえと帰る気にもならねえ」
「え・・・・・じゃ、それで毎日帰りが遅かったの・・・・?」
「まあな。類に事情を話さなかったのは、言えばきっとここまでついてきただろうし、やっぱり類の前でお前を俺の婚約者として紹介するわけにいかねえと思ったからだ。いくら芝居だってわかっててもおもしろくはねえだろ」
「でも・・・・・それでもやっぱり、類は協力してくれたと思うけど」
 類にもあたしにも本当のことを話さなかった道明寺に納得できなくて、つい責めるような口調になってしまう。
 すると、しばらく黙っていた道明寺が、ふいにぷっと吹き出した。
「な、なによ?」
「今頃類のやつ焦ってんだろうなあと思ったらおかしくってさ」
「あ、あのねえ」
「・・・・・お前と2人で話したかったんだ」
「!」
「お前なら、どうするだろうって思った。会社のために本意じゃねえ結婚なんてするかって」
「・・・愚問だよ、それ。聞かなくたって分かるでしょ」
「それでも、お前の口から聞きたかった。俺の考えは間違ってるんじゃないかって思ってたから。お前なら迷いを断ち切ってくれるような気がしたんだ」
「道明寺・・・・・。らしくないよ、そんなの。あんたはいつだって自分の気持ちに正直だったじゃない。間違ってても、その時はその時だって、いつも真っ直ぐだったじゃない」
 あたしは真っ直ぐに道明寺の目を見つめた。
 高校生のとき、あたしは道明寺のどこに惹かれてた?
 馬鹿だけど正直で、自分に嘘がつけなくて、そして何より、気持ちは言葉にしなきゃ伝わらないってこと、教えてくれたのも道明寺だった。
「ああ・・・・・。そうだったな。ようやく思い出したよ。やっぱりお前に会いに来て良かったよ。レイにもわかってもらえたみたいだしな」
 ニヤリと、満足そうに笑う道明寺。
「契約、うまくいきそうなの?」
「ああ」
「そっか・・・・・。良かった」
 ようやく道明寺らしい笑顔を見ることが出来て、あたしもなんだかほっとしていた。
「―――そろそろかな」
 ふいに道明寺が立ち上がって言った。
「何が?」
「・・・・・牧野」
「え?」
「俺、N.Y.に帰る」
「え・・・・・。いつ?」
「すぐに」
「すぐって・・・・・」
「・・・・・お前、必ず幸せになれよ。お前の幸せが俺の幸せだ。それを忘れんな」
「道明寺・・・・・」
「どこにいても、何があっても、俺はお前のことを思ってるから。だから・・・・・お前は1人じゃない。何でも1人で抱え込むなよ」
 道明寺の言葉が、不思議なベールのようにあたしを包み込んでくれるようだった。

 ―――ああ、やっぱり道明寺だ。

 いつでも、あたしが欲しいと思っている言葉をくれる人。
 あたしに勇気を与えてくれる人。
 これが、あたしの知ってる道明寺だ・・・・・・

 ふわりと、道明寺の大きな腕があたしを包んだ。

 そのとき。

 「牧野!!」
 
 あたしははっとして、道明寺から離れた。

 「類・・・・・?」
 月明かりの下、息を切らして立っていたのは、見間違えようもない花沢類その人だった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ああ、漸く再会の場面が・・・・・。
 やっぱり司は難しいなあ。
 どうか皆さんに楽しんでいただけますように(^^;)

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X'mas Panic!!vol.10~花より男子・類つく&F3~

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 -tsukushi-
 「・・・・ちょっと待ってください。道明寺?これ、どういうこと!?」
 あたしは横で相変わらずニヤニヤしている道明寺を睨みつけて言った。
「んな怖い顔するな」
「だって―――!」
「ツクシさん?」
 レイがあたしに、優しく笑いかける。
「あ、はい・・・・」
「ちょっと、ツカサと話したい。いいですか?」
「あ・・・・・ええ、どうぞ」
 そう言ってあたしは下がろうとしたが―――
「いや、あなたにもいてほしい」
「え・・・・・」
「ツカサ・・・・私の記憶が正しければ・・・・彼女は、花沢物産のご子息のフィアンセでは?先日、日本の週刊誌で写真を見たよ。名前は・・・・そう、確かマキノツクシ・・・・」
 にこやかに微笑むレイ。
 あたしは呆気にとられ・・・・
 ふと、隣の道明寺を見ると、意外なことに道明寺は驚きもせず、ただ穏やかにレイを見ていた・・・・。
「やはりご存知でしたか」
「花沢物産とは父の代からの付き合いだ。もちろん子息のことも知っているよ。会ったことはないがね。君の親友だということも・・・・・。その親友のフィアンセを、どうして自分のフィアンセだと?」
「彼女は・・・・9ヶ月前までは俺の婚約者だった。俺は彼女を愛してた。心の底から。だけど・・・・彼女を手放した」
 淡々と話し始める道明寺。
 あたしはなんと言っていいかわからず、なぜ道明寺が突然レイにそんなことを話すのかわからずにうろたえていた。
「でも、俺にとって彼女は今も変わらず愛するただ1人の女性なんです。だから・・・彼女を、あなたに紹介したかった」
「道明寺・・・・・」
「そして、彼女の婚約者である花沢類も、俺にとって大切な友人です。あいつを選んだ彼女を、彼女を選んだ類を、俺は誇りに思うし、2人に対する想いはきっと永遠に変わらないと思う」
「・・・・・なるほど。それが君の答えか」
「はい」
「・・・・・ツクシさん」
「は、はい?」
「あなたは・・・・・自分のフィアンセを、愛してますか?」
 レイが、あたしの目を見ながら聞く。
 深いグリーンの瞳が、あたしを真っ直ぐに見つめていた。
「・・・はい」
「司は何でも持っているし、このとおり素晴らしい男だ。それなのに、君は司を選ばなかった。それほど、素晴らしい男なのかな?後悔はしないと?」
「・・・・・道明寺を・・・・・・彼を愛してました。私も・・・・。でも今は、いつもあたしの傍であたしを守ってくれた人を、あたしを愛し続けてくれた人を、あたしも愛してるんです。道明寺と一緒になったら、きっと大切にしてくれたと思います。いつも真っ直ぐで、たくさんの愛をくれる、そんな人ですから。でもやっぱり・・・・・あたしには、類が・・・・・花沢類が、必要なんです。類がいなかったら、今のあたしはいない。類がいなければ、生きていけない。類は、あたしそのものなんです」
 あたしの言葉を、ただ黙って、目を逸らさずに聞いていたレイ。
 しばらくあたしを見つめたまま黙っていたが・・・・・・
「・・・・・よく、わかりました。ツクシ、君はすばらしい女性だ。そしてツカサ、君も・・・・きっとルイも、素晴らしい男なのだろう。あなたたちの愛には、真実がある・・・・。ツカサ」
「はい」
「私は明日、国に帰るよ」
「・・・・・そうですか」
「君はいつN.Y.へ?」
「俺は、あなたに会いにここへ来ただけだ。あなたが帰るなら、俺も帰る。やらなくちゃいけないことがたくさんある」
「そうか・・・・・では、今度は私が君に会いに行こう」
 穏やかに微笑むレイさん。
 その言葉に、道明寺は驚いたように目を見開く。
「レイ・・・・・」
「いい話を聞かせてくれて、感謝してるよ。ツカサ・・・・君には期待してる。これからも頼むよ」
「・・・・・・レイ。ありがとう」
 2人はどちらからともなく手を差し出し、固い握手を交わした。

 あたしは、その光景をただ呆然と見つめていたのだった・・・・・。


 -rui-
 「類様!わかりました!」
 もう日付も変わろうというとき、静まり返った部屋のドアが勢いよく開かれた。
 それまで、それぞれの伝からの連絡を待っていた俺たちは勢い込んで飛び込んできた田村の登場に、一斉に立ち上がった。
「いたのか!?」
「どこに!?」
「伊豆の、『Une perle』です」
 その言葉に、俺は一瞬絶句した。
「おい・・・・『Une perle』って・・・・・確か花沢物産と道明寺が共同出資したホテルじゃなかったか?海外のセレブ向けに作られたっていう、コテージ風の部屋が売りだとか言って・・・・・」
 あきらが言えば、総二郎も頷き
「ああ。けど、あそこはまだオープンしてないだろ?プレオープンだって来年の春だって聞いたぜ」
 2人の言葉に、田村が頷く。
「ええ、確かにまだ建築途中です。ただしホテル内のパーティー会場となるホールは既に出来上がってまして、花沢と道明寺が特に親しくしている客だけを招待した極秘のパーティーが今夜、開かれているんです」
「今夜?俺、そんな話聞いてないよ」
 俺が驚いて聞くと、田村は言いづらそうに俺を見た。
「いえ・・・・・本当なら類様にもご出席いただこうと思っていたらしいのですが・・・道明寺様のほうから、類様には秘密に、というお話があったそうで・・・・先ほど社長から連絡がありまして、もう言ってもいいだろうと・・・・」
「・・・・・・そのパーティーの主催者は・・・・・」
「はい。道明寺司様でございます」
 田村の言葉に、俺たち3人は愕然とし・・・・・・・溜息とともにその場に座り込んだ。
「あのやろう・・・・・ってことは最初からこうするつもりで・・・・・」
 総二郎が苦々しげに呟いた。
「ああ。計画通りだったってわけだ・・・・・。類、どうする?」
 あきらの言葉に、俺は黙って立ち上がった。
「・・・・・・迎えに行く」
 一言、呟くと、あきらと総二郎も顔を見合わせ立ち上がり、にやりと笑った。
「よし、敵陣に乗り込むか」
 と総二郎が言えば
「姫君を救いに、な」
 とあきらも頷く。
「田村さん、車を―――」
 と俺が言いかけると、田村はにっこりと微笑み
「用意してございます。どうぞお気をつけて」
 と一礼した。


 -tsukushi-
 さっきから、道明寺とレイは2人でずっと話し込んでいて、あたしは入り込めないでいた。だってフランス語で話してたし・・・・。
 仕方なくあたしはボーイに渡されたワイン片手に立食形式の食事が並んだテーブルへ行き、オードブルなんかをつまんでいた。
 ―――こんなとこで何してるんだか・・・・・。
 早く帰りたい。
 類に会いたい。
 だけど、ホールの入口にはどこかの国のSPみたいな屈強そうな外人が2人ずつ立っていて、出入りする人間をいちいちチェックするように見ている。
 『1人でどっかに行ったりするなよ』
 そう道明寺にも釘を刺されていたから、黙って出て行くのはなんだか悪い気もする。
 せめて、連絡だけでもしたいけど・・・・携帯がどこにあるのかさえ、わからない。
「コンバンハ。ダンスデモ・・・・」
「ごめんなさい」
 さっきから何度となく声をかけてくる人たちに、いちいち謝るのも面倒くさくなってくる。そんなにあたし暇そうに見えるのかな。

 「おい、大丈夫か?」
 いつの間にか、隣に道明寺が立っていた。
 なぜか心配そうにあたしを見ている。
「いたの?大丈夫って、何が?」
「だいぶ、飲んでるだろ。顔が赤い。悪かったな、1人にして」
「・・・・・そう思うんだったら、早く帰してよ。いつまでここにいるの」
 むっとして言うと、道明寺は苦笑した。
「まあ待てよ。まだここを離れるわけにいかねえんだ。ちゃんと送り届けてやっから」
「たくもう、相変わらず勝手なんだから。大体あんたは・・・・わっ」
 一瞬よろけ、テーブルにぶつかりそうになる。
 寸でのところで道明寺に支えられ、ほっと息をつく。
「・・・・・ちょっと、外に出るか」
「出れるの?」
「ああ、おれがいりゃあな」
 そう言って道明寺が先に立って歩き出す。
 あたしは慌ててその後をついて行った。

 道明寺の言うとおり、入口に立っていたSPは道明寺のことはちらりと見るだけで、すんなり通してしまう。
 あたしたちは中庭のようになった場所へ出ると、大理石で出来た階段に腰を下ろし、夜空を見上げた。
「・・・・・星がきれいだね」
「ああ」
「・・・・・ちゃんと、説明してくれる?」
 あたしは隣に座る道明寺を見上げた。
 道明寺はそんなあたしの視線を受け止め、ちょっと笑うと、頷いた。
「ああ。本当のことを話すよ」
 そう言った道明寺の顔は、なぜかとてもすっきりとしていた・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 細かいことを何も考えずにイメージだけで進めて来てしまいました。
 情景とか、なんとな~く思い浮かべてもらえたら嬉しいです。

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X'mas Panic!!vol.9~花より男子・類つく&F3~

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 -tsukushi-
 「ここ、どこ?」
 あたしはゆっくりと回りを見回してみた。
 20畳くらいの広い部屋。
 その中央のダブルベッドに寝かされていたあたし。
「伊豆だよ」
「伊豆?」
 道明寺の答えに、あたしは目を見開いた。
「なんで・・・・・。あたしをどうするつもり?」
 あたしが聞くと、道明寺はふっと笑った。
「お前、自分の格好見てみ」
「え?」
 言われて、あたしは自分の姿を見下ろした。
 深いボルドーのベルベット生地でできたカクテルドレスに、ダイヤのネックレスとブレスレット。
 いつの間に着替えさせられたのか。
 あたしは自分の格好に呆然とした。
「なにこれ・・・・・。どういうこと?」
 キッと道明寺を睨みつけると、道明寺は悪びれもせずにニヤリと笑って言った。
「これからパーティーに出るんだよ。お前は俺のパートナーだ」
「な、なに勝手なこと言ってんのよ。ちゃんと分かるように説明してよ!」
「言っただろ?俺が日本に来た目的。今日のパーティーには例のやつが出席することになってる。たぶん、これが最後のチャンスだ。どうしてもこのパーティーに出たかった。でもこのパーティーはパートナー同伴が原則なんだ。だからお前を連れて来た」
「それならそれで、類に言ったって良かったじゃない。どうしてこんなやり方したの?」
「・・・・・お前と、話したかったんだ」
「・・・・・どういうこと?」
 あたしの問いに道明寺は答えず、ただじっとあたしを見つめていた。
「道明寺?」
 その時、突然部屋をノックする音が響き、あたしは飛び上がるほどびっくりしてしまった。
「司様、お時間が」
 ドア越しに、男の声が聞こえた。
「ああ、今行く」
 道明寺はそう応えると、立ち上がり、着ていたスーツの襟を整えた。
「話は後だ。とりあえず一緒に来てくれ」
 道明寺に腕を取られ、あたしは慌ててベッドから降りる。
 ベッドの横には銀色のハイヒールが揃えられていた。
「それ、履いて」
 言われて、履きながらもあたしは何とか話をしようと道明寺の腕を引っ張る。
「ねえ、待ってよ。あたしパーティーなんて」
「ぐだぐだ言ってねえでついて来いって!あきらにダンスも習ってるんだろ?」
「一応ね。てか、そういう問題じゃなくて!」
「いいから来い!」
 あたしの追求を聞く耳持たず、道明寺はあたしの腕をとってずんすんと歩き出してしまった。
 慣れないハイヒールで転ばないようにするのが精一杯で、喋る余裕もない。
 もう、こうなったらどうにでもなれ、よ!


 道明寺に引っ張られたまま脇目もふらずにつき進み、パーティー会場に着いた頃にはゼエゼエと息を切らし、汗だくになっていた。
 道明寺が呆れたようにあたしを見る。
「お前、運動不足なんじゃねえの」
「あ、あんたの足が早すぎんのよ!」
「そりゃ悪かったな。足が長いもんでよ」
 ニヤリと笑って言うからむかつく。
「ほら、んな顔してねえで腕組めよ」
 そう言って腕を出して促してくる。
 あたしは一瞬躊躇し・・・・・
「・・・・・本当に後でちゃんと説明してくれるのね?」
 と聞いた。
 道明寺はちょっとだけ驚いた様子を見せたけど、すぐにまたニヤリと笑い、
「ああ」
 と頷いた。
 天井が高く広い会場にはたくさんの人がいたが、ほとんどが外国人で、飛び交っている会話もあたしには解らないものばかりだった。
 あたしがそっと道明寺の腕につかまると、道明寺は静かに前に進んだ。
 周りが、自然に道を開ける。
 こういう時の道明寺は見ていてさすがだと思う。
 普段のガサツな雰囲気とは真逆の、上品で高貴なオーラが周りを圧倒してしまうのだ。
 美しく整った顔はこうして見ると神秘的にも見え、国境を越えて女性たちを魅了しているようだった。

 周りの視線を痛いほど感じ、あたしはどきどきと落ち着かなかった。
「・・・・・ねえ、あたし、あんまりうまくないよ」
 美作さんに習ってるダンス。
 漸く慣れてきたばかりで、お世辞にも上手とはいえないもののはず・・・・。
「心配するな。俺がリードするから、お前は俺に合わせろ」
 そう言いながら道明寺はホールの中央まで進み、あたしと向かい合った。
 そしてあたしの手を取ると身をかがめ、その手の甲に恭しくキスをし、にっこりと笑ってあたしの腰に手を回した。
 その仕草はまるで映画のワンシーンを見ているように絵になっていて・・・・・あたしは思わず道明寺に見惚れてしまっていた。
「・・・おい、ボーっとすんなよ」
 耳元に囁かれ、あたしははっと我に返る。
「見惚れてただろ?」
 にやりと笑う顔が。
 すごく間近に迫り、そのきれいな顔にどきどきする。
 それでもそれを認めるのは悔しくて、あたしは顔を顰める。
「バーカ、自惚れないでよ。こんなとこでダンスなんかしたことないから、緊張してるだけ」
「・・・・・これから、嫌って程こういうことがあるぜ。お前が類と結婚するんならな」
「・・・・・わかってる。だから、そのために美作さんに習ってるんだよ」
「ああ、そうだったな。がんばってるみてえじゃん。お前も類も・・・・・。類は、家のことにも自分のことにも無頓着で、誰にどう見られるとか、跡取りとしてこれはやっとかなきゃみたいの、まるっきり考えないやつだった。自分が興味あること・・・・たとえばヴァイオリンとかな。そういうのは自分からやるけど、他はまるで無関心。どうでもいいって感じだったんだ」
「へえ・・・・・」
「だけど最近はちゃんと会社の運営にも関わって、真剣にやってるみたいで驚いたよ。お前がそうさせたんだな」
「あたしは何も・・・・・」
「お前と一緒にいたい。その一心だと思うぜ。お前を幸せにしたいから、がんばってるんだ、あいつは。あいつをそこまでやる気にさせたやつなんて今までにいない。あの静でさえ、そこまで類を変えることは出来なかったんだ」
「・・・・・・」
「お前はすげえよ」
 優しい笑みを浮かべながら話す道明寺。
 なんだか、やっぱり別人と話しているみたいで落ち着かなかった。
「あたしは・・・別にすごくないよ。あたしだって類と一緒にいたいから・・・・・類と幸せになりたいから必死でがんばってる。今の幸せをずっと離したくないから、がんばってるだけ・・・・・あたし、自分のことしか考えてないかも・・・・・」
「・・・・・バーカ。自分のことしか考えてないやつは俺を振ったりしねえよ。俺を誰だと思ってんだ」
 ふっと不敵な笑みを浮かべる道明寺。
 その自信に満ちた態度に、思わず苦笑が漏れる。
「全く・・・・・誰もあんたには敵わないわよ」
「・・・・・・・・・」
 突然道明寺が黙り、あたしに真剣な眼差しを向けた。
 ドキン、と胸が高鳴る。
「・・・・・道明寺・・・・・?」
「―――ツカサ・ドウミョウジ?」
 突然横に人の気配を感じ、あたしは驚いてダンスを止めた。
 いつの間にそこにいたのか、大柄で色の浅黒い上品な外国人がそこに立っていた。
「~~~~~~~~」
「へ?」
 突然道明寺があたしの理解できない言葉を話し始め、あたしは驚いて道明寺を見上げた。
 これは・・・・フランス語だ。
 あたしは類に語学を習っている。英会話を何とか日常会話くらいならこなせるようになり、最近フランス語を少し始めたところ。まだまだ、会話なんて出来るレベルではなかった。
 しばらく2人がフランス語で会話しているのをボーっと見ていると、突然2人があたしの方を見たので、また緊張が走る。
「牧野、紹介する。彼はレイ。俺がずっと追いかけてた人物だ」
「あ・・・・・あたし、フランス語なんて」
 慌ててそう言いかけると、レイと呼ばれたその男が、あたしに向かって一礼し、にっこりと微笑んだ。
「ハジメマシテ、ツクシ」
「え・・・・・日本語?」
 あたしは驚いてレイを見た。
「レイはすごい親日家で、日本語もぺらぺらなんだよ」
「どうぞよろしく」
 本当に、日本人の話すのと変わらない、流暢な日本語。
「あ、あの、こちらこそ。あ、あたし、牧野つくしっていいます」
 あたしが慌てて頭を下げると、レイは穏やかに微笑みながら頷き、そしてとんでもないことを言い出した。
「今、司に君の事を聞いていたところだよ。君は、司の婚約者だそうだけど」
「・・・・・・・は!?」
 婚約者!?
 あたしが道明寺の!?
 あたしは驚いて道明寺の顔を見上げた。
 道明寺は相変わらずニヤニヤと笑っている。

 一体、どういうこと!?


