2010
08/26
05:19
秘密の花園 vol.44 ~花より男子・?つくし~
Category : 秘密の花園 ~花より男子・?つくし~
「よお、元気か?」
優しい香りの花で溢れた部屋に、いつもの優しい笑顔。
いつもと変わらない美作さんに、ほっとする。
「うん。今日はお母さんと妹さんたち、お出かけ?」
「ああ、買い物に行ってるよ。珍しいな、お前が1人でここに来るなんて」
お爺様の葬儀が終わって、2週間が経っていた。
菅野家はまだバタバタと落ち着きなく、毎日お婆様もママも忙しそうに動き回っている。
あの、いつも暢気なパパでさえママのサポートで忙しそうだ。
でも、まだ学生のあたしや進が手伝えることは少なくて。
家にいても邪魔になるだけなので、進は友達のところに避難していたし、あたしは―――
毎日傍にいてくれる類。
そんな類と接しているうちに、わかったことがある。
だけどその答えを出す前に、もう少し心の整理をしたかった。
そのために―――
1人で考えるよりも、この人と話したかったんだ・・・・・。
「美作さんの淹れてくれるハーブティーが飲みたくなって」
あたしの言葉に、美作さんが笑った。
「なんだそりゃ。まあ、お前が言うならいくらでも淹れてやるけど。その辺、適当に座ってな」
「うん、ありがとう」
何でとか、どうしてとか、こういう時に聞いてこない。
そういう美作さんの優しさが、今は安心する。
毒にも薬にもならない、なんて美作さんは言ってたけど・・・・・。
でも、そういう優しさが必要な時もある。
今のあたしには、それが心地よかった・・・・・。
「―――不思議なもんだよな。俺はあんまり関わりなかったけど・・・・・。それでも知ってる人がいなくなるっていうのは寂しいって思うもんなんだよな」
2人でテーブルを挟み、ハーブティーを飲みながら。
美作さんの言葉に、あたしも頷いた。
「うん。なんかね・・・・・まだ、信じられないの。確かに年はとってたけど、まだまだ元気で―――仕事で家にいないことも多かったし。いまにも、玄関を開けて帰ってきそうな気がして・・・・・」
「ああ、わかるよ、それ。なかなか実感って湧かないもんだよな」
「お爺様にはこれから、仕事のこととか、いろいろ教えて欲しかった。あたし、菅野の家のことも、会社のこともまだ全然わかってないから」
誰かと結婚したとして。
あたしの夫になる人に仕事を教えるのは、当然お爺さまだと思ってた。
そしてその内子供が生まれたら。
きっと喜んでくれるに違いないと―――
その日が来るのが、当然のことのように思ってたんだ・・・・・・
「―――大丈夫。ちゃんと、見てくれてるよ」
美作さんが、優しくあたしを見つめながら言う。
「お前なら大丈夫。きっと、旦那になる男を支えながら菅野家の人間として立派にやっていける。あの人はそう思ってたと思うぜ」
「そうかな・・・・・」
「ああ。だから、きっと安心して逝ったんだ。もう、自分の役目は終わったと・・・・・そう思って」
「あたしに―――できるかな」
「できるよ、お前なら。何か困ったことがあった時は俺たちを頼ればいい。いつだって、お前のためなら駆け付けるやつがいるってこと、忘れんなよ」
にやりと笑う美作さんに、あたしも笑みを返す。
いつでも、その優しさであたしに安心をくれる人。
ここに来て良かった。
そう思わせてくれる・・・・・。
「ありがとう、美作さん」
「役に立ったか?」
「うん。―――また、来てもいい?」
「ああ、いつでも」
美作さんの家を出ると、あたしはまたある場所へと向かった。
そこに用意されているかもしれない、もう一つの答えを探しに―――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
結婚してもきっと、あきらとの関係は変わらないんだろうなあと、書いていて楽しくなります。
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優しい香りの花で溢れた部屋に、いつもの優しい笑顔。
いつもと変わらない美作さんに、ほっとする。
「うん。今日はお母さんと妹さんたち、お出かけ?」
「ああ、買い物に行ってるよ。珍しいな、お前が1人でここに来るなんて」
お爺様の葬儀が終わって、2週間が経っていた。
菅野家はまだバタバタと落ち着きなく、毎日お婆様もママも忙しそうに動き回っている。
あの、いつも暢気なパパでさえママのサポートで忙しそうだ。
でも、まだ学生のあたしや進が手伝えることは少なくて。
家にいても邪魔になるだけなので、進は友達のところに避難していたし、あたしは―――
毎日傍にいてくれる類。
そんな類と接しているうちに、わかったことがある。
だけどその答えを出す前に、もう少し心の整理をしたかった。
そのために―――
1人で考えるよりも、この人と話したかったんだ・・・・・。
「美作さんの淹れてくれるハーブティーが飲みたくなって」
あたしの言葉に、美作さんが笑った。
「なんだそりゃ。まあ、お前が言うならいくらでも淹れてやるけど。その辺、適当に座ってな」
「うん、ありがとう」
何でとか、どうしてとか、こういう時に聞いてこない。
そういう美作さんの優しさが、今は安心する。
毒にも薬にもならない、なんて美作さんは言ってたけど・・・・・。
でも、そういう優しさが必要な時もある。
今のあたしには、それが心地よかった・・・・・。
「―――不思議なもんだよな。俺はあんまり関わりなかったけど・・・・・。それでも知ってる人がいなくなるっていうのは寂しいって思うもんなんだよな」
2人でテーブルを挟み、ハーブティーを飲みながら。
美作さんの言葉に、あたしも頷いた。
「うん。なんかね・・・・・まだ、信じられないの。確かに年はとってたけど、まだまだ元気で―――仕事で家にいないことも多かったし。いまにも、玄関を開けて帰ってきそうな気がして・・・・・」
「ああ、わかるよ、それ。なかなか実感って湧かないもんだよな」
「お爺様にはこれから、仕事のこととか、いろいろ教えて欲しかった。あたし、菅野の家のことも、会社のこともまだ全然わかってないから」
誰かと結婚したとして。
あたしの夫になる人に仕事を教えるのは、当然お爺さまだと思ってた。
そしてその内子供が生まれたら。
きっと喜んでくれるに違いないと―――
その日が来るのが、当然のことのように思ってたんだ・・・・・・
「―――大丈夫。ちゃんと、見てくれてるよ」
美作さんが、優しくあたしを見つめながら言う。
「お前なら大丈夫。きっと、旦那になる男を支えながら菅野家の人間として立派にやっていける。あの人はそう思ってたと思うぜ」
「そうかな・・・・・」
「ああ。だから、きっと安心して逝ったんだ。もう、自分の役目は終わったと・・・・・そう思って」
「あたしに―――できるかな」
「できるよ、お前なら。何か困ったことがあった時は俺たちを頼ればいい。いつだって、お前のためなら駆け付けるやつがいるってこと、忘れんなよ」
にやりと笑う美作さんに、あたしも笑みを返す。
いつでも、その優しさであたしに安心をくれる人。
ここに来て良かった。
そう思わせてくれる・・・・・。
「ありがとう、美作さん」
「役に立ったか?」
「うん。―――また、来てもいい?」
「ああ、いつでも」
美作さんの家を出ると、あたしはまたある場所へと向かった。
そこに用意されているかもしれない、もう一つの答えを探しに―――
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