 -rui-
 「・・・・・・・司が言ってた取引先のトップのことはわかったけど・・・・・」
 俺はPCの画面を見ながらため息をついた。
「申し訳ありません。どうやら身内関係にも極秘で動いているようで・・・・・国内にいることはわかっているのですが・・・・・」
 秘所の田村が、申し訳なさそうに言う。
 どうして司が牧野を連れて行ったのか。
 こんな風に無理やり連れて行かなくちゃいけない理由は、なんなんだ?

 「類、いるか」
 部屋のドアが開き、総二郎とあきらが入ってきた。
「・・・・・何かわかった?」
 俺の問いに、まずは総二郎が答える。
「静岡方面に向かったってことはわかってる。その先のことはわからないけど、県外に出たって情報は入ってないからたぶんその辺りにいるはずだ」
「ただ、静岡県内にあるメイプルを全部調べたけど、司と牧野らしい人物は泊まってない。今、他のホテルも調べさせてるところだけど・・・・あそこは小さなペンションとか旅館もあわせたらとんでもない数あるから、全部調べるのは容易じゃねえぜ」
 そう言ってあきらも顔を顰めた。
「もっと、絞らなきゃ・・・・・司が牧野を連れてった理由。俺たちに隠さなくちゃいけない理由。それを考えなくちゃ」
「ああ・・・・・」
「ったく!司のやろう・・・・・見つけたらただじゃおかねえ!!」
 総二郎が机を思い切り叩き、その音が部屋中に響いた。
「・・・・・・田村さん」
 俺は、部屋の隅に立っていた田村に声をかけた。
 田村は俺の意思を察したのか、一礼すると部屋を出て行った。

 「・・・・・・見つかるか」
 あきらの言葉に、俺はちらりと窓の外へ目を向け、ぎゅっと拳を握った。
「絶対に見つける」
 窓の外には、すっかり夜の闇に包まれたビル郡がところどころ明かりを灯していた。

 今頃、牧野はどうしているのか・・・・・・
 胸の中に、どうしようもない不安だけが広がっていった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 何とかここまで・・・・・。
 なんか考えていたものと違う方向へいきそうな気がする・・・・・・
 どうなることやら?

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X'mas Panic!!vol.8~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -akira-
 「しかしはえーなあ、もう12月だぜ。今年もあと1ヶ月だ」
 いつものように牧野と総二郎をリモに乗せ、俺の家へ向かう。
「ああ。牧野、あれ、間に合うのかよ?まだマフラーの方手ぇつけてねえだろ」
 総二郎が牧野に言うと、牧野はうっと困ったような顔をしてうつむいた。
「だ、大丈夫・・・・マフラーならあたしも作った事あるし・・・・・・後24日、あるもん!」
「ほんとかあ?最後はあきらに編んでもらったりすんじゃねえの?」
「や、やめてよ、そういうこと言うの!ちゃんと自分でやるってば!」
 牧野の慌てる様子がおかしくて思わず噴出すと、今度は頬をぷくっと膨らませて怒っている。
「もう、美作さん、笑わないでよ!」
「わりいわりい、俺は手伝ってやってもいいんだぜ?俺と牧野の共同作業のプレゼントなんてのもいいんじゃねえ?」
「ダメ!そんなこと類に言えないもん!」
 途端に青くなる牧野。
 本当にこいつといると退屈しない。
 俺と総二郎で大笑いしていると、突然車が急ブレーキで止まった。
「きゃっ」
 後ろに座っていた牧野が前のめりに倒れこんでくるのを、俺と総二郎が慌てて受け止める。
「―――っと、大丈夫か?」
 総二郎が牧野の顔を覗き込む。
「う、うん、ありがと」
「おい、なんだよ急に?」
 俺が運転手に言うと、
「あ、あの・・・・道明寺様が・・・・・」
 と、戸惑ったような声。
「は?道明寺?」
 不思議に思って窓を開けてみると、対抗車線上に道明寺のリモ。そしてその横に立っているのは、司だった。
「司?お前、何してんの?」
「よ、わりいな」
 にやりと笑う司。
「司?どうしたんだよ?」
 総二郎も司の姿を確認して言う。
 久しぶりに見る親友の姿。
 それは別にいつもと変わりなく見えたのだが・・・・・
「牧野、ちょっといいか?渡したいものがある」
「え、あたし?」
 言われた牧野はちょっと驚いて、それでも素直にドアを開けて車の外へ出る。
 一旦ドアが閉められ、俺たちは窓から牧野が司のほうへ歩いていくのを見ていた。
 司は牧野を連れ、車の後方へ行く。
 俺たちから2人の姿が見えなくなった、その瞬間。

「あっ」
 短い牧野の声と、ドスンという鈍い衝撃音。

 何事かと窓から外を見てみれば・・・・・
 そこには、崩れるように倒れこむ牧野が。
「おい!!」
 思わず叫んだ俺。
 総二郎も慌てて外を見る。
 司は牧野を肩に担ぐと、いつの間にか運転手によって開けられたドアからリモに乗り込んだ。
「司!?」
「牧野!!」
 運転手が素早くドアを閉め、運転席に乗り込み車を発進させる。
 
 あっという間の出来事だった。
 俺たちが呆然としている間に、司のリモは猛スピードでその場を後にしていったのだ・・・・・。
 「―――おい!!」
「あ、ああ、おい、今のリモ追いかけろ!!」
 俺は慌てて運転手に命令したが、
「無、無理です!ここではUターンできません!!」
 という言葉に、舌打ちする。
「くそっ、やられた!」
「―――類は?会社か?」
「ああ。おい、花沢物産へやってくれ、急いで!!」
「は、はい!!」
 車が発進する。
「類に連絡する」
 そう言って総二郎が携帯を取り出した。
「ああ。・・・・・くそ、司のやつ・・・・・何考えてんだ・・・・・」

 完全に油断していた。
 まさか司があんなことをするとは・・・・・
 牧野をどうするつもりなのか・・・・・


 俺たちは花沢物産につくと、類のいる部屋へと通された。
「どういうこと?牧野が拉致られたって」
 俺たちの顔を見るなり、類が険しい表情で言った。
「司だよ。俺の家へ向かう途中に現れて・・・・。追いかけようとしたんだけど、無理だった。なあ、司がどこにいるか調べらんねえか」
「・・・・・・・・」
「あいつがこっちに来た目的・・・その、道明寺の取引先の相手ってのは、どういうやつなんだ?」
 総二郎が聞くと、類は難しい顔で首を振った。
「良く知らない。この間俺が話したこと以外、司も話さなかったし。ただ、気難しいってことと、親日家で、日本によく来るってこと以外は・・・・・」
「その取り引きと、牧野が関係あるってのか?」
 と、俺が聞くと、総二郎は肩をすくめた。
「それはわかんねえけど。とにかく心当たりをしらみつぶしに調べていくしかねえだろ」
 その総二郎の言葉に、俺と類も頷く。
「類、お前その取引先がどこなのか調べてくれ。俺は道明寺の持ってる別荘とかを調べる。総二郎は・・・・」
「俺は、車出すよ。とにかく思いつくとこ全部、行ってみるしかねえ。何かわかったら携帯に知らせてくれ」
「ああ」
「O.K.じゃあな」
 俺たち3人はそこで別れると、司と牧野の行方を探す為、行動に移ったのだった・・・・・。


 -tsukushi-
 「ん・・・・・・・」
 あたしは、まどろみの中、ゆっくりと目を開いた。
 高い天井が見える。
 ここはどこだろう・・・・・・
 花沢の家でも、実家のぼろアパートでもない・・・・・・・
 ぼんやりと天井を見上げていると・・・・・
「気がついたか?」
 聞き覚えのある低く響く声に、思わずがばっと身を起こす。
「よお」
 そう言って、にやりと笑ったのは、なぜかパーティー用の黒いスーツを着込んだ道明寺だった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 この後司が黒に?な~んて・・・・それは後のお楽しみということで♪

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X'mas Panic!!vol.7~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
 「お、帰ったか」
 あたしと類が帰ると、リビングでコーヒーを飲む道明寺がいた。
「どうしたの?今日は」
 あたしが聞くと、道明寺はうーんと伸びをすると頭をぼりぼりとかきながら口を開いた。
「いや、ちょっと予定変更。今日は名古屋の予定だったんだけど・・・・先方が急用で香港に行っちまって。追っかけていこうかとも思ったんだけど、明日には戻るって言うし。それなら無理に動かずに明日出直そうってことになった」
「じゃあ、明日はまた早いの?」
「ああ。帰りはいつになるかわかんねえなあ」
「大変だね」
「ま、しょうがねえな。おめえら、もう飯食ったの?」
 道明寺があたしたちを見て言う。
「いや、これからだよ」
 と、類が答える。
「じゃ、一緒に食おうぜ。しかしここに来て、一緒に飯食うのも初めてだな」
「そうだね。道明寺、忙しいから・・・・ご飯、ちゃんと食べてるの?」
 つい心配になって聞くと、道明寺は嬉しそうにあたしを見て微笑んだ。
 その笑顔に、一瞬胸が高鳴る。
 昔の、道明寺と同じ笑顔だった・・・・・。
「食ってるよ。健康管理も仕事のうちだからな。その辺は周りが気ィ使ってくれてる。おれ自身は一旦仕事始めちまうと時間忘れちまうから」

 そのとき、部屋の扉が開き、家政婦の雪乃さんが顔を出した。
「失礼いたします。お食事の支度出来ましたけど・・・・こちらへ運びましょうか?」
「ああ、じゃあそうして」
 類がそう答えると、雪乃さんが「かしこまりました」と頭を下げて下がる。

 しばらくすると、3人分の食事が運ばれてきた。
 あたしと類が並んで座り、その向い側に道明寺が座る。
 道明寺がこの家に来てもう2週間も経つというのに、3人で食事をするのは今日が初めてだった。
「類の両親は、今どこら辺にいるんだ?」
 道明寺が食事をしながら類に聞く。
「たぶん、今頃はイタリアかな。先月はフランスにいるって言ってたけど・・・」
「相変わらず忙しそうだな。・・・・お前は、どうなんだ?」
「え?」
 類が少し首を傾げて道明寺を見る。
「大学卒業したら、花沢を継ぐんだろ?そうしたら、お前も海外に行かされることになるんじゃねえのか?」
 その言葉に、あたしの胸がどきんとなった。
「・・・・・かもね」
「何だよ、気のねえ言い方して。わかってるんだろうが。もちろん牧野も連れて行くんだろ?お前のことだから」
 そう道明寺が言うと、類は一度箸を止め、あたしのことを見た。
「・・・・うん。そうなったら、そうするつもりだよ。俺は、牧野と離れるつもりはないから」
 そう言って、優しく微笑む類。
 あたしはほっとして、類を見つめた。
「・・・・なんだよ、客の前で堂々と見つめ合ってんじゃねえよ」
 道明寺の呆れたような声に、あたしははっとして前を向いた。
「な、何言ってんのよ、お客さんはそんなにずうずうしくないっての」
 顔が熱くなるのを感じ、照れくさくて食事に集中する振りをする。
「ったく、ゆでだこみてえに赤くなりやがって・・・。そんな風に見せつけられるなら、ホテルにとまっときゃあ良かったぜ」
「・・・・・なんでそうしなかったの?」
 類が、道明寺をじっと見つめて言った。
「あん?」
「だからさ、ほとんど仕事でいないんだったら、ホテルに泊まっても同じだったでしょ?何でわざわざここに来たの?ホテルでも、あきらの家でも総二郎の家でもなく、俺と牧野がいるここへ来たのは、何で?」
「・・・・・・・・・・・・」
 類の言葉に、道明寺は食べるのを中断すると、じっと類のことを見つめた。
 2人の間に緊張感が走り・・・・あたしの胸が、またどきどきと鳴り始めた。
「・・・・別に、深い意味はねえよ。お前のとこは親もいねえし、いつ帰って来ても気ィ使う必要がないと思っただけだ」
 ふいと類から視線を外し、道明寺がそう言った。
 そしてまた、食事を再開する。
 そんな道明寺を類はしばらくじっと見ていたけど・・・・
 横であたしが類のことをじっと見ているのに気づくと、あたしに向かってちょっと笑って見せ、それから自分もまた食事を再開したのだった・・・・・。

 なんだったんだろう?今の・・・・。
 類は、道明寺がここに泊まるのを不思議に思ってたんだ・・・・・。 
 
 なんとなく微妙な雰囲気のまま、食事を終えた。

 「司、風呂は?」
 類が道明寺に聞く。
「ああ、お前らが帰ってくる前に入った」
「そう。じゃ、牧野・・・・」
「あ、あたしは後でいい。今お腹苦しくって」
 そう言ってお腹をさすって見せると、類はくすっと笑った頷いた。
「じゃ、俺先に入るよ」
「うん」
 類が行ってしまうと、なんとなく沈黙。

 ―――なんか、何話していいかわからない・・・。

 どうしようかと思っていると、道明寺が急にくっと笑い出した。
「な・・・・・」
「お前、何緊張してんの」
「!だ、だって・・・・・」
「・・・・うまくいってるみたいだな、類と」
 ふいに、優しい笑顔を見せる。
「あ・・・・・・うん、まあ」
「良かった。どうなってるのか心配してたんだぜ、これでも。類はああいう性格だし、お前も意地っ張りだしな。おまけにあきらと総二郎が割り込んでるんじゃ・・・・」
「え・・・・・道明寺、知ってたの?あの2人が・・・・・」
 あたしは驚いて道明寺を見た。
「お前に惚れてるってことか?ああ、知ってたよ。ずっと前からな。あの2人から聞いたのは、お前らがN.Y.に来たときだけどな」
「あ・・・・・・」
 そうか・・・・。あの時、あたしだけが先に桜子達と合流して・・・・・あの後4人で、何を話してたんだろうと思ってたけど・・・・そういうことだったんだ・・・・・。
「たぶん、気付いてなかったのはお前だけだろ。その鈍さは国宝級だよな」
 クックッとおかしそうに笑う道明寺に、ちょっと頭に来る。
「な、何よ・・・・っていうか、何であんたがそんなにこっちのことに詳しいの」
「いろいろ、情報が入ってくんだよ。俺はあえて聞かないようにしてんだけどよ。いつまでもお前に未練があるみたいでみっともねえし。でもお前のことだから・・・・やっぱり気になるしな」
 そう言って、今度はあたしの顔をじっと見つめてくるから・・・・・・
 また、あたしの心臓は落ち着かなくなる。
「あ、あの、いつまでこっちにいるの?」
 心臓を落ち着かせようと、あたしは話題を変えてみた。
「さあ。今やってることが落ち着いたら・・・・かな。クリスマス前までにはどうにかしようと思ってるんだけどな。どうなるか・・・・・」
「クリスマス・・・・・向こうに帰るの?」
「ああ。向こうでもやらなきゃいけないことがたくさんある。何とか年内に片付けたいと思ってるんだ」
「そっか・・・・・。なんか大変そうだけど・・・・体、壊さないように気をつけてね」
「心配してくれんのか?」
 そう言って、にやりと笑う道明寺。
 その笑みに、思わずドキッとする。
「べ、別に!あんたに何かあったら周りの人たちが大変だろうと思って・・・・・」
「ああ、そうだな。だから、俺が倒れるわけにはいかねえ。言っただろ?体調管理も仕事のうちだ。その辺はちゃんと気をつけてるよ」
「あ・・・・・・そう・・・・・・」
 なんだか、妙な感じだ。
 目の前にいるのは、間違いなくあの道明寺のはずなのに。
 ふとした瞬間に、まるで別人と話しているかのような錯覚を起こしてしまう。
 目の前の道明寺は確かに現実で、手を伸ばせば触れることだって出来るはず。
 なのに・・・・・
 まるで、TVの画面を見ているような・・・・・手を伸ばしても届かないような、そんな気がしてしまうほど・・・・あたしは、道明寺を遠くに感じていた。

 それはきっと、道明寺が成長したということなんだろうけど・・・・
 あたしの知ってる道明寺がどこかに行ってしまったような気がして、なんとなく寂しい気持ちになってしまっていた・・・・・。
「・・・・・どうした?」
 ふいに、道明寺があたしを見て言った。
「え・・・・・」
「なんかお前、泣きそうな顔してるぜ」
「!な、なんでもないよ・・・・あんたが意外にしっかりしたこと言うから、ちょっとびっくりしただけ」
 あたしは慌てて横を向いて言った。
「意外って何だよ。俺はいつだってしっかりしてる。・・・・・と、電話だ」
 携帯電話の着信音が聞こえ、道明寺が胸ポケットからそれを取り出した。
「わりい。じゃ、俺部屋に行くわ。たぶんそのまま寝ちまうと思うから、俺のことは気にしないでくれ」
「あ、うん、わかった・・・・・」
 あたしの答えを全部聞く前に、道明寺は携帯電話に出ながらリビングを出て行ってしまった・・・・・。

 「ほんと、忙しいんだ」
 そう言ってあたしは、息をついた。
「あれ、司は・・・・」
 タオルで頭を拭きながら、類が部屋に入ってきた。
「あ、なんか電話かかってきて、部屋に戻ったよ。そのまま寝ちゃうから、気にしないでいいって・・・・・」
「ふうん・・・・・」
「あたしもお風呂入っちゃうね」
 そう言ってあたしが立ち上がると、類があたしの腕を掴まえ、そのまま抱き寄せた。
「ちょ・・・・・、類?」
 ガウン越しに感じる、湯上りの火照った体にどきんとする。
「・・・・・・司に、ちょっとどきどきしてたでしょ?」
「な、何言って・・・・・」
「少し、顔が赤かった・・・・・。俺のいない間、何話してたの?」
「え・・・・こっちにいつまでいるのかとか、そんなこと・・・・」
「・・・・・何も、されてない?」
「あ、当たり前・・・!」
 驚いて顔を上げると、真剣な目をした類と目が合い、ドキッとする。
「・・・・・・類?」
「牧野のこと、疑ってるんじゃないよ。ただ・・・・・心配なだけ」
 そう言うと、類はあたしの頬に手を添え、優しいキスをした。
「・・・・・よそ見、しないでね」
 薄茶のビー玉のような瞳に、間近で見つめられる。
「しない・・・・よ。出来ない・・・・・・」
 その瞳に捕まってしまったら・・・・もう他なんて、目に入らない・・・・・。

 そしてあたしたちは、どちらからともなくまたキスをした。
 優しくて、甘い・・・・・
 そんなキスを何度も繰り返し、次第にあたしは、何にも考えられなくなっていった・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 つくしはこの後無事にお風呂に入れたか?
 それは・・・・・皆様のご想像にお任せします(^^)


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X'mas Panic!!vol.6~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -soujirou-
 「牧野、そこ違う」
「え、どこ?あ・・・・・」
「さっきと同じとこ。ほら、本のここ、よく見てみ」
「うん・・・・・・あ、わかった・・・・・こうだ」
「そうそれで・・・・・あー、ちがう、こっち」
 あきらの部屋で、あきらが牧野に編み物を教えている様子をじっと見ている俺。
 後ろからときどき手を添えながら、顔がくっつくんじゃないかというくらいの至近距離で仲良く編み物なんかしてる2人を見てると、なんだか自分が邪魔者のような気がしてくる・・・・・。

 ―――こいつら、毎日こんなことしてるのか・・・・。類が見たら青筋立てて怒りそうだぞ。

 「なあ、なんか食いもんねえの。腹減ったんだけど」
 と声をかけると、あきらがこちらを見もせずに
「勝手に食えよ。キッチンにいきゃあ何かあんだろ。冷蔵庫にお袋の作ったケーキもある」
 と答える。
 ケーキ、と聞いて牧野がピクリと反応する。
「あー、お前はここまで終わってから、ハーブティー入れてやっからもう少しやれ」
 牧野の心中を察したあきらが牧野が何か言う前に言うと、牧野が恥ずかしそうにちょっと頬を染め『別に』とか何とか、口の中でぶつぶつ言っている。
 そんな様子も、はたから見れば仲のいい恋人同士のようだった。
 なんだか馬鹿らしくならなくもなかったが、なんとなくいい雰囲気のこの2人を、このまま2人きりにするわけにはいかない様な気がした。

 30分ほどたったころ、あきらが時計を見て立ち上がった。
「じゃ、俺お茶入れてくるわ。ちょっと待っててくれ」
「うん、ありがと」
 牧野が笑って答える。手は休むことなく動いていた。
「・・・・・クリスマスまでに終わりそうなのか?」
 あきらが行ってしまってから聞くと、牧野は視線は編み物に向けたまま、頷いた。
「何とかね。美作さんがいなかったらきっと挫折してたな。男の人なのにこんなことが得意ってすごいよね。教え方もうまいし」
「・・・・・・あいつは、昔からこういうの好きだったから。にしてもお前ら、まるっきり恋人同士みたいだったぞ」
 と言ってやれば、牧野は顔を真っ赤にして照れ始めるから、余計に腹が立つ。
「な、何言ってんの」
「お前、赤くなりすぎ。類にちくるぞ、牧野が浮気してるって」
「げ、や、やめてよ!そんなんじゃないってば。た、たださ、あんなにきれいな顔間近に見ちゃうと、こっちが照れちゃうっていうか・・・・美作さんの顔まともに見れなくって困るのよ。その分こっちに集中できるから、いいんだけどさ」
 牧野の言葉に・・・・・こいつら、まじでやばいんじゃねえの?って気がしてくる。
 なんだかあきらに先越された感が沸きあがってきて、焦りにも似た感情が俺の中にくすぶり始める。
「司は、どうしてる?」
 話題を変えると、牧野は漸くちらりと俺のほうを見た。
「別に・・・・本当にほとんど帰ってこないから。昨日も、あたしたちが寝た後帰ってきたみたいだけど、朝起きた時にはもう出かけた後だったし。ほとんど顔合わせてないよ」
「ふーん・・・。いつまでいるつもりなんだ?」
「さあ・・・・・。その取り引きが、うまく行くまでじゃない?あたしには良くわからないけど。道明寺が必死に仕事してる姿って、なんだか違和感感じちゃって」
「なんだそりゃ。司が聞いたら怒るぞ」
「だってさ・・・・あたしが知ってる道明寺は馬鹿で乱暴で単純でわがままで・・・・・でも素直で真っ直ぐなところもあって。よく言えば純粋。悪く言えばいつまでも子供みたいな、そんな道明寺だもん」
 牧野の言葉に、思わず乾いた笑いが漏れる。
「はは・・・・・確かにな」
「新聞やTVで見る道明寺は、別人みたいで・・・・やっぱり別世界の人間だって思っちゃうんだよね」
 牧野は一瞬手を止め、遠くを見つめるような目をした。
 司と一緒にいたときのことを思い出してるんだろうか。
 少し切なさの滲んだその表情は、最近ではあまり見なくなった顔だった・・・・・。
「牧野・・・・・」
 俺の声に、牧野ははっとした表情になる。
「あ、ご、ごめん。なんか、やっぱり近くにいるといろいろ思い出しちゃって。なんだかすごく昔のことみたいな気もするし、つい昨日のことみたいな気もして・・・・・」
「・・・・・まだ、未練があったりするのか?」
「まさか」
 即答する牧野に、ほっとする。
「そうじゃないの。あれもあたしにとってはいい経験になったから・・・・辛いことが多かったけど、後悔はしてないよ。それに、あの頃があったから、あたしは今きっとこうしてみんなといられるんだと思うし。そういう意味で言ったら、魔女にも感謝してるかな」
 そう言って牧野は明るく笑った。
 その屈託のないいつもの笑顔に、俺の心も満たされていく。
 やっぱり好きだ・・・・・。
 そんな思いを、再確認する。

 ガチャリとドアが開き、ティーカップとケーキの乗ったトレーを持ってあきらが入ってきた。
「あ、ありがと、美作さん」
 そう言って牧野は編み途中の物をそこへ置くと、あきらの持ってるトレーからティーカップなどを取ってテーブルに並べた。
「ケーキ、おいしそう♪今日は何のケーキ?」
「紅茶のシフォンケーキだってさ。牧野がいつもおいしいって言ってくれるから、お袋も張り切って作ってるよ」
「毎日違うケーキ作ってんのか?」
「毎日ってこともないけど・・・牧野が来るときは、新しいケーキを作りたいんだとさ。いつも褒めてくれるから嬉しいんだって。うちは、俺が普段あんまり食べないし、妹たちは食べるけど、途中から遊ぶのに夢中になっちまうから」
「かわいいよね、妹さんたち」
 牧野が楽しそうに笑う。
「今日はいねえけど、家にいるときは一緒にティータイムにしてるんだよ。お袋も妹たちも牧野に会うの楽しみにしてるから」
「あたしも楽しいよ。編み物が終わったら、ママさんからケーキ作りを教えてもらう予定なの」
 牧野の言葉に、俺は口に持って行こうとしていたカップを持つ手をぴたりと止めた。
「ちょっと待てよ。じゃあ、この編み物が終わっても、まだここに来るつもり?」
「あのね、今みたいに週に4日とかじゃなくて、ママさんがいる日に合わせて週に1度くらい、来られればいいかなあと思ってるの。ね」
 最後のね。はあきらに向けて言った言葉。
 言われたあきらも微笑んで頷いたりしてる。
「・・・・・・なんか納得できねえ。それなら俺のとこにも来いよ」
 思わず言った言葉に、あきらは呆れ顔に、牧野も目をぱちくりさせている。
「行ってるじゃない、今も」
「それだけじゃなくて!あきらのとこに週2日通うなら、俺のとこも週2日。不公平だろうが、あきらばっかり」
「・・・・・ガキ」
「あきらうるさい」
「だって・・・・・・週に2日も行って、何するの」
 牧野の言葉に、俺はちょっと考え、すぐにあることを思いついてにやりと笑った。
「着付け」
「着付け?着物の?」
「当たり前だろ。それ以外何があるんだ。いいだろ?着物を着る機会だってこれからきっとあるし、着付けも出来た方が絶対これから役に立つぜ」
「そ、そうだけど・・・・それを週に1回?」
「そ。着物のこと、いろはから教えてやるよ。どう?」
「う、うん。やって見たい気もするけど・・・」
「ちょっと待てよ。それ、総二郎が教えんのか?」
 あきらが顔を顰めて言った。
「当たり前だろ」
「そっちの方が不公平じゃねえか。俺の場合は、1日はお袋のところへ来るんだぜ」
「あ、じゃあ、西門さんのお母様に習うとか」
 牧野の言葉に、俺は牧野の顔を見る。
「あ、だめか。お忙しいもんね。あたし1人のために、そんな時間、作れないよね」
「・・・・・聞いてみるよ、お袋に」
「え・・・・・」
「結構気に入ってるんだ、牧野のこと。あの道明寺楓を認めさせたなんて、大したもんだって思ってるみてえだぜ」
「ええ!?ほんとに?なんかそれ聞いちゃうと行きづらいかも・・・・」
「バーカ、気にすんな。とにかく、お袋に聞いてみるよ。いいな?」
「う、うん・・・・・」
 頷きながら、またケーキをぱくつき始めた牧野を見て、思わず口元が緩む。
 視線を感じてあきらの方を見ると、横目で探るような視線を俺に向けていた。
 俺はあきらに向かって、にやりと笑って見せた。
 まだまだ、諦めたわけじゃない。
 類との結婚が決まってるのにあきらと張り合っても仕方ないのかもしれないが、それでも・・・・俺の中での牧野の位置は変わらない。
 少しでも近くにいたい。
 牧野の中に、俺という存在を確立させたい。なくてはならないものに・・・・・
 人のものだと思えば辛くないといえば嘘になる。
 だけど、それ以上に牧野の傍にいると、俺は幸せな気分になるから。
 きっと、あきらも同じことを思ってるはず。
 だからこそ、譲るわけにはいかない。

 俺はこっそり親指を立てて見せた。
 それを見たあきらもふっと笑い、自分も親指を立てる。

 お前には、負けない。

 無言の、宣戦布告。
 もちろん牧野は気付かないんだろうけどな・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 昨日、「Bitter&Sweet」のUPの報告をしたら、とてもたくさんのお問い合わせをいただいてしまいました。
 メールのお返事、ちょっと遅れるかもしれませんが、ご容赦くださいね。
 なるべく早くお返事できるようにがんばりますので(^^;)

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言葉に出来ない vol.5 ~花より男子・総つく~

Category : 言葉に出来ない(完結)~花より男子・総つく~
 「西門さん、もっと急いで!!」
「わあってるよ!!それよりお前、また名前戻ってる!」
「は!?聞こえない!!とにかく急いで!!」
 空港に車を止め、急いで走り出す。


 結局あのまま牧野の家に泊まった俺。
 翌朝、牧野の携帯の音で目を覚ました。
 牧野はまだ寝ていて、俺はボーっとしながらも無意識に着信音を鳴らし続けている携帯を手に取った。
 液晶を確認すると『花沢類』の表示・・・・・。

 どうしようかと一瞬悩み、これはやっぱりルール違反だと牧野を起こすことにした。
「おい、メール来てるぞ」
「ん・・・・・んー・・・・・」
 牧野が目をこすりながらも体を起こし、携帯を受け取る。
「・・・・・類ー・・・・?」
 起きたばかりの甘ったるい声で呼ばれた名前に、またもやもやしかけるが、昨晩のことを思い出し、気を取り直す。
「・・・・・類、なんだって?」
 そう聞いても、牧野は黙ったまま。
「おい?」
「・・・・・今何時?」
「は?」
「何時!?」
 ものすごい剣幕の牧野に押され、俺は時計をちらりと見た。
「9時・・・・だけど・・・・・」
「・・・・10時半までに、空港行ける・・・・・?」
「く、空港・・・・?」
「後1時間半・・・・・急いで!!」
「は!!?」
 何がなんだかわからず・・・・
 俺は家に電話して車を回してもらい、そのまま牧野に引っ張られるように車に乗り込み、成田空港へ向かった。

 「類が?」
 車の中で俺は、牧野に送られてきたメールを見せてもらった。

 『10時半の飛行機でフランスへ発つ。元気で』

 類らしいといえば類らしい、簡潔なメール。
「さよならも言わないで行っちゃうなんて・・・・・」
 きゅっとこぶしを握り締めた牧野。
 人一倍別れに敏感な牧野。
 相手があの類ならなおさら・・・・・・。
 俺は黙って牧野の肩を抱き寄せると、その黒髪にキスを落とした。
「・・・・間に合うよ、大丈夫」


 空港の中を全速力で走る。
 時間を確認してる間もない。
 もう行っちまったか?
 類!!
 間に合ってくれ!!

 搭乗ゲートに向かうエスカレーターの前。
 見覚えのある薄茶のサラ髪が見えた。

 「類!!!」
 牧野の大声に、類の肩がびくりと反応する。
「類!!」
「牧野!?」
 驚きながらも戻ってきた類の元へ牧野が駆け寄る。
「・・・・・総二郎も、何で?」
「何でじゃないでしょ!どうして黙って行っちゃうのよ!空港まで見送りに行くからって、昨日も言ったのに!」
 息を切らしながらも牧野が類を睨みつけながら怒鳴る。
「いや、予定が早まって急に帰らなくちゃいけなくなったから・・・きっと今頃は2人で一緒にいるだろうし、邪魔しちゃ悪いかなって思ったんだけど・・・・・それに一応メールもしたし」
「あんなメールだけで・・・・・ひどいよ。ちゃんと見送りさせてよ」
 さっきまで怒っていたのに、今度は涙ぐんでいる。
 本当に忙しいやつだ。
「ごめん・・・。でも、ちゃんと仲直りできたんだね」
 類がいつものとおり穏やかに笑うと、漸く牧野も笑顔になった。
「うん。ごめんね、昨日は・・・・・。今日、ちゃんと謝りに行こうと思ってたのに」
「いいよ。言ってるでしょ、牧野のごめんは聞きあきたって。俺は牧野がそうやって笑ってくれるならそれでいいんだ」
「でも・・・・ひさしぶりに帰ってきてくれたのに、少ししか一緒にいられなくて」
「また来るよ。いつになるかわからないけど・・・・・。そのときまた、一緒にご飯食べよう」
「うん」
「あのさ・・・・・」
 放っておくと2人の世界にどっぷりはまっていきそうなので、俺はそこで割って入った。
「俺がいること忘れてねえ?」
「総二郎・・・・・」
「わ、忘れてないよ!何言ってんの」
「どうだかなー。この俺足代わりにしやがって」
「だ、だって!」
「必死だったんだぜ、絶対類を見送るんだって。全く彼氏の俺の立場どうしてくれんだっつーの」
 横目で睨んでやると、牧野が気まずそうにあさっての方向を見る。
「・・・・・彼氏の立場でいられるだけいいんじゃない?」
 静かに言った類の言葉に、牧野がはっとして類を見上げる。
「おい・・・・」
「総二郎、昨日俺が言ったこと忘れないでね。俺は牧野のためなら、どこからでも飛んでくるよ」
「類・・・・・」
「わかってる。だけど俺もおんなじヘマやるほど馬鹿じゃねえよ。もう牧野を悲しませるようなことはしない」
 そう言って俺は、牧野の肩を抱き寄せた。
 牧野がちょっと照れくさそうに俺を見上げる。
「それならいい。牧野・・・」
「あ、うん」
「俺はいつでも牧野の幸せを願ってるから。もし何かあったら遠慮せずに連絡して。それから・・・・」
 そこで類は少し声を潜めると、牧野を手招きした。
「?何?」
 牧野が類の傍へ寄る。
 と・・・・・

 類が身を屈め、牧野の唇に触れるだけのキスをした。

「!?」
「!!な、何してんだよ!!」
 俺は慌てて牧野の腕を引っ張り、抱き寄せた。
 牧野は呆然として、目を見開いている。
「お別れの挨拶。このくらいいいだろ?」
「よかない!お前はもう牧野に近よんな!」
「に、西門さん!」
「ひどいな、それ」
「うるせー!牧野にさわんな!」
 俺が怒鳴ると、類は逆に落ち着き払った様子でくすりと笑った。
「・・・・牧野、良かったね」
「え・・・?」
「総二郎には、もう牧野しか見えてない。浮気の心配はないと思うよ。その代わり独占欲はかなり強いみたいだから、気をつけて」
「類・・・・・」
「おまえな・・・・」
「これからずっと、牧野を1人占めできるんだから少しくらいいいでしょ。じゃ、時間ないからもう行くよ」
 そう言って類は手を振り、エスカレーターに向かって歩き出した。

「類!」
 牧野が、類を呼ぶ。
 類が牧野を振り返る。
「・・・・ありがと。あたし、類が大好きだよ」
 牧野の言葉に、類がやわらかく微笑む。
 類が他の誰にも見せたことのない、優しい笑みだ。
「俺も。またね、牧野。元気で」
「類も、元気で!」
 軽く手を上げ、エスカレーターに乗る類。

 その姿が見えなくなるまでじっと見送っていた牧野。
 俺はただ、その姿を見守っていた・・・・・。


 「ね、あのカフェ、今度は2人で行こうよ」
 隣で牧野が満面の笑みで言うが、俺は答えない。
「ねえってば、西門さん!いつまで怒ってるのよ!てか、何怒ってるの?」
 今度はぷくっと頬を膨らませる。
「・・・・・わからないところが問題なんだろ」
「そんなこと言ったって、わからないものはわからないもの」
「・・・・普通、自分の男がいる目の前で、他の男に『大好き』なんて言うかよ?」
 思い出しても腹が立つ。
 彼氏の俺でさえ、昨日漸く『好き』と言ってもらえたばかりだってのに、『大好き』だと!?
「なんだ、そんなこと・・・・・」
 牧野の呆れた言い方に、また腹が立つ。
「そんなことって、お前なー!」
「だって・・・・・」
「それにあのキスだ」
「あれは類が勝手に・・・」
「お前にそういう隙があるからされるんだよ!ちょっとは警戒しろ!」
「・・・・・・ごめん・・・」
「類に対してのお前の気持ちはわかってるつもりだけどな、それでも腹立つんだよ!きっと俺はずっと類に嫉妬するよ」
「西門さん・・・・・」
「あとそれ」
「へ?」
「名前で呼べっつったろ?」
「だ、だって、慣れないし・・・・それに西門さんだって!」
「俺はいいの」
「ずるい!」
 むっと顔を顰める牧野。
「・・・・・つくし」
 だからそう呼んでやれば、今度は真っ赤になって照れる。
 そんな顔見せられたら、もう怒れやしない・・・・。
「・・・・・つくし。ちゃんと名前で呼んでみて」
 真剣に見つめて言えば、少し戸惑ったように赤くなりながらも、呟くように
「・・・・・総」
 と呼んでくれた。
「いい子だ。でも、それだけで許してもらえると思うなよ?」
 にやりと笑って言えば、眉間に皺を寄せて渋い顔。
「も~~~じゃあどうすればいいの?」
「・・・・・つくしちゃんからのキスが欲しいなあ」
「は・・・・・!?」
「キス、してくれたら許してやる」
「で、できるわけ・・・!」
「類とは出来るのに?」
「だからあれは・・・!」
「つくしが好きなのは誰?」
「!!」
「俺を、信じさせてくれよ」
 あと10cm
 息遣いも感じられるほど間近で見つめてみれば、牧野はもう沸騰寸前で。
 あんまり苛めても逆効果かな・・・・
 そう思って離れようとしたら。
 ふいに、牧野が俺の頬に両手で挟みこんだと思うと、牧野の唇が一瞬俺の唇に重なり、そしてすぐに離れた。
 本当に一瞬の出来事。
 それでも牧野の顔は真っ赤で。
 相当の勇気を振り絞ったんだということがわかったら、嬉しくてたまらなくて・・・・・
 気がついたら、牧野を抱きしめていた。
「・・・・・に、西・・・総、みんなが見てる・・・・・」
「見せ付けときゃいい」
「・・・・・信じてくれた・・・・?」
「ああ。すげぇ嬉しい。まじで・・・・好きだよ、つくし」
「・・・・・うん・・・・・」
「好き過ぎて、言葉に出来ないくらい・・・・・愛してる・・・・・」
「・・・・・あたしも・・・・・」

 人生生きてきた中で、一番素直になれた瞬間だと思う。
 誰にも渡したくないって、初めて思ったんだ。
 好きで好きで仕方ない。
 言葉に出来ない想い。
 だから、想いのままに抱きしめて、キスをしよう。
 そうしてずっと、君だけを愛し続けるから・・・・・


                                 fin
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 あ~なんか終わり方が・・・。
 結構難しかったです、総つく・・・。
 でもまたチャレンジしたいな~と思うCPです。

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X'mas Panic!!vol.5~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
 「ワカメ?」
 道明寺の言葉に、あたしは思わず聞き返す。
「おお、今俺んちがそれなんだとよ」
 道明寺が頷くが・・・・・
 何のことだか分からず、あたしが首を捻っていると類が口を開いた。
「・・・・もしかして、改装してるってこと?」
「お、それそれ!なんだか壁が剥がれたとか何とか言ってたけどな」
 改装・・・・・海藻、ね。
 はは、相変わらずだわ・・・。
「壁が剥がれたって・・・道明寺の家に限ってそんなことないでしょ?」
「いや、表面はきれいにしてるけどよ、あの家も結構古いからな。見えないところで結構ガタがきてるところがあるって聞いたぜ。だから今年中にいっそのこと全部きれいにしちまおうってことらしい」
「全部って・・・・どのくらいかかるの?」
「さあ、1ヶ月くらいじゃねえ?」
「1ヶ月で終わるの?あんな大邸宅・・・」
「しらねえよ。どうせ俺はほとんど帰らねえし」
「そりゃそうだろうけど・・・」
「・・・で、今日はどうしてここへ?いつ帰ってきたの?」
 類が、また難しい顔で聞く。
 なんだかさっきからあんまりご機嫌が良くないみたい・・・
「帰ってきたのは昼ごろだな。いろいろ回んなきゃいけないとこがあってすっかり遅くなっちまった。本当は電話しておこうかと思ったんだけどよ、時間がなかった」
「・・・・・・で?」
「実は頼みがあってここに来た」
「頼み・・・・・?」
 道明寺の言葉に、あたしたちは顔を見合わせた。
「俺を、しばらくここに置いてくれねえか?」
 そう言って、道明寺はにやりと笑ったのだった・・・・・。


 「はあ!?司が類の家に住む!?」
 翌日。
 大学に行ったあたしと類は、キャンパスで会った美作さんと西門さんに昨日のことを話した。
「住むっていうか、部屋を貸して欲しいって・・・」
 あたしが答えると、美作さんと西門さんは顔を見合わせた。
「取引先のトップが、今日本に来てるんだって。どうしてもその仕事は成功させたいらしいんだけど、相手が曲者で、なかなかうんと言わないらしい。で、年末まで日本にいるって話を聞いて追いかけてきたらしいんだけど、向こうも忙しいからなかなかスケジュールが合わないらしい」
 と類が説明する。
「で、相手と会える機会を待ってるってわけ?」
 美作さんが眉間に皺を寄せて言う。
「とにかく、何度も話をしないとだめな相手らしい。でも司も忙しいから、それだけに時間を割くわけにもいかなくって、仕事の合間合間に少しでも時間を多くとって会いに行ってるらしい。大変だよ。N.Y.の仕事もあるし、明日はまた向こうに行かなきゃいけないけど、その前にもしかしたら時間が取れるかもって、今日は京都に行ってる」
「は・・・・・すげぇな。んじゃ、ほとんど出っぱなしか」
 西門さんが感心したように言う。
「うん。だから、うちに住むって言ってもほんとにたまに寝に帰ってくるだけってことになりそうだよ」
 類の言葉に、あたしたちはしばし言葉が出てこなかった。
 みんなだってもちろんそれぞれ家のことやってるし、たまに海外に行ったりすることもあって忙しそうだなって思うことはあるけど・・・。
 道明寺は、もうそんなレベルじゃないんだ。
 まだあの魔女が実権を握っているとはいえ、表立って行動するのは道明寺だ。
 なんだかそう考えると、ますます世界が違うって気がしてくる・・・・・。
「しかし司が帰ってきたってことは・・・・・」
 と美作さんが言うと、西門さんも頷いた。
「・・・・なんか、波乱がありそうな気がするな・・・・・」
「な、何よ2人とも、変なこと言わないでよ」
「大体、牧野と司が揃うと昔からろくなことがねえんだよな」
「西門さん!あたしは関係ないじゃん!」
「よく言うよ。お前は嵐を呼ぶ女だろうが」
「美作さんまで!けどほとんど帰ってこないんだから、別に心配いらないんじゃない?」
 あたしがそう言うと、3人はそれぞれ相手にちらりと視線を送り・・・・・
「・・・・だと良いけどね・・・・・・」
 類が相変わらず難しい顔で呟く。
「もう、類まで!」
 あたしは頬を膨らませ、類を睨んだ。
 でもその3人の予感が、見事的中してしまうことになるなんて・・・・・


 -rui-
 「で?実際のところどうなんだよ?」
 牧野と総二郎が講義に出るためいなくなると、あきらがそう聞いてきた。
「どうって?」
「司のことだよ。本当にその仕事だけが目的か?」
「・・・・・どういう意味?」
 俺が聞くと、あきらはため息をついた。
「わかってるだろ?牧野のことだよ。大体、ただ寝る場所が必要なだけならホテルに泊まればいい話だ。そのほうが仕事だってしやすいはずだ。なのにわざわざお前と牧野が住んでいる花沢の家へ来るなんて、どう考えたっておかしい。なんかあるなって思うほうが自然だろうが」
 あきらに言われて、俺はしばらく黙り込んだ。
 もちろん、そんなことはわかってる。
 昨日、司のリモが家の前に止まっているのを見たときから、嫌な予感はしてたんだ。
 司はわかりやすい。
 考えていることがすぐに顔に出る。
 それは牧野にも似たところがあるのだが・・・・・さすがに世界中飛び回って道明寺財閥の顔となった今、昔のように全て顔に出る、ということもなくなったのだろう。
 昨日会った司から、何を考えているのかを読み取ることはできなかった。
 ただ、あきらの言うとおり本当に寝場所を借りに来ただけ、とはとても思えなかった。
 牧野がそこにいる、ということが大きな要因になっていることは明らかに思えたのだった・・・・・。
「類、気をつけろよ」
 あきらが心配そうに俺を見る。
「気をつけろって、何を?」
「牧野だよ。あいつはああ見えて情に流されやすいからな。昔、あれだけ好きだった相手だ。それに喧嘩別れしたわけでもない。ちゃんと掴まえてないと、気付いたらモトサヤだった、なんてことになりかねないぜ」
「・・・・・・言われなくても、掴まえておくよ。言っただろ?牧野だけは絶対、誰にも渡さないよ。司にも総二郎にも・・・もちろんあきらにも」
「・・・なんだよ、話をこっちに振るな」
「週に4日も牧野を持ってかれて、俺が何にも感じてないと思う?牧野があきらのことを信頼してるから、何も言わないけど・・・・もし牧野に何かしたら、あきらでも許さない」
「・・・・・よーく肝に銘じとくよ」
 よっぽど俺がすごい顔をしていたのか、あきらは一瞬ぞっとしたような青い顔をして、視線を逸らすとそう言って肩をすくめたのだった・・・・・。


 -soujirou-
 「じゃ、あたしこっちだから」
 牧野がそう言って、俺とは逆の方へ行こうと手を振ろうとするのを、その手を掴まえた。
 急に俺に手を掴まれた牧野は、きょとんとして首を傾げる。
「西門さん?どうかした?」
「お前・・・・・平気か?」
「え・・・・何が?」
「司のことだよ。同じ家に住むなんて」
 俺が言うと、牧野は一瞬目を瞬かせた。
「寝に帰ってくるだけとはいえ、一つ屋根の下で暮らすんだぞ?」
「・・・・・うん」
「類も類だけど、お前もお前だ。昔の男と、今の婚約者と同じ家に住むなんて、ありえねえ」
「・・・・・あたしも、そう思ったよ。類も始めは、嫌そうな顔してたし。でも道明寺に頼み込まれて・・・。2人の・・・・あたしと類の邪魔はしないって」
「その言葉、信用したのか?」
「だって・・・・・友達でしょ?」
 上目遣いで拗ねたように言う牧野。
 俺は溜息をついた。
「お前にとっては、モトカレだろ?・・・・・司に、また口説かれるかもしれないぜ?」
「まさか」
 即答する牧野に、再び溜息が漏れる。
「西門さん、心配しすぎだよ。それに口説かれたって、あたしには類がいるんだから。じゃ、遅れちゃうからもう行くね!」
 そう言ってばたばたと走っていく牧野の後姿を、俺は見えなくなるまで見つめていた・・・・・。

 司が、ホテルではなくわざわざ花沢の家を拠点にしたのには訳があるはずだ。
 仕事上のことだけで言えば、ホテルにいたほうがずっと動きやすいはずだ。
 だとしたら、その理由は牧野のこと以外には考えられない。
「何考えてんだ、あいつ・・・・・」
 牧野と別れ、N.Y.で類とのことも認め・・・・・それでもあいつがまだ牧野のことを想っているのはわかっていたけれど。
 2人が婚約した今になって、どうしてまた牧野の元へやってきたのか。
 まさか、よりを戻そうと思っているのか・・・・・?
 考えたくはなかったが、どうしてもその考えを打ち消すことは出来なかった。
 そして何もあるはずがないと安心しきっている牧野のことも、心配せずにはいられなかった。
 ―――大体あいつは、隙がありすぎなんだよ・・・・・
 さっきまでの牧野の表情を思い出し、俺はまた溜息をついた。
 
 自分の友達を、大切な人間を、全面的に信頼する。
 それはあいつのいいところであり、悪いところでもある。
 司のことを、友達として信用している牧野を責めることはできない。
 だけど、司だって男だということ。
 それも昔あれほど好き合っていた、そして今でも自分を想っているであろう男だということ。
 そこのところを全くわかっていない牧野に、溜息が出てしまうのだ。
「全く・・・・俺たちF4を手玉にとるなんて、後にも先にも牧野つくしだけだぜ・・・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 すいません、1日あいてしまいました。
 「言葉に出来ない」のR版を「Bitter&Sweet」の方へアップしました。
 こちらのブログについては「Bitter&Sweet」のカテゴリーをご覧ください。
 あんまり動きのないお話になってしまいました。
 次回はもっと動く予定です。
 司を動かすのはやっぱり難しい・・・・・

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X'mas Panic!!vol.4~花より男子・類つく&F3~

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 -tsukushi-
「さてと。それじゃあ話を聞こうか、つくしちゃん」
 お茶のお稽古が終わるなり、西門さんが満面の笑みを浮かべてそう言い出したから、あたしはとっさに対処することが出来なくて固まってしまう。
「は、話って、な、何の?」
「決まってんじゃん。家庭教師のことだよ、あきらの妹たちの。お前とあきらで何企んでる?」
「べ、別に、何も企んでなんか」
「・・・・・それでごまかしてるつもり?」
 思いっきり半目で睨まれて、何も言えなくなってしまうあたし。
 これだから、美作さんにも言われちゃうんだよね。

 ―――いいか、絶対ごまかせよ。総二郎の口車に乗せられんな。

 そう言われてきたのに。
 ごめん、美作さん。あたし自信ないよー
「類だって気付いてるだろ。何も聞かれないのか?」
「・・・・・うん」
「ま、基本あいつはあんまり小さいことは気にしないタイプだけどな。お前とあきらの間に何もなきゃ目を瞑るってとこか」
 ずばり言い当てられて思わずひきつった笑いが浮かぶ。
「・・・・・・・・・・」
 西門さんがじーっとあたしの顔を見つめる。 
 きれいなお顔がぐっと近づいてきて、冷たい汗が背中を伝う。
 西門さんが、着替えもせずにこの茶室で話し始めた理由がわかった気がした。
 この茶室の中では、西門さんはあたしの師匠だ。
 師匠に質問されれば、弟子はそれに答えなくちゃいけない。
 そんな気がしてきてしまって、うまく誤魔化せる自信がなくなってきてしまうのだ。
「・・・・・俺を騙しきれると思ってるか?」
「だ、騙すって」
「なんなら、お前の体に聞いてやってもいいけど?」
「・・・体って・・・・・」
 何のことだろうと不思議に思って西門さんの顔を見てみれば、満面の笑みであたしを見つめている。
 しばしそのきれいなお顔と見つめ合い・・・・・・・
 
 突然その意味を理解し、正座の姿勢のままざざっと後ずさった。
「ななな、何言ってんのよ!」
「言っとくけど、今日はお袋もいねえしお手伝いもここには呼ばなきゃこねえ。騒いだって無駄だぜ」
 平然とそんな恐ろしいことを言う西門さん。
「どうする?」
「・・・・・・・・・・・・・・わかったわよ」
「よしよし。それじゃあ場所を変えるか」
 そう言って西門さんは満足気に笑ったのだった・・・・・。


 -soujirou-
 「クリスマスプレゼントに手編みのマフラー?」
「何よ、その呆れた顔。今時ダサイとか言いたいの」
「いや。お前らしいっつーかなんつーか。で、それをあきらに教わってると」
「うん。美作さんて、教え方上手いから助かってるんだよ」
「・・・・・・あ、そ」
 なんとなく気にいらない。
 あきらがそういうことが得意だってことは知ってる。
 だから牧野がそれをあきらに相談したとしてもなんの不思議もないことだ。
 それはわかっていても、牧野が俺ではなくあきらを頼ったという事実が気にいらなかった。
 そして2人してそれを俺に隠していたということが。
「それで、それが出来上がるまであきらのうちに通いつめるってわけ」
「う、うん」
 何より一番気にいらないのはそこだ。
 俺は週に一度しか牧野と一緒にいることが出来ないっていうのに、あきらは週に4日間も牧野を独占することが出来るなんて。
 それって不公平じゃねえ?
 俺がずっと黙ったままでいると、牧野がおずおずと顔を上げ、俺を見た。
「あの~ごめんね、西門さん。黙ってて」
「あきらだろ?」
「え?」
「俺に黙ってろって言ったの」
「う、うん。そうだけど」
 そりゃそうだろうな。俺があきらでもそうするし。
 せっかくの2人きりの時間。他のやつに邪魔されたくはないだろう。
 だが、知ってしまった以上、俺もただ指を咥えて見てるだけってわけにはいかなかった。
「・・・・・俺も協力してやろうか」
「え!?」
 俺の言葉に、牧野がびっくりして声を上げる。
「協力って・・・・・」
「クリスマスに間に合うように、俺んちでもそれ、やっていいって言ってんの」
「―――ほ、ほんとに?」
 うれしそうに頬を染め、身を乗り出す牧野。
 ―――ほんと正直なやつ。
「ああ。その代わり、条件がある」
 と言うと、一転、警戒する顔になる。
「な・・・・・何?」
「お前な、そんなあからさまに嫌そうな顔すんな。傷つくだろうが」
「だって・・・・・西門さんの出す条件なんて怖くって」
「ったく・・・・・安心しろ。そんな難しいことじゃねえよ」
「じゃ・・・・・」
「あきらの家に、俺もいく」
「・・・・・は?」
 文字通り、目が点になる牧野。
 百面相。本当にこいつはおもしろい。
「だ・か・ら。あきらの家に俺も行くって言ってんの。邪魔するつもりはねえから安心して編み物でも何でもやってろ。俺は適当に時間潰してっから」
「??意味わかんないんだけど・・・・そんなことしてどうすんの?何でそれが条件?」
 ・・・・・全くこいつの鈍感さは国宝級だな。
 何気にもてるくせに、男の心理ってものを全くわかっていない。
 そういうところもこいつの魅力の1つなんだろうけど・・・・
「・・・・深く考えるな。とにかく、それが条件ならどってことねえだろ?」
「う・・・うん、まあ・・・・・」
「じゃ、決まり。あきらには俺から言っとくから」
 牧野はまだ不思議そうな顔をしながらも、俺の言葉に頷いたのだった・・・・・。


 -tsukushi-
 なんだか妙なことになっちゃったな・・・・。
 邪魔されないで済むなら、あたしは西門さんが一緒でも全然構わないんだけど・・・・でも、美作さんはどう思うかな?なんだか、西門さんには絶対知られたくないみたいだったし・・・・
 どうしよう。明日、怒られるかな・・・・・

 迎えに来てくれた類と、今日は歩いて帰った。
 一緒に暮らしていても、こうして2人手をつないで歩いたり、ふとした瞬間に見つめあったりするのはすごくどきどきする。
 類を見るたび、類の声を聞くたび、類に触れるたび・・・・・
 ああ、あたしは本当に類が好きなんだなあと実感してしまうから・・・・・

 「牧野?今日何かあった?」
 歩いているとき、類が急にそう言い出した。
「え・・・・・なんで?」
「なんとなく・・・・いつもと違う気がした」
 じっとあたしの目を見つめながら言われると、つい全て本当のことを言いたくなってしまう。
 薄茶色のビー玉のような瞳が、何もかも見透かしているようで・・・・
「ううん、何にも」
「そう?ならいいけど」
 にこりと微笑む類。
 優しい、あたしの大好きな笑顔だ。

 いつもいつもおしゃべりしているわけじゃなくて、時にはただ黙って手をつないで歩くときもある。
 ふわりと包み込むように繋がれる手が、類のぬくもりを感じさせてくれるから、このひと時がとても幸せに感じられる・・・・。


 「あれ?あのリモ・・・・・」
 もうすぐ家に着くというところで、家の前にリムジンが止まっているのが目に入る。
「??誰か来てるのかな?」
「・・・・・まさか」
 類が珍しく難しい表情になる。
「何?わかるの?」
「・・・牧野、わからない?」
「え・・・・・」
 言われて、あたしはもう一度そのリムジンに視線を戻した。
 暗がりの中、その黒いリムジンは怪しい光を放っていた。
 よく見ると、運転席には男性が座っているのがわかる。その人物が、ちらりと家のほうへと視線を向けた、その瞬間・・・・・
「あ!」
「わかった?」
 見覚えのある運転手だった。
 でも、まさか・・・・・

 あたしと類は顔を見合わせ、急いで家の中へと入っていった。
 そして玄関の戸を開けると、そこに立っていたのは・・・・・

 「おう!漸く帰ったか!!」
 そう言ってにやりと笑ったのは・・・・・・
「ど、道明寺!?」
 そう、それは今N.Y.にいるはずの、道明寺だった・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 やっぱり、&F3と言うからには彼にも登場してもらわないとね。
 でも実は、司を描くのは苦手です(^^;)
 馬鹿っぽくなりすぎちゃいけないし、かといってあんまり大人にしすぎちゃうのもイメージ違いますもんね。
 何とかがんばりますね♪

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「にゃんこのうしろがわ」

言葉に出来ない vol.4 ~花より男子・総つく~

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 「―――あ、ケーキ・・・ありがと」
 突然、牧野が思い出したように言った。
「ああ、別に・・・。俺が悪いんだし」
「えっと、コーヒー、入れるね」
 そう言って立ち上がる牧野。
 ほんのり染まった頬が、俺を意識してくれてるんだと思わせてくれてなんだか嬉しかった。
 そんなことで嬉しくなるなんて、俺もまだまだだな。
 なんて思いながら、何気なく牧野の行動を見ていたが。

 台所で、お湯を沸かし始める牧野。
 洗ってあったコーヒーカップを2つ、並べる。
 そこまではいい。だけど。
「・・・なあ、何で3つ?」
「え?何が?」
「コーヒーカップ。洗ったのが3つあんじゃん。今、弟と2人暮らしだろ?」
 漸く落ち着いてた俺の心が、またざわつく。
「あ・・・・これ、今朝類が来たときの・・・・」
「類が・・・・来たのか?ここに?」
「うん。ランチを、レストランで予約したって言うんだけど時間がまだ早かったから、一旦うちに来てもらったの。1時間くらい時間潰して・・・・」
「ちょっと待て。何でお前はそういうこと平気でするんだよ」
 俺は立ち上がると、牧野の傍まで行った。
「そういうこと?」
 牧野はきょとんとして首を傾げている。
「何で男を平気で家に上げたりするんだって言ってんの」
「え・・・・・だって、類は・・・・・・」
「特別ってやつ?じゃ、類だったらここでお前を襲っても許せるのか?」
「な、何言ってんのよ、違うわよ。類はそんなことしないし・・・・・」
「何でわかる?あいつだって男だぜ?それも、ずっとお前のことを好きだって言ってる・・・・そんなやつを、どうして家に上げるんだよ?」
 どうしようもなく類に嫉妬していた。
 牧野の『特別』
 それは仕方がないことだって頭ではわかってるつもりだけど、モヤモヤする気持ちはどうにも出来ない。
「そんなに怒らないでよ!類は絶対そんなことしないよ。あたしが嫌がるようなこと、する人じゃないって西門さんだって分かって・・・!」
 聞いてられなかった。
 牧野の腕を引き寄せ、その唇を塞ぐ。
 驚き、離れようとする牧野の腰に手を回し、逃げられないように抱きしめる。
「―――――っ、や・・・・・・・・・!」
 胸を押され、一旦唇を離すと、牧野が泣きそうな顔で見上げてくる。
「何で・・・・あたしのこと、信じられない?」
「・・・・・そういうことじゃねえ。信じるとか、信じないじゃねえ。俺は、お前が俺以外の男と2人きりでいるのが嫌なんだよ。それが類じゃなくても、だ。でも、類の気持ちは知ってるからな、だから余計に頭に来る。もう少し、あいつを警戒しろ!」
 そう言っても、まだ牧野は納得のいかない顔をしている。
「・・・・・あのな、普通の男だったら、好きな女と2人きりで部屋にいれば当然その女を抱きたいって思うもんなんだよ」
「な・・・!抱きたいって、そんな直接的に言わないでよ!」
「間接的に言ったって同じだろ。とにかく、いくら類だってそういう欲求は持ってるんだよ!お前のことを大切に思ってるから自制してるんだろうけど、何がきっかけでそれが崩れるか、わかったもんじゃねえ!」
「だ、だって、そんなこと今まで一度も・・・・」
 牧野がなおもまだ類のことを庇おうとするのを見て、俺は更にいらだった。
 類が、司がいなくなってからずっと牧野を支えていたことは知ってる。
 しょっちゅう家に来て入り浸っていたってことも。
 家族がいることもあれば、2人きりのこともあっただろう。
 そのときにも何もなかったってことが、信じられないわけじゃない。
 もし仮に何かあったとしたって、過去のことだ。
 そのときには俺も複数の彼女と付き合ってたわけだし、類とのことをとやかく言う資格なんかない。
 それはわかってる。わかってるけど・・・・

 俺は、過去の類にも嫉妬していた。
 ずっと牧野の傍にいて、見守ってきた男。
 俺の知らない牧野のことも、きっと知っているんだろう。

 「あ、お湯、沸いた」
 やかんのお湯が沸き、牧野は慌てて火を止めた。
 そして、そのやかんを持とうとする牧野の手を、俺は後ろから掴んでそのまま抱きしめた。
「な、何・・・?」
 戸惑う牧野の声。
「やっぱコーヒー、いらない」
「い、いらないって・・・・・」
「・・・・我慢できねえ」
「え・・・・?」
 戸惑って体を捩ろうとする牧野。
 俺はそんな牧野を抱きしめる力を強め、首筋にそっとキスを落とした。
「ひゃっ、やだ、なに・・・・・」
「男が、どんなもんか・・・・・・物分りの悪い姫に、教えてやろうか?つくしちゃん」
 耳元で囁き、ついでにぺろりと耳朶を舐めあげると、牧野は「あっ」と短い声を上げ、体を震わせた。
「や・・・・はな、して・・・・・」
「離すわけ、ねえだろ?どんだけ俺がお前に惚れてるか・・・・わからせてやるよ・・・・・」
 腰に回していた手を徐々に胸元まで持っていき、服の上からその小さな胸を掌に納める。
「・・・・・っ、西門、さん・・・・・だめ・・・・・」
「ダメじゃない。もう、これ以上我慢できねえ。お前と付き合ってから今まで・・・・中学生みたいなキスくらいしかしなかった。俺が、どんだけ我慢してたかわかるか?手を出したくても、出せなかった。お前の気持ちがちゃんと俺に向いてから・・・・そう思ってたんだ、ずっと」
「・・・・・・・」
「漸くお前の気持ち知って・・・・・でも大事にしたいから。無理やりなんてことはしたくなかった。だけど・・・・もうだめだ」
「だめって・・・・・」
「お前が・・・・簡単に類を家に上げたりするってわかったら、もう我慢なんかできねえ」
「そ、そんなの・・・・・類のせいにするなんて・・・・・」
「あいつが、言ってたよ。今度こじれたら、牧野を奪ってやるって・・・・・あいつはそれくらい、本気なんだ。そんなやつと2人きりでなんかいさせたらどうなるか・・・・・今まで何もなかったから、なんて安心なんかできるかよ」
 そこまで言うと俺は、牧野が何か言うより先にその体をこちらに向けさせ、そのまま唇を塞いだ。
「・・・・・・・・んっ、ふ・・・・・・・・」
 息継ぎに一瞬開けられた隙間から、舌を差し込み口内を貪る。
 牧野に、こんな乱暴なキスをするのは初めてだった。
 ずっと大事にしてきた。今でもその思いは変わらないけれど。
 類の顔が、目の前をちらつく。
「西門さん・・・・!ね、あたしのこと、信じてよ・・・・・もう、類を家に上げるようなこと、しないから・・・・・だから・・・・・」
 牧野は俺からぐいと顔をそらせると、必死にそう言った。
「・・・・・そうだといいけどな。でも、どっちにしろもうだめ。諦めろ」
 そして俺は牧野を横抱きに抱きかかえると、部屋の真ん中まで連れて行き、畳の上にその体を横たえた。
「ちょ、ちょっと!」
「何?あ、痛いか?布団ひいた方がいいか?」
「そそ、そうじゃなくて!」
 必死に抵抗を試みる牧野。
 でも男の俺の腕力に、敵うわけがない。
 あっという間に組み敷かれて、俺の下でうろたえる。
「・・・・・1つ、聞きたい」
「な、なに・・・・・」
「類に・・・・何もされてない?」
「な、何もって、何を・・・?」
「たとえば、キスとか・・・・・」
 その言葉に、ぎくりとする牧野。 
 ―――こいつのこういう正直なところは、ある意味犯罪だな・・・・・。
「・・・・キス、されたんだ?」
「ち、ちが、あの・・・・・・」
「されたんだろ?どこ?額にされたのは俺も見たことあるけど。そんなにあせるってことは、ここ・・・・」
 そう言って俺は、人差し指で牧野の唇をなぞった。
 ピクリと反応し、頬を染める牧野。
 それが、俺に対する反応なら嬉しいけど・・・・
「・・・・・思い出しちゃった?類のキス」
「そんなんじゃ・・・!」
「・・・・・でも、嫌じゃなかったんだろ?それ」
「だ、だって、そのころはあたしも類のことが好きで・・・・・そ、それに2度目のときは突然で一瞬何が起こったのか・・・・・」
「ふーん・・・・・2回したわけだ・・・・・」
「!!」
 金魚みたいに口をパクパクさせる牧野。
 全く・・・・・正直にも程がある。
「牧野、覚悟して」
「はい?」
「俺・・・・・手加減できそうにもないから」
 そう告げて。

 俺はまた、牧野に深い口付けを与えた・・・・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 「Bitter&Sweet」にアップしようと思っていたお話。なんか長くなってしまったのでこちらでアップすることにしました。続きはR版としてアップ・・・の予定です。

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言葉に出来ない vol.3 ~花より男子・総つく~

Category : 言葉に出来ない(完結)~花より男子・総つく~
 -soujirou-
 「くっそ、あいつ電源切ってやがる」
 俺は携帯を睨みつけて思わず吐き捨てるように言った。
 何度かけてもコールのみ。
 挙句には電源も切られてしまうという嫌われようだ。
「この俺相手に・・・・いい度胸じゃねえか」
 額に青筋。
 全くここまで俺を振り回す女なんて初めてだ。
「結局、ここまで来ちまったじゃねえかよ・・・・・」
 足を止めて見上げたそこには、牧野のアパート。
 窓からは明かりが漏れて、中に人のいる気配もする。
 ―――できれば、あいつの家族がいない場所で話したいんだけどな・・・
 でも、ここまで来てしまっては仕方ない。
 俺は溜息をひとつつくと、意を決してアパートの階段を上り始めた。

 牧野の部屋の前まで来ると、一呼吸置いてから、ドアをノックした。
「はーい」
 牧野の声がドア越しに聞こえ、玄関に近づく音。
 開ける前に何か言われるかと思えば、何の躊躇もなく鍵を外し、ドアが開いてきたから驚く。
「―――西門さん!?」
 牧野が俺を見て、心底驚いた顔をする。
「お前・・・・こんな時間にドアノックされて、簡単のドア開けてんじゃねえよ!不審者だったらどうすんだ!」
 あまりの無防備さに俺が怒鳴ると、牧野は途端にむっと顔をしかめ、そのままドアを閉めようとした。
「だあっ、ちょっと待てって!話があんだよ、聞け!」
「あたしはない!」
「俺はあんの!このまま閉めたら、このドア壊れるまで叩き続けるぞ!」
「げ!やめてよ!弁償代かかるじゃない!」
「だから話をきけっつーの!」
 玄関での押し問答。当然隣近所にも聞こえていただろう、下の階でドアが開く音がする。
「!!と、とにかく入って!」
 牧野はそう言うと俺の腕を引っ張って中に入れ、バタンとドアを閉めた。
「・・・・お前、1人?」
 すぐに見渡せる狭い部屋。どう見ても誰もいなかった。
「両親はスーパーで泊り込みの仕事してるって言ったでしょ?弟は今日は友達のところに行ってるから」
「あのな・・・・それならなおさら、お前1人でいるときに簡単にドア開けたりすんなよ、あぶねえから」
 呆れながらも、つい心配でそう言うと、牧野はなんとも言えない表情で俺を見た。
 気まずい沈黙に、俺は持っていたものを思い出し、それを差し出した。
「はいよ、これ」
「え?これ・・・・・って」
 持って来たのは、例のカフェで買ったケーキ。
 つぶれてしまってどのケーキを買ってくれたのかよくわからなかったが、おそらくこれかな?と思う、俺の好きなビターチョコのケーキと、牧野が好きそうなチーズケーキを買ってきた。
「・・・悪かったな。せっかく俺のために買ってくれてたのに・・・」
 そう言うと、牧野は顔を赤らめて、横を向いた。
「べ、別に!あんたのためじゃ・・・・あ、あたしが食べようと思って買ったんだもん!」
「・・・・・・あ、そ。とにかくやるよ」
 相変わらず意地っ張りな牧野に溜息をつきながらも、俺はこれ以上こじらせたくなくて、素直に聞くことにした。
 牧野は、そんな俺の態度に戸惑いながらも、そのケーキの箱を受け取った。
「・・・・あ、上がれば?いつまでもそんなとこ突っ立ってないで・・・」
 そう言って先に部屋の中に入り、ちゃぶ台にケーキを置く。
 俺は靴を脱ぐと、その後についていきちゃぶ台の横に座った。
「・・・・・コーヒー、飲む?」
「いや、いい。先に、話がしたい」
「・・・・・・・・」
 俺の言葉に牧野は黙り、きゅっとこぶしを握る手に力をこめた。
「・・・・・今日のことは、謝る。あんなこと言うつもりじゃなかった・・・・。ごめん」
「・・・・・」
「思わず頭に血が上って・・・・・反省してるよ、マジで」
「・・・・・無理、しなくていいよ」
「は?」
 予想もしていなかった牧野の言葉に、俺は顔をしかめる。
「大体、西門さんがあたしと付き合うなんて、最初から無理があったんだよ。あんな賭けして、勢いで付き合いだしたからって、無理にあたしに合わせようとしてくれなくてもいいよ。あたしと別れたいなら、もっと早くそう言ってくれれば・・・・・」
「ちょっと待て!」
 早口でまくし立てるようにしゃべりだした牧野の言葉を、俺は少し大きな声で止めた。
 ―――何言ってんだ、こいつ
「何言ってんだよ?俺は、お前と別れたいなんて思ってねえよ」
「・・・嘘だよ。だって・・・・西門さん、ずっと無理してるもん。あたしのこと元気付けてくれるために、いろんなところ連れて行ってくれたり、お茶会に誘ってくれたり、休みごとに・・・・・たくさんいた彼女たちとも別れちゃうなんて、やりすぎ。あたしに気を使ってくれるのは嬉しいけど、あたしはもう大丈夫だから。道明寺とのことももう吹っ切れたし、1人でも大丈夫だよ。だから・・・・」
「―――ふざけんな!!」
 俺は、牧野の肩を掴むとそのままその体を引き寄せ、思い切り抱きしめた。
「!!・・・・・・西門・・・・・さん?」
「俺は・・・・お前とそんなつもりで付き合ってたんじゃねえ」
「え・・・・・」
「確かに、最初はお前を元気付けたいって気持ちがあった。司とのこと話すお前は痛々しくて・・・見てらんなかった。だから、傍にいてやりたいって思った。だけど、そのためだけに他の女全部切って、お前と付き合いだしたわけじゃねえ」
「・・・・・・・」
「賭けなんて、ただの言い訳だ。きっかけが欲しくて・・・・ああでもしなきゃ、お前とは付き合えねえって思ったんだ」
「どういう・・・・意味・・・・・?」
 俺は、牧野の体をちょっと離すと、真っ直ぐに牧野の瞳を見つめた。
「俺は、お前が好きだ」
 俺の言葉に、牧野の瞳が見開かれる。
「・・・・・もうずっと前から、好きだった。自分でも気付かないうちに、惚れてた。だけど、どう言ったらいいかわからなかった。俺はこういう男だし、普通に告ったって、相手にされないだろうと思ってたから。だけど・・・・本気なんだよ。他の女なんか目に入んねえくらい・・・お前が好きなんだ」
「うそ・・・・・」
 まだ疑う牧野の言葉に、俺は溜息をつき、苦笑する。
「嘘じゃねえって。ほらな。俺ってどんだけ信用ねえんだよ。俺は、お前と付き合いたくて、他の女全部切ったの!ただの勢いじゃなくて・・・・・お前じゃなくちゃダメなの!・・・・・どうしたら信じてくれる?」
「どうしたらって・・・・・」
「・・・・お前にとって、俺って何?俺が他の女と付き合っててもなんとも思わない程度のやつ?」
「あたしは・・・・・」
「・・・・・もし、類に付き合ってって言われたら、簡単に別れられるようなやつ?」
 類の名前に、目を瞬かせる牧野。
「な・・・・んで、類?」
「・・・・あいつは、特別だろ?あいつといるときのお前は、すごく自然で、楽しそうに見えるよ。2人の間には、誰も踏み込めないような何かがある気がする。今日だって・・・・・お前ら2人を見つけたとき、俺がどんな気持ちだったかわかるか?頭が真っ白になって、気がついたら追いかけてた。お前だけは譲れないって思うのに、類には絶対敵わないような・・・そんな絶望的な気分だった」
「類は・・・・・類は、大切な人だから・・・・」
 牧野の口から出る言葉に、俺の胸がずきんと痛む。
「類といると、いつも安心するの。あの人の、コーヒーの湯気みたいな空気に包まれてると、殺気立ってた気持ちとか、イライラしてた感情とか、全てなくなって無になれる・・・・そんな気がするの」
「・・・・・・・・」
「だけど、あたしはきっと類とは付き合うことが出来ない」
「・・・・・なんで」
「類は、唯一あたしの『安心出来る人』なの。イライラしたり、不安になることがない人。でもそれってきっと・・・・恋愛感情とは違うんじゃないかって気がするから」
「でも・・・・好きだっただろ?」
「うん。あれが、あたしの初恋かな。今の感情とは違うけど・・・・やっぱりずっと、大事な存在だよ」
 そう言って静かに微笑む牧野は、やっぱりすごく自然な気がした。
「・・・・・やっぱり妬ける」
「え」
「恋愛感情はないって言われても、お前の特別な存在だってのが、おもしろくない。じゃ、俺はなんだよ?お前の彼氏としても認めてもらえねえの?」
「西門さん・・・・・」
「勢いなんかじゃない。本気で、好きなんだ。お前の気持ちが知りたい」
「あたし・・・・・は・・・・・」
 戸惑いに揺れる牧野の瞳。
 俺は、その目をじっと見つめた。
「あたしも、たぶん、西門さんを好き、だよ」
「・・・・・たぶんって、なんだよ」
「だって、よくわからないんだもん。3ヶ月間付き合ってきて、西門さんが本当はすごくまじめな人だとか、優しい人だとか、家族思いなんだとか、いいところをたくさん知るたびに好きになっていくような気がする。だけど・・・・」
「だけど?」
「・・・・彼女たちと別れても、やっぱり西門さんの回りにはきれいな人がたくさんいるし、西門さんは女の人にはすごく優しいし・・・・・仕事だってわかってても、あんなにきれいな人ばっかり周りにいたら、あたしなんてかすんじゃうだろうし、あたしは西門さんの彼女だって胸張っていえる自信なんかないから・・・・・」
「ちょっと待て」
「え?」
 俯きながら話す牧野を、俺は手を上げて制した。
 ―――なんか、ものすごいことを聞いた気がする・・・・・
「あのさ・・・・俺の勘違いじゃなければ、だけど」
「??なに?」
「それはひょっとして・・・・嫉妬か?」
 その言葉に、牧野の顔が見る間に真っ赤になった。
「あ、や、だから・・・・・」
「俺が、女といるの見て、むかついてた?」
「・・・・・・・むかついた、よ」
 恥ずかしそうに俯いて言う牧野。
 ―――マジで・・・・?やべェ・・・・・・すげえ嬉しいかも・・・・・
 俺は、自分の頬が高潮していくのがわかった。
「でも、みんなきれいでさ、西門さんの横にいてもちゃんとつりあってて・・・・あたしなんかが文句言うのは違う気がして・・・・」
「バカ」
「ば、バカって何、ひどっ・・・・・」
 真っ赤になってまた怒り出す牧野を、俺は腕の中に閉じ込めた。
「いんだよ、遠慮なく文句言えば。俺の彼女はお前、牧野つくしなんだから。他の女に遠慮なんかすることねえ。俺は・・・・お前にもっと妬いて欲しい」
「な、何言って・・・・・」
「お前は、俺が誰といても気にしてないんだと思ってた。ヤキモチ妬くほど、俺のこと好きじゃないんだって思ってた。だから・・・・そういう風に思っててくれたってわかって、すげぇ嬉しいよ」
「西門さん・・・・・」
「今は、それ聞けただけで満足。それで、これからもっと俺のことを好きになってくれればいい。たぶんじゃなくて、ちゃんと俺のことが好きって言ってくれるまで、俺は待ってるから」
 俺の言葉に、牧野は驚いたような顔をする。
「西門さん・・・・」
「だから・・・・ずっと、俺の傍にいろよ。もっと俺を好きになって、もっと妬いて欲しい」
「なんか、それずるい・・・・」
「バーカ。俺なんかとっくにお前から離れらんなくなってるんだぜ。離れられないし、離せない。もし司や類が奪いに来ても・・・・絶対渡さねえから、覚悟しとけよ」
 そう言ってにやりと笑ってやると、牧野は顔を赤くして・・・・・俺の胸にぽすんと倒れこむように寄りかかると、小さい声で囁いた。

「・・・・・・・バカ・・・・もう、あたしのが、離れらんなくなってるよ・・・・・」

 聞こえた言葉が嬉しくて。
 何も言わずにただぎゅっと抱きしめて。
 一生、離さないと心に誓った・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 やっぱりもう1話続きます(^^;)次で最後・・・・にできるか?
 総二郎って策士っていうか、どちらかというと嫉妬とかしないキャラクターっぽい気もするんですが、私はやっぱり嫉妬して欲しくって。
 つくしに愛を捧げちゃってる総二郎を書きたかったんです。

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X'mas Panic!!vol.3~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -soujirou-
 「よお、牧野。もう帰りか?」
 キャンパスで、偶然牧野を見かけて声をかける。
 牧野はコートを着込み、バッグを持ってなぜか急いでいるようだった。
「あ、西門さん!うん、そう。またね!」
「おい、待てよ!なんだよ、そんなに慌てて・・・用事でもあんのか?」
「え、うん、まあ・・・・・」
 なぜか俺の言葉にぎくりとする牧野。
 なんだ?
 俺は、そのまま行き過ぎようとする牧野の腕をとっさに掴んだ。
「ちょい、待ち」
「な、何?ちょっとあたし、急いでるんだけど」
「何で?どこ行くんだよ?」
 詰め寄る俺から目を逸らす牧野。
 ―――絶対怪しい。
「おい、牧野!」
 後ろから声が聞こえ振り向くと、ちょうどあきらが来るところだった。
「美作さん」
 ほっとした様に息をつく牧野。
「ちょうど一緒になったな。じゃ、行くか」
「うん」
 完全に俺を無視して行こうとする2人に、俺もさすがに顔が引きつる。
「ちょ―――っと待った」
 俺はもう一度、牧野の腕を引っ張る。
「うあ!」
「なんだよ、総二郎。俺ら急ぐんだけど」
 面倒くさそうに振り向くあきら。
「だから、何で急いでんだよ。2人でどこ行くんだ?」
 イライラと聞くと、あきらと牧野は一瞬顔を見合わせ、あきらがひょいと肩を竦めると俺のほうを見た。
「おれんち」
「・・・・は?何であきらんちに?」
「妹たちの家庭教師。母親に頼まれて、牧野にやってもらうことにした」
 あきらの言葉に驚き、牧野のほうを見ると、牧野はちょっと気まずそうに俺を見ていた。
「・・・バイトは、もうしないんじゃなかったのか?類は知ってるのかよ。ってか、類は?」
「類も承諾してることだよ。あいつは今日、朝から会社に呼び出しくらってそのまま帰ってきてねえ。家庭教師って言っても年末までの間だけどな。母親も俺も忙しくって、妹たちの相手してる時間がねえんだよ。いつもなら使用人に任せるとこだけど、今回は妹たちにおねだりされて、牧野じゃなきゃいやだって言うから」
「・・・・・・・そうなのか?」
 牧野をじっと見つめて聞くと、牧野は目を逸らしたまま、こくんと頷いた。
「じゃ、もう時間ねえから行くぜ、じゃあな、総二郎」
「あ、おい―――」
 あきらは、俺が掴んでいたのと逆の腕を掴み、そのまま牧野を引っ張っていってしまった。
 そして、大学の門を出ると、待っていた車に乗り込んで行く・・・・・。

 ―――ぜっっっってーおかしい。

 あれは絶対何かある。
 あきらはともかく、牧野は嘘がつけない奴だ。
 あの牧野の様子・・・・。あれは絶対何か隠してる。
「・・・・・どうしてやるかな・・・・・」


 -akira-
 「あっぶねえ。お前、もう少しうまくやれよ」
 車が走り出し、俺は息をついて言った。
「だって・・・・ね、西門さんにも言ったらダメかな?」
 上目遣いで言われれば、ドキッとして頷きそうにもなるが・・・・・
「アホ。んなことしたら、あいつも来るって言い出しかねない。総二郎が茶々入れるような状況で、クリスマスまでに完成できると思うか?」
「・・・・・無理か」
「絶対無理。せっかく俺が協力してやるんだから、お前もちゃんとやれよ。せめてあれくらいの嘘、もっとうまく言えって」
「はーい」
 ちょっと口を尖らせて・・・いじけた姿が、子供みたいでかわいい。
 俺はくすっと笑い、素早く牧野の頬にキスをした。
 途端に真っ赤になって狭い車内で後ずさる牧野。
「な、ななな、何するの!!」
 その慌てようがおかしくて、思わず噴出す。
「ぶっ、はは、お前ほんとにおもしれえな。そんなに慌てなくても、ここでそれ以上のことしねえよ」
「あ、当たり前でしょ!そ、そういうことするんだったら、あたしかえ―――」
「協力料」
「・・・・は?」
「協力してやってるんだから、これくらい許せ。心配しなくても、それ以上のことはしねえよ。一応俺にも自制心ってものがあるからな。お前が嫌がるようなことはしない」
 そう言うと、牧野はほっとしたように元の位置に戻った。
 肩が触れるか触れないかの距離。
 その距離がそのまんま俺たちの心の距離も表しているようで、ちょっと切なくなった。


 「―――今日はここまで」
 俺は、ふと時計を見上げていった。
 それまで編みものに集中していた牧野も、俺の声にはっと顔を上げる。
「え、もう?はや・・・。やっぱりなかなか進まないね・・・」
「ま、まだ時間はある。焦らずやってこうぜ」
 そう言って笑ってやると、牧野も笑って頷いた。
「うん、ありがと。美作さん、教えるの上手だから助かる。家でも出来たらいいんだけどな・・・」
「そりゃ無理だろ。すぐばれるぜ」
「・・・・だよね」
 牧野ががっくりと肩を落とす。
「心配すんなよ。何とか俺が間に合わせてやっから。さ、そろそろ片付けて外出るぜ。類が来ちまう」
「あ、うん」
 牧野が慌てて片付け始める。
 編み物の道具は全て俺の部屋に置いてある。もって帰って類に見られたら台無しだ。
 最初、類が寝てる間にもやりたいと言っていた牧野を、俺が説得したのだ。
 
「つくしちゃん、もう出れる?」
 部屋の外から、母親の声が聞こえる。
「あ、はい!今行きます」
「じゃ、また明日な」
「うん、バイバイ!」
 そう言って元気に出て行く。
 類にああ言った手前、俺が毎日一緒にいるのはおかしいので母親に協力してもらうことにしたのだ。
 母親の方も、「つくしちゃんが毎日来てくれるなら」と喜んでいた。
 クリスマスまでの間だけど・・・・俺は、牧野と秘密を共有できることに喜びを感じていた。


 -rui-
 あきらの家の前で待っていると、牧野があきらの母親と一緒に歩いてくるのが見えた。いつもと変わらない牧野の様子に、ほっと胸をなでおろす。
 何もあるはずがないって思っていても、やっぱりあきらの家に行っているとなれば気になる。
「類くん、こんばんは」
 あきらの母親がにこやかに話しかけてくる。
「こんばんは。牧野、どうだった?」
「う、うん。大丈夫」
「つくしちゃん、本当に良くやってくれるのよ。うちの子たちも大喜びで、助かるわー。明日もよろしくね」
「はい。じゃ、また明日・・・」
 そう言って牧野はあきらの母親に頭を下げると、車の助手席に乗り込んだ。
「じゃ、運転気をつけてね」
「はい、それじゃあ」
 そう言って俺は車を発進させた。

 「大丈夫?疲れてない?」
 俺が聞くと、牧野はにっこりと頷いた。
「全然!バイトで1日中働いてたときに比べれば余裕!」
「そう、良かった。・・・そういえば、さっき総二郎から電話あったよ。家庭教師のこと、聞かれた」
「あ・・・・今日、帰りに会ってね、一応話したんだけど・・・・」
「疑ってるみたいだった。何か隠してるんじゃないかって・・・・牧野が」
「あ、あたし!?」
 途端に顔を引きつらせるから、おかしくて思わず噴出す。
「ぶっ・・・・・あんたってほんとおもしろい」
「類!!試したの!?」
 今度は顔を真っ赤にして怒ってる。
 忙しい奴だ。
「そんなつもりなかったんだけど。あんたがあんまり素直に反応してくれるからつい、おもしろくって」
「ついって・・・・」
「・・・・俺だって、気付いてたよ。牧野が何か隠してるって」
「!!」
「あきらはそういうとこうまいから、ごまかされそうになったけど。牧野は隠し事苦手だろ?」
「う・・・・・・・」
「でも、今は聞かないで置いてあげる」
「え・・・・・」
「浮気、じゃないよね?」
「あ、当たり前じゃない!!」
「ならいい」
「類・・・?」
 牧野が不思議そうに首を傾げる。
「あきらのことを100%信用するわけじゃないけど・・・・牧野に無理やり何かするような奴じゃないと思うから。牧野のことは信じてるから。その、なんかわかんないけどそれが済んだら、ちゃんと話してくれる?」
「・・・・うん」
 そう言って、牧野はふわりと微笑んだ。
 俺は、ハザードをつけて、車を路肩に止めた。
「類?どうしたの?」
「ん。ちょっと我慢できなくて」
 何が?と聞こうとする牧野に、素早くキスをする。
 突然のことに、牧野が目を白黒させていいる。
 ゆっくりとその唇を味わい・・・・・・牧野の頬が高潮してきたのを見て、開放した。
「・・・・・・もう、突然!」
「・・・・牧野が、かわいすぎるから」
「へ?」
「そういう顔、見せられたら我慢できないってこと」
 そう言って笑うと、牧野が顔を真っ赤に染めてうつむく。
「わ、わけわかんない・・・・かわいいとか、言ってくれるの類だけだよ」
「・・・あきらとか総二郎には?言われたことない?」
「あ・・・・・」
 じっと牧野を見つめると、牧野はちょっと慌てたように口に手を当てた。
 頬が赤い。
 ―――気に入らない。
「・・・・・もう1回」
「え?」
 驚いて顔を上げた牧野に、もう1度キス。
 今度はもっと深く、何度も角度を変えて・・・・・。

 俺以外の男のことを考えないで。
 俺以外の男を見ないで。
 
 俺の我侭だってわかってるけど・・・・・

「牧野、愛してる・・・・・」
 耳元で囁けば、ピクリと肩が震える。
「・・・・あたしも・・・・・」

 触れれば触れるほど、もっと欲しくなる。
 もっと我侭になる・・・・・。

 だから、ずっと俺だけを見ていて・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 総二郎をもうちょっと出したかったんですが、うまく行きませんでした~(^^;)
 次回は、もうちょっと動きがある予定・・・・です。

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言葉に出来ない vol.2 ~花より男子・総つく~

Category : 言葉に出来ない(完結)~花より男子・総つく~
 こんな風に女のことで頭に血が上ることがあるなんてそれこそ激レアだ。
 気がついたら店を飛び出していた。
 後ろから俺を呼ぶ女の声がしたが、そんなのにかまってる余裕なんてなかった。
 
 大通りを渡って少し先を歩く2人を追いかける。
 その間にも2人が楽しそうに話している姿が目に入って腹が立つ。


 「牧野!!」
 俺の声に2人が驚いて振り返る。
「西門さん!?なんでここに?」
「そりゃこっちの台詞だろ?なんで類がここにいる?」
 俺の言葉に、2人が顔を見合わせる。
 示し合わせたようなそのタイミングに、俺はますますいらだちを募らせた。
「説明しろよ!」
 思わず荒げる声。
 牧野の肩がビクリと震える。
「総二郎、落ち着けよ。俺が牧野を誘ったんだ」
 類が落ち着き払った様子で応える。
 ふと、牧野の手元を見ると小さなケーキの箱が。
 その箱には店の名前が印字されていて。
 『ル・フルール』
 それは確か、今日2人で行こうと言っていたカフェの名前だ。
「その店、行ったのか」
 牧野がはっとしたように手元の箱を見る。
「あ、これは」
「そういうことか」
「え?」
「別に俺じゃなくっても良かったってことだよな」
 吐き出すように言うと、牧野は驚いた。
「何言ってんの?」
「一緒に行くのが、俺じゃなくっても良かったんだろ。それどころか、類がいるんだったら類と行く方が良いくらいだろうが。お前にとって俺はその程度の存在だってことだ」
「西門さん・・・・・」
 牧野の瞳が、一瞬揺らいだような気がした。
 だけど俺は、もう止まらなかった。
「いいよ、別れてやるよ。どうせくだらねえ賭けから始まったことだ。もう解放してやるよ。お前の好きにすればいい」
 勢いで一気にそう言うと、俺は2人に背を向け、もと来た道を歩き始めた・・・・・・が。
「―――西門のバカ!!」
 ビリッと電気が走ったのかと思うほど馬鹿でかい声に振り向いてみれば、牧野が目にいっぱいの涙をため、真っ赤な顔でブルブルと震えながら俺を睨みつけていた。
「な・・・・・・」
 俺が何か言うよりも先に、その手に持っていたケーキの箱が俺をめがけて飛んでくる。
 ―――あぶね!!
 とっさによけると、ケーキの箱は電信柱に命中し、見事にぐしゃっと潰れて地面に落ちた。
「バカ!バカバカバカ!!!」
「おい・・・・・」
「あんたなんか、あんたなんか・・・・!!」
 力いっぱい叫び、肩で息をしながら俺を睨みつける姿に、呆気にとられる。
 その刹那、牧野の大きな瞳から大粒の涙が零れ落ちた。
 声をかけようとした、そのとき。
 牧野は俺にくるりと背を向けると、そのまま駆け出し、あっという間に見えなくなってしまった・・・・・。

 「なんだ、あいつ・・・・・」
 呆気にとられたまま俺が呟くと、同じく呆然と牧野の後姿を見送っていた類が俺のほうを振り向き、溜息をついた。
「・・・・・・・総二郎、何やってんの」
 呆れたような口調に、カチンと来る。
「だから、それはこっちのセリフだろ!?何でお前が牧野と一緒にいるんだよ!」
「それは、俺が牧野に会いたかったから。先週、あきらがフランスに来て・・・・総二郎と牧野が付き合いだしたって聞いた。それ聞いて、俺が平気でいられたと思う?」
 滅多に感情を表に出さない類の、怒気を含んだ口調。
 思わず、はっとして口をつぐんだ。
 ずっと前から・・・・高校生のころから、類が牧野に惚れてることは知っていた。
 類の、好きなものに対してはとことん一途な性格は知ってる。
 平気で、いられるはずがないことも・・・・・

 「あ~あ、もったいない」
 類が、俺のほうへ歩いてきたかと思うと、電柱にぶつかって無残に潰れたケーキの箱をひょいと持ち上げて言った。
「・・・・・このケーキ、総二郎へのお土産だって」
「は?」
「今日、一緒に行くはずだったからって。後で総二郎のところへ持っていくって言ってたんだけどな」
 類が、くすりと笑って俺を見た。
「・・・・・すげぇ混んでて、そのケーキ買うのにも30分並んだんだよ。カフェの方もいっぱいでさ。中で食べるのには1時間待ち。もっとも、俺たちはこれ買っただけだったけど。今度、空いてるときに2人で行けば?」
 そう言ってから、わざとらしく思い出したように
「ああ、でも別れたんだっけ?じゃあ俺が一緒に行こうかな」
「―――甘いものは、苦手だろ?」
「牧野と一緒なら、どこにでも行くよ。どうせくだらない賭けから始まったことなら、未練もないでしょ。牧野は俺がもらうから」
「!!」
 考える前に、体が動いてた。
 類の胸倉を掴み、その勢いで壁に押し付ける。
 通行人が、慌てて俺たちをよけて行く。
「ふざけんな!誰がやるかよ!!」
「じゃ、何であんなこと言ったの?」
 冷静に切り返され、言葉に詰まる。
 そんな俺を見て、類がふっと笑った。
「・・・・らしくないね。ポーカーフェイス、得意なはずなのに。さっきから、まるで周りも見えてない。・・・・・誰のせい?」
「・・・・・・・わかってるんだったら、聞くな。性格わりィぞ」
 俺は類の胸元から手を離すと、ふいと顔をそらせた。
「デートの邪魔した、お返しだよ」
 いけしゃあしゃあと言いやがるから、俺はまたカチンときて睨みつけてやった。
「・・・・・・話、聞かせろよ」
 そう言って、俺は近くのカフェへ類を連れて行った。


 「いつ、帰国した?」
「今朝だよ。着いてすぐ、牧野に電話した」
 席に向かい合って座り、コーヒーを飲みながら、類は淡々と話し始めた。
「びっくりしてたけど・・・・・一緒に食事したいって言ったら、喜んでくれたよ。1年振りだし・・・・帰ってきたときに一緒に行こうって言ってたレストランがあったんだ」
「・・・・・へえ」
「・・・・・ずっと、心配してたんだ。司とのことは聞いてたけど、仕事が忙しくて帰って来れなかったから・・・・。まさか、総二郎と付き合うことになってたなんてね。あきらに聞いたときは本当に驚いた」
 あきらには、2週間前向こうから電話があって、牧野とのことを教えた。
 あきらも驚いてたけど・・・・・「お前、いつから牧野を好きだった?っつーか、自分でも気付いてなかったろ」と言われて・・・・言葉が出てこなかった。
「俺、気付いてたよ、総二郎の気持ち。総二郎が自覚してなかったみたいだから、言わなかったけど」
 そう言って、類は穏やかに笑った。
「・・・・こんなことなら、仕事なんかほっぽり出して帰って来れば良かったって後悔した。でも・・・・今日、牧野に会って、すごく元気そうで・・・・・うまくいってるんだなって思ったら、安心した。俺は、牧野が幸せならそれでいいんだ」
「類・・・・・」
「でも、総二郎が牧野を泣かすなら、話は別。牧野は、俺の一部だから。牧野を悲しませる奴はたとえ総二郎でも許さないよ」
 じろりと俺を睨みつける鋭い目。
 背中をぞくりと悪寒が走る。
「でもびっくりした。総二郎があんなふうにヤキモチ妬くところなんて、初めて見た」
 くすくすと本当におかしそうに笑うから、俺は照れくさくなって視線を逸らした。
「るせーよ。笑うな」
「・・・・・牧野にちゃんと、告白したの?」
「は?」
「賭けから始まったって言ったね。でも、そんな小細工する必要なかったんじゃないの?」
「・・・・・ああでもしなきゃ、牧野が俺と付き合うなんてありえねえだろ」
 俺の言葉に、類は一瞬驚いたように目を瞬かせた。
「なんだよ」
「いや・・・・・牧野も同じようなこと言ってたから」
「牧野が・・・・・?」
「ん。総二郎が、自分と付き合いたいって言うなんて、ありえないって。あんな賭けまでして、ゲームかなんかのつもりなんじゃないかって。それでも・・・・牧野は、好きでもない男と付き合ったりするような女じゃないよ。それくらい、わかってるだろ?」
 俺は、なんとも言えず俯いた。
「賭けに負けたからって、自分の意思に反することに黙って従ったりしない。わかってるくせに・・・・2人とも、素直じゃないね」
「・・・・・あいつが、誰を想ってるのか、俺にはわからねえよ」
 俺は、呟くように言った。
「司に心底惚れてたあいつが、傷ついて、別れを選んで・・・・・最初は放っておけなかった。ただ、それだけだと思ってた。でも、そのうち離せなくなってた。ずっと傍にいて欲しくて、あんな賭けまでして・・・・・。だけど、あいつと一緒にいればいるほどあいつの気持ちがわからなくなる。俺ばっかりがあいつに惚れてどうしようもなくなって・・・・情けねえ」
 溜息が漏れる。
 類は、黙って俺を見ていた。
「それをそのまま、伝えればいいのに」
 たいした事じゃないとでも言うようにそう言われ、俺はまた溜息をついた。
「それが出来ねえから情けねえって言ってんの。この俺が・・・・たかが女1人に告白も出来ねえなんて・・・・・。牧野に拒まれたら。もう会えなくなっちまったらって思うと、どうしても一歩、踏み出せねえんだ」
「・・・・・良かった」
 類が、うれしそうに言った。
「良かったって・・・・・何がだよ?」
「総二郎の気持ちがわかって。牧野は、俺にとって特別だから・・・・。もし総二郎がいい加減な気持ちで牧野と付き合ってるんだったら、本当に許さないつもりだった。だから・・・・総二郎が、真剣に牧野を思ってるってわかって、安心した」
「類、俺は・・・・・」
「ちゃんと、言ってあげなよ。牧野は、待ってるよ」
「・・・・・そう思うか?」
「ん。牧野も素直じゃないからね。でも・・・・俺はこれ以上、協力はしないよ」
 そう言って類はにやりと笑った。
「牧野が幸せならそれでいい。その幸せを与えるのが俺じゃなくても。だけど、やっぱり悔しいから・・・・総二郎に協力はしない。今度またこじれて別れ話でも出たら、そのときは本当に俺が牧野をもらうから、そのつもりでいてよ」
「アホか」
 俺は類を睨み返して、言った。
「何回こじれたって、お前に・・・・・他の奴になんか渡さねえよ。お前にとってあいつがお前の一部だって言うなら、俺にとってあいつは俺の全てだ。あいつがいなかったら・・・・生きていけねえよ」
「・・・・・じゃ、奪うわけには行かないね・・・・」
「ああ・・・・・覚えといてくれよ」
 そう言って俺たちは目を見交わし、拳をつき合わせた・・・・・。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 次回あたり、終わらせられるかな?
 あたしの中の総二郎君はこんな感じ。結構人それぞれ、キャラクターのイメージって違ったりしますよね。
 共感していただける方にもそうでない方にも、楽しんで読んでいただければうれしいです♪

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X'mas Panic!!vol.2~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
 美作さんの家へつくと、早速買ってきた毛糸を取り出し、一緒に買った本を広げた。
 本を見ながら、編み棒を持って最初だけでも自分でやろうとしていると、すぐに美作さんの声が飛んできた。
「そこ、違う」
「へ?どこが?」
「お前、基本的に編み棒の持ち方がなってねえんだよ。いいか、ここはこうして・・・・」
 そう言いながら、美作さんがあたしの後ろに回り、一緒に編み棒を持ちながら教えてくれる。
 突然後ろから覆いかぶさるような格好になり、その至近距離に思わずドキッとする。
 ふわりと香る、美作さんの優しい香り。
 ちらりと見上げれば、少し神経質っぽい、繊細できれいな顔。
 あたしの手に重なるその手も、男の人のくせにあたしよりきれいで、指も細くしなやかで・・・・
 重ねられたその手が熱く火照ってくるようで、落ち着かなかった。
「どうした?牧野、顔赤いぜ?」
「なな、なんでもない!」
 ふいに声をかけられ、思わずどもってしまう。
 やばっ、意識しすぎだってば!
「・・・・・・もしかして、緊張してる?」
 にやりと笑う美作さん。
「べ、別に!」
 そりゃあ、美作さんは女の人に触れることなんか慣れっこなんだろうけど!
「ぶっ。相変わらずおもしろいやつだな。ほら、こっちに集中しねえといつまで経っても終わんねえぜ?」
 美作さんの言葉に、はっとする。
「わ、わかってるわよ。ちゃんと集中してるってば」
「ふーん?まあいいや。じゃ、次。ここでこうして・・・・」


 「・・・・・このペースじゃクリスマスに間にあわねえなー」
 そろそろ帰らなくちゃいけないころになって、美作さんがぼそっと呟いた。
 あたしも内心そう思っていたので、思わずぎくりとする。
「ど、どうしよう・・・・?」
「んな心配そうな顔すんな」
 そう言って美作さんはあたしの頭をぽんと叩く。
「お前、俺んちの妹の家庭教師やんねえ?」
「へ?家庭教師・・・?」
 何で急にそんな話?
 と思っていると、美作さんが苦笑いする。
「バカ。本当にやるわけじゃなくって、口実。類にばれないようにやるには、俺んちに来るのが一番だろ。総二郎のところに行く日と土日を除く3日。週に4日、ここに来てそれが出来れば、何とかクリスマスに間に合うんじゃねえの?」
「で、でもそんなに・・・・美作さんだって忙しいでしょ?」
「ああ、毎日は付き合えねえかも知れねえけど・・・返ってそのほうが怪しまれなくてすむだろ。俺がいなくてもここに入れるようにしとくし、わからねえところがあったら母親に聞いとけよ」
「でも・・・・・いいの?ほんとに・・・・・」
 なんだかあたしのためにそこまでしてもらうのが申し訳なくって聞くと、美作さんはふっと優しい笑みをあたしに向けた。
「俺は、お前のためになるならそれでいい。俺のことは気にすんな。好きでやってんだ。それより類にばれねえように気をつけろよ。お前は嘘つくのが下手だから」
「う、うん・・・・」
「間に合うといいな、クリスマス」
「美作さん・・・・・」
 どう言ったらいいんだろう。
 うれしくて・・・・・
 でも申し訳なくって・・・・・
 ずきんと、胸が痛んだ。
「・・・・・1つ、頼みがある」
「え?」
「俺の前で、そういう顔はするな。俺は、お前の笑顔を見ていたい。そのためなら何でもしてやるから、俺の前では笑ってろ」
「・・・・・・・うん」
 何とか笑顔を見せ頷いてみせると、美作さんはうれしそうに微笑み、あたしの頭を優しく撫でてくれた。
「さ、そろそろ類が迎えに来るな。外に出よう。類には俺から話をするから、お前は黙ってろよ」
「ん・・・・・」


 「家庭教師・・・・・?」
 車であたしを迎えに来た類が、美作さんの話に顔を顰める。
「ああ、俺の母親が牧野を気に入ってるって話は前にしただろ?で、妹たちの家庭教師をやって欲しいんだってさ。っつっても、遊び相手みたいなもんだよな。妹たちも牧野と遊びたがっててさ。これから年末まで母親も忙しくって妹たちに付きっきりって訳にも行かないし。だから牧野が来てくれると助かるってさ。もちろんバイト代は払うし」
「けど、週3日って・・・・・牧野の自由な時間がなくなっちゃうよ」
「あ、あたしは大丈夫」
「牧野・・・・・」
「年末までの間だからさ、頼むよ」
 美作さんが手を併せて見せると、類は小さく溜息をつき、頷いた。
「・・・・・・わかった。じゃ、牧野、乗って」
「あ、うん。じゃ、美作さん、またね」
「ああ、気をつけてな」


 「・・・・牧野、大丈夫なの?」 
 美作さんの姿が見えなくなると、類は前を向いたまま口を開いた。
「何が?」
「だって、週に3日家庭教師に入って、後の2日はあきらと総二郎のところでお稽古だろ?大学の勉強だってあるのに・・・・」
「うん・・・・でも、年末までの間だし、勉強は残った時間でちゃんとやるようにするから」
「無理してない?」
「全然。朝から晩までバイトしてたころに比べたら、楽勝だよ!」
 そう言って笑って見せると、類も漸く安心したように笑ってくれた。
「牧野が大丈夫なら、俺はいいけど・・・。でも、これで週に4日もあきらの家に行くことになるよね。なんかそれ、心配なんだけど・・・・・」
「・・・・心配、要らないよ。だってあたしがレッスン受ける金曜日以外、美作さんも忙しくってほとんど家にいないって言ってたし」
 事前に美作さんに言われたとおり、類に説明する。
 ちょっと胸が痛んだけど・・・・せっかくあたしのために美作さんが考えてくれたんだから、ここで無駄にしちゃいけない。
「ふーん・・・。じゃ、いいけど。帰りは、また俺が迎えに行くから」
「え、いいよ、そんなの。毎日大変だし、そんなに遠くないんだから1人で大丈夫」
「ダメ。迎えにいけないときは連絡するから。勝手に1人で帰ったりしないでよ?」
「・・・・はーい」
 思わず、くすくすと笑いが零れる。
 そんなあたしを、ちらりと横目で睨む類。
 だって、うれしくて。
 うれしすぎて笑っちゃうんだもん、しょうがないよ。
 
 類は、あたしを1人にしておくのを嫌がる。
 それは束縛という名の愛情表現・・・・だと思ってる。
 心配しすぎ、とも思うけど、それだけあたしのことを思っててくれてるんだと思えば、それもうれしい気持ちのほうが勝つ。
 毎日2人で一緒の家へ帰る。
 一緒に寝て、一緒に起きて、一緒に大学へ行って・・・・・。
 こんなに幸せでいいんだろうかと思うくらい、今のあたしは幸せすぎると思う。
 道明寺のときのように、いつこの幸せが崩れてもおかしくないと、毎日心配しなくてもいい日々。
 こんな穏やかな日々に慣れていないあたしは、時々やっぱり不安になるけれど。
 その度に類は、優しく肩を抱き寄せて、あたしを安心させてくれる。
 ただ黙って抱きしめて。
 「愛してる」って耳元で囁いてくれる。
 くすぐったくって、未だに恥ずかしくって逃げ出したくなってしまうけど・・・・・。
 でもあたしだって、類が大好きだから。
 その気持ちをたまには形にしてみたくって、思いついたクリスマスプレゼント。

 やっぱりクリスマスプレゼントっていったらマフラーとか?手編みのセーター?
 優紀に相談したけど、「ごめん、あたししばらく忙しくって・・・・それにあたしも編み物はそんなに得意じゃないし」と言われてしまった。
 どうやら彼氏へのクリスマスプレゼントのために、バイトを増やしたらしい。
 桜子に聞くと、「手編み?だっさくないですかあ?今時」と馬鹿にされてしまった・・・・。
 滋さんには・・・・たぶん無駄だと思って相談しなかった。

 で、思いついたのは美作さんのお母さん。
 いつも手作りのケーキやクッキーを焼いてあたしをもてなしてくれるかわいくて優しいママさん。
 たぶん、編み物も出来るんじゃないかな?
 そう思って美作さんに聞いてみたんだけれど。
 まさか美作さんに教えてもらうことになるなんて思わなかった。
 美作さんは面倒見いいし、教え方もすごくうまいからもちろん嬉しいんだけど・・・・・
 でも、類のためにやってることを、美作さんに手伝ってもらっていいんだろうか・・・・
 そんな罪悪感があたしの心の中に広がって。
 そんなとき・・・・・
 『俺は、お前の笑顔を見ていたい。そのためなら何でもしてやるから、俺の前では笑ってろ』
 そう言って微笑んでくれた美作さん。
 あたしが気を使わないようにしてくれてるんだと思うと、なんだか涙が出そうになった。
 優しすぎるんだから・・・・・
 だから、いつも損な役、やらされることになって・・・・
 でもそれが、美作さんのいいところ。
 あたしも、もちろんF3だって分かってるんだよね・・・・・。


 「着いたよ、牧野」
 いつの間にか花沢の家についていた。
「あ、ほんと。ごめん、ボーっとしてた」
「・・・・・疲れてる?それとも何か考え事?」
 じっとあたしを見つめる、薄茶色のビー玉のような瞳に、どきりとする。
「な、なんでもないよ、ボーっとしてただけ」
 慌てて答えると、類は何も言わず・・・・
 突然あたしの腕を引っ張ると、チュッと触れるだけのキスをした。
「!―――な、何?」
「浮気予防」
「浮気って!」
「真っ赤になって慌てちゃって・・・・よそ見しちゃ、ダメだよ」
 じーっとあたしの目を見つめる類。
 さっきからあたしの心臓はすごく早い鼓動を打っていた。
「し、してないってば」
「・・・・・・怪しい」
「類!」
「・・・・・信じて欲しい?」
「あたりまえでしょ!」
「じゃ、証明して見せて」
 にっこりと微笑む顔が、天使なのか悪魔なのか・・・・・
「しょ、証明って・・・・」
「今夜」
 一瞬怪しく光った類の瞳に、どきんと心臓が大きな音を立てる。
「な、何言って・・・・・」
「なんなら、ここでしてくれてもいいけど?」
「だ、ダメ!!絶対!!」
 真っ赤になって慌てるあたしを見て、類がおかしそうに笑う。
「ってことは、俺が何して欲しいと思ってるか、わかってるんだ?」
「!!・・・・・・・意地悪」
 もう、絶対類には敵わないんだから。
 上目遣いで睨んでみると、類は優しく微笑んで、あたしのおでこにそっとキスを落とした。
「反則・・・・・。そういう顔されると、本当にここで押し倒したくなる・・・・」
「る、類・・・・・」
「嘘・・・・。でも、早く部屋にいきたい。今日は、シャワー浴びるまで待てないかも」
 くすくすと笑う類。
 言われていることの恥ずかしさに俯きながらも・・・・
 あたし自身、体の奥がジンと熱くなってるのを感じていた・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ちょっとあきらの登場が多くなりそうな話の展開になってしまいました。
 あきつくの話は難しいけど、こういう展開なら書けるかな?
 という気持ちもありまして。
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言葉に出来ない vol.1 ~花より男子・総つく~

Category : 言葉に出来ない(完結)~花より男子・総つく~
 「わりい、明日ダメになった」
 携帯を耳に当てながら、電話口の向こうにいる牧野の様子を伺う。
『・・・・仕事?』
「ああ。女性誌の取材で・・・・ずっと前から頼まれてたコラム、母親が勝手に承諾しちまって、明日は担当者と打ち合わせ」
『そっか・・・・仕事じゃしょうがないよ。じゃ、また今度ね』
「・・・・・・ん、じゃあな」
 短い会話を終えて。
 俺は閉じた携帯を睨んでため息をついた。

 俺が牧野と付き合い始めたのは、3ヶ月前。

 1年前俺は大学を卒業し、本格的に西門流の十六代目を継ぐべく父親について回る毎日。
 F4それぞれが別の道を歩み始め、類はフランスの支社へ、あきらも世界中を飛び回っているようで日本にはめったに戻ってこない。
 そして、俺らが卒業してから何があったのか・・・・牧野が大学を卒業する間際になって、あの2人が別れたことを知った。
 大学の卒業プロムにも出ずに帰ろうとしていた牧野を捕まえ、無理やり話を聞いた。
「―――世界が、違うんだよ」
 牧野は、そう言った。
「そんなの、わかってたことだろ?何を今更・・・・」
 俺の言葉に、牧野は首を振った。
「違う。そうじゃなくて・・・・あいつの見ている世界が、あたしとは違うの。4年間て、本当に長いんだよ。あいつは、前みたいに無茶なところがなくなって、すっかり大人になって・・・それが悪いって言ってるんじゃない。けど、あたしはただあいつが好きで、一緒にいられるようになりたくて、がんばってたのに・・・・あいつは違うんだよ。もう道明寺を背負って立つ人間になっちゃってて・・・・嬉しいんだよ、あたしだって。でも・・・・・あいつが見据えてる未来を、あたしと一緒に進んでいこうとする未来を、あたしは見ることが出来ないの。あたしが思い描いていた未来とは違う・・・・。2人で一緒に歩いていきたかったあたしの未来とは、違ってるんだよ・・・・」
「牧野・・・・・」
「時間が、解決してくれるって、思ってた。一緒にいれば、そんなのまた変わるもんだって思ってた。でも・・・・あいつには、伝わらなかった。俺と同じ未来を歩けないなら・・・・もう、必要ないって・・・・」
「司が!?まさか!あいつがまさか、そんなこと・・・・・」
 あんなに牧野のことが好きで好きでしょうがなかった司が・・・・?
 でも。
 俺も司とはもうずいぶん会ってない。
 ときどき雑誌や新聞で、道明寺の記事は目にするけれど・・・・・。
 驚く俺に、牧野は弱々しく微笑んで首を振った。
「本当なの。だから・・・・・もう、あたしたちは元には戻らない・・・・・」
 今にも泣き出しそうなのに。
 そのまま崩れてしまいそうなほど震えているのに。
 牧野は、笑って立っていた。

 それから俺は、暇を見つけては牧野を連れ出し、いろんなところへ連れて行った。
 普通の出版社に就職した牧野は忙しそうだったけど、それでも休みの日に無理やり連れ出してはドライブしたり、うまいものを食いに行ったり・・・・お茶をたててやったりもした。
 「どうして?」
 そう何度も牧野に聞かれたけれど・・・・
 俺にだってわからなかった。ただ、強がって必死に自分を支えようとするあいつを、放っておけなかった。
 そしていつの間にか、俺の隣に牧野がいることが当たり前になってきていた。
 あの、滅多に他人に心を許さない母親までもが、牧野を連れて来るのを楽しみにするようになり、茶会に誘ったりまでするようになっていた。

 そんな風に、俺の隣にいることに牧野が戸惑いを見せたのは、茶会に出るための着物を母親が用意したと話したときのこと。
 「・・・・数多くの彼女に恨まれない?あたしやだよー、またいじめられるの」
 そう言って顔をしかめたあいつに
「じゃ、全員と別れたら、俺と付き合うか?」
 咄嗟に出た言葉。
 牧野は目をぱちくりさせて・・・・・
「はあ?何言ってんのよ、無理無理そんなの。あんたが1人の女と付き合うなんて・・・考えらんない。しかもあたしとなんて」
「言ってくれんじゃん。ってことは、かけてもいいんじゃねえ?1週間以内に俺が付き合ってる女全部と手ェ切ったらお前は俺と付き合うこと。いいな?」
 何でこんなこと言ったのか。
 このままだと、牧野が俺から離れてしまいそうな気がしたから。
 離したくなかった。
 ただ、傍に置いておきたかった・・・・・。

 無理やり賭けを成立させ、俺は3日で全ての女と手を切った。
 もちろん全てきれいにとはいかなかったけど・・・・
 けど、大抵の女は俺ではなく、西門流という名目に惚れてただけだから。
 別れを納得させるのは、難しいことじゃなかった。

 そして俺は牧野に詰め寄った。
 あいつの驚いた顔は、今でも忘れられない。
 鳩が豆でっぽう食らったような顔をしやがって・・・・・
「あたし・・・・・西門さんのこと、友達としか見てないよ」
「いいよ、それでも。絶対惚れさせて見せるから」
「自信家・・・・・」
「言って許されるからむかつく?」
 牧野のセリフを取ってやると、むっとしたように上目遣いで俺を睨む。
 その表情が、なぜか俺にはドキッとするほどかわいく見えて・・・・・
 初めて、あいつの唇に触れるだけのキスをした。
 
 平手打ちだけは免れたけど。
 不意打ちのキスに、真っ赤になって怒ってたあいつ。

 初めて、牧野のことを好きだと気付いた。
 初めて、抱きしめたいと思った。

 だけどそれはまだ言わない。
 あいつが俺に惚れたら、言ってやろうと思ってた。
 それまでは、言葉にしないで取っておこうと・・・・・

 だけど、さすがは牧野つくし。
 一筋縄じゃいかない女だ。
 茶会にも一緒に出席して母親を喜ばせてくれたし、どこかに連れ出すにも嫌がらなくなった。
 だけど、なかなか俺の方は見てくれない。
 楽しそうに笑ってくれるようにはなったけど、あくまでも『友達』
 それがわかるのは、俺が女といるとき。
 もちろん彼女じゃない。
 雑誌の取材なんかを受けるようになって、たまに出版社の人間が来る。そのほとんどが若い女だった。
 自分で言うのもなんだが、俺はかなりいい男なので、大抵の女は俺に惚れる。
 そして、仕事にかこつけて電話してきたり、メールを送ってきたりと、かなり積極的に迫ってくるのもいる。
 俺も仕事なら仕方ないから呼び出しに応じると、向こうはなぜか1人で。あからさまにホテルのキーを渡されたこともある。
 その度に、俺には彼女がいるからと牧野を呼び出して紹介するのだが・・・・。
 女の方が帰った後、決まって怒られる。
「断る口実に使わないでよ!!」
「だって、事実だろ?つくしちゃん」
 そう言って笑顔を見せてもてんで効き目なし。
 だけど、ヤキモチを妬いて怒ってくれてるのかと思えば、
「ったくもう、夕飯の途中だったのに・・・・コロッケ1個、食べ損ねた!」
 なんて言い出す始末。
 牧野らしいと言えば牧野らしい。
 だけど・・・・・

 せめて、もう少し妬いてくれてもいいんじゃねえの?
 賭けに負けたからとはいえ、今俺と付き合ってるのは事実なんだし。
 これじゃ友達とかわんねえよ。

 
 そして明日。
 1週間前から一緒に行こうと約束してた、オープンしたばかりのカフェ。
 あいつが行きたいと騒いでたから、休みの日に行こうと約束してたのに、母親が勝手に入れた仕事のせいでキャンセルだ。
 俺だってかなり頭に来てるのに、あいつは怒りもしない。
 女性誌の取材。来るのが女の担当者だってことはわかってる。
 何度か家まで押しかけてきたことがある。偶然、牧野と一緒のときだったことも・・・。
 なのに、そのことについても何にも触れないときてる。

 ・・・・・いつまで、俺は友達のままなんだ・・・・?

 さすがの俺も、少し焦っていたのかもしれない・・・・・


 「―――門さん。西門さん?」
 女の声にはっとする。
「どうかしました?具合でも?」
 顔を覗き込んでくる、編集の清水という女。
 長い髪をかきあげるのがクセの、よくいる『いい女風』の女。若いころはモデルをしてたこともあるとか何とか、どうでもいいこと言ってたな。
「いや、別に・・・悪いね、ぼうっとしてた」
「いえ、そんな・・・じゃあ、続きを・・・・」
「ああ・・・・」
 そう言って、何気なくちらりと窓の外へ目を向けた俺は。
 窓の外、大通りの向こう側を歩く人並みに、知っている顔を見つけて愕然とした。
「ええとじゃあ、さっきのお話なんですけど・・・・・」
 女の声も、右から左へ通り抜ける。

 背の高い、大勢の人の中でもひときわ目立つ、端正な顔立ちの男・・・・・・あれは、類だ。
 そして、その類と嬉しそうに微笑み合いながら歩く女・・・・・
「牧野・・・・・・・?」
「え?」
 女が顔を上げる。
 俺は、目の前の光景を信じられないような思いで、見つめていた・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 新しいお話を始めたばかりですが、突然思いついてしまったので、書いてしまいました。
 初めての総つくです。類つくファンの方にはちょっと読みづらいかと思いますが・・・・
 交互にアップしていこうかとは思ってますが、出来具合によって変わるかもしれませんので、読みたくない方は、アップした題名だけ見て回れ右してやってくださいね(^^;)
 それでも、楽しんで読んで頂けたら嬉しいです。


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X'mas Panic!!vol.1~花より男子・類つく&F3~

Category : X'mas Panic!!(完結)~花より男子・類つく~
 -akira-
 「11月に入って急に寒くなったな~。雪でも降りそうじゃねえ?」
 総二郎の言葉に、牧野も頷く。
「ほんと。どうせだったら12月24日に降らないかな。ホワイトクリスマス!」
 牧野の言葉に、総二郎がにやりと笑い、その顔をぐっと近づける。
「へえ~。つくしちゃんも女の子らしいこと言うようになったじゃん」
 からかうような口調に、牧野がむっと顔をしかめる。
「うるさいよ!あたしだってたまにはそういうこと言うの!悪い?」
 挑戦的な目で睨みながら言う牧野の視線をさらりと交わし、総二郎が笑顔になる。
「いいや?すっげえかわいいと思うけど?」
「!!」
 牧野の顔が真っ赤に染まる。
 まったく・・・・・・
 俺は溜息をついた。
 総二郎の罠にまんまと引っかかるあたり、やっぱり牧野は牧野だと思う。
「・・・・・総二郎、いい加減にしろよ。・・・牧野、迎え来た。乗るぞ」
 俺は、目の前に止まって、素早く開けられた後部座席にさっさと乗り込む。
「あ、うん。じゃあね、西門さん」
「おお、がんばれよ。またな、あきら」
 相変わらずニヤニヤと笑いながら軽く手を振る総二郎。
 俺はその姿を横目で見て・・・・・
 車が走りだすと、牧野のほうへ視線を移した。
「お前も、いい加減なれろよ、総二郎のああいうの」
 言われた牧野は、困ったように眉をひそめる。
「無理だよ。あたしが西門さんに敵うなんて、きっと一生ないもん」
 牧野の言葉に、俺はまた溜息をついた・・・・・。

 
 6月に類と牧野が正式に婚約してから、今日でちょうど5ヶ月だ。
 11月に入り、気の早いところは既にクリスマスムードになっている。
 今日はダンスのレッスンの日だ。
 毎週金曜日は牧野が俺の家へ来る。
 母親や妹たちにもすっかり気に入られ、妹たちは「つくしおねえちゃまだったらおにいちゃまと結婚してもいいわよ」なんて言っているくらいだ。
 もちろん俺もまだ牧野を諦めたわけではないので、こうして週1日でも、牧野を独占できるのは嬉しかった。
 今日は特に、類が朝から会社の方へ借り出されているので大学でもゆっくり話すことができてすこぶる上機嫌だった。もっとも、総二郎というもう1人のライバルの存在はあったけれど・・・・
 総二郎と俺とは、立場的には変わらない。
 ただ、総二郎は女の扱いにかけては天性(?)のものを持っているので、ときどきさっきみたいに俺がヤキモキするようなこともあり・・・・・
 どちらにしても毎日心休まることはなかった・・・・。


 「美作さん」
「ん?」
「今日って・・・・・ママさん、いらっしゃる?」
 牧野は、うちの母親のことをママさんと呼ぶ。
 というのも俺の母親に「ママと呼んで!」とせがまれ・・・・困った牧野が呼び始めたのが「ママさん」という呼び方だった。
「いや。今日は妹たち連れて知り合いのバイオリンコンサートに行ってる」
「そっか・・・・・」
 明らかにがっかりしたような表情の牧野。
 こいつは感情表現がストレートなので、そのときの気持ちがおもしろいくらいによくわかった。
「なんだよ?あの人に用事?」
「ん・・・・って言うか、お願いって言うか・・・・・」
「?なんだよ、はっきり言えよ」
「えっと・・・・・ママさんて、編み物とかも・・・・できるよね?」
「・・・・・まあな。妹たちのセーターとか、編んだりしてるよ」
「あの・・・・・・もし、時間あったら、とかでいいんだけど、その・・・あたしに、編み物教えてもらえないかなって・・・・・」
 赤い顔をしてしどろもどろになって言う。
 なんとなく、話が読めてきて・・・・・
「・・・・クリスマスプレゼントか?マフラー?セーター?」
「え」
 驚いたような顔で俺を見上げる。
 真っ赤に染まったその表情が、かわいかった。
「類に、作りたいんだろ?」
「・・・・・・ん・・・・・・その、あたし不器用で・・・・やったことあるんだけど、いつも失敗して途中でリタイヤしてたから、今度こそって思ったんだけど・・・・本で見てもいまいちよくわかんなくて。ママさん、そういうの得意そうだし。教えてもらえないかなあ」
「・・・・・俺が教えてやろうか?」
 と言うと、牧野がさらにびっくりしたような顔で「え!」と俺を見上げる。
「み、美作さんが!?編み物できるの!?」
「まあな。凝ったもんは無理だけど、セーターでもマフラーでも帽子でも・・・・一通りのものは作れる」
「すごい!でも、いいの?美作さんだって忙しいのに」
「だから、この週一のレッスン日にやればいいだろ。言っとくけど、クリスマスに仕上げようと思ってるんだったら急がないと間に合わないぜ」
「あ・・・・そ、そうだよね。どうしよう。何作るか、まだ決めてないんだけど」
「じゃ、材料選びながら考えよう。今日はこのまま店に行こうぜ」
 そう言って笑って見せると、牧野もほっとしたように微笑んだ。
「ありがと、美作さん」
 その笑顔にまた心ときめいて・・・・・
 でも類のためなんだと思うと、また胸がちくりと痛んだ・・・・・。


 「うわ、毛糸ってこんなに種類あるの?どうしよう、ぜんっぜんわからないんだけど」
 手芸用品の専門店につくと、牧野が店内を見回して目を丸くした。
「作るものによって違うんだよ。何作る?セーターは凝ったものだと時間かかるし、手作りってのは重いし洗濯も大変だぜ。やっぱ無難なとこでマフラーとか、帽子がいいんじゃねえの?」
「そう?あ、手袋とかは?」
「手袋は指んとことか、ぼこぼこしないようにするの大変かもよ。初心者には勧めねえ。あんまりおしゃれなのって作れねえし。早く作れておしゃれに見えるもの。で、お前でも作れそうなのってやっぱりマフラーと帽子がいいと思うけど、それじゃダメか?」
「ううん、じゃ、そうする。やっぱり美作さん一緒でよかった。あたし1人だったら、なんにも決めらんなかったかも」
 そう言って溜息をつく牧野。
「じゃ、次はデザイン、考えよう」
「デザイン?」
「そ。初心者の場合はあんまり凝ったデザイン選ぶと失敗するから・・・・・あ、ほらあそこに手作りニットの本とか並んでるから、見てみろよ」
 俺は店の片隅、ニット作りの本がたくさん並んだ一角を示した。
 2人並んで、1つ1つの本を手に取り、見てみる。
「え~、なんかどれも難しそう、できるかなー」
「やる前から情けねえこと言うなよ。大丈夫。俺がちゃんと教えてやるから」
 俺がそう言うと、牧野はチラッと俺を見上げて笑った。
「ありがと。ほんと美作さんって面倒見いいよね」
「・・・・・くだらねえこと言ってねえでちゃんと選べ。あ、これなんかどうだ?マフラーと帽子、そろいの柄のやつ。類に似合いそうじゃねえ?」
 そう言って、俺が見ていた本のページを牧野に見せてやると、牧野がそれを覗き込む。
 身を屈めた俺の手元を覗き込むように体を寄せて来る牧野。
 さらりと流れた髪からシャンプーの香りがして、思わずドキッとする。
「あ、ほんと、かわいいかも。でもこれ、あたしに作れるかなあ」
「・・・・だから、俺が教えてやるって言ってるだろ。ついでに自分の分も作れば?」
「ええ?お揃い?それって恥ずかしくない?」
 牧野が俺から身を離し、大げさに顔を顰めて見せる。
「アホ。俺がそんなださいこと言うかよ。同じデザインだって、色と素材を変えれば違うものに見えたりするもんだぜ。ま、時間がないかも知れねえけど。材料だけでも買っとけば?自分の分なら別にクリスマス意識する必要もねえし」
「うん・・・・そうだね。えっとじゃあ、どのくらい買えばいいのかな」
「使う毛糸の種類と量も書いてあんだろ。えっとこの毛糸は・・・・来いよ、こっち」
 そう言って俺はその本を持ったまま、先に立って歩き出す。
「あ、待って」
 牧野は慌てて自分が持っていた本を戻すと、俺の後をついてくる。
 
 あれこれと毛糸を選びながら・・・・
 なんだかデートでもしてるみたいな気分で、楽しくなってくる。
 類には絶対言えないっていうのがますますプラトニックな関係みたいでわくわくする。
 楽しそうな俺を見て牧野は不思議そうに首を傾げていたけれど・・・・・。

 「この色、いいな。類に似合いそう」
 そう言って牧野が手に取ったのは淡いブルーの毛糸。
 確かに類には似合いそうだ。
「自分のは?」
「あたしは・・・・どうしよう?」
 牧野が困ったようにぐるりと周りを見回す。
 色とりどりの毛糸。
「好きな色はあるけどさ、それが自分に似合うかどうかって、自分じゃよくわからないよ。・・・・やっぱり自分のは・・・・」
 いらない。
 そう言おうとしたんだろう。
 俺はそれを聞かずにくるっと向きを変えると、少し離れた棚へ歩いていった。
「美作さん?どうしたの?」
 牧野が気付いて慌てて着いてくる。
「・・・・これ、どう?お前に似合うんじゃねえかと思ったんだけど」
 それはさっき通りすがりにちらりと目に付いた毛糸。
 深いボルドーのそれは、最近女らしくなってきた牧野に似合うような気がした。
「え・・・・すごくきれいだけど・・・・大人っぽくない?あたしに合うかな?」
 自信なさげにその毛糸を手に取る牧野。
 俺はその毛糸を持って、牧野の頬に合わせて見た。
「ほら、似合う。俺のセンスを疑うなよ。このくらい大人っぽい色にしないと、毛糸の帽子なんてお前が被ったら子供っぽくなっちまう」
 そう言って笑ってやると、牧野はちょっと照れたように頬を染め、微笑んだ。
「じゃ、これにしようかな・・・・。ありがと、美作さん」
「いいから買って来い。金あるか?」
「うん。バイトでためてたお金、とっておいてあるの。こういうのはやっぱり自分で稼いだお金じゃないとね・・・・じゃ、行って来る」
 そう言うと牧野は、選んだ毛糸をカゴに入れ、レジに向かった。
 牧野らしい姿に、笑みが浮かぶ。
 婚約して、俺たちの教育を受けて、少しずつ女らしく変化してきた牧野。
 それでも本質的には変わらないあいつに、安心する。

 牧野が類と結婚しても、きっと俺の気持ちは変わらない。
 そんな妙な確信。
 あいつには言わないけれど・・・・・・
 ずっとあの笑顔が見れる位置にいたい。
 そう考えること事態は、罪じゃないよな・・・・?


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 結局、「ブランコ」の続きを書くことにしました。いきなり新婚にいくよりは、やっぱり順を追っていったほうがいいかな~と・・・・。
 で、最初からいきなり類くん不在ですが(^^;)
 気長にお付き合いいただけたらうれしいです~

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ブランコ vol.46 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -rui-
 自分の腕の中に、感じるぬくもり。
 たった1日のことなのに、随分会っていないような、そんな気がしていた。
 漸く、掴まえる事が出来た大切な存在。
 一緒に暮らし始めて間もないというのに、離れていることがこんなに辛くなるとは思わなかった。
「類・・・・・」
 牧野の声が、何処か遠くに聞こえるようだった。
「あの・・・・ごめんね、昨日は・・・・・・その、静さんのことも、あたし知らなくて・・・・・勝手に誤解、しちゃって・・・・」
「謝るな」
 牧野の髪に顔を埋めながら、俺は低い声で囁いた。
「謝るのは、俺のほうだった。牧野がなんで悩んでるのか、全然わからなかった・・・・・」
「それは・・・・・もういいよ・・・・・・」
 なんとなく気まずそうに言う牧野。
「よくない」
 俺はそう言うと、牧野から体を離し、牧野の腕を掴んで学校の校舎のほうへ歩き出した。
「類?どこに行くの?」
「行けばわかる」
「って・・・・・・こんな時間に、学校の中に入れないよ。今日、土曜日だし・・・・・」
 俺はそれには答えず、そのまま牧野の手を引っ張って歩いて行った。


 「・・・・非常階段・・・・・?」
「うん」
 俺は牧野を振り返り、少し笑って見せると、また前を向いて非常階段を上り始めた。
「ここで・・・・・どうしても言いたかったんだ」
「何を?」
 牧野が不思議そうに首を傾げる。
「・・・・牧野」
 俺は牧野に向き直り、真正面から牧野を見つめた。
「俺と・・・・・結婚して」
 その言葉に、牧野の漆黒の瞳が大きく見開かれる。
「今頃って、思うかもしれないけど・・・・。俺、忘れてた。言葉にしなきゃ伝わらないこともあるってこと。牧野と一緒にいられれば、それで良いって思ってたから。親の決めたことでも何でも、最終的に牧野と一緒にいられるならって思ってたんだ。でも、違うよな・・・・・。気付くのが遅れて、ごめん」
 牧野の瞳から、涙がこぼれた。
 それは月の光に照らされて、水晶のようにきらきらと輝いて見えた。
「類・・・・・」
「牧野・・・・俺と、結婚してくれる・・・・・?」
 もう一度言うと、牧野は涙を拭いながら大きく頷いた。
「うん・・・・・・ありがと・・・・類・・・・・」
「お礼なんか・・・・・・言われることじゃない。今まで待たせて・・・・傷つけて、ごめん」
 そっと牧野の体を引き寄せ、抱きしめる。
 小刻みに震える牧野の体。
 牧野は、両腕を俺の首に巻きつけると、ぎゅっと抱きついてきた。
「あたし・・・・・不安だったの・・・・・婚約することが決まって、嬉しいはずなのに、どんどん不安になって・・・・・決められたレールの上に、乗せられてるみたいな、そんな気がして・・・・・類の意思じゃなくって、家の・・・・・花沢の決めた道を、歩かされているみたいな・・・・類のご両親は、あんなに優しくしてくださったのに・・・・・ごめんね・・・・・」
 泣きながら必死に言葉を紡ぐ牧野が、たまらなくいとおしかった。
「牧野、謝らないで・・・・。牧野ならそう考えるだろうって、今ならわかるのに・・・・一緒に暮らせることが嬉しくて、俺、気付かなかった。順番が、逆だよな。ちゃんと最初に、言わなきゃいけなかったんだ・・・・・」

 月明かりが照らす非常階段で、俺たちはしばらくそのまま抱き合っていた。
「・・・・・寒くない?」
「・・・・・平気・・・・・」
 俺は、牧野の髪を撫でながら・・・・・
 やっぱりどうしても気になることを、聞いてみたくなった。
「あきらと総二郎に、告白されたって・・・・・・」
 その言葉に、ピクリと反応する牧野。
「・・・・・うん・・・・・類は、知ってたの?2人の気持ち・・・・・」
「当たり前だろ」
「そ、そっか・・・・・あたし、全然知らなくて・・・・・2人には、ずっと悪いことしてた・・・・・」
「そんなこと、気にする必要ない」
 そう言って、俺は牧野の体をちょっと離し、その顔を見つめた。
 牧野はちょっと恥ずかしそうに、俺を見上げている。
「だって・・・・・」
「あいつら、牧野に振られたって全然諦めるつもりなんかないんだから。聞いただろ?さっきの。これからだって、どんなことしてくるか・・・・」
「そんな・・・・」
 ぎこちなく牧野が笑って言うのを、俺はぴしゃりと遮った。
「甘い。今まで抑えてたぶん、開放されちまったらあいつらに怖いものなんてない。教育係にかこつけて、あの手この手で口説いてくるに決まってる」
「て・・・・・類、親友でしょ?」
「牧野に関しちゃ、ただのライバルだよ。とにかく・・・・牧野は隙だらけなんだから、もう少し気をつけて。あの2人相手に油断しちゃダメだよ」
 そう俺が真剣に話してるのに・・・・
 牧野が、くすっと笑った。
「・・・・・なんで笑うの」
「だって・・・・・類、本当に心配そうだから」
「心配だよ、すごく」
「・・・・あたしね、美作さんと西門さんのこと、好きだよ」
「!!」
「もちろん友達として、ね。あの2人は、特別だと思ってる。あたしが不安なとき・・・・いつも傍にいてくれた。優しくしてくれたり怒ってくれたり、いろんな形であたしを元気付けてくれた。類を好きな気持ちとは全然違うけど・・・・でも、あの2人が傍にいてくれたから、あたしは今こうしてここにいるんだと思うの。だからこれからも・・・ずっと一緒にいられたら良いなって、思ってる・・・・・」
「牧野・・・・・」
 俺は、小さく溜息をついた。
「そんな風に言われたら、怒れない・・・・・。けど、それ以上好きなっちゃダメだよ?牧野は俺のもの・・・・・。絶対に、渡さないからね?」
「・・・・じゃあ、捕まえてて?あたしがどこにも行かないように・・・・しっかり捕まえてて」
 まだ少し、不安に揺れている牧野の瞳。
 俺はそっと両手を頬に添えて、唇を重ねた。
 何度も何度もキスを繰り返す。
 何度しても足りない。
 腕の中に閉じ込めて・・・・
 それでもまだ、足りないって思う。
 どれだけ夢中になっていくんだろう。
 もし牧野が、俺の腕をすり抜けて、他の男にところへ行ってしまったら・・・・・
 俺はどうなってしまうんだろう?
「・・・・・逃がさないよ、絶対・・・・・。ずっと捕まえとく・・・・・・」
 そう言って、牧野を抱きしめながら・・・・・
 俺は、ふと思い出し、ポケットからあるものを取り出すと、牧野の左手を取った。
「?何?」
「まだ見ないで」
 体を離そうとした牧野が、俺の言葉にぴたりと動きを止める。
 ゆっくりと、牧野の手をなぞる。
「?????」
 不思議そうな牧野の様子がおもしろくて、つい笑いが漏れる。
「類?」
 俺を見上げる牧野の体をそっと離す。
「手、見てみて」
 その言葉に、自分の左手を見る牧野。
 その瞳が、大きく見開かれる。

 プラチナ台に、カットされたブルートパーズが光る指輪。
「ブルートパーズって、12月の誕生石だって知ってた?」
「え・・・・・あたし、トルコ石だと思ってた・・・・・」
「それもそうだし、ラピスとかジルコニアもそうだって。ジュエリーショップ行って、悩んじゃったよ。でも・・・・この石が一番牧野に似合いそうだと思って」
「・・・・きれいなブルー・・・・」
 牧野が左手を目の前にかざすと、月の光を受けた石がキラキラと輝く。
 それを見つめていた牧野の瞳から、涙が一筋零れ落ちた。
「牧野・・・・・」
「ありがと、類・・・・・・あたし、すごく幸せだね。こんなに大切にしてもらって・・・・・。幸せすぎて、罰当たらないかな」
「・・・・大丈夫。どんなことからも、俺が守るから・・・・・」
 涙に濡れた瞳が、ゆっくりと俺を捕らえる。
 俺は、指でその涙をすくった。
「・・・・・・・きれいだ・・・・・」
 どんな宝石よりも。
 俺にとっては、牧野の存在そのものが、輝いて見えた。
「大事にする。これからずっと・・・・・・だから、ずっと俺の傍にいて・・・・・」
 俺の言葉に、牧野が微笑む。
「はい・・・・・」
 蕾がゆっくりとその花を開くように。
 月明かりの下、牧野の笑顔が、輝いていた・・・・・


                                fin
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 長い間お付き合いいただきまして、ありがとうございました。
 とりあえずこのお話はここでおしまいです。
 この続きも書きたいのですが、ちょっと他のお話も書きたいし・・・・
 アンケートの投票結果も参考にしながら、考えたいと思っています♪

 それから「Bitter&Sweet」の方で、R版をアップしました。
 「Bitter&Sweet」については「Bitter&Sweet」のカテゴリーをご覧ください。

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ブランコ vol.45 ~花より男子・類つく&F3~

Category : ブランコ(完結)~花より男子・類つく~
 -tsukushi-
 「え?類いないの?」
 花沢の家に帰ると、家政婦の高野さんにそう言われた。
「ええ。急に会社の方に行かなくてはいけなくなってしまったとかで、朝からお出かけになってます。5時ごろまでには戻るとのことで・・・・・・」
「そう・・・・・なんだ・・・・・」
 気が抜けてしまった。
 帰ったらすぐに類に話さなくちゃ、って、意気込んでいただけに、肩透かしを食らった気分だった・・・・・。
「あの、つくし様には伝言が・・・・・」
「え、あたしに?」
「ええ。今日は、どこにも行かないで待っていてくれと・・・・そう仰っておられました」
 類が・・・・・
 ―――やっぱり類も、待っていてくれてたんだ・・・・・。

 昨日は逃げてしまったけれど。
 今日はちゃんと話そう。
 あたしは、そう心に決めた。


 「あ、メール・・・・・?」
 4時半を過ぎたころ、類からメールが届いた。
 ―――英徳高校の中庭に来て
「高校の中庭・・・・・?」
 首を傾げながらも、あたしは急いで家を出た。


 「あれ・・・・・美作さん、西門さんも?」
「よ、牧野」
 西門さんがあたしを見つけて手を上げた。
 その横にいた美作さんもあたしを見る。
「お前も呼ばれたか」
「うん・・・・2人も類に?」
「ああ。ってか、呼び出しといてまだ来てねえってどんだけだよ」
 西門さんが文句を言う。
「・・・・・美作さん、あの・・・・・」
 本当は別の日にちゃんと話をしようと思ってたんだけど・・・ここで会ってしまったら仕方がない。
 あたしは、美作さんの傍へ行った。
「ん?」
「あの・・・ごめんね。昨日、あたし・・・・・」
「ああ・・・・いいよ。総二郎から大体の話は聞いてる。てか、お前の気持ちくらい、わかってる。あんなこと言っちまったけど・・・・お前を苦しめるつもりはねえんだ。だから、今までどおり友達でいてくれれば良い。ま、俺がお前を好きだって気持ちに変わりはねえし、これからも俺を頼りたいときは遠慮せずに来いよ」
 そう言って、いつものように優しく笑ってくれる美作さん。
 やっぱり、この人は大人だ。
 あたしなんか、全然追いつけないくらい・・・・・・


 「ごめん、遅くなった」
 周りが暗くなり始めたころ・・・
 漸く類が姿を現した。
「ほんとだぜ。何してんだよ」
 西門さんが文句を言うと、類は肩をすくめた。
「悪い。出ようと思ったらそこでつかまっちゃって・・・・30分も話に付き合わされた」
「・・・・・・で?俺たちをここに呼び出したわけは?」
 美作さんが落ち着いた声で言う。
「・・・・いろいろ、聞きたいこともあるけど・・・・。先に、静のこと話そうと思って。誤解、してるんじゃないかと思ったから」
「ああ、それ。俺たちも知らなかったぜ、あいつが帰国してたなんて」
 西門さんが不機嫌さを露にして言う。
「一昨日、電話があったんだ。急に帰国することになったんだけど、あんまり時間がないから少しだけ、会えないかって。本当はあきらや総二郎にも連絡したかったらしいんだけど、本当に時間なかったらしくてとりあえず俺に・・・・その、牧野との婚約の話を聞いたから、お祝いしたいって」
 そう言って類は、あたしを見た。
「じゃ、何で牧野にそれ言わないんだよ?」
 と、美作さん。
「・・・・・言えるような雰囲気じゃなかったから。あの日の牧野、ずっと何か考え込んでて、俺と目も合わせようとしなかっただろ。あきらとのレッスンもあったし。帰ってからちゃんと話そうと思ってたんだよ」
 そうだったんだ・・・・・・。
 あたしは、一昨日の自分を思い出していた。
 確かにあの日は、気まずくってなるべく目を合わせないようにしてたかも・・・・・。
「あの後も、すぐに帰っちゃったし。あそこにいたのも1時間くらいだったよ」
「・・・・・だけど、結果的にお前が話さなかったことで牧野は傷ついたんだぜ」
 美作さんが類を睨みながら言った。
「あの日、お前たちを偶然見つけて・・・・・マジで、その場でぶっ倒れちまうんじゃないかと思うくらい、牧野は真っ青だった。その後も・・・・あんなふうに牧野が泣いたのは、お前のせいだろ」
「美作さん・・・・・」
「・・・・・・悪かったと思ってるよ、そのことは・・・・。だけど、俺だって納得いかない事があるよ。何であきらと牧野があそこにいたのか」
「牧野がお前のことで悩んでたから。ちょっと元気付けようかと思って連れて行ったんだよ。そのくらい、いいだろう」
「・・・・・・手を、握ってただろ?」
「あれは、牧野が震えてたから」
 そう言って、美作さんは類から目を逸らした。
「・・・・・あの後は、どうしてたの?」
「・・・・牧野を追って行ったよ。そう言ったろ?で、公園で話した。そんだけ」
「・・・・・ほんとに?」
 類がじっと美作さんを見ている。
 美作さんは黙ってたけど・・・・
 ど、どうしよう。類、何か気付いてる・・・・?
 でも、あたしが言うのはまずいよね・・・?
「・・・・・あきら、言っちゃえば」
 それまで黙っていた西門さんが、急に口を開いた。
「西門さん!?」
「総二郎・・・・・」
「どうせ、類はあらかた気付いてんだろ?だったら本当のこと言っちまったほうが良い」
 その言葉に・・・・美作さんは、頷いた。
「ああ、そうだな。どっち道類は俺や総二郎の気持ちを知ってる。隠しても仕方ねえか」
「美作さん・・・・」
「お前は何も言うな。・・・・そんな心配そうな顔するなよ。大丈夫だから」
 美作さんは、そう言ってあたしの頭を優しく撫でた。
「類・・・・俺、牧野に告白したよ」
「・・・・・・・・・・・」
 類は、何も言わずに美作さんを睨みつけていた。
「黙ってらんなかった。傷ついて泣きじゃくる牧野を見てたら・・・俺が、牧野を守りたい。そう思った。だから、好きだって言ったよ」
「・・・・牧野は・・・・・なんて・・・・・」
「昨日はそのまま別れたから、何も聞いてない。そんなこと考えられる状態でもなかったしな」
 そう言うと、美作さんはちらりと類のことを見て、にやりと笑った。
「・・・・けど。俺は牧野がどう思おうと諦めるつもりはねえよ。少なくとも、類、お前よりは女の気持ちを理解してるつもりだ。お前がそうやって牧野を泣かせるようなら、俺が牧野を奪う」
 その言葉に、類の表情は一変した。
「・・・・牧野は、渡さない」
「ちょっと待て。2人で話進めんなよ。俺も入れろ」
 そこに、絶妙のタイミングで西門さんが割って入る。
 計ったようなタイミング。
 てか、計ってたんだろうな、絶対・・・・・
「・・・・総二郎」
「俺も今日、牧野に告白したんだけど」
 にっこりと満面の笑みを浮かべて、そんなこと言うから・・・・類も開いた口が塞がらない・・・・・。
 あたしは、頭を抱えるしかない。
「ちなみに俺もあきらと同じく、牧野にどう思われようと諦めるつもりは毛頭ないぜ。俺はあきらほど優しくない。お前ら2人がどんな状態だろうと牧野のことを奪ってみせるぜ」
 にやりと、不敵な笑み。
 類の表情がますますこわばる。
「総二郎にも、あきらにも、渡さないよ。牧野は絶対!」
「なめんなよ。女の扱いについちゃ俺のほうが上だ。本気で口説きゃ牧野くらいの女、すぐに落とせる」
「!!」
 類が、西門さんに掴みかかった。
「類!やめて!!」
「・・・・牧野くらいの女って、なんだよ!」
「類!!」
「そんなに牧野が大切なら、もっとちゃんと捕まえとけよ!!」
 西門さんが、類を睨み返しながら叫ぶ。
 その声に、類がはっとした表情になり、その手を緩める。
「・・・・・お前が静と一緒にいるのを見て、牧野がどんだけ傷ついたか。牧野を大切に想う気持ちは、俺らだっておんなじなんだよ。牧野が泣いてるのを見て、放っておけるわけねえだろ」
 静かに・・・・でも凄みのある声で類に語りかける西門さん。
「西門さん・・・・・」
 あたしは、なんと言っていいかわからず・・・・・ただ、気付かないうちに頬を伝っていた涙を拭った。
「牧野の気持ちは、いやって程わかってるよ。ずっと傍で見てきたんだからな。だから、牧野の答えだって聞かなくたってわかってる・・・・。俺らが告ったりしたら、牧野は困るだけだってのもわかってたよ。けど言わずにはいられなかった。こいつの涙見てたら・・・・・。だから、そうさせたのは類、お前なんだぜ」
 美作さんが、落ち着いた表情で類を見て言った。
「あきら・・・・・・」
「・・・・・俺らは、もう帰る。後は2人で話し合えよ。牧野、ちゃんと素直になれよ」
 そう言って美作さんが優しく微笑みながらあたしの髪をくしゃっと撫でて行った・・・・・。
「美作さん・・・・・」
 そして、西門さんもあたしの頭にぽんとその手を乗せた。
「じゃあな。何かあったらいつでも来いよ」
 その言葉に、あたしはくすっと笑った。
「西門さんが拾ってくれる?」
「おおよ。任せとけ」
 その切れ長のきれいな目でウィンクを決める。
 そしてちらりと類に視線を投げると、最後にまた不敵な笑みを浮かべ、そのまま背を向けて行ってしまった。
 
 1度も振り返らず帰って行く彼らの後姿を、暗がりの中見えなくなるまで、見送っていた。

 そして・・・・・・
 ふわりと、背中に感じるぬくもり。
 類が、後ろからあたしを抱きしめていた・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 漸く、誤解が解けました♪
 さて、いよいよクライマックス・・・・かな?

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